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2014年12月 7日 (日)

ロシアには、欧米のパートナーでなく、欧米の敵がいる

Paul Craig Roberts
2014年12月5日

アメリカ下院は、ロシアとプーチン大統領を悪魔化する動きで、ヒラリー・クリントン、オバマ、ネオコン、ワシントンの属国諸国や、アメリカとヨーロッパの売女マスコミに加わった。下院の対ロシア決議はウソの固まりだが、その事実とて、決議が賛成411票、反対10票で成立するのを止められなかった。

世界中が、アメリカは、わずか10人しか、知的な代表を選出することができないということに留意すべきだ。435人中10人とは、2パーセントだ。それなのに、ワシントンは、自らが、世界に対して覇権を行使する権限を持った“例外的”で“必要欠くべからざる”国だと宣言しているのだ!

ワシントンや、その売女マスコミや、ヨーロッパ属国諸国が、ロシアやプーチンに対して、イラクとサダム・フセイン、リビアとカダフィ、シリアとアサド、アフガニスタンとタリバン、そしてイランに対して利用したのと全く同じ、ウソ・プロパガンダを駆使しているのを見ても、誰一人驚くものは無い。ワシントンは、ロシアと中国の勃興を、ウラジーミル・プーチンが示している指導力、ワシントンから独立したBRICSの様な新組織の形成を恐れている。ジョージ・W・ブッシュ政権が、“6週間、700億ドルの戦争”だと言ってはぐらかしていたものは、これまで何兆ドルも費やした、13年間の負け戦と化し、プーチン大統領は、ロシアの主権を汚しているアメリカ人工作員の一部を追い出し、国を建て直した。

プーチンがアメリカが計画していたシリアとイラン侵略を阻止した際、ワシントンは、プーチンとロシアには何かしてやらねばならぬと決意したのだ。ワシントンは、ウクライナの政治家買収と、第五列NGOへの資金援助に、50億ドル費やした。プーチン大統領が、オリンピックに気を取られているうちに、ワシントンは攻撃に出て、選挙で選ばれたウクライナ政府を打倒し、自らの傀儡をしつらえた。

傀儡連中は、かつてはロシアの一部だったが、ロシアとウクライナが一つの国だった時代に、ソ連指導部がウクライナに移管したウクライナ諸州のロシア人住民を敵に回す作業に取りかかった。殺すと脅され、ロシア語の使用を禁止されたロシア人が、キエフのワシントン傀儡政権の犠牲になりたがるはずなどありえない。クリミアは、もともと所属していたロシアへの再編入賛成投票をし、東部と南部の州もそうした。

ワシントンと、その諸属国と売女マスコミはウソをつき、こうした自決の行為を、ロシア侵略と併合だと表現した。ロシアは、分離派諸州に軍隊を駐留させているとぬれ衣を着せられている。

ワシントンのインチキな非難の狙いは、ロシアと、ロシア政府の不安定化だ。ワシントンには、ロシアを不安定化させる為の様々な手だてがある。ワシントンには、アメリカが資金提供するNGOや、外国資本所有のロシア・マスコミ、下院決議は、ワシントン政府に、ロシア国内向けのロシア語プロパガンダ放送を拡大するよう要求している。ワシントンは、自分達の経済的、政治的権益を、欧米に合わせようとする、オリガルヒ、事業権益や、ロシア人政治家を養成してきた。自由は欧米にこそ存在すると思い込んで、だまされているロシア人の若者や、欧米の無道徳主義やら、ロシア政府が支持するキリスト教文化に対する背徳主義を好むプッシー・ライオットが代表する様な連中がいる。

もしワシントンが、ロシアの不安定化、あるいはプーチン暗殺に失敗すれば、欲求不満が軍事衝突を引き起こしかねない一層無謀な行動。下院決議は、ウクライナが分離主義諸州を征服し、クリミアを取り戻すため、オバマ大統領に、ウクライナに、アメリカの武器を与えるよう要求している。NATOそのものが、ロシア国境への更なる兵力配備を絶えず主張しており、NATO作戦演習が、ロシア国境付近で行われた。ワシントンは、グルジアとウクライナの元ロシア州だった部分を、NATOにとりこみたがっているが、ロシアがこれを受け入れることはできない。

ミシェル・ チョスドフスキー教授が“第三次世界大戦シナリオに向かっている”で明らかにした通り(Global Research、2012)、ワシントンは、世界をハルマゲドンへの道に向かわせている。

ロシア政府は危険性を実際より軽く扱って、ロシア政府として、協力して解決したい“欧米のパートナー”という言い方を続けている。ロシア政府とロシア国民、実際は、世界中の全員が、欧米にはロシアのパートナーなどいないことを理解すべきだ。ロシアには敵しかいない。

ロシアは、独自の権益と独自の政策を持った主権国家としてでなく、属国としてしか、欧米の一部になれないことを、ワシントンは、まざまざと見せつけた。覇権に対するワシントンの要求は、ワシントンの意志に抵抗できるほど強力な他の主権国家の存在を許容しない。覇権というイデオロギーが、ワシントンを強力に支配し、ネオコンによる極めて重要な政府役職やマスコミの支配が制度化されていれば、戦争となるのはほぼ確実だ。

ワシントンの傀儡たるヨーロッパ支配者連中は、ネオコン主戦論者をやりたい放題に放置している連中だ。全ヨーロッパ中に、ワシントンから独立した政府は存在しない。メルケル、キャメロンや、オランド等の手先連中は、人命を売り渡しているのだ。

プーチン大統領やラブロフ外相等のロシア政府幹部は、事実で対処しようとしているが、ワシントンと、ヨーロッパの属国にとって、事実は重要ではない。重要なのはロシアを不安定化させることだ。ワシントンがロシアにもたらした紛争は、事実を基にして、対処することは不可能だ。

ワシントンは、サダム・フセインが大量破壊兵器など保有していないこと、アルカイダとのつながりなどないことを知っていた。ワシントンは、アサドが化学兵器を使用していないことを知っていた。ワシントンは、カダフィがウソではめられたことを知っていた。ワシントンは、イランが核兵器を保有していないことを知っている。ワシントンにとって重要だったのは、真実ではなく、こうした政府の打倒だった。

ロシア政府が、オリンピックに気を取られている間に、ワシントンは、ウクライナに口をはさみ、傀儡政権を据えつけた。ウクライナの悪化しつつある問題を解決できる唯一の解決策は、ウクライナをロシアに再度取り込むことである可能性が高い。

傲慢さと尊大さは、えてして勢力の広げすぎに終わることが多く、勢力の広げすぎは、ワシントン帝国の崩壊をもたらしかねない。だがワシントンは、そうは考えない。マイダン抗議運動と呼ばれたもので、ワシントンがNGOをキエフ街路に展開させたのと同様、抗議行動や暴動が中国の他の都市にも広がることを願って、ワシントンはそのNGOを香港街頭に展開させた。

ロシアと中国は、欧米に対し、必要以上に自らを開いている。ロシア皇帝ニコライ2世は、自分の政府が打倒されるとは思っていなかったが、ケレンスキーがニコライの政府を、二月革命で打倒し、十月革命で、すぐにレーニンに打倒されてしまった。中国は打倒されるとは思っていないが、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領もそうだった。

政治の世界は野心家や計略に満ちている。ロシアで、プーチンは、こうした野心家連中と直面している。ワシントンは、プーチンが大統領である限り、ロシアを属国に変えることができないのを知っている。それゆえプーチンの悪魔化と彼に対する策謀は続くだろう。

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四半期毎のご寄附のお願い

多くの皆様が御承知の通り、数年前に私が引退しようとした際に、読者の皆様は、それを受けいれてくださらなかった。私は、協賛各紙に同時に掲載され
るコラムを降りて、皆様にお別れをつげた。皆様が、何千通もの電子メールで、小生の経験と知識を頼りにしておられ、それが現代の出来事を客観的に理解する
のに役立っていると言ってこられたのだ。皆様の御意見には説得力があった。私は引退を止め、このウェブサイトを開設したが、皆様から強固なご指示頂いてい
る。

これは皆様のウェブサイトだ。皆様に支持を頂ける限りは継続する。

 

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2014/12/05/russia-western-enemies-partners-paul-craig-roberts/
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昨日翻訳した記事「アメリカ政府は世界覇権しか頭になく、ロシアは邪魔になっている - 元レーガン経済顧問」より詳しく書かれているが、趣旨は当然同じ。

新刊情報に、『続・100年予測』の著者(会長)と同じく、ストラトフォーの人が書いた本の翻訳刊行とあったので、早速購入。『地政学の逆襲 「影のCIA」が予測する覇権の世界構図』。筆者はストラトフォーの地政学チーフアナリスト。いずれも同じ翻訳者。

ウクライナ、ロシアについてもちろん書いてあるが、『続・100年予測』の方が、よりあけすけに書かれていて、現状の背景がわかりやすいように思える。
知人から頂いた古い本の方が、自腹を切った高価な新刊本より、むしろ興味深く、日本についての記述も多い。

地政学チーフアナリスト氏による、紀行文のような『バルカンの亡霊たち』をずっと昔読んだような気がする。気のせいかも知れない。読みながら、この人は、ジャーナリストというより、諜報専門家に違いないと思ったことだけ覚えている。もったいないことに、何がかいてあったかは、すっかり忘れてしまった。本そのものも行方不明。

古書を購入しようと思ったが、とてつもなく高価で手が出ない。

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