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2015年4月25日 (土)

オバマと共和党、反中国の貿易策を推進

Patrick Martin
2015年4月23日

アメリカ上院も下院も、アメリカ政府が貿易協定アジアとアメリカの他の11ヶ国との環太平洋戦略的経済連携協定TPPをまとめることを可能にする貿易促進権限、“ファスト・トラック”権限として知られているものをオバマ大統領に認める法案の作業を開始した。

水曜日、上院財政委員会は、0対6で、法案を承認し、上院議場に送付した。上院で数週間のうちに行われる投票では、より強い反対に出会う可能性がある。委員会では、5人の民主党議員と、1人の共和党議員が“反対”した。

上院財政委員会での投票は、ユタ州選出委員長の民主党議員オリン・ハッチと、オレゴン州選出の民主党幹部議員ロン・ワイデンとのTPA法制の条件にまつわる先週の長い会談に続いて行われた。

下院歳入委員会は、木曜日に法制についての作業を開始すると、ウィスコンシン州選出のポール・ライアン委員長が発表した。ライアンは、ハッチとワイデンの会談に加わり、法案に同意した。

法案は、ファスト・トラック条項の下で、貿易協定を交渉する権限を、大統領に与えることになり、今後三年間、下院と上院での議院承認は、いずれも、改訂や、手続きの遅延無しの、信任投票だけになる。

現実問題として、貿易促進権限の議会承認は、貿易協定合意にも、その承認にも必要だ。もし議会が協定を自由に改定できたり、法案通過を阻止したりするのであれば、アメリカ合州国との貿易協定に署名する国などない。議会が、その様な協定に信任投票で反対したことはかつてない。

環太平洋戦略的経済連携協定TPPは、オバマ政権のアジア基軸における経済・貿易要素で、これにより、中国という勃興する力に対し、アメリカ軍、政治・経済資産を総動員するのだ。TPP交渉に参加している11ヶ国は、日本、オーストラリア、ニュージーランド、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、ベトナム、チリ、ペルー、メキシコとカナダだ。

もし12ヶ国貿易圏が実現すれば、世界最大の貿易圏となる。世界経済の40パーセントにあたり、欧州連合の比率より大きいのだ。もしTPPが実現すれば、他のアジア諸国も署名することが期待されている。韓国は興味を示しており、フィリピン、タイやインドネシアも潜在的な加盟候補だ。

ワシントン公式のTPP論議は、二つの別々の路線で進められている。一つは大企業エリートと、その軍-諜報機関、そしてもう一つは、煽動的かつ完全に偽った、アメリカ人労働者の擁護者を装うこうした姿勢だ。

支配エリート中核では、議論の中心は、中国に圧力を加え、アジア太平洋地域において、卓越した経済的地位に勃興するのを未然に食い止める手段としてのTPPの戦略的価値を巡るものだ。ここで核心問題は、世界第三番の経済である日本を、この将来の経済圏取り込むことで、日本無しでは、TPPは拡大版NAFTAに過ぎなくなる。アメリカ、カナダとメキシコに加え、少数の二流アジア経済諸国だ。

安倍晋三首相は、ホワイト・ハウスでの会談する為、4月28日にワシントン入りの予定だ。彼は両院合同会議でも演説する予定だ。オバマ-安倍会談では、TPP締結に対する主な障害、特に農業と自動車貿易を巡る米日摩擦に対することが予想されている。

ワシントン・ポストは、TPP交渉の本当の狙いに関して疑う余地のない論説で、オバマ政権に、協定を、日本と、議会で必ずまとめるよう呼びかけている。新聞“TPPの狙いは地政学的かつ経済的だ”と宣言している。論説は更に述べている。“ここで重要なのは日本だ。高齢化し、経済的に問題を抱えた、アジアの巨人は、勃興する中国を相殺すべく、政治上、安全保障上で、アメリカ合州国とのより深い約束関係の構築を狙っている。”

論説は、こういう警告で締めくくっている。“もしTPPが失敗すれば、オバマ政権にとって、アジア基軸を実現する手だてはほとんど何もなくなるだろう。”

ジョセフ・バイデン副大統領も、4月17日に大半が貿易促進権限を支持すると期待される、29人の右派民主党議員の集まりで演説して、同様な主張をした。“中国は、インドを除けば、地域全てのより小さな国々の上に君臨する巨大な勢力で、ロシアが、ヨーロッパで、石油に関してできていることを、彼等も実行できる”と彼は述べた。“彼等は、これら地域の国々全てに、中国市場へのアクセスを拒否することも、許可することもできる強大な経済力だ。”

かくて、TPP推進は、中国と、北京の事実上属国北朝鮮と、尖閣/釣魚諸島を巡って日本と、何よりも南シナ海で、フィリピンとベトナムと、中国ビルマ国境で、そしてインドと中国間で、地域紛争を挑発しようとするアメリカ帝国主義の益々狂った取り組みとつながっている。

ところが、民主党議員の大半や、AFL-CIO、環境保護団体、ネーション誌や、エセ左翼のインターナショナル・ソーシャリスト・オーガニゼーションを含む民主党と連携する団体のエセ一般大衆向け姿勢によって、マスコミTPP報道では、そうした事柄への配慮がすっかり脇に追いやられている。

こうした勢力は、反中国排外主義やアメリカ国粋主義を基盤に貿易協定に反対しており、またもや他国の労働者の雇用や条件を犠牲にすることにより、アメリカ労働者の雇用と賃金を守ることができるというウソを推進しようとしている。失業と賃金削減を巡る労働者階級の怒りを反動的な国粋主義的な方向に逸らせるこの企みは、軍国主義推進とつながっている。

4月15日、4人の民主党議員が、石油精製労働者のストライキを裏切ったばかりの全米鉄鋼労働組合委員長レオ・ジェラルドが議長をつとめる1,000人以上の労組幹部や支持者達の集会で演説した。

マサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン上院議員は拳を振り上げるしぐさをし、マイクに向かって叫んだ。“秘密貿易協定など許さない!皆さん戦う覚悟はありますか?多国籍企業の為の特別協定など許さない!皆さん戦う覚悟はありますか?”

ヒラリー・クリントンに対し、民主党大統領候補指名で、形ばかりの挑戦者を演じる可能性があるバーモント州選出のバーニー・サンダーズ上院議員は、議会は“すっかり億万長者達とそのロビイストのものなっている。”と主張した。

ほとんど機能していないアメリカ鉱山労働者連合委員長として、そして今や労働組合連合のトップとして、労働者階級の戦いで無数の裏切りをしてきた歴戦の勇士、AFL-CIO議長リチャード・トルムカは、火曜日、上院財政委員会の公聴会で、貿易協定反対の証言をした。

トルムカは、議会ファスト・トラック権限に反対するロビー活動の為に“莫大な”6桁金額の宣伝キャンペーンを行うと既に発表している。“更なる雇用喪失と低賃金”を招くファスト・トラック成立を許すことはできないと彼は主張した。“労働者への良い雇用でなく、グローバル大企業に利益をもたらす貿易協定にただ追認するのでなく、議会はその影響力を維持するべきだと思う。”

この煽動的言辞は、アメリカ大企業政権が何百万人もの労働者に“失業と低賃金”を押しつけるのを助けてきたAFL-CIOの長年の実績を隠蔽している。労組は労働者階級の利益を守っておらず、アメリカ資本家階級で競争力が脆弱な部門、特にTPP交渉で、日本やメキシコや他の国々の外国ライバル企業に敗北することを恐れている製造業を守っているのだ。

民主党議員の反対についていえば、ほとんど選挙資金を労働組合から流れ込み続けさせる為の見せ掛けに過ぎない。いざとなれば、上院でも下院でも、離反する共和党議員の人数を補って余りある十分な人数の民主党議員が現れよう。

オバマは、このジェスチャー遊びで自分の役を演じ、民主党議員の反対派を強調しながら、この問題で、彼等は間違っていると主張した。ウォーレンやサンダーズ同様、オバマは労働者の利益を守っていると主張している。“中流階級の為になると思っていなければ、私はこの貿易協定を進めていなかっただろう”と彼は火曜日、MSNBCのインタビューで述べた。

大統領として、6年の実績が、いかなる貿易協定も、労働者の為になる証明だとさえ彼は主張した。自動車産業における賃金の大幅削減、何百万ものまともな賃金の雇用破壊や、低賃金に基づく経済“回復”、社会福祉の劇的削減で強いられているパートタイム労働などまるでなかったかのように。

“自由貿易”を擁護し、保護主義を擁護する支配階級両派の“議論”は、資本家階級を代表するものだ。両者とも、労働者の利益に徹底的に敵対しているのだ。

記事原文のurl:http://www.wsws.org/en/articles/2015/04/23/trad-a23.html
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来る訪米、会談、議会演説、日本三度目の壊国分岐点として、世界史に残るだろう。

第二次世界大戦、太平洋戦争で、日本指導部は、国体護持を考えていた。
国民は国体ではなかった。

集団的自衛権、憲法破壊、TPP推進で、買弁指導部は、国体護持を考えている。
国民は国体ではないだろう。

街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋も、この状況に触れておられる。

2015年4月22日【資料メモ】 緊迫する米国のTPP情勢

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