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2015年2月17日 (火)

スコピエで、キエフ・バージョン2.0を企んだヌーランド

Wayne MADSEN | 16.02.2015 | 00:00
Strategic Culture Foundation

2014年始め、キエフで、十分に練られた、彼女のマイダン広場の反乱を開始し、1990年代のバルカン戦争以来、ウクライナでヨーロッパ最悪の紛争をひきおこした後、ヨーロッパ・ユーラシア担当国務次官補ビクトリア・ヌーランドは、最近マケドニアで、民主的に選出されたニコラ・グルエフスキ首相のマケドニア政権打倒を目指したキエフ風クーデターを画策した。万一自分達の候補者が選挙で敗北すると、民主的な選挙を無視するのは、ヌーランドや、夫の大物ネオコン、ブルッキングス研究所のロバート・ケーガンの様なネオコン連中の顕著な特徴だ。ウクライナのヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領と、マケドニアのグルエフスキ首相は、あらゆる国際的規範、基準からして、自由で公正な選挙で選出されたにもかかわらず、その政権はヌーランドや、彼女の夫を取り巻くアメリカ新世紀プロジェクト(PNAC)信奉者の思い通りほどには、親NATOで、親アメリカ派ではなかった。

ウクライナと、マケドニアの作戦とでとは、ヌーランドの戦術は若干異なっている。彼女の象徴的なキエフのマイダン広場での抗議行動参加者への(ユダヤ教安息日用のパン)ハーラの配布は、マケドニア・マスコミに、グルエフスキが、20,000人ものマケドニア人を盗聴しているという示唆と、ジョージ・ソロスが資金提供するマケドニアの反政府派指導者ゾラン・ザエフが、グルエフスキとの会談時に、こっそり制作した、それを証明するビデオテープを、頼まれもしないのに提供することへと形を変えた。

ヌーランドは、アメリカ中央情報局(CIA)と、ソロス工作員に、完全に取り込まれた元共産党である、マケドニア社会民主同盟(SDSM)のザエフと共謀したかどで、マケドニア諜報機関から訴えられている。対グルエフスキ・クーデター未遂のかどで告訴されている人々には、ラドミラ・セケリンスカもいる。マケドニアの消息通によれば、ザエフとセケリンスカは、SDSMを引き続き率いて、全米民主国際研究所(NDI)、全米民主主義基金(NED)、フリーダム・ハウスや、ソロスのオープン・ソサエティー財団(OSI)等のCIAのNGO資金洗浄部隊から膨大な金額の金品を受けて、グルエフスキの右寄りVMRO-DPMNE政権に対するカラー革命を醸成しようとしている元首相、元大統領ブランコ・ツルヴェンコフスキのお飾りにすぎない。

グルエフスキは、この地域で、アメリカが据えつけ、影響力を与えている多くの政権と異なり、ウクライナをめぐって、ロシアに経済制裁を課するのに乗り気でない。この姿勢から、スコピエの政権は、オバマ政権、特に、共和党上院議員ジョン・マケインや、リンジー・グラハム等の有力ネオコン・タカ派の言辞をオウム返しにしているヌーランドの憎しみを買うことになった。実際、ヌーランドの夫は、共和党のマケインと、2016年民主党大統領候補と推定されるヒラリー・クリントン、双方の外交政策顧問として働くという栄誉にあずかっている。

グルエフスキが、ザエフと娘との電話会話を含め、20,000人のマケドニア人を盗聴したというザエフの非難に反撃して、マケドニア政府は、ザエフと彼の仲間が、CIAと思われる外国諜報機関と協力して、グルエフスキ政権を打倒しようとしたと非難した。逃亡する危険性が明らかなので、ザエフはパスポートを当局に返却するよう命じられた。ザエフに加えて、グルエフスキ打倒の為に、CIAと協力していたかどで告訴された他の人々には、ザエフの仲間ソンジャ・ヴェルセフスカとブランコ・パリフロフや、治安防諜局(DBK)元局長ゾラン・ヴェルセフスキも含まれている。ザエフが、グルエフスキが早期の議会選挙につながる暫定政権を選任しない限り、マケドニア・メディアから"爆弾"と呼ばれている、CIAがSDSMに提供した彼の政権に関する機密情報を暴露すると脅したと、グルエフスキは非難している。グルエフスキは、ザエフの策略は、議会を解散して選挙を行わせようとする強要圧力に他ならない。グルエフスキ政権に、退陣し、早期選挙をするよう圧力をかけることに関しては、ヌーランドは、ヤヌコーヴィッチを打倒するのにキエフで用いたのと同じ策略を用いた。

マケドニア・クーデター策謀について報じたフランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥンク記者ミハエル・マルテンスは、マケドニア・テレビのインタビューで、彼の当初の盗聴問題記事が、マケドニア国内の誰かによって歪曲されたと主張した。マルテンスは、人口200万の国で、20,000人を盗聴するのは、東ドイツ・シュタージの能力を遥かに上回ることになると語った。いずれにせよ、マルテンスは、20,000人という数値は真実でなく、マケドニア・マスコミと政治家達が彼の記事を誤って引用したと述べた。だが真実は、ヌーランドや、ネオコン徒党の策謀者や、虚偽情報専門家の様な煽動家連中を決して支持していない。

あけすけな下品な言葉を使うヌーランドは、ドイツでの第51回ミュンヘン安全保障会議の合間に、マケドニアのニコラ・ポポスキ外務大臣とジョルゲ・イヴァノフ大統領と会談し、グルエフスキが、彼女の友人ザエフと、彼のSDSM共謀者に対し、騒乱罪で告訴していることに不快感を表した。ギリシャ人には、もっぱらギリシャの名称と考える人々がいるのだが、マケドニアが、ヌーランドは、マケドニアという名称を使用していることを巡るギリシャとマケドニア間の長年の紛争を仲裁しようと申し出た。マケドニアの観測筋は、名称紛争へのヌーランドの関心は、スコピエで権力を掌握することで実現される“カラー”クーデターによる余祿を、シオニストやグローバル銀行家と共にアメリカ政府支持派が手に入れられるようにする為の罠と見ている。ヌーランドと共謀者は“キエフ・バージョン2.0”とでも呼べるもので、キエフ再演を望んでいたのだ

ヌーランドとスコピエの共謀者連中は、マケドニア治安機関が、クーデター策謀者を一斉検挙した素早さに驚いている。マケドニア警察は、スコピエとヴェレスで行った強制捜索で、ラップトップ・コンピュータ五台と、デスクトップ・コンピュータ三台、携帯電話19個、CDとDVD、100枚、ハードディスク17個と、ソロスが資金提供するNGOに関係する番号を含む、クーデター策謀者が使用していた預金通帳9冊を押収した。策謀者連中の銀行口座は、計画したクーデターの日が近づくにつれ、CIAからの大量の現金預金がたっぷりだったといわれている。

ソロス/CIAのクーデター策謀者によるソーシャル・メディア利用は全く驚くべきことではない。ソーシャル・メディアは、CIAとソロスが支援した、ウクライナで二度のカラー革命 (オレンジ革命と、ユーロ-マイダン反乱)、ジャスミン革命(チュニジア)ハス革命(エジプト)、バラ革命(グルジア)、チューリップ革命 (キルギスタン)や、緑の革命(イラン)で、まさに中核として機能した。マケドニアの場合、米国国務省の民主主義・人権・労働局(DRL)担当次官補代理で、DRLのロシア、中東と北アフリカを含むヨーロッパ担当のトーマス・メリアが、直接、ザエフとともに、グルエフスキ政権に対するクーデターをしかけるよう共謀した明確な兆候がある。メリアは、ニューヨークを本拠とする冷戦時代のアメリカ・タカ派のネオコン酒場、フリーダム・ハウス元副理事長だ。この組織は、1941年にエレノア・ルーズベルト、ラルフ・バンチ、ジャーナリストのドロシー・トンプソン、作家のレックス・スタウト(探偵ネロ・ウルフの生みの親)や、共和党大統領候補ウェンデル・ウィルキー(現代アメリカでは、共和党に、常軌を逸したリベラルとみなされるだろう)等の進歩主義者によって創設されたが、近年、役員会メンバーに、 ポール・ウォルフォウィッツ、ケネス・エーデルマン、ズビグニュー・ブレジンスキー、ドナルド・ラムズフェルドや、Otto Reich等のタカ派あほう連中を招いて、フリーダム・ハウスは、ネオコンが愚劣に騒ぎ立てる場へと退化した。フリーダム・ハウスは、CIA資金を、イラン、スーダン、ロシアや中国の反政府集団に注ぎ込んでいる現場を押さえられている。要するに、フリーダム・ハウスは、ソロスのNGO同様、今やマケドニア、ハンガリー、ベネズエラ、シリア、エジプト、セルビア、ヨルダン、メキシコやキューバを含む世界中何十ヶ国の国々で、反抗的反政府勢力に対するCIA支援のパイプ役を果たしている。

マケドニアで起きたことは、でっち上げの政治スキャンダルで、民主的に選出された政権を苦境に陥らせる典型的な虚偽情報策略だ。策略は、CIA脚本の引写しで、現在、アルゼンチンのクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル大統領、ブラジルのジルマ・ルセフ大統領と、チリのミシェル・バチェレ大統領に対しても、しかけられている。全員、CIAとこの三国でCIAが所有したり、運営したりしているマスコミがでっちあげた金融不祥事に直面している。マケドニアでは、ソロスの影響を受けているマスコミや、ラジオ・フリー・ヨーロッパが、この作戦の一環だ。

ヌーランドの野卑な言葉にかなうものは、民主的に選出された政権を追放する為の、彼女による秘密工作の下品さしかない。ノルウェーの親ナチ政権を作ったヴィドクン・クヴィスリングの行動に由来して“売国奴”を意味する“quisling”という言葉や、アイルランドの土地差配人チャールズ・ボイコット大尉で有名になり、英語の一部になっている、標的にした組織との全業停止を意味する“ボイコット”と同様に、“ヌーランド”は、恥ずべき外交行動を意味する名詞になるに違いない。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2015/02/16/nuland-attempts-kiev-version-2-skopje.html

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宗主国は介入に忙しい。大国に対しても、ミニ国家にたいしても、容赦はない。

この文章、残念ながら、少しもじると、そのまま通じてしまいそう。例えば、

この国の政治が非常に悪い意味で安定しているのは、

政権が、ヌーランドや、彼女の夫を取り巻くアメリカ新世紀プロジェクト(PNAC)信奉者の思い以上に、親NATOで、親アメリカ派であるおかげだ。

ノルウェーの親ナチ政権を作ったヴィドクン・クヴィスリングの行動に由来して“売国奴”を意味す“quisling”という言葉や、アイルランドの土地差配人チャールズ・ボイコット大尉で有名になり、英語の一部になっている、標的にした組織との全業停止を意味する“ボイコット”と同様に、“ ○○”は、恥ずべき憲法・経済・軍事・外交上の売国行動を意味する名詞になるに違いない。

 

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