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2014年11月12日 (水)

'エディー・チェヴィー'とゴルビーと壁の崩壊

Eric Margolis

2014年11月8日

25年前の今週、東ヨーロッパのソ連帝国は崩壊しつつあった。ベルリンの壁は穴をあけられた。共産主義東ドイツ政府は、文字通り、歴史の高潮に押し流された。

それは、1963年のキューバ・ミサイル危機以来、世界が直面した最も危険な瞬間でもあった。ソ連指導部は一体どうするだろう? 黙って、おうように譲歩するのか、それとも蜂起を押しつぶす為、巨大な赤軍とKGBを使うだろうか?

興味深いことに、あさましい歴史的敵意をむき出しにして、イギリスのマーガレット・サッチャー首相も、フランスのフランソワ・ミッテラン大統領も、ソ連指導者ミハイル・ ゴルバチョフに、ドイツ再統一を認めないようにと呼びかけたのだ。

ソ連の改良主義指導者は、東ドイツ、ハンガリーとチェコスロバキアでの蜂起を止めることも出来たろう。強力な東ドイツ駐留ソ連軍(GSFG)は、24師団の兵士338,000人、戦車4,200輌、装甲車8,000輌、大砲とロケット弾発射車両3,800門と戦闘機690機を擁していた。

NATOの立案者達は長いこと、東ドイツ駐留ソ連軍が北ドイツ平原の欧米防衛を突破し、最長8日で、アントワープとロッテルダムを強襲するだろうと思い込んでいた。チェコスロバキア、ポーランドとハンガリー駐留ソ連軍団は西方を攻撃する。スイスの国防立案者達は、大規模なソ連軍が、北のNATO防衛軍を迂回して、スイスに踏み込み、ローヌ渓谷に至るだろうと予想していた。

ゴルバチョフ書記長は素早く強権を振るえたはずだ。しかしソ連指導者は、その人道的哲学と持ち前の品位に忠実に、帰還するソ連軍団用の兵舎もアパートもまだなかったにもかかわらず、東ドイツ駐留ソ連軍に対して、解隊し、荷物をまとめ、ソ連に帰還するよう命じたのだ。

東ドイツの壁解放と、それに続いた共産党政府の崩壊は、カール・マルクスと、 コメディアン兄弟、グルーチョとハーポ・マルクスをまぜこぜにしたようなものだった。間違えの喜劇の中で、群衆が壁を強襲して、西ドイツに向かおうとする時にぶざまな東ドイツ政府は麻痺していた。国の幹部誰一人射撃命令を出さなかった。壁の門が誤って開放された。

ソ連では、強硬な共産党員や、軍幹部や、KGBの間での抵抗は強烈だった。エドワルド・シュワルナゼ外務大臣の支援なしに、ゴルバチョフは、退却の合図をすることは出来なかっただろう。

彼は非凡な人物だった。元グルジアKGBの手ごわいボスで、共産党のトップ、シュワルナゼは、到底改革者などでありえない様に見えた。ところが彼は、グラスノスチとペレストロイカという解放政策を共に書き、いやがるソ連権力者集団にその採択を強いたのだ。

モスクワで、シュワルナゼに二度インタビューしたことがある。共産主義体制を一掃し、冷戦を終わらせると彼は固く決めていた。我々は彼のことを“チェヴィー・エディー”と呼んでいた。彼の機敏さと皮肉なユーモア感覚から、彼は非常に好感を抱かせる人物だった。独立したグルジアの大統領になろうとお考えになったことはありますかと質問したことがある。アメリカが支援する2003年の“バラ革命”で打倒されるまで、彼は実際そうなった。

ベルリンの壁崩壊から間もなく、ベルリンに近いヴュンスドルフの放棄されたばかりの東ドイツ駐留ソ連軍司令部の中を歩いたことがある。全く荒廃した光景だった。壊れた窓、壁から剥がされた電話や配管、風の中を舞う秘密ファイル。強力な赤軍は去ったのだ。老練の冷戦戦士として、帝国がかくも素早く消滅するとは信じられない思いだった。数連隊のソ連軍兵士と戦車で東ドイツ蜂起を止められただろうに、と私は瞑想に耽った。

アメリカ大統領ジョージ・H・W・ブッシュと、彼の幹部戦略家達との協定に、秘密裏に、ゴルバチョフとシュワルナゼは同意していたのだ。ソ連は東ヨーロッパとバルト諸国から撤退する。それと引き換えに、NATOを、東ヨーロッパや、どこであれ、ロシア国境近くには前進させないと、アメリカは誓約した。

同様に重要なことは、ゴルバチョフは、ソ連をまとめておくために軍事力を行使することを拒否した。

ソ連指導部は固い協定を結んだと思い込んだ。そうではなかったのだ。

以来、三代のアメリカ政権- クリントン、ブッシュII世とオバマは、本来の勢力圏合意に違反し、ロシア国境に向け、東へのアメリカ勢力拡張を始めた。最近のNATOによる急襲が、ウクライナの親ロシア政権打倒であり、すんでのところで第三次世界大戦を起こしかねない不器用な行為だった。

帝国志向のワシントンにとって、ロシアが倒れている間に蹴飛ばして、ロシアの旧領土を呑み込んでしまいたいという誘惑は抗し難かったのだ。ゴルバチョフは、欧米の権力者世界で、そして多くの怒ったロシア人によって - 、愚かな理想主義者と嘲られた。 “ソ連のジミー・カーター。”

ソ連帝国崩壊から25年後の現在、アメリカの約束は破棄されてしまった。ワシントンは、ロシア連邦を弱体化し、更に解体しようと、固く決心しているように見える。ワシントンは、ロシアが尊敬や親睦に値しない弱小国だったと見なしているのだ。

ロシア人は、ゴルバチョフ-ブッシュ協定は書面でなく、口約束に過ぎなかったのだから、文句を言うのは辞めろといわれたのだ。うぶなロシア人の手抜かりだったのだろうか?

ゴルバチョフは、彼がソ連を破壊したのだと同国人が非難する中、自分が苦労した全てが灰塵に帰するのを隠居所で苦々しく見つめている。シュワルナゼは、グルジアで昨年7月亡くなった。ワシントンで勝ち誇っている共和党の喜びの中、冷戦は再来している。

壁の崩壊から間もなく、欧米の同盟諸国とソ連が、中欧とバルト諸国における勢力圏と中立地帯に関し、しっかりと合意に達しない限り、危険な一連の紛争は不可避だと書いたのを私は覚えている。我々は今そこにいる。

記事原文のurl:http://ericmargolis.com/2014/11/eddy-chevvy-gorby-and-the-fall-of-the-wall/

Eric・S・Margolisは、受賞した、国際的に同時掲載されるコラム筆者。彼の記事は、ニューヨーク・タイムズ、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン、ロサンゼルス・タイムズ、タイムズ・オブ・ロンドン、ガルフ・タイムズ、ハリージ・タイムズ、パキスタンのネーション、トルコのHurriyet、サン・タイムズ・マレーシアや、アジアの他のニュース・サイトとに掲載されている。http://ericmargolis.com/

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今日の朝刊、「TPPの決着がなかなかつかない」という記事と、「マレーシアでは、TPPに反対する強い声がある」という記事がならんでいる。

マレーシアの人が、フロマン氏に、一体どのようなメリットがあるのか聞いても、一向にまともな返事はないのだという。「繊維だ」という答えを聞いて驚いたともある。

TPPでは、マレー系人を優先する、プミプトラ政策も完全に無視されるのだ。

「TPP、日本にとって一体どういうメリットがあるのか」という一番肝心な記事がない不思議。

手元に『ソビエト帝国の分割 日・米・独の分捕り合戦がはじまる』小室直樹著がある。1990年3月30日刊 カッパ・ビジネス

小室直樹氏、昭和55年8月に、『ソビエト帝国の崩壊 瀕死のクマが世界であがく』を書いている。昭和55年、つまり、1980年にソ連崩壊の必然性を説明していた人物だ。

1990年3月刊の『ソビエト帝国の分割』187ページに、

世界で唯一もうかる植民地、ロシアをめぐる日・米・独の分捕り合戦がはじまる

という見出しがある。

そして、191ページにこうある。

筆者は先ほど、植民地はもはやひきあわないと書いた。
が、世界に一つだけ儲かる植民地を発見。
それこそロシア。青い鳥、ロシアにはまだどっさりこといる。
ドイツにだけとられてたまるか。
ブッシュは怒る。海部(かどうか知らないが)も怒る。
かくて日・米・独の植民地戦争勃発。
もちろん、植民地戦争といっても、銃火を交えてドンパチやるわけではない。このたびの戦争は純然たる経済戦争だ。植民地ロシアのよりおいしい部分を分捕るための、最大利益を求めるための戦いである。
  ではその結末は……。次の機会に述べよう。

今見ている光景?

この『ソビエト帝国の分割』に続く

『ソビエト帝国の復活 日本が握るロシアの運命』小室直樹著、1991/4/1刊には、日本の協力が最高の方策と書いてあった記憶があるが、手元になく定かではない。

『ロシアの悲劇 資本主義は成立しない』小室直樹著 1991/9/30刊は、その延長?

2章がまさに、ゴルバチョフが共産党を殺した ゴルバチョフ論文の世界史的意味。

小室直樹氏の本、改めて、まとめて、読み直してみようと思っている。

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