‘第一次全世界戦争: 石油が鍵となる地政学的戦争’
公開日時: 2015年1月15日 13:12
2014年11月27日、OPEC第166回通常総会オーストリア、ウィーン本部における石油輸出国機構の全体写真。(AFP Photo/Samuel Kubani)
石油価格崩壊は、欧米と、ロシアとその同盟国との間の地政学的権益上の、第一次世全界戦争、最初の戦争です、と国際コンサルタントのアドリアン・サルブッチアは言う。将来、水や食糧を巡って同じことが起きる可能性があるとも述べた。
RT: サウジアラビアは、石油価格下落の上で役割を果たしていると思いますか?
アドリアン・サルブッチ: もちろんです。他のいくつかのOPEC諸国、例えば、ベネズエラや、ナイジェリアとさえ比較して、サウジアラビアには他の権益もあるので、サウジアラビアは石油価格下落の先陣を切っていると思います。ですから、いま起きているのは - 我々が目にしているのは、全世界戦争なのです。私はこれを第三次世界大戦とは呼びません。私はこれを、全世界戦争、最初の戦争が石油戦争である第一次全世界戦争と呼んでいます。我々はそれを目にしているのです。
石油一バレルがいくらするかという問題ではなく、西欧列強が、ロシアを屈伏させられるか、イランを屈伏させられるかという問題で、列強がそれを推進している間に、ベネズエラのマドゥロ大統領は、石油を減産できるか、あるいは価格を再度上げられるかを確認しようとして様々な国々を歴訪しています。しかし基本的に、これは価格の問題ではないのです。これは石油が主役を演じている地政学的戦争で、アメリカ・ドルが、石油市場における国際通貨であり続けるかどうか、あるいは、オイルダラーに何か変化が起きるかにこそ、大いに関係があるのです。
ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領。(AFP Photo/Presidencia)
単なるOPEC諸国の問題ではなく、西欧列強 対ロシア、中国とイランという、地政学的視点から見なければなりません。既に彼らが対処できる水準を超えているのですから、OPEC諸国がいつ分裂しても不思議ではありません。
RT: OPEC内部での分裂はあり得ますか? もしそうであれば、それが起きる原因は何でしょう?
AS: はい、既に分裂していると思います。基本的に、加盟諸国の間に、非常に大きな非対称性があるので、OPECは、これまで非常に一致団結した、あるいは一貫性のある組織であったことはないのです。ところが決定的に一番大きな部分は、サウジアラビアに支配されています。もしサウジアラビアが、減産しないと決めれば、石油生産は続き、それに対し、他の国々ができることはほとんどありませんし、しかも、例えば、クウェートも、サウジアラビアの先導に続いています。サウジアラビアとクウェートが、ロシアと中国に、特に主にロシアに、石油価格下落で、挑戦しようというこの欧米戦略と手を結んでいるので、彼らができることはほとんどありません。
これは既にOPEC内部に分裂を生み出しており、この危機が今後何カ月も、益々酷くなるにつれ、この分裂は恐らく激化するでしょう。当然一部の国々がより苦しむことになります。ロシアには膨大な石油があり、多くの歳入を得ていますから、ロシアも、外国貿易で苦しんでいます。ロシア外貨収入の50パーセントは、石油生産によるものです。またベネズエラの収入の約95パーセントが、石油輸出によるものですから、ベネズエラは、すさまじく苦しめられています。
RT: OPEC諸国の間に、現在大きな不和があるとおっしゃるのですね。すると、この組織崩壊の可能性はあるのでしょうか?
AS: はい、その可能性はあり、恐らく、少なくとも公式な石油価格を決定する国々の集まりとしてのOPECの消滅を意味することになるでしょう。OPECは、様々な理由で結成されたことを忘れないようにしましょう。1973年のヨム・キプル戦争後、二十世紀、70年代頃の他の地政学的要素によって設立されたのですから。しかし今や状況は全く変わり、既にOPECを分裂させています。
ロイター/Issei Kato
これは市場の需要と供給という問題ではないことを理解するのが極めて重要です。これは地政学の問題なのです。石油価格を、7-8カ月で、55パーセントおし下げたのは、市場の見えざる手ではありません。これは、強力な勢力と、悪魔のような頭脳に常にに付随する市場の見えざる手なのです。ですから、見えざる手が決めている石油価格を見つめるよりも、強力な勢力が、見えざる手で一体何をしているのか理解することが遥かに重要だと思います。遥かに重要なのは、ロシア、中国、そしてその同盟諸国に対する、この進行中の紛れもない戦争の一環として、欧米シンクタンクの悪魔のような頭脳が、一体何を狙っているのかを理解することです。
RT: 西欧列強と、ロシア同盟諸国との間で進行中の覇権争いの原因は、地政学的要素なのでしょうか? そもそも欧米は、それで一体どのような利益をえるのでしょうか?
AS: はい、現在の地政学的要素は、二十世紀後半、OPECが作られ際の、OPEC諸国の単なる共通権益より遥かに強力ですから、西欧列強とロシア、中国と、BRICS地政学同盟との間で継続している覇権争い、この継続中の覇権争いが、OPECを崩壊させる可能性があります。それに、OPECの存在理由の一部は消滅しています。
そこで、サウジアラビアとクウェートは、アメリカ、イギリスと西欧列強と同盟して行動していますが、他の国々は各自で行動しています。またこれは、アメリカが、水圧破砕で、シェール石油を採掘する方法を発見し、採掘を初めて以来、完全に自給自足する潜在的な能力を得たことを自覚しているという事実とも大いに関係しています。
これはつまり、今後数年、実際に、ロシアやイランやベネズエラを傷つけており、今後、二、三年間、石油価格をおし下げ続けるだけで、連中はこれができるのです。戦争する際は、価格など気にしません、ひたすら戦って、戦争そのものに勝利しようとするのですから、アメリカは犠牲を払う覚悟ができています。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と歩くブラジルのジルマ・ルセフ大統領(右)(ロイター/Nacho Doce)
RT: 産油諸国の目標の違いをどうご覧になりますか? 実際、彼らの権益は何でしょう?
AS: 産油国諸国の権益は、お互い大いに矛盾しているので、産油国という観点で考えるべきではありません。例えば、サウジアラビアは、イスラエル、アメリカとNATOの同盟国です。ロシアは世界最大の産油国です。ロシアとして独自の利害関係があります。アメリカは、シェール石油のおかげで、自給自足と、輸出を再開することが可能になっています。しかも、こうした国々の利害関係は全く違うのです。
石油は戦争の一環として見なければなりません。それが、私がこれを石油戦争と呼んでいる理由です。これは、進行中の第一次全世界戦争での恐らく最初の戦争で、これは片や産油国、片や世界の他の国々というのとは無関係です。我々が目にしている、この継続中の戦争では、石油より、地政学的要素がはるかに上回っています。今後、恐らく、水と食糧についても、これを目にするようになると思います。ですから、我々は、今後の年月に到来するであろう、大いに実に困難な時代に備えなければなりません。
RT: ロシアは最近、中南米諸国と良い関係を築き上げています。石油という要素は、こうした新たな相互関係を作り上げる上で、影響しているのでしょうか?
AS: 石油が唯一の重要な要素だとは思いません。プーチン大統領は、ロシアが石油を必要としていないことを理解しています。ベネズエラの石油を必要としていません。プーチン大統領とロシアは、南米におけるアメリカにとって極めて重要な特定の国々との同盟を、実に賢明に築き上げていると思います。
既に、BRICS同盟によってブラジルと同盟しています。私が暮らすアルゼンチンとも、より親密になっています。そして、ロシアは、特にわずか数週間前に発表されたアメリカとキューバ間のいわゆる国交正常化提案後、ベネズエラに一層接近しています。中南米諸国、特に、継続中の問題を共有するベネズエラとより親密になろうというロシアの提案は、ロシア指導部の、実に抜け目なく、極めて賢明な政治的思考を示していると思います。
アドリアン・サルブッチはアルゼンチンの政治評論家、作家、講演者、ラジオ/TVコメンテーター
本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。
記事原文のurl:http://rt.com/op-edge/222795-oil-prices-us-role/
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「高橋被告 きょう初公判、サリン事件無罪主張へ」と大本営広報部電気洗脳箱は伝えている。
「麻原の命令は絶対だった」として、無罪を主張しているという。
大本営広報部電気洗脳箱は、今夜、知の巨人 第5回を再放送。「吉本隆明」
そこで、しつこく数日前に書いた記事を再度貼り付けさせていただく。
小室直樹『日本人のための宗教原論』には、オウムは仏教ではない、とある。(17ページ)
日本の宗教家と宗教学者、宗教評論家がどんなに宗教無知であるかは、彼らのオウムに対する反応を思い出していただければ明らかである。彼らのうち、ただ一人も、オウムは仏教ではないと断言しなかった。
さらに、19ページには「宗教、このうえもなく恐ろしいもの」として、以下、延々と、歴史上の宗教による虐殺が書かれている。23ページにはこうある。
異教徒の虐殺につぐ大虐殺、それは神の命令なのである。
神の命令だから虐殺する。
土井淑平氏が『知の虚人 戦後思想の総決算』
とする人物が、昨日の電気洗脳箱(通称テレビ)番組では、知の巨人。彼の作品からの引用、いずれも、素人には、さっぱりわけのわからない呪文の羅列だっ
た。彼の業績を引き継がなければならないといっておわった。ように記憶している。
1995年3月に発生したオウム真理教による地下鉄サリン事件について、9月5日の産経新聞のインタビューで、「知の巨人」はこう答えたという。
うんと極端なことを言うと、麻原さんはマスコミが否定できるほどちゃちな人ではないと思っています。これは思い過ごしかもしれませんが、僕は現存する仏教系の修行者の中で世界有数の人ではないかというくらい高く評価しています。
こういう極論、引き継がなければならないのだろうか?
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こんにちは、初めまして。オウム真理教の教祖が「非凡な何か」だったことは、事実です。教祖の師であった、雨宮第慈氏のことはご存知でしょうか。教団立ち上げを麻原から知らされて、絶対に認めない、おまえは破門だ、とやった後にガス爆発で亡くなられたとのことです。
雨宮氏は、聖人でしょう。神人と言っていい。だが、麻原はただの人だ。非凡だが、凡人でしかない。オウム真理教は、確かに仏教でもないし、はっきり言えば人類を救済するような意味合いは全く持ち合わせていないが、高学歴の、人類への憎悪をたっぷり持ち合わせた人間を寄せ集めて、そいつらに赤ちゃんまで殺害させて、結果的に教団そのものが日本国から叩きつぶされたこと・・・には深い意味がある、と思うのです。
すなわち、オウム真理教現象それ自体は、全く否定されるしかないような下らない現象ですが、「聖人」の周辺で起きる現象は、無視できない意味がある。ユダが裏切ったことによって、キリスト教が命を得たように、麻原が師匠の忠告を無視して教団を立ち上げたことによって、現代日本に絶望した魂が、無差別殺人に走った・・・・こういう現象が、聖人(雨宮氏)の周辺で生じたことは、一概にあれを仏教ではない、宗教ではない、と否定して済む話ではないのではないか、と私は思うのです。
軽薄な「知の巨人」が、オウム真理教現象を持ち上げたこととは、アホらしい限りだと思います。しかし、いやしくも日本国の高度な教育を受けた人間が、日本国の体制に絶望したが故に、あんな怪しげな団体に習合したという事実そのものは、無視できない。
結果的に、毒ガス事件から二十数年後の世界は、日本国そのものが放射能という毒ガスを巻散らかして「安全です!!」と連呼するキチガイ国家だということを明かしているし、宗教ブームにもかかわらず何故だかオウム教団が浸透できなかった米国は、すっかりそのまま、巨大なオウム教団になったかのような有様です・・・。米国は、テロ国家ですね。マスコミを使っているところも、オウムにそっくり。
常識的立場からすれば、オウム真理教は仏教にあらず、外道である、と断罪すればそれで足りると思います。そして、そんな外道を持ち上げるインチキ「知の巨人」は信用に足らない、で「正しい」。しかし、マスコミが知の巨人と持ち上げようが、そんなことはどうでもいい。現代日本に、オウム教団のような団体が生まれて、それが日本国に叩きつぶされた、これは多分、そんな外道が生じるだけの暗闇がたっぷり日本にはあって、その暗闇というのは、何かが生まれる予兆ではないかと私は思うのです。まとまりませんが、いいたいことが伝わればいいと思います。では、では・・・。
投稿: 十二月 | 2015年1月18日 (日) 02時05分