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2015年4月21日 (火)

‘オーウェルを読んだ人なら誰でも、すっかりお馴染み’のアメリカ策略 - チョムスキー、RTに語る

公開日時: 2015年4月17日 21:35
編集日時: 2015年4月17日 22:57
Russia Today

世界の問題に関して、国民に知って欲しいと、アメリカ当局が思っていることを、アメリカ大手マスコミは、おうむ返しするのに熱心だと、歴史学者ノーム・チョムスキーは、RTに語った。アメリカ指導部にとって“アメリカ体制プロパガンダを復唱しない、いかなる報道機関も許し難いのです”と彼は述べた。

ウクライナ紛争やイランとの緊張関係等、世界の諸問題で、欧米、つまりアメリカ合州国に責任があるということも、主要アメリカ・マスコミでは許されない考え方だと、チョムスキーは述べ、世界の論調がアメリカ戦略に反対する場合、論調などどうでもよくなるのだと語った。

“欧米とは、アメリカ合州国と、アメリカについてゆく国々全てを意味します”と彼は言う。“アメリカ合州国で、国際社会と呼ばれているものは、アメリカ合州国と、その時々、アメリカにつき従うあらゆる国々を意味します。例えば、それが何であれ、現在の核政策を継続するイランの権利という問題を見てみましょう。基本方針は、「国際社会」が、これに反対することです。国際社会とは、誰のことを言うのでしょう? アメリカ合州国が、そうだと決めるものです。”

彼は更に述べた。“[ジョージ]オーウェルを読んだ人なら誰でも、これはすっかりお馴染みでしょう。 けれども事実上、何のコメントも無しで、それが続いているのです。”

チョムスキー発言は、今週、公式に‘ロシアによる情報の武器化に対処する’と題する下院公聴会の直前だった。公聴会で下院外交委員会エド・ロイス委員長は述べた。“ロシア・マスコミは、現在、海外の社会を分裂させており、実際、情報を武器化している。”

社会哲学者のMIT教授はこう述べた。“考えられる限りの誠実さが、たとえ僅かでもあったなら”ロイス下院議員は、アメリカ・マスコミについて語ってしかるべきでした。チョムスキーは、イランの核への大望を巡る、テヘランとワシントンや他の主要大国間における暫定的合意のさなか、イランを信頼しない理由を論じた、最近のニューヨーク・タイムズ記事を挙げた。

更に読む。下院委員会、ロシアの‘情報の武器化’と戦うよう、アメリカを強く促す

“最も興味深いのは、イラクでアメリカ兵士を殺害した民兵を支持しているのだから、イランは、中東を不安定化している、という非難です”と、チョムスキーは、RTのアレクセイ・ヤロシェフスキーに語った。

“これはまるで、1943年に、イギリスが、ドイツ人兵士を殺害しているパルチザンを支援し、ヨーロッパを不安定化しているといって、ナチス・マスコミがイギリスを批判するようなものです。言い換えれば、アメリカ合州国が侵略をし、国民を何千人か殺戮し、国を破壊し、イラクや地域を引き裂いている宗派間紛争を引き起こせば、それは安定化だというのが前提です。もし誰かがその行動に抵抗すれば、それは不安定化なのです。”

チョムスキーは、アメリカ大統領バラク・オバマが、アメリカが、長年テロ支援国家と見なし、厳しい禁輸体制を課してきたキューバに接触を図っている最近の動きに対するアメリカ・マスコミのプロパガンダにも触れた。アメリカの主要マスコミは、西半球で孤立しているのは、アメリカではなく、キューバだと描き出すのに労をいとわないと、チョムスキーは言う。

“事実は極めて明らかです。ここは自由で開かれた社会ですから、途方もないレベルの内部文書さえ読むことが可能です。知らないなどと主張することはできません。記録皆無の全体主義国家とは違います。何が起きたか、我々は知っているのです。ケネディ政権は、極めて本格的な対キューバ・テロ戦争を始めたのです。それが、ミサイル危機をもたらした一つの要素でした。それは、キューバとロシアも、恐らくは知っていたであろう、1962年10月完了予定の米軍侵攻作戦に到るよう計画された戦争でした。今では、学問的に、それがミサイル配置理由の一つだったと考えられています。その戦争は何年も続きました。[アメリカでは]これに触れることは許されていません。唯一、触れることが許されているのは、[フィデル] カストロを暗殺する企みがいくつかあったことだけです。そして、それも、CIAのとんでもないわるふざけとして片付けられてしまうのです。しかし、テロ戦争そのものは実に本格的でした。”

オバマのキューバ政策方針転換は、アメリカ・マスコミで喧伝されているような自由や民主主義推進に根ざす理由からではないと、チョムスキーは述べた。

“崇高な意思表示などではなく、この話題で孤立している為に、アメリカ合州国が、事実上、半球から追い出されていることを、オバマが認識しているだけのことです”と彼は言う。“しかし、これを[アメリカでは]議論することはできません。これは全て公開情報で、全く秘密ではなく、全て公式文書で読めますが、論じてはならないのです。アメリカが他の国を侵略し、相手が抵抗している場合に、犯罪をおかしているのは抵抗している人々ではなく、侵略国だという考え方と同様に、熟考してはならないのです。”

国際法については、国際法は“大国諸国が許容する限界までは機能できます。”とチョムスキーは述べた。そこを越えると、国際法は全く無意味になる。だから、もし自らは対象外のアメリカが、何を執行するか、えり好みをするのであれば、国際法は幻想なのではないか?

“[国際法は]死んでいると言うのは、かつては生きていたことを意味します。国際法が生きていたことがあるでしょうか?”国際司法裁判所が、1980年代に、対ニカラグア戦争を停止し、与えた損害に対し、高額の賠償金を支払うよう、アメリカに命じたのを、アメリカが拒否した例を挙げて、彼は述べた。

“国際法は、大国に対しては執行できないのです”と彼は言った。“執行機構がないのです。アメリカの気にくわないアフリカ人指導者を取り調べ、有罪判決をした国際刑事裁判所を見てみましょう。アメリカのイラク侵略が、この千年間での重大犯罪なのは確実です。国際刑事裁判所に提訴することは可能でしょうか? そんなことは想像外です。”

いわゆる社会的流動性は、豊かな国々中の最悪で、アメリカン・ドリームとアメリカ民主主義は“極めて酷く衰えている”とチョムスキーは言う。形式上、アメリカ民主主義といううわべを維持してはいるが、実際の民主主義の発現は弱まっているとも述べた。

世論調査に触れて、“基本的に大半の国民は参政権を奪われています”と彼は述べた。“議員連中は国民の意見など全く配慮しません。国民の意見というのは、大雑把に所得階層、最下位、約四分の三のものです。所得階層が上がれば影響力は多少増えます。基本的に政策はトップで決められています。これは金権政治であり、民主主義ではありません。”

記事原文のurl:http://rt.com/usa/250717-chomsky-media-ukraine-cuba/

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どうでもよい疑問。チョムスキー氏のセーター、模様からして、インバーアランだろうか?

先に訳した記事『無知を兵器として利用するアメリカ』と対になるような内容。

そして、そのまま現代日本。

「平和と言い換えろ!」安倍政権が安保法制強行で「戦争」という言葉の取締りを開始
リテラ記事

自民、「戦争法案」修正要求=社民・福島氏「言葉狩り」と拒否

TPP交渉、大本営報道は、お上垂れ流しのコメ、自動車の話題のみ。例えば、トンデモ会長指揮下の大本営広報部、時事公論なるものまで、わざわざ、今回の交渉セレモニーに合わせて番組を変えている。見るに耐えない。

宗主国そのものの議会図書館報告に、ポイントは、関税ではなく、非関税障壁撤廃と明記されていることには決して触れない。何度も繰り返して、大本営広報部は、買弁政治家同様の売国奴、共犯だと文句を言っている理由だ。例えば下記をお読み願いたい。

(TPPでの)アメリカの狙いは、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策を日本に解除させることにある 米国議会図書館議会調査局文書 2013年3月8日

事実は極めて明らかです。ここは自由で開かれた社会ですから、途方もないレベルの内部文書さえ読むことが可能です。知らないなどと主張することはできません。記録皆無の全体主義国家とは違います。

ジョージ・オーウェルの小説で有名なものは、『1984年』と『動物農場』。『1984年』に出てくる標語、今の日本そのまま。

    • 戦争は平和である
    • 自由は屈従である
    • 無知は力である

だから、

    • 辺野古新基地は推進 反対の言説・解説、沖縄マスコミ以外には載らない
    • AIIB、様子がわからないので加盟慎重。加盟すべきという言説、流されなかった
    • TPP、そもそも参加しない公約から、強引な身投げ一辺倒。反論は全く許されない
    • こういう悲惨な状況を招いた小選挙区制は正しく、その再検討は許されない
    • 集団的侵略権、推進が正しく、反対論は許されない
    • 70年間独立状態にあるのが建前、70年間属国である事実への言及は許されない。

孫崎享氏も、この危機的状況に、有名なマーチン・ニーメラーの言葉を書いておられる。

世界の問題に関して、国民に知って欲しいと、日本当局が思っていることを、日本の大手マスコミは、おうむ返しするのに熱心だと、歴史学者ノーム・チョムスキーは、RTに語るかも知れない。日本指導部にとって“日本体制プロパガンダを復唱しない、いかなる報道機関も許し難いのです”と彼は述べるだろうか。

『1984年』関係で、いくつか記事を訳している。

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本日のトラッバック、ありがとうございました。古い記事も的確に出してくださるので参考になります。日頃のご活動に感服しています。

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