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2015年3月30日 (月)

批判の照準を当てられているNATO

ドイツは、NATOの威嚇行為から距離をおこうとしているのか?
ダニエル・ガンサー博士
2015年3月23日
ロシア・インサイダー

本記事は元NachDenkSeitenに掲載されたもの。Mihajlo Doknicが、RI用に翻訳。

ドイツ首相府が、NATO欧州連合軍最高司令官フィリップ・M・ブリードラブ大将を“危険なプロパガンダ”だと非難しました。そこで質問です。この種のプロパガンダ・テクニックを自ら利用している政府がこういう批判をするのをどう思われますか。
マスコミ学者で、複数の本の著者イェンス・ウェルニッケが、著名なスイス人の平和研究者で、NATO専門家のダニエル・ガンサー博士と対談した。

ガンサーさん、ドイツ首相府は、NATO最高司令官のフィリップ・M・ブリードラブ大将を、“危険なプロパガンダ”と批判しました。例えば、ブリードラブ大将は、東ウクライナにおける、ロシア軍の関与を誇張しています。一体何が起きているのでしょう? ドイツ政府は、NATOを、戦争プロパガンダということで批判しているだけなのでしょうか?

ドイツ首相府の批判は正しいのです。何か危険なことが今起きていると私は思っています。ブリードラブの様なアメリカ人将軍達は、ドイツ人とロシア人が、両国を弱体化させるために、お互いに殺し合う戦争を引き起こそうとしています。これは冷笑的で、実際、悪魔同然の計画です。しかし、これはまさに、シンクタンク・ストラトフォー会長のジョージ・フリードマンの様なアメリカ人戦略家が示唆しているものです。ドイツとロシアが団結すれば、アメリカを脅かすことができる唯一の勢力になると、シカゴで、2015年2月に行った講演で、フリードマンは言っています。

“我々の基本的な関心は、[ドイツ・ロシア同盟を防ぐ]、そういうことが決して起きないようにすることです”とフリードマンは言いました。

“アメリカは、帝国として、常時、ユーラシアに介入することはできません”と彼は説明しました。それゆえ、アメリカは、各国をお互いに争わせて、緊密な同盟を構築しないようにしなければならないのです。“ロナルド・レーガン大統領が、イラクとイランに対して利用したのと同様なものを提案したいと思います。彼は戦争の両側を支援したのです!”とフリードマンは述べました。1980年から1988年までのイラクとイラン間の戦争で、少なくとも400.000人が亡くなったので、平和科学の観点からは、フリードマンが示唆しているのは恐ろしいことです。“イラン人とイラク人は、我々に対してでなく、お互いに戦ったのです”講演で、フリードマンは説明しました。“あれは冷笑的で、非道徳的でした。しかし、機能したのです。”

アメリカはユーラシアを占領することはできません。ヨーロッパの土地に足を踏み入れた瞬間、人口統計上、我々の人数がまさるのです。ブリードラブの様な過激なアメリカ人将軍達が、将来、ドイツとロシアの兵士が、ウクライナで殺し合い、東ヨーロッパ全体を不安定化させ、弱体化させるという、この戦略を実行しようとしているのだと私は思います。これは破滅的事態です。ですから、平和運動は、ウクライナの中立の様な代替の解決策を奨励する必要があります。NATOには加盟せず、ドイツとロシアとの友情です。

NATOは、この紛争をどのようにあおろうとしているのでしょう?

NATO司令官のブリードラブ大将は、誇張や、いつわりの主張を広めることで突出しています。これがNATOが戦争をあおる手口です。状況は、ご承知の通り非常に張り詰めていますから、これは危険です。2014年11月12日に、ブリードラブ大将が、ロシア軍兵士と戦車が、ウクライナに進撃した!と主張しまた。しかし、それは本当ではなく、些細なことではありませんでした。NATO軍司令官は、文字通りこう言ったのです。“ロシアの軍隊、ロシアの戦車、ロシアの大砲や、防空システムが、ウクライナに運びこまれるのを見た。”BBCや他のマスコミがこれを世界中に広めましたが、これはウソでした。

またヨーロッパ駐留アメリカ軍司令官であるアメリカのベン・ホッジズ中将も、ウクライナ軍を支援して、戦争に向けようとしています。2015年1月、彼はキエフの軍病院を慰問し、負傷したウクライナ人兵士にアメリカ陸軍の勇気勲章を手渡しました! これは、もちろん、緊張を高めます。

ところが、アメリカのホッジズ中将は、象徴的に誇示したのです。アメリカが、ウクライナ“戦争の当事者”だと。東ウクライナの分離主義者が支援するロシア人と戦っているウクライナ軍を支持していると。ドイツは、NATO加盟国なので、ドイツ兵士がこの戦争に、アメリカによって引きずりこまれる危険性があるのです。2001年以降のアフガニスタンと同様に。もうそういうことになれば、まさにフリードマンが要求している状況になってしまいます。ドイツとロシアが、ウクライナでお互いに打ち合うのです。もちろん、そういうことにならないよう私は願いますが。ところが、平和運動は、それを避ける為には、この問題を提起し、そうした危険を警告する必要があるのです。

NATOがウソをついたり、誇張したり、だましたりというのは非常に良くあることですか?

はい、残念なことに、NATOは、きまった様に、ウソと戦争を組み合わせています。私の著書『NATO’s secret armies in Europe(ヨーロッパのNATOの秘密軍)』で、テロや秘密の戦争画策を書いてあります。冷戦中、NATOがどのようにして、西欧諸国内部に、CIAやイギリス情報機関MI6の支援を受け、秘密の軍隊を構築したのかを私は書きました。その存在を、各国政府も国民も何も知らないのです。

彼らは過去70年間、様々な国々で、ずっと戦争をし続けてきたのですから、特にアメリカ人将軍達は危険です。帝国の代表として、彼らは殺戮にだけ慣れているのでなく、欺くのにも慣れています。例えば、1963年から1969年の間、NATOのSACEUR(欧州連合軍最高司令部司令官)をつとめたのですから、ブリードラブの前任者の一人なのですが、ライマン・レムニッツァー大将が、60年代に、アメリカはグァンタナモ基地のアメリカ艦船を破壊し、ワシントンで、テロ攻撃をでっちあげ、アメリカ国民に戦争を支持させる為、両方の犯罪を、フィデル・カストロになすりつけて、対キューバ戦争を画策するべきだと示唆しました。ところが、ジョン・F・ケネディが、作戦[ノースウッズ]を止めました。しかし、これは、ペンタゴン幹部がどれほど危険かを示しています。

戦争を強く求めているのはアメリカだけなのか、それとも他の国々も関与しているのでしょうか?

NATOには、28の加盟国があり、不幸なことに、他のNATO加盟国も、戦争プロパガンダに関与しています。例えば、イギリス人です! 2003年3月、イラクを攻撃前に、当時の首相トニー・ブレアはこう言いました。“イラクは化学兵器と生物兵器を保有している。ロケットは、45分以内に使用できる状態だ。”それはウソでした! アメリカとイギリスが始めたイラク攻撃は、それでもなお、国連の授権無しでした。ですから、違法だったのです!

NATOが、1999年3月24日に、セルビア爆撃を開始したのも違法な侵略でした。NATOは、国連安全保障理事会からの授権を得ていなかったのですから。当時、アメリカと共に、[対ユーゴスラビア戦争]侵略に積極的に参加したのは、ゲルハルト・シュレーダー首相、ルドルフ・シャルピング国防大臣と、ヨシュカ・フィッシャー外務大臣支配下のドイツでした。侵略の準備段階で、国民にこの戦争を支持させるため、ウソが広められた。後に、2014年、シュレーダーは、NATOが国際法に違反したことを認めた。“それぞれ、ユーゴスラビアと、コソボでの進展に、どの様に対処すべきかという問題がおきた際、我々は、戦闘機トーネード[ドイツの戦闘機]を、NATOと共にセルビアに送り、安全保障理事会決議なしで、主権国家を爆撃した”と、シュレーダーは自己批判的に認めました。

そうした場合、誰も声を上げず、同じ主張のNATO声明ばかり読まされるのは一体なぜでしょう?

ドイツのマスコミは、ストラトフォー会長フリードマンの様なアメリカ人過激派が要求している様な形で、国民をロシアとの直接対決に追いやっています。つまり、彼らはロシアに対する敵意をあおっているのです。しかも、NATOやアメリカの戦略的権益や、ウクライナでの戦争をあおるこうした勢力に関する批判的論議がされることはごく稀です。

多くのジャーナリストは、自分の職や他のことが心配で、アメリカを帝国と呼ぼうとさえしません。しかし、アメリカが、現代の帝国で、最強の国家で、当然、自らの国益を追求していることは明白です。マスコミは、この事実にふれることは滅多にありません。ですから、TVを見ている多くの人々は、アメリカ帝国やら、ユーラシアにおけるこの帝国の戦略的権益という言葉すら知りません。それゆえ、TVと新聞に失望した批判的な人々は、インターネット上の代替メディアで学ぼうとしているのです。

我々[ドイツ政府]による批判は、いよいよ彼らが、世界的な暴力の連鎖をやぶろうとして、ロシアとの礼儀正しい対話を重視し、プロパガンダとは距離を置く兆しだと思われますか? そして、ドイツ政府は、NATOそのものより信頼がおけるのでしょうか?

私はスイス人で、スイスはNATOに加盟していません。それでドイツの政策とメルケル首相を、私は外部から見ています。そして、多くの人々が、距離が近いので、ウクライナ状況[戦争]を懸念しているのが私には分かります。私が知っているドイツ人の大半は、ドイツ兵士とロシア兵士がお互い打ち合う様な未来を望んではいません! しかし、ドイツ政府が何を望んでいるのか私には良くわかりません。ドイツはジグザグ・コースを進んでいます。ある日には、NATO加盟国として、アメリカと共に、ロシアとの緊張を高めて、ウクライナでの戦争をあおります。そして時には、友好を保とうとしたり、あるいはNATO戦争タカ派のブリードラブを公然と批判して、少なくとも、ロシアを尊重したりするのです。それで、どちらの方針が、将来優勢になるのか良く分かりません。

タカ派のアナス・フォー・ラスムセンが、NATO事務総長を退任したことについての評価はいかがですか? イェンス・ストルテンベルグは、平和的な後継者になれるでしょうか? 言い方を変えれば、事務総長は、実際NATOの政策に対して、どれほど影響力があるのでしょう?

NATOの歴史を調べれば、事務総長の座には、常にヨーロッパ人が就き、現在はストルテンベルグ、ノルウェー人で、彼の前任者、ラスムセンはデンマーク人だったことがすぐに分かります。しかし、誰がNATOを支配するということについて、ヨーロッパ人は誤解してはなりません。支配しているのはアメリカ人です! 事務総長は最も重要な役職ではありません。ここにこそ軍事司令部があるので、実際は、欧州連合軍最高司令官の一人がそうなのです。アメリカ人が、現在はブリードラブですが、常にこの地位を占めています。

ストルテンベルグが公的にブリードラブを批判したり、止めようとしたりしたことがあるでしょうか? いいえ。彼にはできません。事務総長としての彼の仕事は、NATOに、ヨーロッパの顔をもたせることです。アメリカ人外交官がいつも現れるより、この方が、ヨーロッパでは受けが良いわけです。

ストルテンベルグが、NATOを、平和的な組織に転換できるとか、しようとしているとは、私は思いません。過去20年間のNATOの実績からも。NATOの戦争と政権転覆のテクニックは、リビアで、イラクで、アフガニスタンで、様々な国々を廃墟にし、人々の心に傷を負わせています。ですから、ウクライナもこのリストに載ることにならないよう願っています!

インタビューをありがとうございます。

記事原文のurl:http://russia-insider.com/en/2015/03/23/4815
---------
ダニエル・ガンサー博士については、

2007年12月20日の記事で、彼の著書、内容に触れている。ご一読を。
大衆を国家に頼らせるべく、無辜の民間人、女性、子供を攻撃せよ<グラディオ作戦>2005年2月18日

ドイツの場合、

ドイツは、NATO加盟国なので、ドイツ兵士が、この戦争に、アメリカによって引きずりこまれる危険性があるのです。

というわけで、 日本をNATO同盟国並にしようというのが、宗主国の長期計画。

北大西洋共同体(NATO)に日本を組み込む ブレジンスキー

日本の場合、危険性があるだけでなく、完全属国化し、確実に引きずりこまれるだろう。

秘密法、集団的自衛権、9条破壊、辺野古大基地、TPP推進、傀儡政権、官庁、大本営広報部が推進していることは、全てそうした宗主国の遠大な計画の一環。

何があっても、この国でなら、宗主国の兵器産業、保険会社、教育企業、アグリビジスネ等は大儲けができる。収奪天国を手放す帝国などありえない。

日本人と○○人が、両国を弱体化させるために、お互いに殺し合う戦争を引き起こそうとしています。これは冷笑的で、実際、悪魔同然の計画です。

大本営広報部が何を宣伝しようと、今起きているのは、無内容な属国の「価値観外交」「地球儀俯瞰外交」の悲惨な末路。属国の悲惨な墜落行動は、まだまだ続く。

そこで新刊『日本に恐ろしい大きな戦争が迫り来る』を読んでいる。

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コメント

追伸です。

1948年に帝銀事件、49年に下山事件、松川事件、三鷹事件が起こりました。これまでG2やCIAの名前が挙がっていますが、重要に機関が抜けています。

1949年、中国では中華人民共和国が成立、1948年に破壊工作を目的に組織されたOPCは東アジアの拠点を上海から日本(厚木基地など)へ移動させました。この組織は後にCIAの内部に吸収され、計画局、作戦局と名前を変え、今はNCS(国家秘密局)と呼ばれています。この組織がグラディオなどNATOの秘密部隊とも密接に結びついています。

NATOに加盟する際、秘密の反共議定書にも署名する必要があり、必ず秘密部隊が組織されると言われています。ガンサー博士によりますと、「右翼過激派を守る」ことを議定書は義務づけているようで、ウクライナのクーデターにもそうしたネットワークが機能したと推測する人もいます。アメリカは日本をまずANZUSと一体化させ、NATOと結びつけるつもりのようですが、そうなると日本にも秘密部隊ができるということでしょう。(既に存在しているかもしれません。)

ところで、クリミアのロシア軍の件ですが、1997年にロシアとウクライナが署名した協定により、基地の使用と25,000名のロシア兵駐留が認められていて、その協定に基づいてロシア兵はいました。それを軍事侵略したロシア軍だと宣伝した人がいたわけです。

協定:https://en.wikipedia.org/wiki/Partition_Treaty_on_the_Status_and_Conditions_of_the_Black_Sea_Fleet

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