キューバにおける体制転覆
Paul Craig Roberts
2014年12月19日
キューバとの国交正常化は、外交上の飛躍的進展の結果でもなければ、ワシントン側の心変わりでもない。正常化は、アメリカ大企業が、キューバにおけるブロードバンド・インターネット市場開発等、キューバで利益を上げる機会を求めた結果に過ぎない。
アメリカの左翼やキューバ政府は、正常化を幸いだと考える前に、正常化すれば、アメリカの資金とアメリカ大使館がやってくることに思いをいたすべきだ。アメリカの資金が、キューバ経済を乗っ取るだろう。大使館は、キューバ政府を転覆させる為のCIA工作員の巣窟となるだろう。大使館は、アメリカが、キエフでの様に、だまされやすい参加者達を、適切な時期に街頭抗議行動に繰り出させることが可能なNGOをたちあげるための基地となり、大使館開設で、ワシントンは新たな政治指導部の一団を育てることが可能になる。
要するに、国交正常化とは、キューバの政権転覆を意味している。まもなく、キューバは、もう一つのワシントンの属国になるだろう。
ペギー・ヌーナンや、マルコ・ルビオ上院議員等の保守派や共和党議員は、カストロは“天国のような国を、海に浮かぶ監獄に変えた悪漢”で、キューバとの国交正常化が“カストロ政権の正当性を認める”ことにはならないと明言している
例外的なアメリカ人に、何百人もの無辜の人々が囚われ、人生のほとんどの時期を拷問されて過ごしている、キューバにあるワシントン海外拷問監獄、グアンタナモを、ヌーナンは忘れている。キューバ革命は、キューバ国民を、外国による支配と、外国の資本家による搾取から解放する為のものだった。成功の可能性はともあれ、半世紀にわたるワシントンの敵意は、キューバの経済問題にも共産主義イデオロギーにも関係しているのだ。
アメリカ人の独善は極端だ。ヌーナンは幸せだ。アメリカの資本が、今やカストロが生涯を捧げた仕事をくつがえそうとしている。そして、もし資本で倒せなければ、CIAが倒すだろう。CIAは、ピッグズ湾の恨みを晴らす機会を長いこと伺っていたが、国交正常化がその好機をもたらしてくれよう。
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Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2014/12/19/regime-change-cuba-paul-craig-roberts/
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前回翻訳した記事のだめ押しという雰囲気に読める。
大本営広報部がとりあげている話題をあれこれいっても意味はない。本当に重要な話題は争点にも記事にもしないのだから。
それより、前回記事の末尾に流用させて頂いた、孫崎享氏の近刊書籍にまつわる『何故真珠湾攻撃という愚かな道を選んだか』(仮題)予定通り出版されるか? と題するニコニコチャンネルブログメルマガ記事の冒頭部分を、流用させて頂こう。
1:本の目的(抜粋)
今回、日露戦争から、真珠湾攻撃までの期間を書く目的はただ一つです。「何故真珠湾攻撃という愚かな道を歩んだか」です。でも、今、何故、「真珠湾攻撃という愚かな選択をしたか」を書いてみようと思ったか、説明した方がいいと思います。
私は今、日本の進む道に大変な危機感を持っています。
原発の再稼働、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加。消費税の増税、集団的自衛権、秘密保護法等、日本の生き方を根本的に替える動きです。
福島原発事故で、地震が、とてつもない危険をもたらすことを示しました。しかし日本は再稼働しようとしています。
TPPでは日本の国家主権をなくしていく動きです。TPPは関税引き下げが一番の目的ではありません。外国企業の利益を確保することが最重要なのです。
集団的自衛権は、日本を守ることと関係なく、自衛隊を米軍のために使わせる制度です。
日本の政治を「最大多数の最大幸福」を求める者であると規定するならば、日本は今逆の道を歩み始めました。
何故、原発の再稼働、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加。消費税の増税、集団的自衛権、秘密保護法等、日本の生き方を根本的に替える「戦後最悪の愚策」を行おうとしているのでしょうか。
そしてこれらの政策を進める人々はこれら、「戦後最悪の愚策」を推進するにあたって、その政策を「嘘」と「詭弁」で固め、「嘘」が明確になっても、全く平然としています。
追記:
2015年8月8日、「機関紙に転載・掲載させて頂きたい」というコメントをいただいた。「メールで返事をせよ」というご指定。メール回答の必要性、意味が良くわからない。
翻訳者名も載せたいといっておられるが、「メタボ・カモ」ではなぜまずいのだろう。今日の体重測定では、26.2ゆえ、本当はメタボ・カクジツかもしれないが。
TPPあるいは、日米二国間協定で、インターネットの著作権が非親告罪になるまでは、転載しても告訴されることはないのではと素人は愚考する。
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コメント
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体制転覆は、あり得る筋書きの一つだし、ワシントンにそれを狙っている人々がいることは間違いないでしょう。しかし別の筋書きとして「ベトナム化」もありえます。つまり一党独裁制を維持したまま資本主義に移行させ、事実上の属国とするという道筋です。
投稿: Harlequins | 2014年12月27日 (土) 16時30分