遺伝子組み換え生物 (GMO): 利益、権力と地政学
Colin Todhunter
Global Research
2014年12月15日
遺伝子組み換え生物(GMO)は、世界中の人を食べさせる為に不可欠というわけではないが[1,2]、もしそれが、生産性を増し、環境を損なわず、生物学的多様性や人の健康に悪影響を与えないとしたら、それを受け入れた方が賢明なのだろうか?
事実は、GMO技術は、依然、特定の極めて強力な権益集団が所有し、支配するのだ。彼らの手中にある、この技術は何よりもまず、大企業権力の手段、利益を保証する道具だ。その上に、アメリカのグローバルな地政学的権益にも役立とうとしているのだ。実際、農業は長い間、アメリカ外交政策の中心でありつづけている。
“アメリカ外交政策は、人々が考えがちな工業製品の輸出ではなく、ほとんど常に農産物輸出に基づいている。農業と食糧供給の支配によって、アメリカ外交が、第三世界の大半を支配することが可能になっているのだ。世界銀行の地政学的貸し出し戦略は、換金作物、つまり自らの食料作物で、自らが食べられるようにするのではなく、プランテーション輸出作物を栽培するよう説得して、国々を食料不足地域に変えることだった。”マイケル・ハドソン教授 [3].
アメリカ新世紀プロジェクトと、ウォルフォウィッツ・ドクトリンが、アメリカ外交政策とは、権力と、支配と、いかなる代償を払っても、世界覇権の確保が狙いであることを示している[4,5]。この世界支配実現計画の一環が、アメリカによる農業支配と、食料主権と、国家の食料安全保障をハイジャック。
著書『ロックフェラーの完全支配 第2巻 アグリスーティカル(食糧・医薬)編』‘Seeds of Destruction’で、ウィリアム・イングドールは、石油で儲けているロックフェラー家が、いかにして、その膨大な富を政治的影響力用に投入して、アメリカの、更には世界の農業を、‘緑の革命’によって手に入れることに乗り出したかを追跡している [6]。巨大なダム、水を大量消費するインフラ要求と共に、この方式の農業が、大企業が支配する石油製品に、農民が依存するようさせ、農民も世界の国々もドルと借金に依存するようにさせているのだ。GMOも、主に、モンサント、デュポンやバイエル等のごくわずかなアメリカ企業による特許と、種子の独占強化によって、これとほぼ同じ様なものだ。
インドで、モンサントは近年、ロイヤリティで農業から何百万ドルも吸い上げたが、農民は、種子と化学薬品を購入する為に、収入以上の出費を強いられている[7]。借金、経済の自由化や、(GMO)換金作物(綿)への移行の組み合わせから、何十万人もの農民達が経済危機を経験しているのに、一方、大企業は膨大な利益を得ている[8]。インドでは、90年代中期から末期以来、270,000人以上の農民が自殺している [9]。
南米でも、GMOや工業規模農業が根付いた後、農民や先住民が自分達の土地から追い出され、暴力的な弾圧を味あわされているという似たような話がある[10]。アフリカも似たようなもので、モンサントとゲーツ財団は、小規模農業を、もっと大企業支配モデルに変えようとしている。彼らはそれがあたかも慈善行為であるかのごとく、農業への‘投資’と呼んでいる。
農業は様々な社会の基盤であるにもかかわらず、資金豊富なアグリビジネスや、小売りや、食料加工業者の利益のために作り替えられつつある。とりわけ小規模農場が世界の食糧の大半を生産しているため、小規模農園は膨大な圧力に晒されており、食糧安全保障は損なわれつつある、[11]。土地収奪や買収、生産(非食用の)輸出用換金作物、より大量の化学製品投入や、種子の特許化と、農民同士の種子分け合いの根絶で、農業技術大企業や土地への機関投資家の利益は保証される。
この化学製品大量使用、大エネルギー消費モデルでは、土壌劣化の為、イギリスは、あと100回しか収穫することができないと、研究者達が主張しているにもかかわらず、巨大アグリビジネスが望む形での農業の作り替えは、世界中で続いている[12]。パンジャブでは、工業規模の‘緑の革命’モデル、大企業支配の農業が、深刻な水不足や、癌の増加、生産性の低下等の危機をもたらした[13]。世界的に農業恐慌がおきている。益々支配的になりつつある大企業主導モデルは、持続不可能だ。
知的な作物管理と、化学製品使用をより少なくして、世界中の人々を食べさせられることができるのみならず、自然環境と持続的に働ける、より環境に優しい形の農業が求められている。無数の公式報告や科学研究は、特に貧しい国々では、そのような政策の方がより適切であることを示唆している[14-16]。
時折、化学-工業モデルは、伝統的な方法より収穫高が多いと言われるが(これは一般化であり、誇張されていることが多い[17])、これすら不実表現だ。より多い収穫は、大企業が生産する化学製品の大量投入によるもので、健康や環境に対する莫大な悪影響や、このモデルの燃料となる石油獲得の為の資源紛争の激化を招いている。経済中のキャッシュフロー水準が高くなるので経済‘成長’(GDP)は刺激される(そして大企業利益は増加する)という誤った観念同様、農業‘生産性’向上という考え方も、一連の狭義の基準に由来する。
経済‘成長’や現代農業や‘発展’を支える支配的概念は、傲慢さと軽蔑にすっかり染まった物の見方を表す一連の前提に基づいている。世界は都市中心、自民族中心主義のモデルで作られるべきで、地方は見下されるべきで、自然は支配すべきで、農民は土地から排除されるべき問題であり、伝統的なやり方は遅れており、救済策が必要だ。
“グローバルなアグリビジネスが販売し、商業的に流通するジャンク・フードではななく、自分が栽培した食料を食べている人々は‘貧しい’と見なされる。軽量コンクリートブロックや、セメントの家ではなく、竹や泥の様な、環境上、良く適応した材料を使って自分が建てた家に住んでいる人々は貧しいと見なされる。合成繊維ではなく、手製の天然繊維で作られた衣服を着ていると、人は貧しいと見なされる。”ヴァンダナ・シヴァ[18]
欧米大企業は、世界貿易機関、IMFと世界銀行の政策を決定することで(従順な政治家や役人連中の助けを得て) 地方を過疎化し、人々を都市で暮らすよう追い出す為の救済策を実施し、それから、全く持続不可能で、引き渡しが不可能な、環境を破壊する、紛争だらけの、アメリカン・ドリームの大量消費版に向けて懸命に努力するのだ[19,20]。
‘開発途上’国は世界人口の80%以上を占めるのに、世界のエネルギーの約三分の一しか消費していないことを知るのは興味深い(そして気掛かりだ)。アメリカ国民は世界人口の5%だが、世界のエネルギーの24%を消費している。平均して、一人のアメリカ人は、日本人2人分、メキシコ人6人分、中国人13人分、インド人31人分、バングラデシュ人128人分、タンザニア人307人分、エチオピア人370人分のエネルギーを消費している [21]。
環境と社会の悪化が引き起こされるのに、単にそれで恩恵を受ける事業権益や、GDP成長ゆえに、結果は成功と見なされる。人々が何世紀にもわたって持続可能な暮らしをしてきた森を丸ごと切り倒し、材木を売り、土壌に吹きつける為の更なる毒を売りつけたり、あるいは石油化学食品生産モデルの健康被害に対処する薬品を売りつけたりすれば、実際にGDPを押し上げるだろう。そうではないだろうか? それは事業にとっては良いことだ。そして企業にとって良いことは、皆にとっても良いことなのだというウソがまかり通る。
“資本主義家父長制によって形成される主要な支配的機関としての大企業は、生態上のアパルトヘイトで栄える。大企業は、自然と人間を対立させる、デカルト的二元論によって栄える。デカルト的二元論は、自然を、女性的で、受動的で、意のままに操れるものと定義する。大企業中心主義は、かくして男性中心主義でもある。家父長制構造物なのだ。地球の征服者、所有者としての人間という偽りの普遍主義は、地球工学や、遺伝子工学や、核エネルギーという技術上の思い上がりをもたらした。それは、特許によって生命体を、民営化によって水を、炭素取引によって空気を所有するという倫理違反をもたらした。これは貧しい人々に役立ってきた生物学的多様性の占有をもたらしつつある。”[22]
‘緑の革命’と現在のGMOは、究極的に世界の人々を食べさせることや、バランスの良い栄養に富んだ食事の実現や、健康や環境の安全の確保を気にかけているわけではない。(実際インドは、かつて栽培していたが、もはや栽培をやめた食料を輸入している [23]; アフリカでも、現地の食事は多様性が少なくなり、健康にそれほど良くないのものになっている[24]。) そのような考え方は、プロパガンダに基づくか、あるいは大企業権益に役立つよう押しつけられた善意の感情に由来する。
バイオ技術革新は、農業を向上させる上で、常に役割を演じてきたが、1945年以後の農業モデルは、ペンタゴンとウオール街の権益と密接に結びついたモンサントの様に強力な大企業によって動かされている[25]。私欲が動機なのに‘世界の人々に食糧を供給する’等という流行PRで包んだり、繁栄を確保する為に、緊縮政策を押しつけたりという、アメリカの国家-大企業徒党が公式に語る意図を額面どおりに受け取ってはならない[26,27]。
インドでは、農業ノレッジ・イニシアチブを策定する上で、モンサントとウォルマートが、主要な役割を演じている[28]。モンサントは、現在公的機関の研究に資金提供しており、そうした存在と影響力が、実際は独自であるべき判断や、政策決定機関を損なってしまうのだ[29,30]。モンサントは、最終的に、アメリカによるインドの再構築と、従属化をもたらしかねない原動力の黒幕だ[31]。IMFとモンサントは、土地と農業を手に入れて、ウクライナが、確実にアメリカの地政学的な狙いに従属させようと動いている[32]。裕福な権益組織による、農業(と社会)の奪取は世界的現象だ。
土地や巨大アグリビジネスへの裕福な機関投資家や、アメリカ国務省で彼らを支援する連中が、内心、人類の利益を考えている等と信じるのは、全くうぶな連中だけだ。少なくとも連中の共同目的は利益だ。その上、それを促進し、アメリカ世界覇権を確保する必要性が最重要なのだ。
GMOを取り巻く科学は、益々政治色が強くなり、誰の手法やら、結果や、結論に関するものやら、科学が何を、なぜ示しているのかといった些細な議論にこだわっている。ところが全体像は見過ごされる危険にさらされていることが多い。GMOは単なる‘科学’の問題ではない。争点として、GMOと化学-工業モデルは、究極的には、権力と利益によって動かされている地政学的なものとつながっている。
注
1] この報告書は、世界的食料不足の根本的原因を示している。http://www.cban.ca/Resources/Topics/Feeding-the-World/Will-GM-Crops-Feed-the-World
2] 公式報告や、データ源、参考文献を引用して、この記事は、インドにおける農業生産性は、1760年や1890年の方が良かったここと、そしてインドには化学-工業化農業、ましてやGMOなど不要であることを示している。http://www.globalresearch.ca/india-genetically-modified-seeds-agricultural-productivity-and-political-fraud/5328227
3] http://michael-hudson.com/2014/10/think-tank-memories/
4] http://www.informationclearinghouse.info/article1665.htm
5] http://www.informationclearinghouse.info/article40093.htm
6] アルン・シリヴァスタヴァが、ここでイングドールの本を書評、要約している。: http://www.globalresearch.ca/seeds-of-destruction-the-hidden-agenda-of-genetic-manipulation-2/9379
7] http://www.countercurrents.org/shiva180614.htm
8] イギリス、ケンブリッジ大学の研究者達による報告書所見に基づく。http://www.cam.ac.uk/research/news/new-evidence-of-suicide-epidemic-among-indias-marginalised-farmers
9] BBCが引用した2013年公式数値: http://www.bbc.co.uk/news/magazine-21077458
11] GRAINが発表した公式報告: http://www.grain.org/article/entries/4929-hungry-for-land-small-farmers-feed-the-world-with-less-than-a-quarter-of-all-farmland
12] Farmers Weeklyは、イギリス、シェフィールド大学の研究者による報告を引用している。http://www.fwi.co.uk/news/only-100-harvests-left-in-uk-farm-soils-scientists-warn.htm
13] 公式統計と研究所見を引用した新聞報道。http://www.deccanherald.com/content/337124/punjab-india039s-grain-bowl-now.html
14] 国連公式報告: http://unctad.org/en/PublicationsLibrary/tdr2013_en.pdf
15]http://www.srfood.org/en/official-reports# and http://www.plantpartners.org/agroecology-reports.html
16] http://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/14735903.2013.806408#tabModule
17] http://phys.org/news/2014-12-crops-industrial-agriculture.html
18] http://www.organicconsumers.org/btc/shiva112305.cfm
19] 食糧政策アナリストのDevinder Sharma outlinesインドにみける欧米企業の動機: http://www.bhoomimagazine.org/article/cash-food-will-strike-very-foundation-economy
20] アルンダティ・ロイは、インドに適用された‘進歩’という誤った考え方と、それに続く紛争と暴力行為について論じている。http://www.guernicamag.com/features/we-call-this-progress/
21] http://public.wsu.edu/~mreed/380American%20Consumption.htm
23]‘緑の革命’と‘自由貿易’が、いかにしてインドを、かつて自給自足していた食料の純輸入国に変えてしまったかを、ヴァンダナ・シヴァがここで書いている。http://www.aljazeera.com/indepth/opinion/2013/09/201398122228705617.html
24] アフリカにおける農業の窮状を書いた記事。http://www.globalresearch.ca/behind-the-mask-of-altruism-imperialism-monsanto-and-the-gates-foundation-in-africa/5408242
26] 事実に基づくモンサントの歴史的洞察と、同社の不正行為を書いた記事。http://www.globalresearch.ca/the-complete-history-of-monsanto-the-worlds-most-evil-corporation/5387964
27] 近年のウオール街による詐欺行為と、政治・経済体制全体における共謀の分析: http://www.wsws.org/en/articles/2012/03/pers-m15.html
28]http://www.democracynow.org/2006/12/13/vandana_shiva_on_farmer_suicides_the
30] http://www.thehindu.com/opinion/lead/nip-this-in-the-bud/article5012989.ece
31] http://www.countercurrents.org/todhunter031114.htm
32] http://www.oaklandinstitute.org/food-security-hostage-wall-street-and-us-global-hegemony
記事原文のurl:http://www.globalresearch.ca/genetically-modified-organisms-gmo-profit-power-and-geopolitics/5419873
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植草一秀氏の『知られざる真実』に「GDP比で農業を切り捨てる前原誠司氏の浅薄さ」という記事がある。2010年11月。内容、この記事と直接つながると思う。
TPP参加に前のめりになっているのは菅直人首相と前原誠司外相である。前原誠司氏は、日本のGDPに占める農業の比率が1.5%だとしたうえで、「1.5%を守るために98.5%を犠牲にするのか」と主張する。
本気なら、政治家として余りに稚拙。事実を知りながら、この記事にあるように、宗主国政策に合わせ、TPPで、農業・日本をつぶすのであれば、売国行為。
小選挙区制度という手品で「選挙で勝った」、正統性皆無の売国奴連中、ますますTPP推進、戦略特区推進に邁進するだろう。
一方で、このとんでもない小選挙区制と政党助成金制を導入したご本人の党、政党助成金を受けられないほど衰退したのは時代の流れだろうか。用済み。
傀儡政治家の運命だろうと思うが、このとんでもない小選挙区制と政党助成金制を導入したご本人の実績に触れた大本営広報部、あったのだろうか?小選挙区制と政党助成金制をさんざんあおったのだから、恩人にお礼をしてもよさそうに思うものだ。
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美味しいインド料理 - モンサントよ,インドから出て行け!
本記事にあるように,ヴァンダナ・シバ氏のインドにおけるGMOの話をYouTubeで少し聞きかじってインドに向かった。いくらかモンサントや遺伝子組み換えについて情報が得られるかなと思って出発したが,ムンバイのスモッグと混雑に圧倒されて郊外まで脚を伸ばせなかった。
北インドにはザミンダ-ル制という小作制度があって農民は搾取され続けていた。飢饉などがあると農民は村を捨てデリ-やムンバイのような大都市に向かい,大都市は更に大都市になった。そして路上生活者あるいはテント難民となった。
星霜25年。ヴァンダナ氏の指摘から類推すると,ムンバイには多くの路上生活者がいるはずだったがそうではなかった。前回紹介したように,爆弾テロ以来,警備がきつくなり雇用が生まれ,レストランの従業員も増えたからであろう。それだけ経済発展が著しかったとも言えるが,その発展の陰で,自殺する農民がいることを改めて認識させていただいた。
インドの家庭料理も美味しい。招待してくれた主人一家は,ヴェジタリアンである。肉を食しない。小麦を練ったチャパティ似のパンが相変わらず美味しかった。果物も新鮮で美味しかった。マンゴの季節ではないので,それはなかったが,小麦パンや果物を味わうたびにモンサントの遺伝子組み換え食品のことが脳裏から離れなかった。
毎朝の食事は特段贅沢ではないが,このご主人一家はいわば上流階級に属するだろう。一方,モディ首相は,父親の代から駅でミルク・ティ-を売って生計を立ててきたという。そういう庶民出身の方が首相までなったのは驚きであり,中産階級の興隆に伴ってカ-スト制度が崩れてきた証拠なのかもしれない。
インドは大国であり,抱える問題は多い。例えばボパ-ルの後遺症。米国のユニオン・カ-バイド社が引き起こした化学工場爆発事故は今もなお人々を苦しめる。補償金は,雀の涙ほどだったという。その他に水力発電所建設のために水没する村やそこに住む人々の問題がある。多くは人命,人権無視である。
原発問題やGMO問題などモディ首相はどのように舵をきっていくのだろうか。それは分からない。分からないが,インド人の知り合いと二十数年前,インドの将来を占ったことがある。30年後あるいは40年後,インドは日本のように発展するだろうと。
その占いは現実のモノとなり,インドは経済的にも成長した。IT産業の集積地バンガロ-ルの発展も著しい(ミスタ-円こと榊原英資氏はインド工科大学の果たした役割が大きいという)。しかし何と言ってもインドと言えば,マンゴと,小麦を練ったチャパティ似のパンであり,豆の入ったダ-ルである。それらが遺伝子組み換え食品にならない事を望む。すなわち,モンサントよ,インドから出て行け!
投稿: 箒川 兵庫助 (1-ホ) | 2014年12月18日 (木) 01時11分