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2014年11月 3日 (月)

機能不全なアメリカ

Paul Craig Roberts
2014年10月31日

アメリカ合州国が機能不全な社会であるという更なる証拠を、読者がお望みであれば、アメリカ選挙をご覧願いたい。選挙シーズンは中傷シーズンだ。各党の攻撃部隊は、相手党候補者を歪曲して伝え、中傷し、あざけることに熱中する。攻撃広告が、何が重要な問題なのか、あるいは問題であるべきか、あるいは、候補者が、大衆の関心をどう受け止めているかについての討論や、あらゆる議論にとって代わる。それぞれの攻撃チームは、様々な有権者が、競争相手党の候補者のことを怒るように仕向けるウソをつく。

誰が当選しようとも、議員達は、有権者にではなく、選挙資金を提供してくれた特定利益集団に恩義があるのだ。当選さえしてしまえば、議員は、自分を議員にしてくれた私益集団に仕えるのだ。アメリカでは、政府は、他の品物同様に、金で売買することが可能だ。シチズンズ・ユナイテッド対連邦選挙委員会訴訟の裁定で、共和党与党時代の最高裁が、アメリカ政府を、大企業が買収する権利に、お墨付きを与えてしまった。

各州には、それぞれに有力な利益集団があり、その集団が選挙で勝利する。フロリダ州では、不動産開発業者達が、環境保護団体や地域コミュニティーを必ず打ち破る。開発業者達は、保護主義支持のふりをする組織を立ち上げ、自らを偽って、最終的に保護策を打ち破りさえすることが知られている。

ところが、ずっと特定利益集団に負け続けているにもかかわらず、有権者達は依然、投票にいっている。かつて、選挙は一種の娯楽だという理論を読んだ記憶がある。クリントン大統領が、若い女性達と、MTV番組”ボクサー・ショーツかブリーフか”で共演したのも、-アメリカ人の政治に対するまじめさが欠如している証拠の一つだ。http://www.mtv.com/videos/misc/133280/vintage-mtv-bill-clintons-briefs.jhtml

おそらく、若い女性が、大統領の下着に関心を抱いているような軽い時間は、大切にすべきだろう。クリントン時代は、解決されないまま、隠蔽された暗い出来事だらけの、スキャンダル連続の時代だった。クリントン時代には極めて画期的な変化がおきた。覚えておられない方々や、当時余りに幼くて気がつかなかった方々には、アンブローズ・エヴァンズ・プリチャードの本、Secret Life of Bill Crinton : Unreported Stories ビル・クリントンの秘密の人生:報道されなかった物語(1997)が、目からウロコものだろう。多分、民主党員は、ヒラリーを党大統領候補に指名する前に、この本を読むべきだ。

エヴァンズ・プリチャードは、主要イギリス新聞の一紙、サンデー・テレグラフのワシントン支局長だった。クリントン時代、アメリカ・マスコミが、機能することを停止しているひどさに、彼は衝撃を受けたのだ。クリントン時代には、連邦政府がブランチ・ダビディアン信者を彼等のウェーコ施設で虐殺し、その後に隠蔽したことや、オクラホマ・シティ爆撃とその後の隠蔽や、ホワイト・ハウス次席法律顧問ヴィンス・フォスターの明らかな殺害の隠蔽の様な、出来事が満載だった。

十分注意をして見れば、誰にでも、こうした異常な出来事を取り巻いているのは、隠蔽であって、捜査でないことはわかる。エヴァンズ・プリチャードは、そうした物事に注意を払った一人で、彼が目にしたものは、検査には合格できない。ところが、声をあげるマスコミは皆無なのだ。

例えば、公式説明では、ティモシー・マクベイは、マラー連邦庁舎を、トラック爆弾で吹き飛ばした“孤独な変人”だということになっている。ところが、マクベイの訴訟裁判では、マクベイのオクラホマ・シティ爆破の日の居場所を証言できる証人を一人も呼ばなかった。“これは驚くべき事実だ”とエヴァンズ・プリチャードは書いているが、まさにその通りだ。検察当局は、マクベイが犯罪の現場にいたことを証言できる証人を見つけられず、多くの証人達は皆、マクベイが、他の男達と一緒にいたのを見たと言っており、前もって用意された公式説明は、マクベイが単独でいたというものだった。FBIと検察当局は、実際の捜査を行わず、一体何が起きたかを発見せずに、自分の主張の正しさを主張するしかなかったのだ。

オクラホマ・シティ爆撃を検証した専門家達は、トラック爆弾はビル内部に設置された爆発物のカモフラージュだったと結論づけている。例えば、アメリカ空軍の兵器専門家、ベントン・K・パーティン将軍は、包括的、かつ詳細な研究を行い、アメリカ上院にこう書いている。“添付報告書には、アルフレッド・P・オクラホマ州、オクラホマ・シティ、マラー連邦庁舎ビルの爆破は、単なるトラック爆弾によって引き起こされたものではないという決定的な証拠が含まれている。証拠は、大規模倒壊は、主として三階の極めて重要な建築部位にしかけられた、4つの制御解体用爆薬による結果であることを示している。” http://whatreallyhappened.com/RANCHO/POLITICS/OK/PARTIN/ok8.htm

ホワイト・ハウス次席法律顧問ヴィンス・フォスターの、辞任後、4カ月目の不可解な死の捜査を担当した独立検察官ミケル・ロドリゲスは、フォスターは、FBIによる隠蔽に取り組んでおり、その捜査が、彼自身のオフィスの連中によって妨害されていたと確信している。FBI公式説明は、フォスターの遺体を発見した目撃者の話と全く違う。またもや、オクラホマ・シティーと同様、FBIの事件は、証拠と一致しない、でっち上げシナリオを仕立てる必要に迫られたのだ。物言わぬマスコミの干渉が皆無なので、FBIは必要な話をでっち上げたのだ。フォスター事件は“アメリカのジャーナリストにとってタブーだ。非公式には、多くの記者が公式説明は到底信じがたいと認めても、記事にしてもちだすことは決してしない。”と、エヴァンズ・プリチャードは書いている。

アメリカ人が、クリントン時代のスキャンダルを考える際は、普通“ホワイト・ウォーター”や、ホワイト・ハウス・インターン、モニカ・ルインスキーとクリントンの性的逸脱を想起する。ウェーコのブランチ・ダビディアン事件や、オクラホマ・シティー爆破や、ヴィンス・フォスター殺人隠蔽に比べれば、この二つのスキャンダルは些事だと、エヴァンズ・プリチャードは書いている。こうした些細な出来事が、マスコミによって 国民と、おそらくは議会をも、犯罪行為のFBIによる隠蔽の調査から目を逸らすのに利用されたと、エヴァンズ・プリチャードは結論している。

ウオール・ストリート・ジャーナルの同僚、ロバート・バートレーに、結果の出るはずもない、クリントンに対するちょっとした不動産買収の些細なスキャンダル、ホワイト・ウォーターに一体どうしてそれほどエネルギーを注ぎ、紙面を割くのかと質問したことを覚えている。クリントンのルインスキーとの情事が弾劾問題と化している間に、深刻な出来事は無視されてしまった。

クリントンから、ジョージ・W・ブッシュ、そして、オバマというのも、もう一つの画期的な変化だ。クリントン政権の犯罪は認められず隠蔽された。ブッシュとオバマ政権の犯罪は、大統領達自身や、“対テロ戦争”は、任期中、大統領は、憲法にも、国内法、国際法にも束縛されない戦争だとのたまう司法長官によって、あからさまに認められている。かくしてアメリカでは、無期限拘留、拷問や、自己負罪からの保護の喪失や、プライバシーの破壊や、正当な法の手続き無しで、アメリカ国民の処刑が可能になってしまった。

ほぼ一夜にして、アメリカ政府は、説明責任を負わない、憲法や法の制限から免除されるものと化した。選挙は、政府が説明責任を負わないで済むことの確認に役立つだけだ。

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四半期毎のご寄附のお願い

多くの皆様が御承知の通り、数年前に私が引退しようとした際に、読者の皆様は、それを受けいれてくださらなかった。私は、協賛各紙に同時に掲載され
るコラムを降りて、皆様にお別れをつげた。皆様が、何千通もの電子メールで、小生の経験と知識を頼りにしておられ、それが現代の出来事を客観的に理解する
のに役立っていると言ってこられたのだ。皆様の御意見には説得力があった。私は引退を止め、このウェブサイトを開設したが、皆様から強固なご指示頂いてい
る。

これは皆様のウェブサイトだ。皆様に支持を頂ける限りは継続する。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2014/10/31/dysfunctional-america-paul-craig-roberts/
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宗主国が、機能不全で、無期限拘留、拷問や、自己負罪からの保護の喪失や、プライバシーの破壊や、正当な法の手続き無しでアメリカ国民の処刑が可能になってしまっているのに、第一の子分属国が、右にならえをしないはずがない。

「機能不全な日本」と、国名なり国民名なりを入れ換えればそのまま通じる仕組みが完成している。
独立属国の記念日を祝ったり、属国自主憲法制定など主張したりする連中は、属国傀儡代表。

女性大臣任命も、その後のスキャンダルも、実は全て計算済みで、TPPや、集団的侵略攻撃権や、お札無制限増刷(インフレ・円安=ドル高にして、宗主国大企業による支配強化支援策)や、沖縄知事県選挙や、エボラ対策という名目での日本軍アフリカ出兵の目くらましとして計画されていたのだろうと、僻目で思いたくなってくるお話。

ポール・クレイグ・ロバーツ氏のおっしゃる通り「どこかおかしい、エボラ説明」

宗主国御用達大本営広報部には、元アメリカ軍幹部で、日本の博打財団?のお偉方が、エボラ対策にこそ、日本軍は出征すべきだというコメントをおっしゃっておられるという記事が掲載されているらしい。記事を読んで納得。全部筋書きはできている。
日本市場完全囲い込み施策TPPは、とっくに決まったことなので、宗主国、今はヨーロッパ囲い込み協定に力を注いでいる。

アフリカに日本軍を常駐させることは、宗主国の長年の規定方針。

北大西洋共同体(NATO)に日本を組み込む ブレジンスキー

リビア空爆には、NATOも参加している。日本軍は既に海賊を理由にジブチ基地に駐留している。今度は、エボラを理由に、西アフリカ。そして、いつ何時、交戦地帯にでかけても不思議はないだろう。千鳥ヶ淵がにぎやかになる。歌が流れ、旗がひらめく。

属国は、宗主国の為には、無条件に、金も命も差し出すから属国なのだ。

日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』矢部宏治著それを理解する必読書

大本営広報部が一斉に一つの話題を追う時には、決まって、とんでもない法律や方針が推進されてきたのがこの属国の歴史。

孫崎享氏と鈴木邦夫氏の対談本、『いま語らねばならない戦前史の真相』で、孫崎氏も再三、大本営広報の報道内容・責任に触れておられる。

しかし虚報を行うことが、本来の業務なのだから、改心する可能性を期待するのは根本的な過ちだ。読む側が、虚報と決めてかかるしかないだろう。

『日本人はそれでも戦争を選んだ』のではないと有名教授に申しあげたい。
『それでも小選挙区制を選んでいない日本人もいる』し
『それでも二大政党制を選んでいない日本人もいる』し
『それでもTPPを選んでいない日本人もいる』し
『それでも原発再稼働を選んでいない日本人もいる』し
『それでも集団的侵略攻撃権を選んでいない日本人もいる』のだが
大本営広報部が決して報じないだけだ。それで永久植民地のままなのだ。

小選挙区制や、TPPや、集団的侵略攻撃権、ことごとく“日本の大本営広報部ジャーナリストにとってタブーだ。”

大本営広報部でないジャーナリズムでしか、属国になったままの背景はわからない。

2014/10/13 「戦後再発見双書」プロデューサーが語る、日米関係に隠された「闇の奥」~岩上安身による『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』著者・矢部宏治氏インタビュー

岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

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» 安倍政権では拉致問題は絶対に解決しない [インターネット政党 「ネット des 新党 」 のブログ]
〔2014年11月1日 東京新聞〕  もうこの際、断言しても構わないだろう。安倍政権では拉致問題は絶対に解決することはできない。安倍首相は拉致被害者家族に対し、土下座して謝罪するべきだ。  私がここまで断言するには三つの理由がある。 ■北朝鮮との交渉は八百長で...... [続きを読む]

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