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2015年1月27日 (火)

『アメリカン・スナイパー』: 牧羊犬の毛皮をまとった狼

Matthew MacEgan
2015年1月24日

wsws.org

クリント・イーストウッド監督、ジェイソン・ホール脚本

ベテラン監督クリント・イーストウッドの最新映画『アメリカン・スナイパー』は、クリス・カイルの自伝を映画化したものだ。通説によれば、カイルは、約255人を射殺し、そのうち160件はペンタゴン公式戦果というアメリカ軍史上最強の射手だ。映画は、9/11攻撃後、外国人嫌いの復讐と暴力物語で、イラクで複数回服務するカイルの跡を辿る不器用な、漫画の様な取り組みだ。


アメリカン・スナイパー

粗雑な調子と主題は、ごく初めに、カイルの子供時代の場面で導入される。校庭で、ずっと体の大きないじめっこに、弟が殴られていて、他の子供達は二人を囲んでいた。カイルは、相手の子を攻撃して、弟を守ると決めた。

その夜の夕食時、カイルの父親は、息子達に、世界には三種類の人々がいる、羊と、狼と牧羊犬だと説明する。世界のあらゆる“悪”の原因は、略奪的な狼であり、自分ではなんともできない羊を守るのは“攻撃力に恵まれた”牧羊犬の仕事だと父親は説明する。

どうやらこれが『アメリカン・スナイパー』の中では、終始カイルの動機だったようだ。アメリカは“邪悪な者”によって攻撃されているという考え方が、極右や軍シンパ狂信者の論理的根拠だ。それはまた、あべこべの世界でもある。帝国主義は、中東を一世紀以上、支配し略奪した。過去数十年間、アメリカは主な侵略源だった。アメリカは牧羊犬の毛皮を被った狼なのだ(しかも、実に下手な変装だ)。『アメリカン・スナイパー』は、幻想と真っ赤なウソに根差しており、決してそこから立ち直れずにいる。

後年、成長したカイル(ブラッドリー・クーパー)はロデオ・カウボーイとなったが、1998年のアメリカ大使館爆弾攻撃を見た後、地政学にはまってしまう。彼は目をカッと見開いて、夢うつつの状態でテレビを見つめ、“あれを見ろ…連中が我々にしでかしたことを。”と小声でささやく。

彼は、“頭にきたので”入隊し、戦いたいのだという新兵募集係の評価を確認して、海軍に志願する。米海軍特殊部隊ネービー・シールズ狙撃手として、過酷な訓練が始まる。訓練の終わり頃、カイルは、タヤ(シエナ・ミラー)と出会い、最後には恋に落ちる。彼女は、当初は傲慢なシールズ隊員とのデートに懸念を抱いているが、じきに、カイルの素朴なテキサスっ子の魅力に屈してしまう。

後に二人は、テレビで911攻撃を見て、カイルはまたもやカッとする。一年半後、二人の結婚式最中、カイルとネービー・シールズの仲間達は、イラクに派兵されるという知らせを受けて大喜びする。

結局、カイルは数年の間に、4回イラクで服務し、帰国する度に、息子や娘が生まれた後でさえも、普通の市民生活になじめないことに気がつく。カイルは、仲間の兵士を守るため、イラクに戻るという考えに取り付かれてしまうが、彼を明らかに悩ませ続けている記憶については、誰にも語るのを拒否する。


アメリカン・スナイパー

射手としてのカイルの技量で、彼は間もなく“レジェンド”というあだ名をつけられ、彼が援護する海兵隊員は無敵のように感じることになる。カイルの任務は、基本的に、アメリカ兵集団を警護することだ、大半の人々が避難してしまい、残った人々全員が、アメリカ人を攻撃する悪質な現地工作員と見なされるファルージャの様な荒廃した都市で、ローラー作戦を進める際に。

『アメリカン・スナイパー』に登場するアラブ人全員、男性であれ、女性であれ、子供であれ、手榴弾を手に突撃したり、地雷を埋めたり、ロケット発射装置を持って、角に潜んだりして、出来るだけ多数のアメリカ兵士を殺そうと企んでいる。カイルや仲間の兵士達にとって、イラクは壊滅すべき“野蛮人”だらけなのだ。この言葉は繰り返して使われる。

兵士に対する差し迫った脅威ではないほんの一握りのアラブ人達も、依然、極端に否定的な色調で描かれる。カイルと彼の一団が出くわしたある家族の父親は、彼らがアルカイダ工作員を探すのを手伝うのに、100,000ドルを要求し、兵士達を自宅での食事に招待する別の家族では、子供のベッドの下に秘密の武器隠匿場所がある。最も不快な場面では、問題になっているアルカイダ工作員が、拷問にドリルを利用し、アメリカ軍兵士を支援することに同意した父親の目の前で、男の子を殺害する。中東は、実際“悪”に見える、ひどい連中に満ちている。

一方、カイルは、再三、肉体的にも、精神的にも“元に戻る”必要があると言い続ける妻と、次第に疎遠になってゆく。自動車修理工場で、ある服務期間に彼が命を救った兵士と偶然出会って、その考えに納得する。いくら多数の兵士が命を犠牲にしようとも、アメリカ兵が、イラクで“目的完了”できるようには思えないのだ。

イーストウッドの映画は、観客がアメリカがイスラム教原理主義を支援し、資金提供した歴史を含め歴史を全く知らず、最も初歩的な、単純な考えの持ち主であることを前提にしている。イラクで、現地の人々がなぜ、アメリカに抵抗しているのか、観客は決して学ぶことはない。ある場面で、カイルは兵士に“ここ[イラク]は、単なる土砂ではない。”という。イラクにおける悪は、もしも彼らが流れを止めそこなえば、サン・ディエゴやニューヨークに広がりかねないというのだ。

習慣として、イーストウッドは、後で彼が浮かぬ顔をし、後悔しているように見える限り、主人公が、女性や子供の殺害を含め、あらゆる殺人行為をするのを許している。クーパーの演技はまずく、説得力にかけるが、素材がまずく、説得力がないのだ。他の誰一人、よりましなわけではない。よくある表現や紋切り型だらけだ。

『アメリカン・スナイパー』には、アメリカの歴史上、最も不人気な戦争の一つであるイラク戦争への、反対のひとかけらたりとも存在しない。カイルに、いささか半信半疑で、イラクで何かを達成できたらいいなあと語った兵士仲間の一人は、間もなく死ぬ。カイルは後に、こう説明する。彼が死んだのは銃弾のせいではない。兵士の目的や目標に疑問を抱いたという事実のせいだ。

スティーブン・スピルバーグがプロジェクトを辞退した後、映画を監督するのに同意したイーストウッドは、“反戦”だといわれてはいるものの、インタビューで、『アメリカン・スナイパー』はなんらかの政治イデオロギーを支持する意図はないと主張した。

“私は第二次世界大戦中に育った子供だ”彼は説明する。“あれは、全ての戦争を終わらせるはずのものだった。そして四年後、朝鮮戦争で徴兵され、徴兵委員会に立っていた、そしてその後はベトナム、そしてそれは永遠に続いてゆく… 私は疑問に思う…一体これは終わるのだろうか? いや、終わらない。だから、こうした紛争を始める前に、加わる前、あるいは、撤退する前に、じっくり考えるべきなのだ。参戦するにせよ、撤退するにせよ。より優れた思考過程が必要だと思う。”

戦争の効能に関する監督の疑念は全く偽りのないものかも知れないが、彼のイデオロギー的無知と、反動的社会勢力の引力が、新植民地主義による過去半世紀の違法なイラク侵略と占領という、大犯罪の一つを正当化し、美化する作品を生み出してしまった。カイルや他の人々を現地に送りこんだ連中は、戦争犯罪容疑で裁判されて当然だ。

記事原文のurl:http://www.wsws.org/en/articles/2015/01/24/snip-j24.html
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イスラム国なるものが、交換を要求している女性死刑囚、生き残り自爆犯だという。

『アメリカン・スナイパー』に、爆弾を隠し持った女性を狙う場面があるようだ。

日本版9/11、日本版シャルリ・エブドー。

9/11を口実に、宗主国は、アフガニスタン、イラク侵略を推進した。
シャルリ・エブドー事件をきっかけに、フランスは、イスラム国なるものを攻撃する為、空母を出した。
日本では、これから、国会が始まる。

普通に考えれば、人質事件、集団的自衛権や、自衛隊の戦地派遣を一気に進める絶好の機会。

イスラム国なるものの行動はもちろん言語道断。しかし、こうなることをわかっていて、強引に事を進めた日本支配層の行動、同じくらい悪質だろう。

日本をアメリカ・NATO侵略戦争にまきこむ茶番という疑念、素人にはたかまるばかり。

大本営広報部、アメリカ・NATO侵略戦争に突入する番組作りしかしない。

イスラム国なるものの要求がどうのこうのといまさら言うが、人質になられたお二人についての詳細な分析報告は皆無。そこで、以下は素人の全くの想像。

そもそも、「イスラム国」なるもの、巧妙なプロパガンダ呼称で、正式な国でもなんでもない。ごった煮。宗主国による支援でつくられ活動しているアルカイダに、イラク軍将校が加わったものという。フセイン、「アメリカの敵」ということになっているが、アメリカになりかわって、フセインとその軍隊、イランと長期間戦った実績がある。フセインも軍隊も、本来むしろ親米だろう。つまり、、「イスラム国」なるもの、アメリカと太いパイプがあるだろう。

軍事会社経営者と表現されるが、ご本人以外社員がいないペーパー・カンパニーだろう。顧問は自民党の人物。わけのわからないコメントしかしない。出張費用や通訳費用、一体どこから工面したのだろう。事業をしていなければ、原資もないだろう。

父親のお話は驚愕もの。英語で、彼は奇矯な人物であるとしたサイトを読んでいたが、あまりに奇想天外で半信半疑だった。父親のお話、英語記事を大筋肯定しておられる。

ミリタリー・グッズを扱っていた人が、突然思い立つと、軍事会社を経営できる、というロジックが全く理解できない。ミリタリー・グッズ会社?自体経営不調だったという。
川島芳子にあこがれていた、あるいは、うまれ変わりだと思っていた、ともいう。
川島芳子、男装をして、日本軍スパイ役を果たし、中国により処刑された。

英語ができず、通訳をつけなければ動けない人が、海外オペレーションをする軍事会社を経営できると、本気で信じて、自民党の方は顧問になったのだろうか。

田母神氏との写真もある。田母神氏は、昨年イスラエル軍事関係研修ツアーを実施しておられる。田母神氏、相当イスラエルとのパイプをお持ちだろう。

軍事会社運営、経営するのに、現地で銃をかかえた写真、役に立つだろうか?会社立ち上げ・経営に必要な過程を、果たして、しっかり、たどっておられたのだろうか?

昨年、助ける力があったかも知れない中田氏が動こうとしたところ、北大生の不可解な事件のからみで、中田氏、動けない状態になってしまった。残念なことだ。当局、本当に助けたければ、有力な人の助言をとりいれるだろう。

通訳をつけなければ動けない人を再三支援したジャーナリストの方は、実に奇特なことだが、ことのてんまつを余りに多く知り過ぎていそうにお見受けするのが不安材料。

推理、ミステリー小説、ほとんど読んでいないが、素人でも気になる状況。素人の妄想であって欲しい。

大本営広報部におかれては、意図的なテロ騒ぎより恐ろしい、TPPのアメリカでの交渉内容、進捗状況をこそ追求してほしいものだ。あるいは、農協破壊、安全保障法制(参戦法制)といったでたらめを追求してほしい。(もちろん、100%期待しない。)

何度もしつこく書くが、大本営広報部、一斉に特定の話題を追いかける場合、その話題そのものより、話題にされない深刻な法案が成立するのが問題。大本営広報部が扱わない(意図的に外している)話題こそ重要だ。

大水槽のマグロが全滅しても実害はない。一度みたことがある。壮観だった。それをいうなら、ちゅら海の水槽はもっと壮大。

下記記事を再読すると、必然的に上記の疑問を感じる。というわけで、未読の方には、ご一読をお勧めしたい。翻訳のまずさは、ご寛恕ねがいたい。

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