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2015年3月 6日 (金)

ネタニヤフのワシントン演説: タブー破りが可能となった

Wayne MADSEN | 04.03.2015 | 09:11

Strategic Culture Foundation

かつて、いかなるイスラエル指導者に対しても、選挙で選ばれたアメリカ政治指導者が批判することは、タブーの時代があった。そういうことをすれば、即政治的死刑だった。イスラエルの行動や、イスラエル首相を、穏健にでも批判した人々は、確実にアメリカ・イスラエル公共問題委員会 (アメリカ・イスラエル公共問題委員会)のおかげで、資金潤沢な選挙ライバルを、必ずぶつけられるのだった。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、和党アメリカ下院議長ジョン・ベイナーと、共謀して、イスラエル首相が、オバマ政権にもしらせずに、両院合同議会で、三度目の演説を行うという、イギリスのウインストン・チャーチル首相しか他に先例がない、ネタニヤフの栄誉は、本気の戦いだ。アメリカ合州国が、アメリカ大統領が、伝統的な一般教書演説をしたまさに同じ演壇から、現職アメリカ大統領を非難するよう外国人指導者を招待したことはアメリカの歴史にいまだかってない。

ネタニヤフが、議会で呼びかけたのは、イランにおける完全な政権転覆に他ならない。ネタニヤフは、現在のテヘラン政権とは、いかなる核交渉もして欲しくはなく、経済制裁を緩和するのでなく、強化したいのだと強調した。ネタニヤフは、ハリウッドを支配しているシオニストの友人達がアメリカ国民に対してもっている影響力を理解し、イランを、お互いに戦う7つの王国を描くHBOのファンタジー・シリーズ“ゲーム・オブ・スローンズ”になぞらえた。ネタニヤフはまた「イスラム国」とイランとの紛争に関する限り、“敵の敵は、敵だ”と述べた。彼はアメリカ合州国と「イスラム国」との現在の戦争にも触れた。ネタニヤフは、諜報員の座右の銘は“敵の敵は、友人だ”と述べ、あらゆるまともな専門家が現在の中東問題の状態について言っている、アメリカとイランは、ISILに対する自然な同盟国だという説をずたずたにした。”ネタニヤフは、笑いながら、“イランは自らを、イスラム共和国と呼び、ISISが自らを「イスラム国」と呼んでいる”と「イスラム国」とイランの類似を比較しようとした。

ネタニヤフは、イランとISILは“ゲーム・オブ・スローンズ”で、誰が王冠を付けるかを巡ってお互いに戦う王国の様に競争していると述べた。聖戦戦士ISILゲリラは、スンナ派だと主張しており、イランがシーア派である事実を、ネタニヤフは無視した。イランの正式名に関しては、ネタニヤフは、ISISやISILをそのいずれもが国名に“イスラム共和国”を入れているモーリタニア、パキスタンやアフガニスタンと比較するべきだったろう。

ネタニヤフは「イスラム国」に対する防御以上に、イランに核兵器を保有させないことの方がより重要だと乱暴にも示唆した。ネタニヤフは、フォックス・ニューズの様なプロパガンダ放送局や、ウオール・ストリート・ジャーナルの論説欄で良くある低能向け宣伝文句を駆使した。

多数の民主党上院議員や下院議員は、ネタニヤフ演説には欠席すると発表し、普通ならイスラエル・ロビーの耳障りな異論の叫びが起きていたはずの動きとして、オバマ大統領は、ロイターに、独占インタビューで、ネタニヤフの演説は過ちだとのべた。オバマは、ネタニヤフの演説はアメリカ-イスラエル関係に対して“破壊的だ”という国家安全保障顧問スーザン・ライスの先の発言に対応して、イスラエル選挙二週間前のネタニヤフ議会演説は、誤りであると同時に“むしろ邪魔になる”と述べた。

オバマのむしろ外交的な言葉づかいは、元アメリカ国民の駐アメリカ合州国イスラエル大使ロン・ダーマーとベイナーの党派心あらわな活動に対するホワイト・ハウス内部の煮えくり返る怒りを隠している。ホワイト・ハウス幹部が、イスラエル首相“臆病者”あるいは“弱虫”と呼んだと、マスコミに匿名で引用された後、ネタニヤフ訪米が行われた。

恐らく、今のアメリカ政権は、イスラエルジョン・F・ケネディが、イスラエル首相ダヴィド・ベン=グリオンに、1963年の書簡で、アメリカ人査察官によるイスラエルのディモナ核施設調査が認められない限り、イスラエルはアメリカの援助を失い、外交的に孤立すると警告して以来、これまでになく緊張した関係になっている。1961年、ケネディは、ベン・グリオンのホワイト・ハウス訪問を拒否したが、ニューヨークのウォルドルフ・アストリア・ホテルでの公にされない会談であうことに同意した。

CNNの世論調査はイスラエルに対するアメリカ国民世論が変わりつつあることを示しており、ベイナーによる、ネタニヤフの議会演説招待には、アメリカ人の63パーセントが反対だ。しかしネタニヤフが議会演説の前の晩、その年次総会で演説したワシントンにある、難聴のアメリカ・イスラエル公共問題委員会は、年老いたユダヤ人、いわゆるキリスト教徒シオニストや、アメリカ軍産複合体の一部であるネオコン・タカ派の支持しか得られていないのにアメリカ国民に支持されていると誤って思い込んでいる。31パーセントのアメリカ・ユダヤ人は、上記のCNN世論調査によればイスラエルの目標に親近感を持っていない。

オバマ大統領とジョー・バイデン副大統領は、アメリカ・イスラエル公共問題委員会では今年演説しないことに決めた。ホワイト・ハウスは代理でスーザン・ライスと、国連大使サマンサ・パワーを、共和党支持色が極めて強い、右翼集団で演説すべく送り込んだ。議会演説を準備しながら、ネタニヤフは、アメリカ・イスラエル公共問題委員会にこう述べた。“2,000年間、我が国民、ユダヤ人には国がなく、無防備で、発言力も無かった。" ローマ帝国の金融制度や、ヨーロッパのロスチャイルドの金融・産業界の有力者の歴史に詳しい人は、決して、過去2000年間、ユダヤ人が全く“無防備だったり”“発言力がなかったり”してなどと主張することはあるまい。

アメリカ合州国国内の多くのユダヤ人や、他の国のユダヤ人は、ネタニヤフが繰り返す、ユダヤ人全員を代表しているという主張を不快に思っているのだ。議会で、ネタニヤフは臆面もなく、現代イランを、ナチス・ドイツや古代ペルシャになぞらえた。ペルシャについて、ネタニヤフはこう述べた。“現在、ユダヤ人は、我々を破壊しようとする、もう一つのペルシャ権力者による、もう一つの企みに直面している。”ネタニヤフは、エステル記の中に書かれている難解な旧約神話を引用した。

アメリカ・イスラエル公共問題委員会をさらにいらだたせたのが、ジョン・ケリー国務長官が、ジュネーブでの、P5+1 核交渉でイラン外務大臣ザバド・ジャリフと会談すべく、彼の招待を断ったという事実だ。ケリーは、議会の前でP5+1核交渉の詳細な秘密を明かさないよう当て付け、ネタニヤフに警告した。ジュネーブでの微妙な交渉でのオバマとケリーへのネタニヤフの妨害は、核交渉を断念させることに向けられており、対イラン経済制裁のいかなる緩和をも阻止することが狙いだったことが明らかになった。ネタニヤフは議会に、イランとのP5+1によるあらゆる核交渉は、イラン核兵器への“道を開く”と断固として述べた。CIAがイランによる現在そのような計画など皆無だと否定したばかりでなく、何人かの元イスラエル諜報機関幹部も同じことを言っている。イランは現時点では核兵器を製造する能力は全くないのだ。

ネタニヤフのお仲間連中は、アメリカ・イスラエル公共問題委員会でのネタニヤフの発言に喝采する為、チェコ大統領ミロシ・ゼマンや、元スペイン首相ホセ・マリア・アスナールや、元カナダ外務大臣ジョン・ベアーの様な連中を見つけ出すのに成功した。三人の高官は、より大きな党派的イベントの前の晩、党派的イベントに出席して、オバマ政権に対する軽蔑を示した。

パトリック・リヒー、エリザベス・ウォーレン(2016年の大統領候補と噂されている)、ブライアン・シャッツ、シェルドン・ホワイトハウス、ティム・ケインや、アル・フランケン等の民主党上院議員、老練な民主党下院議員ジョン・ルイス、ジム・マクダーモットや、ジム・クライバーンや、共和党下院議員ウォルター・ジョーンズ等が、ネタニヤフの演説欠席を表明したが、民主党全国委員会委員長デビー・ワッサーマン・シュルツと、下院少数党院内総務ナンシー・ペロシを含む他の民主党議員が出席した。下院の空き席には、ネタニヤフ・シンパ共和党党員が座り、近くで行われたアメリカ・イスラエル公共問題委員会会議への参加者ともども下院傍聴席につめかけ、誤解を招く恐れのあるものではないにせよ、ネタニヤフに万雷の拍手と支援の声援を送った。

ネタニヤフの演説が、シオニスト支持のCNNや、そのワシントン支局長で、かつてアメリカ・イスラエル公共問題委員会の広報担当であったことを決して公表しようとしないウルフ・ブリッツァーから絶賛をうけても驚くことではない。

ネタニヤフは、3月17日の選挙で、イスラエルの野党と対峙する。ネタニヤフは、イスラエルの右翼や、より右派の入植者から、安直な点数稼ぎはできたのかも知れないが、アメリカ-イスラエルの“特別な関係”に対して彼が与えた打撃は、来る選挙の結果より、ずっと長く後をひくだろう。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2015/03/04/netanyahu-speech-washington-breaking-taboo-now-permitted.html

イスラエルの核兵器開発に、アメリカが協力したという古い事実を、アメリカ政府が数日前に公表したことがあった。不協和音を示すものなのだろうか。
そういう資料に、両国間の徹底的な不和を招いたりする画期的情報があるとは思えないが。

同じ場所で、対テロ戦争(という名前の侵略戦争)に、どこまでもついて行きます。金も兵士もどんどんだします下駄の雪演説ををするのかと思うと気分が暗くなる。

「TPPを推進します」も約束するだろう。そして、原発再稼働も。庶民の方を向いた人でないことだけは確実。

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