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2014年12月13日 (土)

逆効果!

アメリカ新冷戦政策は逆効果となり、最低の悪夢を生み出した

Michael Hudson

2014年12月11日

"ICH"

1. 世界の地政学、主要貿易の様相や、軍事同盟は、先月、劇的に変化した。ガスと貿易の輸出も、軍事技術貿易も、ヨーロッパ離れし、ユーラシア向けに再構築されたのだ

結果的に、ロシアと中国を対立させ、イランを孤立化し、インドや、近東や他のアジア諸国をアメリカ・ドル圏に維持する、ユーラシア分断と支配という、過去半世紀のアメリカの狙いと逆になってしまった。アジア諸国は、アメリカの経済制裁と新冷戦政策への代替案立ち上げへの参加と、NATOの代替として、上海協力機構の会員や、 BRICSとの団結に向かい、ドル圏やIMFや世界銀行の緊縮政策に関与するのを避ける方向に動いている。

ヨーロッパに関しては、 ロシアに経済制裁を課し、ロシアのガスと石油輸出を阻止して新冷戦に加われというアメリカの主張は、ユーロゾーンの経済緊縮財政を深刻化させ、むしろ死のゾーンへと変化させつつある。今週、ドイツの主要政治家や外交官や著名文化人の集団が、アンゲラ・メルケル宛に、彼女の親米・反ロシア政策に抗議する公開書簡を送った。アメリカ合州国は、やりすぎたせいで、ヨーロッパを、アメリカ経済圏外に追い出してしまいかねない危険にさらされている。

トルコはエネルギーの供給先をロシアに切り換え、既にアメリカ-ヨーロッパ勢力圏orbitから抜け出しつつある。イランも、ロシアとの同盟に加わりつつある。オバマ政権のネオコンが計画していた「分割して統治」と逆に、彼らが、ヨーロッパとアジアから、アメリカを、孤立させつつあるのだ。ヨーロッパとアジア中で、一面で論議されているにもかかわらず、これについての認識は、アメリカ・マスコミでは、ほとんどみられない。BRICSを分裂させるどころか、ドル圏が破滅するのだ。

今週、プーチン大統領は、ガスと兵器取引の交渉の為、インドを訪問する。先週、トルコで、彼は、南ヨーロッパサウス・ストリーム・パイプラインとなるはずだったものを、から、トルコに切り換えた。そしてトルコは、もはやトルコがEUに加盟する可能性が皆無なのは明らかなので、上海協力機構の仲間となり、対アメリカ合州国防衛同盟としてのBRICSに統合しつつある。

数カ月前、ロシアは、中国とのこれまでで最大の石油・ガス貿易とパイプライン投資と、ミサイル防衛技術の移転を発表した。

2. この巨大な地政学的再編を、アメリカ・マスコミはほとんど論じていない。これが、昨年ロシアが、オバマ大統領にシリアと戦争をしないよう説得して以来ずっと、ネオコンの軍事的狙いで推進してきた、新冷戦政策の敗北を意味することがその主な理由だ。

連中の対策は、ロシアを孤立化させ、経済的に、貿易を、そして貿易収支の強みを攻撃することだった。ヨーロッパとのガス・石油貿易だ。2月に、アメリカ外交官連中がウクライナで、ピノチェット式クーデターを画策し、これを、ロシアとヨーロッパ間の貿易増大を逆転させる「てこ」として利用した。

狙いはロシア経済を懲らしめることであり、その過程で財政危機を引き起こして、プーチン政権を転覆させるよう圧力をかけ、もっとアメリカ寄りで新自由主義のエリツィン風政権をすえることだ。

この政策の根底にある前提は、ソビエト連邦が1991年に解体して以来、ロシアは自らの経済と社会を再統合しようとして、ヨーロッパに向かったということとだ。またヨーロッパも、ウクライナを迂回する新パイプライン建設によって、ロシアを、石油とガスという主要エネルギー供給者にしようとしていた。ノース・ストリームは、北海経由で、北ヨーロッパにつながっている。サウス・ストリームは、ブルガリアとセルビア経由で、南ヨーロッパ、主にイタリアとオーストリア向けに建設されるはずだった。

ドイツは、ロシアを、ロシアのガスと石油に支払うルーブルを稼ぐための輸出市場と見なしていた。他のヨーロッパ諸国は、対ロシア農産物輸出を増加し、フランスは巨大なミストラル空母建造に合意した。要するに、冷戦終結は、主にガス・パイプライン・ネットワークによって強化される、ロシアとヨーロッパの、より緊密な経済的、更には政治的統合をもたらすはずだった。

3.アメリカ冷戦戦士連中はこの貿易を妨害しようと試みた。ロシアを孤立化させ、ヨーロッパをアメリカ経済の中に組み込む計画だった。アメリカ・シェール・ガスをヨーロッパに輸出し、ロシアを締め出し、それで国債収支を悪化させるのが夢だった。

これは常に幻想だった。しかしアメリカの高圧的なロシアとの軍事対決が実際にもたらしたのは、アメリカ合州国とヨーロッパの間に政治的楔を打ち込むことだった。先週、プーチンは、NATOや、ドイツ人政治家、フランス人政治家や、他のヨーロッパの政治家に対するアメリカの圧力のせいで、連中は単にアメリカの命令に従うだけなのだから、ヨーロッパの政治家と交渉しても、ほとんど意味がないことに気がついたという演説をした。

アメリカの新冷戦対決政策に従うことで、ヨーロッパは、自らの経済利益に反して動いている。ヨーロッパ新自由主義の第三次エネルギー法は、事実上、ロシアが、更なるガスを、ヨーロッパに売って、いかなる経済利益を得ることも阻止している。

4. 不労所得パイプライン政策
アメリカ新自由主義の計画は、ロシアのガスと石油をヨーロッパに送る為のロシアが支配しないパイプラインという主張だ。ロシアがヨーロッパから得ようと願っている収入を吸い上げる料金所として、このパイプラインを利用するのがその狙いだ。

何が起きるかを理解する最善の方法はこうだ。アメリカ合州国に、ビルの所有者は、そのビルのエレベーターは、所有することができないという法律があったとご想像願いたい。これはつまり、例えばエンパイアー・ステート・ビルの所有者は、ビル内のエレベーターを所有できないということだ。誰か他の投資家達がエレベーターを購入することが可能で、ビルの店子や他の住人に、40階、50階、60階等々に上がる度に、料金を払わなければならないと言えるのだ。

その結果、家主がエンパイアー・ステート・ビルの家賃を丸ごと得るのでなく、エレベーター所有者が、不当に大きな分け前を得ることになる。店子がエレベーター料金所で料金を払わない限り昇降できなければ、エレベーターがないビルも同然で、家賃は下がってしまう。

ロシアに敵対的な組織が所有する石油パイプラインではそうなるだろう。これを避けるべく、ガスプロムは、手数料を搾り取る投資家を防ぐ為、ロシアが管理する自前パイプラインの建設を主張している。ヨーロッパが、これを阻止しようとした際 “自由市場”とは、パイプライン所有者と、ガス供給者を分離することなのだという建前で、ロシアのガス収入を吸い上げる使用料を搾り取る好機を作り上げようとしていたのだ。

昨年早くから、欧州委員会は、対ギリシャ緊縮政策を押しつける過程で、反ガスプロム政策を推進していた。欧州委員会は、ギリシャは、IMFが外国の公債保有者に救済した分を、国家資産を売却して支払えと主張している。ギリシャ最大の資産は、エーゲ海の石油利権とその商業用石油関係インフラだ。ガスプロムが最高の応札者になると、ヨーロッパは取引を止めさせた。結果的に、更に過酷な緊縮政策をギリシャに押しつけることで、ギリシャ政治を、益々反EUで、反IMFの姿勢、従って「反アメリカ冷戦」政策へと二極間させている。

5. 今起きているのは、教科書の理論によれば、本来不安定で、実行不可能な方向へのアメリカ-ヨーロッパ外交の根本的変化なのだ。

ヨーロッパは、いかに国家外交を行うべきかという教科書の基本前提を逆転してしまっている。外交を経済と商業的利益を基本にせず、こうした利益を、アメリカの支配に従属させているのだ。ヨーロッパのNATO加盟については、軍事政策を、外交政策の手段と見なすのではなく、経済外交や、貿易形態や、ガスや石油の供給や、工業・農業の輸出市場を、全てNATOの軍事目的に合わせ、従属させている。
狙いはもはや、本来NATOの論理だった安全保障ではない。ウクライナでの代理戦争の結果、軍事紛争を、ヨーロッパ大陸に直接もたらす、ヨーロッパ経済のロシアの脅威に対する再編なのだ。

国には友人も敵もなく、国にあるのは、国益だけだと良く言われる。この国益の大半は経済だ。ところが現在ヨーロッパで、ドイツのメルケル首相は、ドイツや他のヨーロッパ諸国の経済利益を無視しているように見える。彼女はいまだに東ドイツ共産党政権への憎悪にとりつかれたままで、ロシアを、経済市場であり、原料の供給国あり、ドイツ製造業と技術にとっての顧客としてでなく、敵としか見ていない。同様に、彼女のアメリカ合州国への政治的偏愛が“お前達とロシアとで戦争しろ” というアメリカの対ヨーロッパ新冷戦政策が、いかにヨーロッパ大陸の利益を損ない、緊縮経済を悪化させているかを考慮せずに、アメリカをヨーロッパの当然の友好国だと判断してしまうことになっている。

アメリカ合州国としては、戦争は極めて限定された別の形による、外交政策の延長であるフォン・クラウゼヴィッツの言葉を採用している。戦争は、アメリカ合州国が、近頃、外交政策で利用している唯一のテコの様に見える。地上侵攻する能力に欠けているので、唯一本当の脅威は、かつてイラク、アフガニスタン、リビアに対し、そして今シリアに行っている様な空爆と、ウクライナでの代理戦争支援による経済破壊だ。

マイケル・ハドソンは、長期経済動向研究所(ISLET)理事長で、ウォール街金融専門家で、カンザスシティ、ミズーリ大学の著名な経済学教授で、The Bubble and Beyond (2012)、Super-Imperialism: The Economic Strategy of American Empire (1968 & 2003)、Trade、Development and Foreign Debt (1992 & 2009) および、The Myth of Aid (1971)の著者である。

記事原文のurl:http://www.informationclearinghouse.info/article40442.htm
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「ヨーロッパ」を置き換えれば、そのまま。

アジアの某国は、いかに国家外交を行うべきかという教科書の基本前提を逆転してしまっている。外交を経済と商業的利益を基本にせず、こうした利益を、アメリ
カの支配に従属させているのだ。某国とアメリカの軍事については、軍事政策を、外交政策の手段と見なすのではなく、経済外交や、貿易形態や、ガスや石
油の供給や、工業・農業の輸出市場を、全て同盟の軍事目的に合わせ、従属させている。
狙いはもはや、本来同盟の論理だった安全保障ではない。ウクライナでの代理戦争の結果、軍事紛争を、某国に直接もたらす、某国経済のロシアの脅威に対する再編なのだ。

大本営広報部、世田谷殺人事件、青酸カリ殺人容疑、やけに詳しい。あるいは交通事故、そして、TPP成立に強気な宗主国大統領のお言葉。素人が知りたいのは、お言葉ではなく、TPPとは一体何で、誰のどういう利権に役立つかという素朴な疑問。アメリカ記者クラブ記事など興味皆無。

おかげで、朝も夕方も、驚異的速読術が身についた。ただ読みとばすだけのこと。

いずれも悪質な犯罪だ。しかし選挙の争点と比較して、与党の果てしない悪質な大罪と比較して、わざわざ新聞や、電気洗脳箱で伝える内容だろうか?

意味がないことで攪乱するために報じているのに違いない。選挙の時はいつもそう。

傀儡与党、翼賛マスコミのしわざ、数人をあやめるだけではない。国民丸ごと、そして未来の世代を永劫に地獄に落とすことを狙った確信犯の皆様。

そこで一句。

広報部、確信犯の売国奴

あの先生、『それでも、属国愚民は、更なる永久植民地化を選んだ』という本を用意しておられるのかも知れない。小生死ぬまで読まないが、結局、紙や電気媒体で、そういう趣旨のメッセージを読まされる。

ムサシがあろうと、槍が降ろうと、絶滅危惧種政党・候補に投票し、おかしな裁判官の皆様には×印を書いてくる所存だ。

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コメント

                衆院選2014の意義について

  日本は大寒波が襲来してとても寒い,という。こちら海辺の町はいくらか肌寒い雨季である事を感じるが,外へ一歩出ると熱気がムンムンする。偶然なのかどうか,14日に帰国した人生の同行者は住民票をこちらに移していないので,まさかこの日に衆院選があるとは思ってもみなかったらしい。すなわち大寒波あるいは無関心によらず,安倍首相のご配慮によって彼女は投票できなかったとも言える。

  冗談はさておき早速,『追記(兵庫助(1-ロ- 6))』の「今回の選挙の意義」の意味が,例によってよく分からない,説明不足だと同行者からの苦情があったので,この場をお借りして説明させて頂きたい。
  16日付け今朝の東京新聞の政治面に『首相は「公約支持」というが 議席数「改憲」減 「脱原発」増』という記事が載った。東京新聞は読売新聞以上に自民候補者数の予測に慎重であったが,この記事は秀逸である。また小生のやりたいことを先取りされたとも言える。すなわち,原発再稼働反対の議員が119から139に増え,九条改憲支持の議員数が314(自+次世)から292に減ったというのである。

  2014衆院選を設定した安倍周辺の思惑が那辺にあったかは分からないが,小生の妄想に拠れば,自党の反原発派代議士を減らし,改憲賛成派の代議士を増やすことにあったのではないか。無理に無理を重ねて通過させた特定秘密保護法反対の自民党代議士も少なからず居るが,東京新聞社上野記者が書いたこの記事によって,今回の解散・総選挙が『逆効果!』であったことがより鮮明になったと言える。現に,解散直前の閣僚のほとんどが改憲過激志向の「日本会議」の一員であったことを考えたとき,『逆効果!』は明らかであろう。

  文章が長くなることを嫌い,また「共産党は自民党の補完勢力でない」ことを論じることに主眼あり,まだ調べていない反原発・九条改憲反対派の代議士数については論じることはできないから割愛して「今回の衆院選2014の意義」に触れただけである。再稼働反対の議員数に目を付けた上野記者の慧眼恐るべし。

  よく覚えていないが,公安調査庁の一員から訪問を受けた内田先生は,「官邸周辺を取り巻くデモは余り感心しない」旨の発言をされていたが,自室から出て官邸や霞ヶ関周辺に出かけた人たちの訴え(デモ)が多くの人の心に響いたのではなかろうか。
 
  米・英・日のイラク侵攻に反対にしてデモをかけた数百万の人々-ロ-マ法王の呼びかけもあった-あるいは遠くはフィリピンのキリスト枢機卿のラジオによる呼びかけに応じてマルコスの戦車隊を止めた民衆。そしてSNSの呼びかけに応じて国会周辺に集まった,少なからぬ日本人の抗議行動。それらにやり過ぎの面があったとしても,「議会外勢力」として議会「内」ばかりだけでなく,各地の,心ある有権者に多くの影響を与えたことは否定できない。
  しかしそれだけではない。国外にサルトル・ラッセル法廷あり。国内にキャリア官僚や警備の方の中にもデモ参加者にカンパをしてくれる方もいたとか。議会内と議会外の「ねじれ」,歓迎すべし。

  なお,追記2で,「(共産党の)今後のご活躍を期待したい。」と書いた。その心は,共産党が「法案提出権」を確保できたので,いろいろな法案を提出できるので活躍の場が拡がるだろうと考えたに過ぎない。たとえば,特定秘密保護法廃止法案を提出することもできる。
  選挙期間中でも,10日,この法律に反対してデモに参加していた人たちがいたことは,幸運にも報道されて知っている。その中に共産党議員がいたかどうかは確かめた訳ではないが,ある人のブログに拠れば,多くのデモに共に参加してくれたのは共産党代議士だけであったという。議会外での活躍も期待する所以である。
  しかし,共産党に全て賛成という訳ではない。消費税8%凍結を主張しているが,なぜ5%乃至3%を主張されなかったのか。固より共産党は『消費税そのもの』に反対であったはずだから,8%を認める公約はすべきではなかった,と考えるが,如何。

  日本は景気後退局面に入った。景気対策費を1兆円増やすそうだが,それでは財政規律がさらに緩む。2014衆院選の意義は,財務官僚に消費税増税の失敗を認めさせることにあると,考える。是非,共産党に力を発揮してほしいと考える。 

   2014衆院選反省と元の木阿弥

  自民議員が少し減って公明議員が4人増えた。しかし総数は326の選挙前と変わりない,すなわち「元の木阿弥」。にもかかわらず,自公で「3分の2」という見出しが選挙後も踊っている。つまり,憲法改正が更にやりにくくなったという事を隠す目くらまし作戦,世論操作は選挙後も続いている。しかし小生なりに要約すれば,少数(公明)が多数(自民)を牛耳ることを予感させる衆院選2014であった。
  この選挙報道で比較的表現が控えめであったのは,読売新聞であり,毎日新聞の「自民党だけで3分の2を越える勢い」という見出しは,小・中学生には「嘘!」と思われるに違いない。教育に関する与党からの特ダネは「毎日」が受け取ることが多いが,今回の投票1週間前のその記事は,毎日新聞を好きにさせる『逆効果!』として作用するのではないだろうか(国語の授業(NIE)で)。

  さて2014衆院選の予測で小生の予測は「大外れ」であったことを告白しなければならない。277以上297以下であるから,約30の違いである。「毎日」のような長期低落傾向にある大新聞社でさえ間違えるのだから,小生が間違えても当然だと言うつもりはさらさらない。しかし「毎日」の3分の2報道をみてこれを元に文章を展開するブログが多いことが残念であった。どうせ素人なのだから,間違えても恥ずかしくはない。なぜ,自分なりの予測をブログで発表できなかったのであろうか。以前から申し上げているように「若者よ,投票に行くべし」式のご託宣は,『逆効果!』なのであることが分からないブロガ-が多すぎる,ように思えてならない。むしろ普段なら,読むに値しない「読売」がまともな表現で予測をしていることに気がつくべきであった。 

  さて小生には,「共産党が自民党の補完勢力であるのか,ないのか」という宿題が残っている。沖縄県の事例は「補完勢力」であるどころか,反自の共闘がうまくいった事例であるが例外なので,はじめに佐賀小選挙区を考えてみたい(1区と2区とが逆になった):
  ここは3つ区から2つ区になった減員区である。小沢氏に近い原口和博氏が今回小選挙区で当選した区。どういう区割り変更になったのか知らないので,総得票数で比べてみる:
       (2012衆院選獲得票,2014衆院選獲得票)
          自民票(237,858,  197,495)
          民主票(126,215,  168,285)
          共産票( 42,298,   20,295)
  2014では自民・共産票が減り,民主票が増えた。また前回と比べて総投票数が40.6万票から38.6万票へと2万票減った。共産票もほとんどピッタリ2万票減った。         (敬称略)
       (2012当選,    2014当選)                              
     1区   自民(岩田)   民主(原口)                         
     2区   自民       自民
     3区   自民(保利)   なし(減員)      自民保利の票は96544.
  この一覧から原口が返り咲いたと言うことが分かる。岩田と原口の票を比べてみると,
               1区                  2区              3区
     岩田 70547 → 83421       自民 70767 → 114074    96544
     原口 63007 → 85903       民主 63208 →  82382        0
     共産 9857  → 11483       共産  5618 →   8812    26823
である。岩田1.3万人増,原口2.3万人増。共産票は各々1600と3200増えたが,26823はどこへ流れたのか。計4800票が1,2区に流れたのが分かるから,残りの22000はどこに行ったのか,ということになる。

  「鼻をつまん(岩下俊三ブログ)」で1区原口に流れたか,2区民主大串に流れたか。それは分からない。妙に2.2万人という「差」が気になる。また前回「鼻をつまんで」共産票となった票もあるが,その数は上でピッタリ2万票共産票が減ったことから類推して約2000(0.2万)票であろう。したがってこの2万票全てが原口に流れたとすれば,共産党は補完勢力どころか,反自公の「共闘勢力」ということになる。

  もちろん民主党大物である原口氏は,自分のどぶ板選挙で2万票増やしたと主張するかも知れない。あるいは保利氏の票が流れたのかも知れない。しかし海江田氏や樽床氏,鉢呂氏そして菅元首相など大物が敗戦したことを考えたとき,つまり民主党への逆風がまだ冷め止まない2014年末。自力によって2万票を上乗せできたと考える事は難しい。「共闘勢力」の存在があったと考えるのが妥当であろう。すなわち,「共産党は自民党の補完勢力である」という命題は,佐賀小選挙区では成り立たなかった。

  「税」という字が年の瀬に発表されたが,次回の選挙では「鼻をつまんで」あるいは「共闘勢力」といった言葉が日本中を沸かせているかも知れない。選挙大好きの小生としては,また近いうちに国政選挙があることを楽しみに待ちたい。

追記:安倍首相が過半数云々と言ったとき,自民党議員の数が減ることが予想されていた。ゆえに読売は控えめな数字を出した。幸か不幸かそれが3人に留まったのが,今回の選挙の意義である。
追記2: 共産党は2倍増どころか3倍増に近い。小生はせいぜい「2増」に過ぎないと予測して,見事に外れた。お詫びすると共に,今後のご活躍を期待したい。

マイケル・ハドソン氏の論説は至極真っ当で多くの人々に欧州を舞台とする政治情勢を明瞭に理解させてくれます。特に不労所得ガスパイプライン政策の節は白眉です。いつもながらメタボ・カモ様の精力的な海外記事紹介に低頭の気持ちです。
偏向報道があろうが、悪天候であろうが、開票操作があろうが、民主主義が私たちに与えてくれた「異議申し立てする権利」を当方も行使する所存です。

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