欧米アグリ-ビジネス・コングロマリットによるウクライナ奪取
Frederic Mousseau
2015年1月29日
アジア・タイムズ
アメリカ合州国、カナダと欧州連合が、昨年12月中旬、一連の対ロシア新経済制裁を発表するのと同時に、ウクライナは、2014年3月に、アメリカ議会によって承認された10億ドルの包括的的援助と、更に、3億5000万ドルのアメリカ軍事支援を受けた。
欧米政府が更にウクライナ紛争に関与を深めていることが、2014年12月始め、新政権によって任命された閣僚への信頼を示している。この新政権は、最重要な三閣僚となったのが、任命のわずか数時間前にウクライナ国籍を与えられた外国生まれの個人だったことからして、きわめてユニークだ。
財務相となったのは、ウクライナに投資する為、アメリカ政府によって設立された民間の株式ファンドを監督すべく、1990年代中期以来、ウクライナで働いてきたアメリカで生まれ、教育を受けた実業家女性、ナタリー・ジャレスコだ。ジャレスコは、ウクライナでの様々な欧米投資を管理する投資会社ホライゾン・キャピタルのCEOでもある。
一見、異常に見えるかも知れないが、この任命は、欧米の権益による、ウクライナ経済支配権奪取と見てとれるものと、首尾一貫しているのだ。二つの報告“大企業によるfウクライナ農業支配権奪取”と“西側を歩く: ウクライナ紛争における世界銀行とIMF”で、オークランド・インスティテュートは、特に農業部門の、こうした支配権奪取を記録している。
犠牲者を出した抗議行動と、最終的に、2014年2月ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領の権力からの排除に至った危機の、最大の要素は、貿易拡大と、ウクライナのEUへの統合を目指す、欧州連合の連合協定を彼が拒否したことだった。協定には、国際通貨基金(IMF)からの170億ドルの借款の紐がついていた。
大統領が出国し、親欧米政府を据えた後、IMFは、借款の条件だったウクライナにおける民間投資を増大する目的の改革計画を開始した。
一連の施策としては、水とエネルギーの公的供給改革、そして、より重要なのは、世界銀行が、ウクライナにおける現在の経済危機の“構造的根源”だとしたもの、つまり、ウクライナで事業を行う為の高いコストに対処する取り組みが含まれている。
ウクライナの農業部門は、外国民間投資の主要標的であり、論理的に、IMFと世界銀行によって、改革上、最優先の部門と見なされている。両方の組織は、両者の助言に進んで従う新政権を称賛している。
例えば、ウクライナに対して与えられた、外国が主導する農業改革ロードマップには、農地取得促進、食品や栽培の規制や法規廃止、法人税と関税低減等がある。
トウモロコシでは世界三番目の輸出国で、小麦では世界五番目の輸出国という - ウクライナの巨大な農業部門を巡る利害関係は実に大きい。ウクライナは、広大な肥沃黒土で知られており、ウクライナは、3200万ヘクタール以上の肥沃な耕地を誇っており - これは、欧州連合全体の適耕地の三分の一にあたる。
ウクライナの農業制度の支配を巡る駆け引きは、昨年、冷戦以来最大の東西対決を巡って起きた紛争の中枢的要素だった。
ウクライナ農業における、外国企業の存在感は、急速に拡大しており、近年、160万ヘクタール以上が、農業用途で、外国企業に譲渡された。モンサントや、カーギルや、デュポンは、ウクライナで、かなり長年活動してきたが、ウクライナにおける投資は、過去数年にわたり大幅に増大している。
カーギルは、農薬、種子と肥料の販売を行っており、最近、農業投資を拡張し、穀物貯蔵、動物飼料とウクライナ最大のアグリビジネスUkrLandFarmingの株を対象にしている。
同様に、モンサントも、長年、ウクライナで活動しているが、過去三年で、人員規模を倍増した。2014年3月、ヤヌコビッチ追放からわずか数週間後、同社は1億4000万ドル投資したウクライナでの新種子工場建設に投資した。
デュポンも投資を拡大し、2013年6月、同社もウクライナの新種子工場に投資すると発表した。
欧米企業は、収益の上がる分野のアグリビジネスや農業活動の支配権を握っただけでなく、現在、農業部門の垂直統合を始めており、インフラと輸出部門へも支配を拡張した。
例えば、カーギルは、現在、少なくとも四カ所の穀物倉庫と、ヒマワリ油生産用として二つのヒマワリの種加工工場を所有している。2013年12月、同社は、黒海の港ノヴォロシースクにある年間能力、350万トン穀物を扱う穀物埠頭の“25% +1の株式”を購入した。
ウクライナ農業サプライ・チェーンのあらゆる部分 - 種子の生産や、他の農業用原料から、商品のウクライナからの実際の輸出に到るまでが - 益々、欧米企業に支配されるようになっている。
ヨーロッパの機関とアメリカ政府は、この拡張を推進するよう活動した。彼らは、ヤヌコビッチ大統領が、ロシア権益優先と見なされていた当時、政権転覆を推進し始めた。これが更に、2014年2月に強行され、ペニー・プリツカー米商務長官が、アルセニー・ヤツェニュク首相と、2014年10月に会談した際に述べた通りの“企業優先”改革計画が推進されるようになった。
欧州連合とアメリカ合州国は、ウクライナ農業支配権の奪取に手を携えて取り組んでいる。ウクライナは、遺伝子組み替え(GM)作物の生産を認めていないが、ヤヌコビッチを打倒した紛争を引き起こす種となった、ウクライナと欧州連合間の連合協定には、両者が、企業に、ウクライナ国内で“バイオテクノロジー利用を拡大する”と誓約する条項(404条) が含まれている。
大半のヨーロッパ消費者が、GM作物を拒否していることを考えると、この条項は驚くべきものだ。ところが、これは、モンサントの様な巨大な農業-種子企業が求めていた好機である、GM製品をヨーロッパに持ち込む穴をうがつことになっている。
ウクライナで、GM作物栽培を承認することは、ヨーロッパ国民の意志に反しており、こうした変化が、ウクライナ国民に、一体どの様な恩恵をもたらすのかは不明だ。
ウクライナ国民が、ウクライナ農業への、この外国投資の波で、一体どの様な恩恵をうけるのか、こうした投資が、700万の現地農民に対して、一体どのような影響があるのかも、同様に不明だ。
最終的に、東部の“親ロシア派”地域における紛争から目を転じれば、ウクライナ国民は、食糧供給を支配し、自国民の利益の為に、経済を運営するウクライナの能力として、一体何が残るのかと、疑問を抱く可能性がある。
アメリカとヨーロッパ国民は、最終的に、ロシア侵略と人権侵害に関する見出しや壮大な言辞から目覚め、ウクライナ紛争に対する自国政府の関与を疑問に思うようになるのだろうか?
Frederic Mousseauは、オークランド・インスティテュートの政策担当ディレクター。
記事原文のurl:http://atimes.com/atimes/Central_Asia/CEN-02-280115.html
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ウクライナ、偉いことになっている。
いや、心配におよばない。TPP締結で、我々も間もなく追いつく。農業、健保、教育、郵貯、水道、ありとあらゆることが、宗主国大企業の意のまま。
言語も、官公庁入札は、英文を用意しなければならなくなる。ロシア語使用を禁じたウクライナ同様、日本語禁止になるかも知れない。(半分本気で思う。)
巨大先住民居留地列島の完成。
牛肉の関税を下げるやら、米の輸入を増やすやら、TPP全面降伏をこまぎれに報道する大本営広報部。戦略特区は、TPPの先取りに過ぎない。
今朝の大本営広報紙、一面には牛肉やら米のTPP譲歩話がのっているのに、内部論説欄には、立教の郭洋春教授のまともなTPP懸念論が簡潔に紹介されている。一面であおっておいて、一方中を読むと、懸念もかいてある。一体どちらだ、と文句をいいたくもなる。
「イスラム国」の今回の対応を言語道断とのたまう、この事態を、無意識、あるいは、意識的に招いた本人トンデモ氏こそ言語道断。それを放置する大本営・評論家諸氏こそ言語道断。
よくわからない理由(民間軍事事業を目指すという触れ込みの方と、その通訳をするという触れ込みの方)で、あえて危険な場所に赴いたお二人を人質に、理不尽な様々な広報活動や要求をするのはもちろん悪い。
今回、自己責任論をあまりみかけないような気がする。当然だろう。自民党関係者の行為であれば、自己責任でなく、「自民党責任」だろう。身代金も、特殊部隊派遣も、全て自民党の責任で進めるべきだ。宗主国の為に死にたいと投票した、25%の方々の責任だ。
一億人、そして未来世代を、売り飛ばすのは、それと到底比較にならない犯罪行為。
- 人質がいる時に、無意識で喧嘩をうれば、こういうことになるのが分かっていなければプロと言えない。素人以下。言語道断の阿呆。
- そうでなく、意識的にこうなるとわかって仕組んだのであれば、言語道断の人非人。
どちらにせよ、この国の最高幹部、最高患部ということになるまいか。
大逆事件という猿芝居裁判で処刑された、反戦を主張していた幸徳秋水たちは、草葉の陰で泣いているかも知れない。
この活動の要になっておられるのは、山田正彦元農水相
2014/11/19 【大義なき解散総選挙】隠された争点――消費税以上に国民生活を直撃するTPP、「農家は潰していい」が安倍政権の本音?~山田正彦元農水相が警鐘
TPP情報を、事実上、報道管制する一方、人質事件一辺倒の大本営広報状況をいぶかしく思われる方には、下記記事のご一読を、しつこくお勧めしたい。
TPPについては、下記をご参考に
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