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2014年11月 1日 (土)

どこかおかしい、エボラ説明

Paul Craig Roberts
2014年10月29日

連邦政府は、更に数千人のアメリカ兵士をリベリアに派兵すると発表した。ゲーリー・ヴォレスキー将軍は、軍隊がエボラを“根絶する”と語った。戦闘部隊はエボラに感染した人々の治療施設を建設する為に派遣されるというのが公式説明だ。

なぜ戦闘部隊なのだろう? もし軍隊でなければならないのであれば、一体なぜ、工兵大隊等の建設部隊を送らないのだろ? 政府がいつもしていること、治療施設を建設する為、建設会社との契約を一体なぜしないのだろう? “更なる数千人の兵士”とは、17棟の治療施設を建設する為の極めて大量の不慣れな建設部隊だ。これは筋が通らない。

筋が通らず十分説明されない説明は、当然次のような疑惑を生み出す。アメリカ兵は、エボラ・ワクチンや治療の実験に利用されるのだろうか、あるいは、より陰険に、彼等は更なるエボラをアメリカに持ち帰る為に利用されているのだろうか?

人々が一体なぜこうした疑問を持つのか私はわかる。きちんと調査した答えを得られない事実が疑惑を深めるのだ。

十分な知識を持たず、だまされやすいアメリカ国民はこう答えるだろう。“アメリカ政府は、自国兵士や自国民をモルモットに利用するなど決してしたことがない。”そういう恥をかく前に、ちょっと時間をさいて、アメリカ兵士や一般市民に対して、アメリカ政府行った多くの実験を思い起こして頂きたい。例えば、“アメリカ合州国における倫理に反する人体実験”や“ヒトの被曝実験”で、オンライン検索すれば、国防省と原子力委員会等の連邦政府機関が行ったことが見つかる。アメリカ兵や囚人を、高レベルの放射能に被曝させた。男性の睾丸を放射線で照射し、先天性欠損を検証した(高い率で欠損が起きた); 子供達の頭を、放射線で照射した。放射性物質を知的障害児に食べさせた。

西アフリカからやってくる人々の隔離に対するオバマ政権の姿勢も謎だ。アメリカ陸軍は、陸軍はリベリア派兵から帰国してくるアメリカ人兵士全員を隔離する予定だと発表した。陸軍は、エボラ大発生をアメリカにもたらす危険性を最小化する為には、十分な注意が必要だと賢明にも述べている。ところがホワイト・ハウスは、陸軍の決定を支持せず、ホワイト・ハウスは、ニューヨーク州とニュージャージー州の知事が命じた隔離への反対を表明したのだ。

どうやら、ホワイト・ハウスからの圧力と、隔離された人々からの訴訟するという脅威から、二州が隔離条件を緩和したように見える。西アフリカでのエボラ患者治療から帰国した看護婦が、この病気の症状が現れるまでにかかる21日間ではなく、24時間症状が出なければ、ニュージャージー州で、退院させて良いことになった。看護婦は訴訟をすると脅し、“医療労働者に対する差別”という誤った問題まで持ち出した。エボラに対する最大の暴露を受けた人々を隔離することが一体なぜ差別なのだろう?

症状が出てしまえば、感染した人は、隔離されるまで、他の人々にとって危険になる。愚劣にも明白な事実を否定した後、CDCが認められるよう強いられた通り、現在のエボラ菌株は空気感染しうるのだ。くしゃみや咳や、汚染された表面さえあれば十分なのだ。

言い換えれば、エボラはインフルエンザの様に伝染する。これまで、この事実を否定していたことが、新エボラ菌株は、西アフリカにあるアメリカ政府の研究所が生み出した兵器化された細菌戦菌株だという疑惑を生み出ことになった。イリノイ大学のフランシス・ボイル法学教授が、ワシントンはアフリカ諸国に細菌戦研究所を設置しており、その様な実験を禁止する協定に調印していないことを暴露した。

アメリカ政府の協定調印から逃げているワシントンの巧妙さは別の疑惑を生み出した。おそらくは、研究所所員が感染した何らかの研究所の事故で新エボラ菌株が漏れたのか、それとも菌株が機能するかどうか実験する為に意図的に放たれたのだろうか?

賢明で責任がある唯一の政策は、エボラ流行地域と行き来する全ての民間飛行便を停止することだ。ボランティア医療労働者達は、軍の航空機によって移送されるべきであり、アメリカに送り返される前に、必要な隔離を受けるべきだろう。

一体なぜホワイト・ハウスは、責任がある賢明な唯一の政策に反対するのだろう? 一体なぜ議会はこの問題について沈黙しているのだろう?

まともな政策に連中が抵抗していることが、政府か何らかの陰謀集団が、戒厳令を宣言して、国民、あるいは国民の中の望ましくない連中を、ハリバートンが建設して儲けたFEMA収容所に囲い込む為(国民は収容所建設の理由を何も説明されていない)にエボラを利用しようとしている疑惑を助長しているのだ。

中東で、国民に目的不明な長期戦争を行いながら、いずれも核兵器を保有する二国、ロシアと中国との紛争を醸成している政府が、政府の動機や、意図や、能力に更なる疑惑を、国民の間に、無謀に生み出しているのは確かに奇妙だ。

民主主義は、国民が政府を信頼していることを前提にしている。ところがワシントンは、この信頼を破壊する為に出来る限りのことをして、隠された明言しない狙いを抱いた機能不全な政府という姿を呈している。

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四半期毎のご寄附のお願い

多くの皆様が御承知の通り、数年前に私が引退しようとした際に、読者の皆様は、それを受けいれてくださらなかった。私は、協賛各紙に同時に掲載され
るコラムを降りて、皆様にお別れをつげた。皆様が、何千通もの電子メールで、小生の経験と知識を頼りにしておられ、それが現代の出来事を客観的に理解する
のに役立っていると言ってこられたのだ。皆様の御意見には説得力があった。私は引退を止め、このウェブサイトを開設したが、皆様から強固なご指示頂いてい
る。

これは皆様のウェブサイトだ。皆様に支持を頂ける限りは継続する。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2014/10/29/ebola-story-doesnt-smell-right-paul-craig-roberts/

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“アメリカ合州国における倫理に反する人体実験”や“ヒトの被曝実験”

O・J・シンプソン-プルトニウムファイル、そしてチェルノブイリ極秘 2011年4月19日の文章(翻訳ではなく、小生の記事)、まさにこの話題を扱った。

IWJからの案内、日刊IWJガイドで知って、下記のustreamを拝聴した。

【IWJ_OSAKA1】14:00~「アーサー・ビナードさんが語る『物は言いよう、平和も言いよう』」
※みのお文化・交流センターで行なわれる、アーサー・ビナード氏の講演。「みのおピースフェスタ2014」というイベント内での講演

ポール・クレーグ・ロバーツ氏、アメリカ政府自体、アメリカ憲法を事実上停止し、やりたい放題の殺戮や市民的自由の廃止を実現していると再三説いておられる。ビナード氏の、自主憲法等といっても、世界上の憲法は、マグナ・カルタ以来、共通する基本原理を文字化しているもので、全く自主、独自なものはありえないという憲法講義、わかりやすい正論。

ビナード氏、「アメリカ政府自体によるアメリカ憲法の停止」は、ブッシュ時代に始まったわけではなく、日本との戦争を推進したルーズベルト、トルーマンの時代も、しっかり行われていたこと、そして、まさに同じ憲法蹂躙の言葉の言い換えによるテクニックが、戦後日本でも一貫して推進されていること、今の集団的自衛権は、宗主国の侵略戦争の下請け、孫請け実施の為の手法に過ぎないことを、わかりやすく語っておられる。大本営広報ゴミ放送が束になってかかっても、この内容は報道できまい。こういう内容を隠すのが、大本営広報のお仕事。

岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

某掲示板に当ブログ翻訳記事が貼り付けられることがある。コメントの中に「ロシア寄りなのがまずい」という風に読めるものがあった。ポール・クレイグ・ロバーツ氏ご本人に英語でメールをさしあげてはいかがだろう?ともあれ意見はご自由。

色々考えさせられた良い本『マルスクとともに資本主義の終わりを考える』的場昭弘著の「序章」末尾部分を貼り付けさせて頂こう。

宗主国版近代経済学という目くらましツールより、マルスクとともに考える手法のほうが、現代社会理解には余程有効に思える。

 先進国に現れている貧困は、富者との格差の拡大というレベルを超し、いわば絶望的な状態を作り出してもいます。失業や半失業、非正規雇用、賃金の低落といった問題ばかりか、食料品や衣料品の質の低下なども起きています。資本主義の一人勝ちという世界が、なぜ人間を幸福にしえないのでしょうか。一方で、確かにアメリカン・ドリームのようなイデオロギーの存在があります。そのイデオロギーは、敗者に対しては非常に重く、暗いものとしてのしかかっています。自己責任ということばが示すように、一人で落ち込み、自己嫌悪の中でひっそりと隠れた生活を送り、家賃も払えず、仕事もなく、年金も保険もないひとびとが、この世界に生きていることを、このイデオロギーからは理解できません。
 テレビやネットというメディアはとうの昔に、現実を批判することをやめ、現実を所与のものとして利用することに終始するようになっています。それこそ、資本主義社会の思考停止したプラグマティズム、いいかえれば実利主義ですが、当面利益になることは、長期的に利益になることではない。このズレこそわれわれの直面している問題なのです。
 本書では当面の問題やローカルな問題よりも、全体的な、長期的な問題を取り扱います。
 そして多くは現在の世界に批判的です。先進資本主義国を批判しますが、だからといって中国やロシアを賞賛しているのではないということを理解していただきたいと考えています。ロシアや中国はある意味半周辺の資本主義としての立場を自国の利益に都合がいいように利用している。彼らもシリアやマリの問題にしても、真剣に考えているわけではない。
ここにアメリカを自由にさせてきた問題がある。この面も批判的に見るつもりです。

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コメント

はじめまして。いつも参考にさせてもらってます


この記事を読んでいると第五福竜丸のことを思い出しました

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/9937

私の知り合いからも医者達がエボラの感染の仕方や国の対応が変だと話しているようで。普通じゃないことは確かなようです

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