アメリカの対ロシア経済戦争に挑戦する中国
Alex Lantier
2014年12月23日
World Socialist Web Site
ルーブルを弱体化し、ロシア経済を破産させる為のロシアへの融資停止というNATO諸大国の政策に真っ向から挑戦して、中国はモスクワへの金融支援拡大を約束した。
土曜日、中国の王毅外務大臣は、今年ドルに対し、価値が劇的に45パーセントも下がった、ルーブル危機についての発言で、中国・ロシア間の相互扶助の必要性を強調した。“ロシアには現在の経済状況の困難を克服する能力も知恵もある”王外務大臣は述べた。“もしロシア側が必要なのであれば、わが国は、対応できる範囲で必要な支援を行うつもりだ。”
日曜日、中国の高虎城商務相は、北京は、エネルギーと製造業において、モスクワとの関係を強化するつもりだと、香港のフェニックスTVに語り、中国-ロシア貿易は、ルーブル危機にもかかわらず、今年、1000億ドルの目標を実現するだろうと予測した。ドル、あるいはユーロでは、ルーブルの価値が大きく振れるので、高商務相は、中国-ロシア貿易での金融で、ドルから離れ、中国通貨の元、人民元を使用するよう提案した。
中国は“二国の経済が、どのように相互補完できるかといった様な基本的要素”に注力するつもりだと高商務相は述べたとロイターは報じている。“投資家達は、動きの激しい株や外国為替市場の方により関心があるだろう。しかし具体的な二国間協力という意味では、我々はバランスの良い考え方をして、こうした協力を推進すべきだ”と高商務相は述べた。
昨日、中国日报は、ロシアに対する支援は、上海協力機構 (SCO)やBRICSフォーラムのようなチャンネル経由で行えようという中国社会科学院の李建民の発言を引用した。重要な点は、SCO(中国、ロシアと中央アジア諸国の同盟)も、BRICS (ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)も、アメリカ合州国とヨーロッパを排除していることだ。
李首相は、既に先月、中国とロシアの李克強、ドミトリー・メドベージェフの両首相が、カザフスタンで会談した際、二人は、鉄道、インフラ、および、中国北部にあるロシアの極東地域開発に関する広範囲な契約に調印したと語った。“借款、大規模計画での協力、ロシア国内インフラ投資への参加も選択肢としてある”と彼は付け加えた。先月そのような契約の一つとして、中国はロシア・ガス購入の4000億ドル、30年の契約に署名した。
こうした支援の申し出は、自分達によるユーラシアの新植民地主義的再構築に反対しているモスクワを懲らしめる為、アメリカとヨーロッパの帝国主義諸国がしかけた、対ロシア経済戦争と対決するものだ。
シリアにおけるNATOの代理戦争に対して、バシャール・アル-アサド大統領をロシアが支援していることと、NATOが支援するウクライナのキエフ政権に、ロシアが反対していることへの報復として、NATO諸大国は、財政的に、ロシアを押さえつけようとしている。世界石油価格の下落とルーブル崩壊と共に、ロシアの石油収入が減少すると、こうした国々は、ロシアへの融資を停止し、ロシアが、キエフ政権を黙って受け入れるよう要求している。(「帝国主義とルーブル危機」(英語原文)を参照)
この戦略の基本的な金融メカニズムは、ロンドンのフィナンシャル・タイムズで、ピーターセン国際経済研究所のアンデルス・アスルンドによって説明されている。“全員がアメリカの金融規制当局を恐れている為、ロシアは中国の国営銀行からすら、大規模な国際的な資金調達を得られていない”と彼は書いている。1250億ドルという年間資本流出のおかげで、liquid 外貨準備高わずか2000億ドル、総対外債務6000億ドルなので、ロシアは、ドル不足に陥り、わずか数年のうちに破産する、とアスルンドは計算している。
ところが今や北京は、アメリカ合州国との対決という危険を冒して、ロシアに金融の命綱を公然と投げる用意をしている様に見える。中国の3.89兆ドルという外貨準備高は、少なくとも帳簿上では世界最大で、北京は、ロシアの負債を容易に返済することが可能だ。
王外相と高商務相のロシア支援の呼びかけが、ロシアに関して分裂した、先週の欧州連合 (EU)サミットの後に行われたことは意味深い。EUは、アメリカの対ロシア経済制裁を指示はしているものの、ドイツ外務大臣フランク=ヴァルター・シュタインマイヤー、フランスのフランソワ・オランド大統領と、イタリアのマッテオ・レンツィ首相等は全員、公式に経済制裁強化の呼びかけに反対した。主要なヨーロッパ新聞各紙もロシア国家崩壊の危険性を警告した。
景気の冷え込みと、労働者階級、農民大衆による社会的抗議行動の増大に直面している中国政権が、ルーブル危機への対応を熟考する際、北の隣国の徹底的な経済的、政治的内部崩壊の影響も恐れていることは確かだ。
石油危機を巡る、主要大国間の経済摩擦噴出や、ユーラシアにおける帝国主義戦争への衝動は、世界資本主義危機が深化した状態にあることを証明しており、世界大戦の危険性を増大している。
ロシアに対する中国支援が実現するようなことになれば、アメリカと中国の対立も深刻化する。ワシントンは、日本やオーストラリアやインドと組んで“アジア基軸”で、中国を軍事的に包囲しようとしている。中国との経済的、軍事的戦争の計画が、ウオール街とペンタゴンで、熟考されているのは確実だ。
“中国はドイツ皇帝の過ちを繰り返してはならない”と題する一年前のフィナンシャル・タイムズ記事で、コラムニスト、マーチン・ウルフは、アメリカの世界覇権に対する挑戦と受け取られる様ないかなる行動もせぬよう、中国に警告している。中国の政策は、ドイツ皇帝による、イギリス覇権対する挑戦を繰り返しており、1914年の第一次世界大戦勃発前の同様な結果、つまり全面的紛争となると、彼は述べている。
“もしあからさまな対立となれば、アメリカは、中国を世界貿易から切り離すだろう。アメリカは、中国外貨流動性資産のかなりの部分”を差し押さえかねないとウォルフは書き、GDPの40パーセントに等しい中国の“外貨準備高は、当然のことながら、外国で保有されていること”を想起させている。中国がアメリカ合州国とヨーロッパとの貿易で得ている何兆ドルの、そのような露骨な窃盗は、ただちに世界貿易崩壊の可能性を高め、核保有大国間の戦争を準備することになる。
益々見境のない、暴力的な政策で、アメリカ帝国主義は余りに強く出過ぎて、国内では自らの信用を落とし、ライバル諸国からの反対に油を注いでいる。特に、ロシアと中国を団結させることで、ワシントンは、アメリカ帝国主義の国政術の重要な成果だと長く思われてきたものを台無しにしているのだ。1972年のアメリカのリチャード・ニクソン大統領と中国指導者毛沢東との間の、中国を旧ソ連に対するアメリカ同盟国へと変えた和解。
“多くの中国人は今もロシアを重要な兄弟と見なしており、二国は戦略的にお互いに重要です”中国人民大学副院長、金灿荣は、スターリン主義の中国共産党が、1949年に政権を握って間もなく朝鮮戦争で、中国がアメリカ合州国と戦った際、ソ連が支援したことに触れて。“国益の為、そのような協力が必要な時期に、中国はロシアとの協力を深化させるべきだ”と述べた。
“ロシアは、国際舞台での掛け替えのないパートナーだ”中国共産党と繋がるグローバル・タイムズは、昨日の社説でそう書いた。“現在の危機からロシアが抜け出すのを支援する為、中国は積極的姿勢をとるべきだ。”
記事原文のurl:http://www.wsws.org/en/articles/2014/12/23/chin-d23.html
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大惨事傀儡政権を言祝ぐ大本営広報部翼賛報道に読むべき内容皆無と想像する。前回と同じで、庶民の利益になる政策は皆無。税と血の搾取が強化される
だけ。慶賀するような政策全くない。自分の首をつってくれる先生を選ぶように誘導する大本営広報部と、それにつられるおめでたい酷民と、まともな人が気が
ついて投票しても反映されないように仕組まれた小選挙区制度。地獄に行くには、この道しかない。
紙媒体・電気洗脳機、全てのプロパガンダは見ない・読まない。頭脳に百害あって一理なし。
良いブログ記事は簡潔かつ的確で、頭脳・精神衛生にもお勧め。
12月25日 安倍「大惨事」(第3次)内閣を待ち受けるこれだけのジレンマと難問
上映中止騒動が「丸ごとヘイト・スピーチ国家」である証明?観客が行列しているのにびっくり。人気の為というより、テロ防止の身体・持ち物検査のせいか? 持ち物検査までして見る映画だろうか?手荷物より「知能検査をしたくなる」といえば、お叱りを受けるだろう。
ポール・クレイグ・ロバーツ氏、恒例のクリスマス・コラムを書いておられる。キリスト教にうとい素人、翻訳をする気力がでず、サボらせていただきたい。ごく一部をご紹介する。
私の恒例クリスマス・コラムは、私が新聞社のコラムニストだった1990年代にさかのぼる。コラムは国内でも海外でも広く掲載されてきた。毎年、二、三人の読者が、宗教は戦争と迫害の根源だと諭す手紙を書いてこられる。こうした読者の方々は、宗教と、宗教的であれ非宗教的であれ、人間による、各種機関の乱用を混同しておられるのだ。アメリカ合州国には、市民的自由を守る為の民主的機関や法的機関がある。それにもかかわらず、アメリカは警察国家となっている。民主主義と市民的自由は警察国家の根源だと私は主張すべきだろうか?
IWJの饗宴Vで講演された上村静氏の著書の中でも、『キリスト教の自己批判 明日の福音のために』新教出版社刊、定価=本体950円+税 の121ページの文章が、小生には遥かに分かりやすい。
キリスト者にはキリスト教を自己批判し続ける義務がある。いったいキリスト者の他にだれがキリスト教を批判できようか。だれの批判なら耳を傾けるのか。
キリスト教が、キリスト教会が、キリスト者が、これまでどれほどの暴力を行使してきたか、それは世界史年表を埋め尽くしているではないか。西洋キリスト教国家が、キリスト教の価値観が、今なお世界中にばらまいている災厄が見えないのか。
恥ずかしながら宗教的知識皆無のメタボ人間、今頃、小室直樹『日本人のための宗教原論 あなたを宗教はどう助けてくれるのか』を読み始めた。ずるをして、第6章「日本に遺された【儒教】の負の遺産」、第7章 「日本人と宗教」から読んでいる。
非キリスト教徒たる大半の日本人にとって、一時のクリスマス・イベントより、キリスト教についての貴重な情報こそ重要だろう。
013/12/25 キリスト教の「神話」のベールを取り去り、「史的イエス」の実像に迫る――岩上安身による上村静氏インタビュー
話を戻そう。上記記事とよく似た趣旨?のものに下記がある。しかし遥かに膨大。
Vineyard of the Saker White Paper:the China-Russia Double Helix
December 22, 2014
この文章、本文でなく、長大な『中国・ロシア二重螺旋白書』(Wordあるいは、PDFファイル形式)の「紹介」に過ぎない。ページの末尾に、ファイルをダウンロードするリンクがある。
紅白歌合戦や年始番組は見ない恒例ゆえ、『中国・ロシア二重螺旋白書』解読をしてみようかどうしようかと考えている。
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