中東キリスト教徒の終焉を監督する‘キリスト教のアメリカ’
Finian CUNNINGHAM
2015年3月2日 | 00:00
Strategic Culture Foundation
Islamic State(IS)集団に属する過激派によるシリアとイラクのキリスト教徒に対する最近の残虐な迫害が、古代からのコミュニティーを絶滅の危機にさらしている。
北東シリアのアッシリア・コミュニティーのメンバーの300人もが、過去数週間のうちに、IS戦士連中に拉致された。拉致された人々の大半は子供、女性や老人だ。人質達が既に過激派連中の手にかかって殺されたコミュニティーの他の多くの人々同様、殺害されることが懸念される。
IS連中は、シリアやイラク北部で、古代芸術品や教会を破壊する作戦も開始した。アッシリア人や、カルデア人やシリア人は、中東最古のキリスト教コミュニティーの一つで、彼らの系図は2.000年前のイエスの時代にまでさかのぼれる。今や彼らは、シリアとイラクにまたがるカリフ領を主張する原理的イスラム主義者ネットワーク、IS集団の怒りから逃れるため、何千人もまとまって避難している.
IS連中の過激ワッハーブ主義イデオロギーは、他の全ての宗教を迫害され、殺害されるべき背教者とみなす。イスラム教のシーア派とスンナ派も、キリスト教信者同様、ISによって標的にされている。
ISの拡大とその残虐さを実証すべく、集団は先月リビアの都市シルテで、21人のエジプト人コプト教徒を斬首するビデオを公開した。あの残虐行為が、エジプト人キリスト教徒をリビアから大量脱出させる引き金となった。
アメリカ合州国政府は、ISILとしても知られているISが、キリスト教徒コミュニティーにたいしておかした暴虐行為に対し、強い非難の声明を出した。
ホワイト・ハウス国家安全保障会議の広報担当者Bernadette Meehanはこう述べた。“国際社会は団結しており、ISILの悪行を終わらせるという決意は決して止められない。アメリカ合州国は、ISILを弱体化させ、究極的に敗北させる戦いを率い続ける”
ISを打ち破る戦いを率いるなどというのは、 ワシントンが優れている、もう一つの妄想的で無駄なたわごとに過ぎない。自称“例外的な国家”こそ、ISネットワークを作り上げる上での最大の要素なのだ。2003年、アメリカが率いたイラク侵略以前には、世界のこの部分に、アルカイダ的集団など存在しなかった。10年たって、第二の都市モスルも含む、イラクの大きな部分が、今や聖戦戦士達に支配されている。
アメリカと、そのペルシャ湾アラブ同盟諸国、サウジアラビアやカタールは、過去四年間、シリアの政権転覆を狙うための連中の代理戦争で、アルカイダ集団推進に大きく寄与した。何十億ドルものオイル・ダラーがシリアの様々な略語の聖戦戦士集団に注ぎこまれ、そこから、ISが最も強力なものとして出現したのだ。
先週、二人の重要な人物がこれを認めた。元NATO司令官のアメリカ人将軍ウェスリー・クラークが、アメリカ・マスコミに、ISテロ・ネットワークを生み出す上で、アメリカのアラブの同盟諸国に責任があると語ったのだ。
また、元国連-アラブ連盟シリア特使、ラフダール・ブラヒミは、外交官的な慎重姿勢を投げ捨て、ISの拡大は、十年前のイラク侵略の結果として、アメリカに責任があると単刀直入に語った。“アメリカが悪いのだ。アメリカが、ISILが成長するのを可能にする条件を生み出したのだ”とブラヒミは、アル・ハヤト新聞のインタビューで述べた.
フランケンシュタインのような怪物を抑制するための戦術的理由、あるいは広報活動上の狙いで、アメリカやNATOやアラブの同盟国は、ここ数カ月、ISへの空爆を開始したのかも知れない。だが理由は何であれ、中東におけるイスラム過激派の問題は、この地域における、アメリカ帝国主義者による戦争の結果であることは否定のしようがない。
アッシリアのキリスト教徒に対する相次ぐ拉致や殺戮は、シリアやイラクへのアメリカが率いる空爆に対する一種の報復が動機だと考えられている。
アメリカが率いたアフガニスタンとイラクの違法な占領、パキスタン、イエメンやソマリア空爆、リビアとシリアにおける代理戦争が、アルカイダ風テロ集団の急増と全て緊密に相互関連しているのだ。
だからアメリカの中東政策が問題の根源であることは明白なのだ。
ところが、アメリカのバラク・オバマ大統領は、大統領と彼の同盟者が、テロに対する戦争を戦っているのだという妄想意識を広めている。
先週、カタールの首長タミーム・ビン・ハマド・アール=サーニーをホワイト・ハウスで歓迎した際に、オバマ大統領はこう述べた。“カタールは、ISILを弱体化し、究極的に敗北させるためのわが同盟における、強力なパートナーだ。両国は共に、 ISILを必ずや敗北させ、必ずやイラク国内で、全ての国民が共に平和に生きる機会が得られるようにすべく全力で取り組むつもりだ”
オバマ大統領の妄想は、過激派が拡大する上で、極めて重要な文脈としての中東や北アフリカ中でのアメリカが率いる戦争という明白な背景を、故意に無視する屈従的な欧米商業マスコミによって強化される。G・W・ブッシュとオバマ大統領の下で、アメリカによるイラクの犯罪的な破壊 - 百万人以上の命を奪ったもの -は、なぜか無理やり、(不都合な歴史記述を捨てる装置)オーウェルのメモリーホールに落としこまれてしまう。
皮肉にも、アメリカは、自らが、神から“世界の国々を率いる”よう特別に命令をうけていると見なしている。公式に、アメリカは自らが、キリスト教的価値観の卓越した擁護者だとしている。古代からのキリスト教徒-キリスト教生誕の地が、中東の地図から消し去られようとしているが、その絶滅の究極的責任者は、独り善がりのアメリカ合州国だ。
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2015/03/02/christian-us-overseeing-end-of-christianity-in-mideast.html
----------
こういう有志連合のテロ戦争に、これからこの国も積極的に参加する。
日本軍派兵に、国連決議不要だという。有志連合による侵略は、いつも国連決議の枠外。大本営広報部の電気洗脳箱も紙媒体も、そういう大問題や、放射能垂れ流し問題には、TPPには、決して触れない。
触れなければ、問題は存在しないのだ。
砂嵐の中のダチョウは、砂に頭を隠すという。
これから未来永劫、侵略戦争に参戦する中、日本人は、何に頭を隠すのだろう。
戦争大好き青年の名を電車中吊りの週刊誌見出しで見た。読む気力はない。
江戸幕府が何百年も苦労した長崎キリスト教徒を数分で殲滅したのは、キリスト教徒のアメリカだった。という記事を思い出した。
« ワシントンがロシアに対し暗殺戦術を使うだろうと予測していたプーチン大統領 | トップページ | ネタニヤフのワシントン演説: タブー破りが可能となった »
「イラク」カテゴリの記事
- ゼレンスキーとブッシュ、戦争支持の共同プレゼン予定(2022.11.15)
- アメリカ軍:民間人殺害装置(2022.02.09)
- 9/11事件に対する20年の空涙(2021.09.19)
- アフガニスタンについて正しかったアメリカ人は依然無視されるのだろうか?(2021.09.10)
- 地獄に落ちろ、ドナルド・ラムズフェルド(2021.07.05)
「アメリカ」カテゴリの記事
- 資本主義帝国主義二大政党:物語体のマトリックスの端からのメモ(2023.01.17)
- ワシントン最悪の戦争屋を議員辞任直後に採用したCNN(2023.01.09)
- 2022年:アメリカ覇権の終焉を告げた年(2022.12.31)
- ウクライナ状況報告 - 対砲兵戦争 - 財政的災害(2022.12.31)
- ジョー・バイデンがドナルド・トランプを破ったのがうれしい理由(2022.12.27)
「ユダヤ・イスラム・キリスト教」カテゴリの記事
- 帝国の世界戦争を止めよ:トム・レーラーからロバート・フロストまで(2022.12.09)
- ワシントンによる、いくつかの単純なウソ:誰がテロリストで、誰が被害者なのか?(2021.05.22)
- パレスチナに関する15の考え(2021.05.20)
- 中国のイスラム教徒を気にかけるふりをするアメリカを世界は笑いとばすべき(2021.03.31)
- バーレーン-イスラエル協定が新たな中東への鍵かもしれない理由(2020.09.29)
「テロと報道されているものごと」カテゴリの記事
- ファイナ・サヴェンコワ:こんなサイトが存在するなどあり得ない(2022.08.25)
- 暗殺者の爆弾と欧米の死(2022.08.24)
- テロリストとの切っても切れないつながりを確認したアメリカ(2022.07.14)
- 主要テロ源としてのアメリカ(2022.01.10)
- テロリスト記念碑 我々こそテロリスト(2021.11.30)
「マスコミ」カテゴリの記事
- 資本主義帝国主義二大政党:物語体のマトリックスの端からのメモ(2023.01.17)
- ワシントン最悪の戦争屋を議員辞任直後に採用したCNN(2023.01.09)
- 以前発表した通り中国がコロナ政策を変更したのに偽って抗議行動の勝利と主張するNYT(2022.12.11)
- 彼について報じた全てのウソを撤回することでガーディアンはアサンジを支援できるはずだ(2022.12.05)
- 報道の自由を攻撃しながら世界の報道の自由を懸念するアメリカ当局(2022.11.30)
「アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事
「NATO」カテゴリの記事
「サウジアラビア・湾岸諸国」カテゴリの記事
- 石油価格上限設定で墓穴を掘ったG7天才連中(2022.12.26)
- イエメン虐殺を終わらせる上院決議を潰したバイデン(2022.12.21)
- ワシントンを北京に置き換えようとしているサウジアラビア(2022.11.28)
- ジョー・バイデンと欧米「エネルギー危機」(2022.11.21)
- OPEC-アメリカ合州国:新たな政策、新たな決定(2022.10.31)
「ISISなるもの」カテゴリの記事
- テロリストとの切っても切れないつながりを確認したアメリカ(2022.07.14)
- 背信のエルドアンは大トゥーラーンのためロシアを破壊しているのか?(2022.02.07)
- まるでタイミングを見計らったようなカーブルのテロ攻撃 一体誰が恩恵を得るだろう?(2021.08.30)
- テロリストを利用して、シリアを分割しようとしているワシントン(2020.11.24)
- アメリカとウズベキスタン戦略的提携の背後に何があるのか?(2020.11.17)
「Finian Cunningham」カテゴリの記事
- スコット・リッター:NATOは世界にとっての自殺薬。ロシア勝利を祈る(2023.01.28)
- CIAの秘密活動と戦争計画を示唆するロシア内奧の空軍基地攻撃(2023.01.07)
- 多数の死者に苦しむ欧米はゼロ・コロナ政策を放棄するよう中国への圧力を強化している(2022.11.29)
- プーチンと習を分断するためのバイデン・バーンズ掛け合い漫才(2022.11.19)
- 全ての道(と鉄道)は中国に通じるが欧米は嬉しくない(2022.10.10)
「シリア」カテゴリの記事
- 頻繁なシリア空爆をエスカレートさせるイスラエル(2022.10.30)
- あきれるほどお粗末な帝国プロパガンダを大量生産するガーディアン(2022.06.24)
- シリアで「第二戦線」を始めようとしているアメリカ(2022.06.29)
- シリアにおけるワシントンの新植民地政策(2021.12.02)
- アサンジ判例の危険さを示すアメリカによるシリア大虐殺もみ消し(2021.11.17)
« ワシントンがロシアに対し暗殺戦術を使うだろうと予測していたプーチン大統領 | トップページ | ネタニヤフのワシントン演説: タブー破りが可能となった »
コメント