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2015年3月13日 (金)

世界遺産救済 - 欧米の新たなR2Pの口実

Finian Cunningham

2015年3月11日
Strategic Culture Foundation

イラクの世界遺産を保護する、新たな“保護する義務”ドクトリンは、地政学的-戦略的に重要な地域への欧米の介入を正当化するものなのだろうか?まさにイラク軍とシリア軍が両国の過激派を決定的に押し返したように見え、アメリカ合州国とサウジアラビアが、イラクとシリアの「イスラム国」ネットワークを打ち破る為の地上軍連合が必要だという警告を蒸し返している時期と、そのタイミングはぴったり合っている。

今週、国連の潘基文事務総長も、ISテロ集団による古代文明遺跡や芸術品の破壊継続を防ぐ為の国際的連合軍の必要性を呼びかけた。この呼びかけは、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)が、ISの古代遺物の略奪・破壊活動を戦争犯罪として非難した後に行われた。

別の略称のISILやISISとしても知られているIS集団は、北部イラクの博物館、教会、彫刻や他の考古学的資産の大規模な破壊行為のプロパガンダ・ビデオを公開した。ブルドーザーや、大槌を振り回す過激派連中が、3,000前年の柱廊や彫刻を破壊する画像は世界に衝撃を与えている。

IS支配下にある都市、モスルとニムルドでは、値段が付けられないほど貴重な芸術品が言語に絶する虚無的な行為によって破壊されている。ニムルドは、紀元前800年にさかのぼる、アッシリアの古代の首都で、聖書の有名な預言者ノアのひ孫とも関係がある(訳注:地名そのものがひ孫の名)。イスラム過激派の次の標的は世界で最も古い建築物がいくつかある都市ハトラだ。

現代のシリアとイラクにまたがる、ユーフラテス川とチグリス川の間のメソポタミアの地は“人類の文明のゆりかご”として知られている。その実に豊かな文化遺産は、これまでの様々な宗教の平和的共存にも反映されている。ISネットワークによる古文化財破壊の体系的な作戦は、反啓蒙主義のワッハーブ派イデオロギーを共有しない他の人々に対する、この集団の破壊的な不寛容と迫害と密接に関係し合っている。キリスト教徒、シーア派やスンナ派イスラム教徒、ヤズディ教徒や他の集団は皆、残虐な犠牲となり、男性は斬首や磔刑にされる生々しい映像を撮影され、女性や子供達が奴隷として売られている。

欧米は、この極めて感情的な背景を、軍事介入を正当化する為の新たな口実として利用しようとしているのではと疑われる。“人権保護”等のかつての口実が、世論に対する政治的影響力を与える手段として信憑性を失ってしまったので、これは特にあてはまるように思われる。

アメリカと、その西欧同盟諸国は、長いこと“保護する責任”ドクトリン、略称“R2P”を、軍事介入の為の見え透いた口実として利用してきた。この概念は、1990年代に、ワシントンとNATO同盟諸国が、建前上、人権を保護する為、旧ユーゴスラビアで軍事力を使用する為の“道徳的要請”を引き合いにだしたビル・クリントン大統領政権時代にまでさかのぼることが可能だ。 かくして大げさに称賛された倫理原則は、ベオグラードで起きた様に、たとえそうした介入がNATOによる都市爆撃を意味する場合でさえ、国際法を欧米の軍事介入を正当化するような形で解釈する為の手段として機能した。これは外国への軍隊配備を支持させるよう欧米世論を説得する為の好都合な広報用セリフにもなった。

もちろん、倫理的な側面は、いつも意図的に、外国における、アメリカと西欧の戦争を正当化するのに利用されてきた。第一次世界大戦や、“小国の権利を擁護する”ウィルソン大統領の宣言にまでさかのぼることが可能だ。だが、R2Pドクトリン下でのあけすけな人権利用は、過去20年間で、軍事介入の為の主要原理に格上げされてしまった。それが有効だった理由の一部は、大衆感情に訴える上で効果があったせいだ。“我々の仲間達を、武力によって保護するのは我々の道徳上の義務だ”という主張だ。これは、現在のアメリカの国連大使サマンサ・パワーや、バラク・オバマ大統領国家安全保障顧問スーザン・ライス等の“リベラル・タカ派連中”によって広められている。

もう一つの形成要因は、“神の存在を認めない共産主義から自由世界を守る”ものだと主張したアメリカの冷戦プロパガンダ言辞に置き換わる、新たなイデオロギー的理由づけが必要だったことだ。ほぼ50年間、この陳腐な説が、南米から、中東、アフリカやアジアに到るまで、世界中でのアメリカによる外国介入を法的、道徳的に認めさせるのに十分役立ったのだ。1990年代初期にソ連が崩壊し、アメリカとNATOのお仲間は、もはや不必要となった冷戦言辞に置き換わる、帝国主義的戦争を引き起こす為の、イデオロギー上の新たな口実が必要だったのだ。連中は“対テロ戦争”や、“大量破壊兵器”の殲滅や、“人権を保護する責任”等を含む様々な言葉のあやがうまく機能するのを知っているのだ。

R2Pが本格展開されたのは周知の通り、2011年、リビアにおけるNATOの役割を正当化する為だったが、これが最終的にムアマル・カダフィ政権を打倒し、北アフリカの国では内輪同士の破壊が続いている。2011年3月、アメリカと、NATOパートナー諸国は、東部の都市ベンガジで、カダフィ支持派勢力による大虐殺を防ぐ為には、飛行禁止空域を設定する必要があると主張した。大虐殺は決して起きなかったが、NATO飛行禁止空域は、あっと言う間に、数カ月間の空爆作戦へと奇怪な変形をとげ、更には、2011年10月中旬、カダフィの街頭リンチ殺人の後、ISとつながる聖戦戦士連中がリビアを支配することになった。

あらゆるプロパガンダ言辞には、どこかの時点で信憑性が失速する危険が避けられないという問題がある。陳腐な対テロ戦争や、あまりにひどい、世界から大量破壊兵器を取り除く(サダムのイラクでの様に)という口実は、R2P“ドクトリン”の様に色あせてしまった。こうしたプロパガンダの道具は、矛盾やくだらない自滅的な逆噴射作用でバラバラとなり、ばかげた偽善と二重基準に満ち満ちている。全て人権の名のもとで、NATOによるリビア破壊と、マッド・マックス風軍閥体制への転落は、ワシントンと、そのヨーロッパの同盟諸国の詐欺的なうぬぼれの実証として、永久に刻み込まれている。

これは、ウラジーミル・プーチン大統領支配下のロシアを“世界の安全保障に対する脅威である拡張主義者”として描き出す新たな企みとして、一体なぜ冷戦言辞が復活しているのかという理由の部分的説明になる。だがロシアを悪魔化するという新冷戦の決まり文句は、かつての言辞の有効性をとうてい持ち得ない。かろうじて事実を装うばかりで、まるでもっともらしく聞こえない。

同様に、北部シリアとイラクのISを打倒する為のアメリカが率いる空爆同盟は、致命的な信頼性の欠如に苦しんでいる。欧米においては、かなりの数の有権者達が、2003年の違法なイラク侵略や、 2011年3月に始まったバシャール・アル・アサド大統領のシリア政権に対する欧米の代理戦争に起因するISや他の過激集団を生み出す上で、ワシントンとそのヨーロッパの同盟諸国が、専制的なアラブの君主制諸国ともども、大いに責任があることを知っているのだ。ISによる、地域の大量難民や、コミュニティーに対する残虐な迫害は、皆、欧米の介入や陰謀に起因するのだ。それゆえ、更なる欧米の軍事介入を正当化する為の“原則”として、R2Pを引き合いに出しても、大衆には決して通用しない。実際、それは実にばかばかしく聞こえ、道徳的には非難されるべきものだ。

新たな感情に訴える呼びかけが何か必要だ。そして、まさに最近の“世界文化遺産を保護する”連合という呼びかけは、うってつけに思われる。少なくとも表面的には。

先週、ワッハーブ派サウジアラビア支配者達を訪問した際、アメリカのジョン・ケリー国務長官は、アサド打倒には“軍事的圧力”が必要な可能性があるという声明を発表した。彼を迎え入れたサウジアラビア側のトップも - ISを財政的にも、神学的にも支援してきたのだが - “現場のISを打ち負かすには、新たな多国籍軍が必要だ”と述べた。

重要なのは、こうしたアメリカとサウジアラビアによる中東における軍事介入強化の呼びかけが、いずれもイランとロシアが支援しているシリアとイラクが、イスラム教過激派に対し、かなり優位になった時点で行われていることだ。アサド軍が、過激派の支配下にある北部の都市アレッポの包囲網を狭める一方、イラク軍は、ティクリットとモスルというISの拠点を攻撃しようとしている。

言い換えれば、シリアとイラクの地上戦は、ロシアとイランという同盟国に有利になるばかりなので、ワシントンの狙いにあっていないのだ。

これに拮抗する欧米/ワッハーブ派アラブの介入こそが望ましいのだ。ところが、アメリカ軍介入用のイデオロギー的口実の倉庫は枯渇したり、不必要だったり、使い尽くされたり、すっかり面目をつぶされたりしている状態だ。

“世界遺産”や3,000年前の古代遺物は、アメリカとその西欧同盟諸国にとって必要な、新版“R2P”に過ぎない可能性がある。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2015/03/11/saving-world-heritage-the-west-new-r2p-pretext.html

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昨日だったか、政治資金問題で、穀田恵二議員が、政党助成金目当てに、理念や政策を抜きにおびただしい新党の設立が繰り返されてきたと指摘し、よい議論と思っていたら中断されて相撲になった?国技相撲こそ、日本人には大切なのだ。政治資金など考える必要はないのだ。

政治資金のような愚問をしない皆様が大本営広報部から褒賞を受け、あの会長嬉しそうな顔で映った。受賞した皆様、あの会長のお友達。と、永久に賞をもらえない貧乏人は思う。

「深く失望している」 鳩山元首相のクリミア訪問、と宗主国に言わしめ、彼の行動の意義深さは明らかになったと思う。

宗主国が喜ぶ行為が、他の国々や、この属国の民衆の幸せにつながる保証は皆無。というより、まず逆だろう。

辺野古基地建設問題はその典型。日本政府、官僚、御用学者、大本営広報部、全て宗主国の手先として機能している。

一度、辺野古に行きたいものだと思っている。

クリミアを訪問し「多くの日本国民は間違った情報の下に洗脳されている」と発言した鳩山元首相を売国奴呼ばわりするのは勝手だが、そういう方々キエフ、マイダン・クーデターで、宗主国が裏で糸を引いていた事実はごぞんじないのだろうか?

大本営広報部が報じないから、宗主国が裏で糸をひいていなかった証明になる、わけではないだろう。知らないでは済まされないことだろう。「多くの日本国民は間違った情報の下に洗脳されている」のは単純な事実だろう。

鳩山元首相を非難する方々、宗主国が行う暴力クーデターは全て正しく、ロシアや中国の反撃行為は全て悪だと言うのだろうか?

話題のクリミアを新しい辞書で引いたところ、ロシア側の主張と、ウクライナ側の呼称と併記しなあるのに驚いた。プログレッシブ・ロシア語辞典。セバストーポリについても、ロシア側の主張と書いてある。

こうした最新情報をもりこんだ大型辞典が刊行されたらありがたいと、長年待っている。

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コメント

               あの人は今,何処

 中国の春節が終わり,この海辺の町にも春が近づいてきた感がある。女性の西洋ズボンの丈が短くなったのと対照的に,ムスリム女性のスカ-フが色鮮やかに風になびく。

 しかしキリスト教の新年が明け,数日遅れてロシア正教の新年となり,春節がきて,今月の春分の日はペルシアの新年である。新年続きだが,あるイラン人ご夫妻が最近本国に戻られた。こちらの大学からの採用が打ち切られたとのことである。今は,どこで何をされているのか分からないが,ISIL(ISIS)や昔のペルシャ帝国についていろいろ教えて頂いた。

 またあるときは,マンゴスティンや南国のフル-ツをご馳走になりながら,イランの食事も味見させて頂いた。日本のぼた餅に似た甘いご飯は今となっては懐かしいが,イラン国内の遺跡についてもお話を伺うことができた。中・高歴史では習わない遺跡があり,人類最初の文字が刻まれていたように記憶している。
 イランに来てみてはとお誘いを受けたのでいつかは訪れたいと思うが,長きにわたり米国を中心とした西側諸国から経済制裁を受けてきた。月200米ドルの月給では暮らせないというので副業をしているという知り合いもいる。そういう国で,イスラエルが恐れるほど米・イランの雪解けが始まろうとしている。

  オバマ大統領はノ-ベル平和賞を返還すべきだと思うが,イランとの和解に向けて力を入れていることは賞賛に値するかもしれない。しかしISILがイラクやシリアの文化遺産を破壊しているという。ネオコンやイスラエルやW.ブッシュが育てたアルカイダやその後のISILを根絶やしにできなかったことは,汚点として残るだろう。
  しかし思い出せば,バクダッドの国立博物館で略奪が行われ,貴重な文化財が奪われたのは,バカ・ブッシュのイラク侵略に始まる。大量破壊兵器がないのにあるという偽情報をでっち上げさせ,米英デ軍はイラクに侵攻した。そのときからすでに世界遺産,文化の破壊は始まったと言えるだろう。平山画伯らの強い反対にも拘わらず,バ-ミヤンの仏教遺跡もタリバンによって破壊された。

 バカ・ブッシュに靴を投げつけたアラビア人記者は今どこにいるのだろうか。彼がシ-ア派だったかスンナ-派だったか詳らかでないが,引く手あまたの大モテ男になった。そこで考えてみれば,テロ国家米国には長い歴史がない。建国以来300年になろうとしているが,有史3000年からすれば,まだまだ短い。碌な文学も文芸もない。仏像も彫刻もない。あるのは創作学科の繁栄と村上春樹の小説の類い。

 自由の女神が何でできているかは知らないが,フランスからの贈り物。最近のアメリカは狂牛病や遺伝子組み換え食品が有名である。世界遺産と呼べるものは自然-国立公園ぐらい。要するに,文化がない国がアメリカ合衆国である。そういう土地で育った人間には世界の文化遺産など眼中にないのだろう。あるのは,世界制覇と政権転覆。だからアラビア人記者は旧シリア王国,イラン・イラク文明を破壊したW.ブッシュに怒った。そして大量破壊兵器でも,大陸間弾道弾でもなく,靴投げという誰も思いつかない事をしでかしたから英雄となり,一躍有名になった。

  世界遺産とは,別に「世界」遺産でもなくて,そこに住む人々にとって故郷の一部であり,カンポンの一部であり,加藤周一の言う「空間」の一部である。シリアを中心にそういう空間の一部が失われていると聞いて,小生はイラン人ご夫妻とアラビア人記者をなぜか思い出した。


追記: 日本で靴を投げつけられるのは誰だろうと想像する方もいるだろうが,人殺し集団東電幹部や経産省厄人や文科省5,6流厄人に「放射能タップリ」の靴を投げつける人が,そろそろ現れてもおかしくない。

 

  

 

  

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