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2015年2月 9日 (月)

ジェラルド・セレンテ - アメリカ: 殺人株式会社

2015年2月3日
ジェラルド・セレンテ

ゲスト・コラム - ジェラルド・セレンテ - アメリカ: 殺人株式会社

Paul Craig Roberts

この記事で、ジェラルド・セレンテは映画“アメリカン・スナイパー”が明かしてくれるアメリカ文化を要約している。“例外的な国民”の文化は、野蛮で、残忍で、邪悪だ。

“誇り高いアメリカ人”たれ。我々はやみくもに憎悪する。ファーガソン、イラク、リビア、アフガニスタン、シリア、パキスタン、リビア、ソマリア、ウクライナ、どこの街路であれ、我々はやみくもに殺害する。どこであれ、殺すべき人々がいる所があれば、我々はそこに赴き、義務を果たす。それがアメリカ風のやり方だ。

『アメリカン・スナイパー』: 模範的アメリカ人
ジェラルド・セレンテ
トレンド・ジャーナル発行人

投票は行われ、結論は明らかだ。皆が選んだのは、大ヒット作で描かれている、4回の従軍で、約200人のイラク人を殺害したといわれている人物、ネイビー・シールズのクリス・カイルだ。

記録的な切符売り上げ実績から、主流マスコミによる絶賛に到るまで、議会議場から、ホワイト・ハウスに到るまで、この国は本音を語っている。『アメリカン・スナイパー』は実にアメリカ的だ。アメリカ軍史上最強の狙撃手、本当の英雄、勇敢な戦士であるクリス・カイルは、アメリカが代表するあらゆるものの手本となる人物として、聖別された。

『アメリカン・スナイパー』には本物の文化的現象の趣がある!”とCNNのブランドン・グリッグスは言った。そして、ミシェル・オバマはこう主張した。“… こうした[退役軍人や軍人の家族と直接接する]機会がないアメリカ国民にとっては、映画やTVが、こうした話を共有するのに最善の方法であることが多いのです。”

オバマ夫人は、映画業界のイベントで演説して、映画は“彼ら[兵士] が課せられた … 家族愛と愛国心のバランスという困難な道徳的決定”を強調していると語った。

ネイビー・シールズ隊員のクリス・カイルにとって、“愛国心”の骨子は、全軍最高司令官に服従し、ワシントンの“道徳的決定”に応えることにあった。映画によれば、ツイン・タワーが、9/11で倒壊した後、カイルは戦争へと赴いた。敵に情けはかけない、このテキサス人は、物言いの乱暴な、えせテキサス人ジョージ・W・ブッシュの“邪悪な連中”やっつけろという命令に忠実に従ったのだ。

約一世紀におよぶハリウッド西部劇のおかげでもっともらしく聞こえた、“生死にかかわら”やつらを捕まえるという、ブッシュの単純で、見え透いて浅はかな虚勢による元気づけのセリフが、ハリウッドの“アメリカン・スナイパー”で、またしても見事に展開された。政治が醜悪な人々の為のショービジネスになってしまっている国では、アメリカ大統領夫人の考え方は筋が通っている。映画とTVの、低レベルな、厳しい現実を、うまく取り繕った粉飾話が、厳しい現実と確かな事実の完全代替物役を果たしてくれるのだ。

恐らく、彼が夫の言葉と行為をしっかり反映しているので、オバマ夫人はカイルに愛着を感じたのだろう。著書『アメリカン・スナイパー』で、カイルは、殺人は“楽しく”“愛する”ものなのだ。“DoubleDown(倍賭け)”という本で、著者マーク・ハルペリンと、ジョン・ハイルマンは、無人機攻撃について、スタッフと議論をしながら、自分は“人殺しが非常にうまいんだ”とオバマ大統領は自慢したと書いている。

大統領という器ではないにせよ、カイルには確かに副司令官となるのに必要な資質がある。回想録で、彼はこう書いている。“現地の連中に、我々がここにいることを知ってもらいたい。なめんじゃねえぞ! … 我々はお前達を殺す…”

元副大統領ディック・チェイニーは最近公表されたCIAの拷問に関する報告書について答えて、水攻めや直腸栄養法を含む身の毛もよだつ尋問プログラムを開発する上での自分の役割を誇りに思うと述べた。自分が命じたことに対し後悔していないかと問われて“いや … 全く後悔していないし … すぐにでも、同じことをする”とチェイニーは答えた。

実際、もしカイルが生きていれば、彼は必ずや、2016年の大統領選挙で、一目置くべき人物となっていただろう。ヒラリー・クリントンの彼女が個人的に推進した戦争での、リビア人指導者ムアマル・カダフィ殺害を巡るクスクス笑いの歓声(“来た、見た … 彼は死んだ”)を凌ぐのは困難だろうが、“… イラク人などまったく気にしない。俺は悪者を殺すのが大好きだ。… 俺は自分がやったことを気に入っている。今でもそうだ … 楽しかった”というカイル発言は、それにもう一歩のレベルだ。

『アメリカン・スナイパー』は模範的アメリカ人だ。そしてアメリカの模範は不道徳だ。ジョージ・W・ブッシュ、コリン・パウエル、ドナルド・ラムズフェルド、ポール・ウォルフォウィッツ、コンドリーザ・ライス、スーザン・ライス、サマンサ・パワーズ … 犯罪人連中のリストは延々と続く。連中による犯罪のリストもそうだ。偽りの情報に基づいて戦争をしかけ、何百万人も殺戮し、ウソに基づいて主権政府を打倒し、国際法などお構いなしに無辜の人々や“容疑者を無人機攻撃で”殺害し、大量虐殺を助長した自分達の役割に遺憾の念も抱かない。クリス・カイル同様、彼らは皆、自らの行動をほこらしげに語るが、いささかも後悔を表明することはない。

大半のアメリカ人は、テレビ番組の『60ミニット』で、ビル・クリントンの対イラク経済制裁を擁護した元国務長官マデレーヌ・オルブライトのことを忘れておられるだろう。番組のホスト、レスリー・スタールが彼女に質問した。“50万人の子供が亡くなったと聞いています。広島で亡くなった人々より多くの子供ですね … 代償は払うにあたいするものでしょうか?”オルブライトは答えた。“代償は払うにあたいすると我々は思います。”

“我々”を、彼女は、あたかも“私たち”をも含むかのごとく発言した。狂った男女達、社会病質者や精神病質者連中は、高い地位から、尊大に説教をして、私たちに、次に誰を殺害すべきか信じろと語るのだ。

クリス・カイルは、彼の愛国的義務を果たした。彼はホワイト・ハウスが発した命令に従い、その言葉通りに、任務を遂行した。魚は頭から腐る。アメリカ政府は、『アメリカン・スナイパー』なのだ。

ジェラルド・セレンテは、ニューヨーク州、キングストンのトレンド・リサーチ・インスティテュート創設者・所長で、トレンド・ジャーナルと、Trendsresearch.com発行人。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2015/02/03/guest-column-gerald-celente-america-murder-inc/

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とうとう、アメリカの人気キャスター、ヘリコプター武勇伝がたたって、降板を強いられたようだ。いつ再起できるのかはわからないようだ。

日本でも、人質事件について、まともな内容を放送した結果、言いがかりをつけられている番組がある。

ブログ『世に倦む日々』の人質事件にまつわる興味深い記事二本が、強制削除されてしまったという。人ごとではない。このブログ、かつて、規律違反とかいう不思議な理由で、突然閉鎖されたことが二度ある。二度あることは三度あるだろう。永久追放の可能性も皆無ではないだろう。

ただ、当ブログの基本的趣旨は、日本の主流商業マスコミに決して載らない英語記事を翻訳紹介することだ。日本語で紹介される場所が無くなっても、英語を容易に読解できる人々には、大本営広報部とはまったく違う情報は流れ続ける。知らぬは井戸の中の日本人ばかり。頭隠して尻隠さず。それに、英語力をつけることにご尽力しておられるのだから、きちんと推進すれば、提灯記事のみならず、批判的記事も読める人々が増えてゆくだろう。(と思いたい。)

「世論調査なるもの」によれば、人質事件後、首相・内閣の支持率が上がったという。とんでもない話だ。万一、それが真実であれば、世も末。国民を地獄に落とすことしかしない指導者を進んで支持する「ハーメルンの笛吹男国民」に未来は無いだろう。笛の音につれられて、一斉に溺れる未来がまっていることになる。

今年のアカデミー賞、この映画で決まりなのだろうか?『ハート・ロッカー』が受賞するお国柄。これが受賞して不思議は無い。「価値観外交」「積極的平和主義」というが、つまりは、宗主国のこういう兵士が英雄になる侵略戦争への集団的自衛権という名目による参戦を意味する。

記事をよく拝読しているアメリカの諸氏、この映画を厳しく批判する方々はいても、幸いなことに、良いと評価する方、皆無。

激賞しているアメリカ人が多いので、話題になり、受賞するのだろうが、そういう評価をしている人々の記事、ほとんど読んでいない。

マイケル・ムーア、多少批判的なことをいった結果、厳しい批判をうけて、表現を変えたもののようだ。

なんとも気がめいる。そこで気分転換。岩波の月刊誌『世界』3月号を購入した。

特集 不平等の拡大を防げるのか

ベストセラー『アベノミクス批判 四本の矢を折る』著者、伊東光晴京都大学名誉教授の「誤読・誤謬・エトセトラ」を早速拝読。

『21世紀の資本』、本来『21世紀の資産』というべき内容という指摘。目からウロコ。

対談「この道しかない」はずはない! 西谷修 x 中野晃一

いまはグローバル経済秩序を守るために日本がショバ代、応分の対価を支払わなければならない、それが集団的自衛権です。中略

そこで儲かるのはハリバートンの様なアメリカの民間軍事会社などですが、以下略

地方の底力を見せた「佐賀の乱」横田一 他、興味ある記事は多々ある。

定価(本体800円+税)で、大本営公報部洗脳から目が覚める。

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