マスコミ仕込みの戦争とプロパガンダの勝利
John Pilger
2014年12月5日
jhonpilger.com
プロパガンダと、真実に対する戦争
一体なぜ、これほど多くのジャーナリズムが、プロパガンダに屈してしまうのだろう?検閲と歪曲が、一体なぜ標準的習慣なのだろう? BBCは、一体なぜこれほど頻繁に、強欲な権力の代弁者をつとめているのだろう?ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストは、一体なぜ読者をあざむくのだろう?
若いジャーナリスト達は、一体なぜ、マスコミの下心を理解し、高貴な主張と、いかさまの客観性という下卑た目的に異議申し立てをするよう教えられないのだろう? そして、一体なぜ彼らは、主流マスコミと呼ばれるものの大半の本質は情報ではなく権力であることを教えられないのだろう?
これらは喫緊の疑問だ。アメリカ合州国が、ロシアを、そして最終的には中国を孤立化して、挑発しようと固く決心しているので、世界は、大戦争、おそらくは核戦争が予想される事態に直面している。この真実は、2003年、イラクでの大虐殺をもたらしたウソを推進した連中を含め、ジャーナリスト達によって、覆され、裏返しにされてしまっている。
我々が暮らしている時代は実に剣呑で、一般大衆の認識はひどく歪曲されていて、プロパガンダは、もはやエドワード・バーネイズが呼んだ“見えない政府”ではない。そのものが政府なのだ。矛盾も恐れず、直接支配し、その主な狙いは、アメリカ征服だ。我々の世界観、真実とウソを区別する我々の能力征服だ。
情報時代というのは、実際はマスコミ時代だ。マスコミによる戦争がある。マスコミによって検閲されている。マスコミによって悪魔研究をさせられている。マスコミによる懲罰。従順な陳腐な文句と偽りの仮定の超現実的な組み立てライン、マスコミによる報復だ。
新たな“現実”を作り出すこの力は、長期にわたって構築されてきた。45年前、The Greening of Americaという題名の本が大評判になった。カバーにはこういう言葉がある。“革命がやってくる。過去の革命とは違う。それは個人から始まる。”
私は当時アメリカ合州国で記者をしていたので、著者の若いエール大学学者、Charles Reichが一夜にして教祖的地位へと出世したのを思い出す。彼のメッセージは、真実を語ることも政治行動も失敗したが、“文化”と内省だけが世界を変えられるというものだ。
数年のうちに、それが金儲けになるので、“自己中心主義”というカルトが、一緒に行動するというという考え方や、社会正義や国際主義という考え方をほとんど圧倒してしまった。階級やジェンダーや人種はばらばらにされた。パーソナルなものが政治的で、マスコミはメッセージだった。
冷戦の後、新たな“脅威”のでっちあげによって、20年前なら激しい敵になっていたであろう人々を、完璧な政治的見当識障害にしてしまったのだ。2003年、ワシントンで著名なアメリカ人調査ジャーナリスト、チャールズ・ルイス・インタビューを撮影した。我々は数カ月前のイラク侵略について論じた。私は彼に質問した。“世界で最も自由なマスコミが、ジョージ・ブッシュと、ドナルド・ラムズフェルドに、まともに食ってかかり、下品なプロパガンダであると分かった代物を垂れ流す代わりに、彼らの主張を調査していたらどうだったでしょう?”
もし我々ジャーナリストが、仕事をきちんとしていたなら“我々がイラク戦争をしていなかった、大きな、とても大きな可能性がありました”と彼は答えた。
これは衝撃的な発言だが、これを私が同じ質問をした他の有名ジャーナリスト達も支持したのだ。元CBSのダン・ラザーも、同じことを答えた。オブザーバーのデビッド・ローズや、匿名希望のBBC上席ジャーナリストや、プロデューサーも同じ答えをした。
言い換えれば、もしもジャーナリスト達がきちんと仕事を果たしていたら、プロパガンダを増幅するのではなく、彼らが疑問を呈して、調査をしていれば、何十万人もの男性、女性や子供達は、今日も生きていたかも知れず、何百万人もの人々は、家を捨てて逃げなかったかも知れないのだ。スンナ派とシーア派の間の宗派戦争も引き起こされなかったかも知れないし、悪名高いイスラム国も現在存在していなかったかも知れない。
今でさえ、何百万人もが抗議行動で街頭に繰り出したにもかかわらず、欧米諸国の大半の人々は、アメリカ政府がイラクでおかした犯罪の壮大な規模についてほとんど知らない。侵略前の12年間、アメリカとイギリスの政府が、イラクの一般国民が生活手段を入手できないようにして、ホロコーストを開始していたことを知っている人は更に少ない。
これは1990年代のイラク経済制裁、UNICEFが5歳未満の子供達50万人の死を招いたと報じている中世風包囲攻撃の責任を負っていたイギリス政府幹部連の言葉だ。この幹部の名はカーン・ロスだ。ロンドンの外務省で、彼は“ミスター・イラク”として知られていた。彼は現在、政府がいかにして欺くか、ジャーナリスト達がいかに進んでウソを広めたかについて真実を語っている。“ジャーナリストには、秘密にすべき情報を取り除いた諜報情報の疑似事実を与えていました”彼は言った。“あるいは連中を締め出しました。”
この恐るべき沈黙の時期の主な内部告発者は、デニス・ハリディだった。当時の国連事務次長で、在イラクで国連幹部職員だったハリディは、大量虐殺と彼が表現する政策を実施するよりも、辞職を選んだ。彼は経済制裁で、100万人以上のイラク人が亡くなったと推測している。
当時にハリディに起きたことは教訓的だ。彼は歴史から抹消されたのだ。あるいは、彼は中傷された。BBCの番組ニューズナイトで、司会者のジェレミー・パクスマンが彼に向かって叫んだ。“あなたはただのサダム・フセイン擁護者なのですか?”ガーディアンは最近これを、パクスマンの“忘れられない瞬間”の一つだと表現した。先週、パクスマンは100万ポンドという本の契約に署名した。
弾圧の侍女達は見事に仕事を果たしている。影響を検討してみよう。2013年、ComResの世論調査で、イギリス国民の大半が、イラクの死傷者数は、10,000人以下だと信じていることが判明している。真実の数値のごく一部分にすぎない。イラクからロンドンへとつながる血痕は、ほぼきれいにこすり落とされている。
ルパート・マードックは、メディア・モブの名づけ親だと言われており、補強された彼の新聞の力 - 全部で127紙、総発行部数4000万部、そして彼のフォックス・ネットワークを疑うものはいない。だがマードック帝国の影響力は、より広範なマスコミの反射と同じくらい威力がある。
最も効果的なプロパガンダが載るのは、サン紙やフォックス・ニューズではなく、リベラル風後光の下なのだ。ニューヨーク・タイムズが、サダム・フセインが大量破壊兵器を保有しているという主張を載せた時には、フォックス・ニューズではなかったので、そのニセ証拠を皆が信じた。何しろニューヨーク・タイムズだった。
読者達を、新たな危険な冷戦を受け入れる様にする上でいずれも重要な役割を演じたワシントン・ポストやガーディアンにも同じことが言える。リベラルな新聞の三紙全てが、ウクライナでの出来事を、ロシアによる悪意ある行為だと事実を曲げて報道した。ウクライナにおけるファシストが率いたクーデターは、実際はドイツとNATOが幇助した、アメリカ合州国の仕業だったのに。
この現実の逆転が、実にまん延しているので、ワシントンによる対ロシア軍事的包囲と威嚇が議論にならない。それは、ニュースですらなく、最初の冷戦中に私が育つ際に経験した類の中傷・怖がらせキャンペーンに似たものの背後で抑圧されている。
またしても悪の帝国が、もう一人のスターリン、というか裏返しの新ヒトラーに率いられ、アメリカを奪いにくる。好きな悪魔の名前をつけ、怒りをぶちまけようではないか。
ウクライナに関する真実の抑圧は、私が知る限り、最も完璧な報道管制の一つだ。カフカスと東ヨーロッパにおける、第二次世界大戦以来、最大の欧米軍事力増強は抹殺されている。東ウクライナの住民に対する戦争犯罪の責任を負うワシントンの、対キエフ秘密支援と、そのネオナチ大隊という事実は、抹殺されている。ロシアがマレーシア旅客機撃墜に関与しているというプロパガンダと矛盾する証拠は抹殺されている。
そしてまたもや、リベラルとされるマスコミが検閲官だ。事実も証拠も無しに、あるジャーナリストは、ウクライナの親ロシア派指導者を、旅客機を撃墜した人物として特定した。彼はこう書いている。この人物は、ザ・デーモンとして知られていた。彼はこのジャーナリストを怖がらせる恐ろしい男だった。それが証拠だったのだ。
欧米マスコミで、情報を持った連中の多くは、ウクライナのロシア人住民を、自国内にいる部外者として描き出そうと懸命で、ウクライナ国内での連邦化を求めているウクライナ国民として、あるいは、選挙で選ばれた自分達の政府に対して、外国が画策したクーデターに抵抗しているウクライナ国民として描くことはほとんどない。
ロシア大統領の言い分など何の重要性もない。彼は、何のおとがめもなく虐待してよい無言で演じる悪党なのだ。NATO指揮官のアメリカ人将軍は、ドクター・ストレンジラブそっくりそのままで、ブリードラブ将軍は、ほんの少しの物的証拠も無しに、いつものようにロシア侵略を主張する。彼によるスタンリー・キューブリックのジャック・D・リッパー将軍の物まねは非の打ち所が無い。
ブリードラブ将軍によれば、40,000人のロシア人が国境に集合している。元記者のデビッド・ローズが明らかにした通り、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストや、オブザーバーにとっては、後者はかつて、ブレアのイラク侵略をウソとでっち上げで支援したことで名高いが、もうそれだけで十分だった。
ほとんど同窓会の楽しみ風の雰囲気に満ちている。ワシントン・ポストの宣伝屋連中は、サダムの大量破壊兵器の存在は“厳然たる事実”だと宣言したのと同じ論説委員だ。
ロバート・パリーは書いている。“もし読者が、一世紀前、第一次世界大戦に巻き込まれた様に、世界が一体どのように、第三次世界大戦に巻き込まれるのだろうかと疑問に思っておられるのであれば、正義の味方対悪党といういつわりの言辞が既に根付いていて、事実や道理には影響されない、ウクライナを巡るアメリカ政治/マスコミ構造の全体を包み込む狂気を見さえすればわかる”
イラン-コントラを暴露したジャーナリストのパリーは、ロシア外務大臣がそう呼んだ、この“度胸比べ(チキンレース)”におけるマスコミの中心的な役割を調査したごく少数の人々の一人だ。だがこれはゲームだろうか? 私がこの記事を書いている時点で、アメリカ議会が、一言で言えば、“ロシアとの戦争準備をしよう”決議758を採決している。
19世紀、作家のアレクサンドル・ゲルツェンは、宗教的でないリベラリズムのことを“その教会が語るのは、あの世のことでなく、この世のことではあるが、最後の宗教”だと表現した。現在この神権は、イスラム世界が世に送りだしたものの何よりも遥かに暴力的で、危険であり、おそらく、その最大の勝利は、自由で開かれた情報という錯覚だろう。
ニュースの中で、様々な国々が丸ごと消されている。過激主義と欧米が支援するテロの淵源たるサウジアラビアは石油価格を押し下げる時を除いて話題にならない。イエメンは、12年間のアメリカ無人機攻撃に耐えている。それを誰が知ろう? 構うものか?
2009年、ウエスト・オブ・イングランド大学が、BBCのベネズエラ報道を十年間研究した結果を発表した。304の放送報道のうち、わずか三件が、ウゴ・チャベス政権が導入した積極的な政策のいずれかに触れていたにすぎない。人間の歴史上、最大の読み書き能力向上計画には、ごくわずかな言及しかなかった。
ヨーロッパやアメリカ合州国の何百万人もの読者や視聴者達は、t中南米で行われた、素晴らしい、生を与える変化についても、多くの人々がチャベスに触発されたことも、ほとんど何も知らない。BBC同様、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ガーディアンや、その他の信用ある欧米マスコミの報道は、誠意のなさで悪名が高い。チャベスは死の床でさえあざ笑われた。ジャーナリズムの授業で、こういうことは一体どのように説明されているのだろうかと私は不思議に思う?
イギリスの何百万人もの国民は、一体なぜ“緊縮政策”と呼ばれる集団処罰が必要だと説得されてしまったのだろう?
2008年の経済崩壊の後、腐敗した体制が暴露された。銀行は、ほんの一瞬だけ、裏切った大衆に対する義務を負った、いかさま師連中として晒された。
ところが数ヶ月のうちに、過大な大企業“ボーナス”をめがけて放り投げられたわずかな石を除いて、情報が変わってしまった。罪を犯した銀行家連中の顔写真は、タブロイド紙から消え去り、“緊縮政策”と呼ばれるものが、何百万人もの一般人に押しつけられた。鉄面皮という巧妙な手品でもあったのだろうか?
現在、イギリスにおいては、いかさま師連中の借金、詐取した借金を返済するため、多くの文化生活の前提が解体されつつある。“緊縮政策”削減は、830億ポンドだと言われている。これはほぼ、同じ銀行やアマゾンやマードックのNews UKの様な企業が逃れた税金の金額と同額だ。更に、いかさま銀行は、無料の保険と保障に、毎年1000億ポンドの補助金を与えられている。国民医療サービス丸ごとの資金になりそうな数値だ。
経済危機は、全くのプロパガンダだ。極端な政策が、現在、イギリス、アメリカ合州国、ヨーロッパの大半、カナダとオーストラリアを支配している。大多数の人の為に立ち上がっているのは誰だろう? 自分の記事を報じているのは誰だろう?正しく記録しているのは誰だ? それこそがジャーナリストがすべき仕事ではあるまいか?
1977年、ウォーターゲート事件追及で有名なカール・バーンステインが、400人以上のジャーナリストや、報道幹部達が、CIAのために働いていることを暴露した。彼らの中には、ニューヨーク・タイムズ、タイムや、TV局のジャーナリストがいた。1991年、ガーディアンのリチャード・ノートン・テーラーが、この国での似た様なことを暴露した。
こうしたものの何一つ現在は必要ではない。ワシントン・ポストや、他の多くのマスコミに、エドワード・スノーデンを、テロを支援しているといって非難するのに誰かが金を支払ったのではあるまいかと疑っている。決まったように、ジュリアン・アサンジを中傷する連中に誰かが金を払っているのではあるまいかと疑っている。他の報酬もたっぷりなのかも知れないが。
アサンジがこれほど敵意や恨みや嫉妬を買っている主な理由は私にとっては明白で、ジャーナリスト連中が高く持ち上げていた、腐敗した政治エリートの見せ掛けを、WikiLeaksが打ち壊した為だ。途方もない暴露の時代の先触れとして、マスコミという門番、とりわけ彼の偉大なスクープを掲載し、私物化した新聞の面目をつぶし、光を当てたことで、アサンジは敵となった。彼は標的となったのみならず、金の卵を産むガチョウとなった。
WikiLeaksと創設者に乗じて、もうかる本や、ハリウッド映画契約がまとまり、マスコミ出世の道が開けたり、事業が始まったりした。人々は大金を儲けたが、WikiLeaksそのものは生き残りに苦闘している。
12月1日、ストックホルムで、ガーディアン編集者アラン・ラスブリジャーが、もう一つのノーベル平和賞として有名な、ライト・ライブリフッド賞をエドワード・スノーデンと共同で受けた際、こうしたことの一つとして触れられなかった。このイベントで衝撃的だったのは、アサンジとWikiLeaksが消し去られてしまったことだ。彼らは存在しなかった。彼らは完全に存在を無視された人々だ。
デジタル内部告発の先駆者となり、ガーディアンに史上最高のスクープの一つを手渡した人物について、誰一人肩をもたなかった。しかも、効率的かつ鮮やかに、香港のエドワード・スノーデンを救出し、安全な場所に迅速に移したのは、アサンジとWikiLeaksチームだったのだ。それについては一言もない。
省略することによるこの検閲行為を、実に皮肉で、辛辣で、恥ずべきものにしたのは、式典がスウェーデン議会で行われたことだった ストックホルムで、アサンジ問題に対し、臆病に沈黙して、正義のグロテスクな流産に共謀したのだ。
ソ連の反体制派エフトシェンコは言った。“真実が沈黙で置き換えられている時には、沈黙はウソだ。”
この種の沈黙を、我々ジャーナリストは破らなければならない。我々は鏡に映った自分の姿を見る必要があるのだ。世界大戦を起こす恐れのある権力者と精神病者に仕えている責任を負わないマスコミに、我々は責任を問わねばならない。
18世紀に、エドマンド・バークは、マスコミの役割は権力側の人間をチェックする第四の権力(言論界)だと表現した。これが真実だったことがあっただろうか? そんなものは、もはや通用しない。我々が必要としているのは第五の権力だ。ジャーナリズムは、プロパガンダを監視し、分析し、反論すべきで、若者達は、権力でなく、民衆の代理人となるよう教えられるべきなのだ。我々には、ロシア人が、ペレストロイカと呼んだものが必要だ。抑圧された知識の叛乱だ。それをこそ私は本当のジャーナリズムと呼びたい。
今年は第一次世界大戦から100年だ。当時の記者は、その沈黙と結託に対して、爵位を与えられた。大量殺りくの真っ最中に、イギリス首相デビッド・ロイド・ジョージが、マンチェスター・ ガーディアンの編集者C・P・スコットに打ち明けた。“もし国民が本当に[真実]を知ってしまえば、戦争は明日にも終わるだろうが、もちろん連中は知らず、知ることができない。”
国民が知るべき頃合いだ。
記事原文のurl:http://johnpilger.com/articles/war-by-media-and-the-triumph-of-propaganda
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この記事にある通り、そっくりそのまま、
国民が知ることを排除した法律が成立した後の
マスコミ仕込みの選挙とプロパガンダの勝利
を我々は目にしている。
間違いなく、彼の言う通り。
日本破壊 この道しかない
で、Paul Craig Roberts氏、
自由は欧米にこそ存在すると思い込んで、だまされているロシア人の若者や、欧米の無道徳主義やら、ロシア政府が支持するキリスト教文化に対する背徳主義を好むプッシー・ライオットが代表する様な連中がいる。
と書いておられる。
たまたま切符を頂いて見たロシア映画、大爆笑させられながら、しんみりさせられた。まさに、プッシー・ライオットが代表する様な連中が活躍する場面もあった。
「こんなことでいいのか」というメッセージを感じる。さすがロシア映画。
1893年当時の伯爵夫人が、夢の中で、突然、1993年に入ってしまう。伯爵夫人、なんと立ち食い食堂の皿洗い。伯爵は、伯爵夫人のあられもない姿を写真に撮影し、日本で言えば、銀座か青山のような場所で、その写真をコートの裏にはりつけて、こっそり売って生計をたてている。年金では暮せないので。女性の一番儲かる職業は、外貨で客をとる売春婦。紙屑ルーブルを払う客は相手にしない。美貌を買われて、財務大臣にリクルートされる。IMF高官を色仕掛けで口説いて、もっと借款を引き出す役をさせられる。ストロス・カーン事件や、ウクライナの外人新閣僚を思わせるエピソード。
心理学者というか医者にかかっても解決しない。伯爵は、伯爵夫人と同じ夢を進んでみようとする。すると「乳房・乳首世界コンテスト」に、皿洗いの夫人が、ロシアを代表して登場し、伯爵は、司会者をしているのだ。アメリカ福音教会?牧師?が、そのトンデモ大会で祝福をのべる。なんと言う皮肉。
あまりの事態展開にあきれ、伯爵は、御前会議で、皇帝や臣下を前に、もし百年先が見えたなら、大変なことがわかります。と惨状を説明する。
皇帝に「では、それを避けるにはどうしたら良いかね」と問われ、正論の対策を答え、「社会主義者」と全員から罵られて、辞任する。
井上ひさしの言葉そのままの感想。
「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」
戦没者の方々が見たら卒倒するかもしれない。
昭憲皇太后(明治天皇妃)が、坂本龍馬の夢を見たという逸話を読んだことがある。
伯爵夫人が、100年後の未来を見たという設定、それと関連あるだろうか。
映画は『夢』。カレン・シャフナザーロフ監督。ロシア文化フェスティバルの一環。
同じ題名で黒澤明監督の名作もあった。あの中の「赤富士」、福島原発事故、あるいは今後起きる日本の原発事故予感そのもの。
世の中広い。字幕無しでご覧になって、きちんと紹介しておられる方もある。
明るい部屋:映画についての覚書
[映画]カレン・シャフナザーロフ『ゼロシティ』『夢』
マスコミに載らない海外名画
マスコミとよぶべきかどうかわからないが、大本営広報部ではないと、安心して拝読している媒体、しっかり存在していると個人的に思う。
そういうまっとうな組織が、実に不思議なことに、経済的に困難な状況にあるという。個人的に理解できない。
例えば、
食べ物で、美味しく、安全で、妥当な価格なら、どこでも売れるだろう。
知りたいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに、
報道するほとんど唯一の媒体では、と思っているのだが、「売女マスコミ」をしのげない理由が個人的に理解できない。
あるいは絶滅危惧種政党と同様で、「悪貨は良貨を駆逐する。」という大原則が、政界のみならず、ジャーナリズムにも貫徹しているのでは?
まっとうな情報を報じるジャーナリズム組織が、困難な状況にあり続けるなら、その社会、まもなく取り返しのつかない困難な状況に陥るだろう。
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垂れ流される情報?に
なぜ?をつけて考える。
片面の裏側は必ずあると言う事実を忘れずに。
キモに銘じながら。
投稿: ゆきぼー | 2014年12月13日 (土) 13時16分