ルーブル崩壊を渇望する連中が、余震から免れられるわけではない
公開日時: 2014年12月17日 01:25
RIA Novosti / Vladimir Sergeev
ロシアは“教科書通りの”新興市場危機に耐えている。これをほくそ笑んだり、空想的な根拠を考え出したりするのは、経済に無知な連中か間抜けだけだ。残念ながら、我々は、多くのマスコミ人士や評論家連中が、この両方の範疇に当てはまるのを学びつつある。
まずは降参。ある人物が昨日、ソチでのパニックを想像したが、彼はロシア人ではなかった。この私だ。この体験は、ツイッターがどれほど非生産的かという適例としても役立つだろう。極度に活発な書き込みを読んで、ルーブルが容赦なく下落する中、恐怖が街路を襲っているだろうと想像したのだ。
私が知る限り、有名な海岸パーティ区域からそう遠くないソチの繁華街にユーロとドルで引き出せるATM装置が一台ある。過剰なツイッター情報を鵜呑みにして、長い行列か、装置が故障しているかのどちらかを予想していた。現金自動支払機は、人が一番お金を必要としている時に動こうとしないという悪習がある。ところが、この装置は動いていた。
外に行列はなかった、アイスクリームを食べている若いカップルと(温度は17度だった)、無人の自動車数台だけだった。支店内には、4人の職員と、2人の客がいた。パニックは皆無で、軽度の動揺すらなかった。
とは言え、海岸に近い両替所では、店を仕切っている男が、ユーロとドルが無くなったと私に言った。“今朝、男の人が膨大な金額のお金をもってきて、すっからかんにされました。”彼は代わりにイギリス・ポンドではどうかと言ったが、私は難色を示した。“あの人もポンドは欲しがりませんでした。誰もポンドを欲しがらないのはなぜでしょう?”
比較的平穏な理由は、ロシア人が、少なくともまだ、危機を肌身で感じてはいないからだ。何カ月もの混乱にもかかわらず、価格が大幅に上がったわけでなく、店には在庫が十分ある。もちろん、この状況は、もし下落が加速すれば変わりかねない。ロシア人は、他のヨーロッパ人以上に、経済ショックにも慣れている。過去25年間で、パニックは少なくとも3回あり、最近のものは、2008年だった。
誤解に基づく念仏や、希望的観測や、人騒がせなものを抹消すれば、ロシアが新興市場危機のさなかにあるのは明らかだ。ロシアは、成熟経済ではない。共産主義終焉から四半世紀未満の、ロシアは資本主義世界の新参者なのだ。ビジネスのやり方もドイツ等に比べ、少なくとも一世代は遅れており、経験豊富な経済専門家も数少ない。
更に、多くの '新' ロシア人達は、何十年も不安定が続いた副産物として、彼らの両親達がしていたような、しっかり貯蓄する習慣を持っていない。
1999年以来、プーチンとメドベージェフ大統領の下で、ロシアの生活水準は急上昇した。この時期に、ロシア人は、ロシアの波瀾万丈の歴史に未曾有の豊かさと繁栄を達成した。国民は祖父母達には夢見ることしかできなかった様な生活水準に慣れている。もちろん、この裕福感は今や危機に瀕しており、諸条件も低下するのはほぼ確実だ。
ツイッターで多数の人々がこのことを喜んでいる。彼らの一部は、まさにロシア国民のことを案じ、助けたいふりをしている道徳心の高い連中だ。連中の他人の不幸を喜ぶ気持ちが、連中の本当の動機を暴露している。苦境時には、えてして偽の友がばれるものだ。
ワシントン・ポストが攻撃の先頭に立っている。6年前に崩壊して、世界中を道連れにした国の首都をつとめていた、あの同じワシントンだ。
ルーブルは、石油価格が急落している為、下落している。市場は資産と負債の関係がおかしいと感じている。エネルギー価格低下は、負債を支える為のドルが減ることを意味し、元金はドルを確保しようとするので、ルーブルは押し下げられる。更にロシアに前からある資本逃避の文化が下落を悪化させている。こうした物事を結びつけるのは、実際決して難しいことではない。
モスクワの中央銀行は、通貨下落を止めるための取り組みで、金利を上げ、外貨準備を使うことを強いられた。どちらの政策も、これまでのところは成功していない。この点で、何も変わらなければ、経済は自由落下へと突進するだろう。これは悲劇的な現実だ。一般のロシア人が一番苦しむことになり、金持ちは、夕食や、他の必要なものを抜くことはあるまい。もし私を信じられないのであれば、ノーベル賞受賞者ポール・クルーグマンの意見を確認願いたい。
実に明白に、きちんとした勤勉な人々を待ち受ける苦痛は、大はしゃぎはしない十分な理由になるはずだ。ところが、ほくそ笑む連中には、そのうち、更なる個人的衝撃が待ち受けているかも知れないのだ。この危機は、モスクワ・バブルで収まったままでいると考えている人々はひどくだまされている。グローバル化した世界では、当初は局所的問題の様に見えたものが、あっと言う間に、はるかに広範な伝染病になりかねない。
危機の前、ロシア経済は世界GDPのおよそ4%で、あらゆる部門、特にヨーロッパは、ロシア向け輸出に頼っていた。しかも中央アジア諸国の財政状況は、巨大な隣国の恩恵を、心配になるくらい受けている。もしモスクワが風邪をひけば、エレバン(アルメニア)やアスタナ(カザフスタン)は肺炎になりかねないのだ。
RIA Novosti / Valery Melnikov
ウクライナ、モルドバやグルジアの様な貧困な国々は、ロシアの労働市場を、こうした国々の失業者の圧力調整バルブとして頼っており、彼らからの送金は必要不可欠だ。ヨーロッパのより豊かな国々では、数例あげれば、ドイツ自動車製造企業の一部、イタリアの服飾デザイナーや、フランスの小売業者等はロシアに支えられている。中国とて完全無罪放免になるわけではない。
ダブリン、トリニティー・カレッジの経済学者コンスタンチン・グルジエフ博士はこう言っている。"2015年、ロシアの財とサービス輸入は、12から15パーセント縮小する可能性が高いが、この効果の多くは、伝統的にヨーロッパから輸入される資本財と消費財の減少によるものだ。おまけにオーストリア、イタリア、フランスやイギリスの、ロシアへの金融リスクは高まっている。ここ数カ月、バランスシートが多少強化されたかに見えるヨーロッパ銀行にとって、自分達の資産に対する更なる不利な衝撃など考えたくもないだろう。”
"もしロシアが資本規制を選び、および/あるいは、2015年早々に支払い返済期限が来る、膨大な負債の返済繰り延べをすれば、ロシアの銀行や資金調達の多くが、ヨーロッパで引き受けられていたのだから、ヨーロッパ金融体制は、もう一つの衝撃を受けることになる" グルジエフ博士はそう警告している。
ロシア中央銀行は、資本規制の導入を強いられる可能性がある。これは、少なくとも部分的には、企業が家計の、更なるルーブル処分を防ぐだろう。しかし、そのような施策は経済を更に縮小させることになろう。
国際金融に対し、身の丈にあわない影響力を持った欧米諸国による経済制裁が、依然課されたままなので、他の様々な是正措置をクレムリンはとることができないのだ。
ロシアの経済停滞は笑い事ではない。ロシア中傷する最大の連中にとってすら、浮かれ騒ぐ理由にはならない。“よく考えてから願え。かなってしまうかもしれないのだから…。”ということわざが思い出される。現在の出来事には何ら愉快なことなど皆無で、この影響を受けずに済む国など、たとえあるにせよ、ごくわずかだ。
石油価格崩壊の衝撃を感じているのはロシアだけではない。ベネズエラは騒動でかき乱され、生活必需品さえ不足で苦しんでいる。中東は、自国経済を守る為、高い原油価格が必要な国々でぎっしり詰まっている。この地域での更なる価格変動は、パンドラの箱を開けることになるだろう。
きわめて単純な経済学からして、ロシアや他の石油豊富な国々が、金融的に危険な状態からできるだけ早急に逃れることで、世界中の全員が恩恵をうけるのだ。自分は一般市民を優しく心配しているのだと言いながら、その不幸を願うほど、ロシア現政権を嫌悪してほくそ笑んでいる連中でさえも。こうした連中は、ロシアの何も、誰も、気にかけてなどいない。連中は自分の狭い狙いしか気にかけていない。
ブライアン・マクドナルドは、ロシアに本拠をおくアイルランド人ジャーナリストで、ロシアとその後背地と、国際地政学を専門とする解説者。
本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。
記事原文のurl:http://rt.com/op-edge/215031-russian-ruble-crisis-aftershocks/
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小選挙区制度、二大政党には全く興味がない。次期党首選挙にもまったく興味皆無
パキスタンで、TTP(パキスタン・ターリバーン運動)が生徒を大量殺戮した。140人?
日本では、売国奴が導入するTPPによる宗主国企業攻撃が、ありとあらゆる日本人に情け容赦なくのしかかる。ほぼ永遠に。ロシア通貨下落を笑っている人々も、TPPで泣きをみるだろう。国家戦略特区も同じこと。
原文で、筆者ブライアン・マクドナルド氏は、様々なTwitterを挙げている。
残念ながら、小生、それを、このブログにうまく貼り付けることができない。
お手数ながら、皆様各自、原文確認をお願いする。
神仏の様に尊敬している知人から、最近読むようお勧めいただいた本が何冊かある。数冊は実に不思議なご教示。一つは本田靖治の『我、拗ね者として生涯を閉ず』。これは何ら不思議ではないが、他の三冊、率直に言って、お勧めいただかなければ近寄るはずが全くなかった本、読むのが恐ろしい。
小生の余りに狭隘な思考範囲を超える三冊の読了後、わざわざ勧めてくださった恩人とは絶縁せざるを得なくなる可能性極めて大と恐れている。思考形態の全くの違い、参考になる場合もあり、精神的負担になる場合もある。後者の場合は、だいせんじがけだらなよさ。小生実に了見が狭い。驚くほど許容力が広い恩人には残念ながらついて行けそうもない。
そうした本、ブログで触れるか否かもわからない。基本的に、前向き、あるいは知っていただきたいと勝手に思うことを書いている。自分でいやだと思う話題を書く気力皆無。ブログ、個人の悩み・怒りを書き散らす場でないと思う。怒りはたっぷり書き散らしているが。
『我、拗ね者として生涯を閉ず』「ジャーナリストは皆読む本」と言われた記憶がある。小生、ジャーナリストでなく、ただのメタボ・オヤジゆえ必読書でないだろうが、お勧めくださったこと自体実にありがたい。おそらく、ご教示がなければ読まなかったろう。
子供の頃、輸血用血液は全て売血だった。千住の親戚を訪れて祖父か祖母につれられ出かけた際、不健康そうな人々が列をなしているのを見た記憶がおぼろげにある。血を売って生きる人々がいるのに驚いた。売血がなくなり、献血一本に変わったのは、彼の黄色い血キャンペーンの成果と知った。読売でさえ、大本営広報部をつとめるのみならず、社会貢献した時代もあったらしい。にわかには信じがたいことだ。
記事を書くには自ら現場に入り込まなければならない。そこで彼は変装し、売血をした。変装のくだり、ジョージ・オーウェルの『パリ・ロンドン放浪記』を思い出す。後年、肝臓癌になったのは、そのとき肝炎ウィルスをもらった為らしい。
キャンペーン最後の時点で、狡猾な企業と取引をするが、企業は巧妙にアメリカの売血に転身し、後に血友病患者の方々のエイズ感染を引き起こすことになる。
読売社会部出身の彼、マスコミ批判は強烈。特にテレビ。白装束宗教を追いかける愚についてもお説の通り。この人の本を存命中に読まなかったのは損失だと思う。
結局は、日本人そのものの劣化、正論より、周りの雰囲気にあわせる性格が諸悪の根源と把握していたようだ。『我、拗ね者として生涯を閉ず』。講談社文庫 下巻の229ページを引用させていただこう。
つまり、自民党は日本人にもっともフィットした政党なのであって、社会党が凋落して、社民党へと縮小し、いまはそれさえも消滅しかかっているのも、唯一の近代的政党といわれる共産党がいぜんとして伸び悩んでいるのも、当人たちのせいもあろうが、それ以上に、日本人らしい日本人が多数をしめているからではないか。
そして、同じく下巻の243ページ
人間社会を生きる上で、欠くことができないのが社会性だが、自分さえよければいいという「無資格者」がここまではびこってしまっては、私ごときが何を説いたところで、それこそ馬耳東風である。
危険な考え方だが、愚かな民は痛い目に遭うしかないのではないか。
痛い目に遭って、後悔し奮闘し、頑張って、いつの日か貧しくとも自立を実現できるのであれば、結果的に悲惨ではないだろう。
しかし、制度的に、二度と立ち上がれない社会に変えようとしているのが、与党、官僚、大本営広報部その他諸々の体制派。さすがの本田氏もそこまで想像はしていなかったろう。化けてでもでたいとおっしゃる本田氏、お墓の中で輾転反側しておられるだろうか?
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