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2014年11月13日 (木)

核戦争の可能性

Paul Craig Roberts
2014年11月11日

大半のアメリカ人は、神話の中で暮らしているが、こうした神話は事実の影響を受けない。アメリカ人には、自分の先入観に合わない情報に出くわすと激怒する連中がいる。私は、新聞社で働いていた頃、読者からの手紙で、こうしたことがわかりはじめたが、同じ 譴責は、電子メールや、ウェブサイト・コメント欄でも続いている。

郵便や電子メールは、読者が筆者を酷評し、うっぷんをはらせるようにする手段だが、コメント欄では、集団で攻撃して、筆者を誹謗するだけでなく、ウェブサイト読者全員に私憤を読ませることが可能なのだ。

私が、このコラム記事転載を承認している、OpEdNewsやInformation Clearing House等のウェブサイトでは、荒らし連中や、様々な変人や、レーガン憎悪者や、無知な連中が、コメント欄で、私を誹謗し、評判を傷つけ、私が書いたものを歪曲し、私が読者に提供している情報を潰す為、最悪のことをしでかしている。荒らし連中やその同類は、真面目な欧米マスコミの不在を補おうとする様々な筆者達に対し、同じことをやっている。誰が攻撃されているか、お考え願いたい。売女マスコミのニューヨーク・タイムズや、ワシントン・ポストや、Fox Newsではないのだ。例えば、ジュリアン・アサンジや、グレン・グリーンウォルドだ。一人は強姦者だとされ、もう一人は文書窃盗の共犯者にされた。

私にはコメント欄の意味が全くわからない。コメントは、相も変わらず、筆者を称賛したり、くさしたりする投書か、あるいは、自分達が余り良く知らない主題を巡り、読者間の言葉で殴りあうような論争だ。

サイトにコメント欄があるのは、読者を引きつけて、ビジット、あるいは“ヒット”を増やし、サイトを広告主に売り易くする為だという主張を聞いたことがある。とはいえ、例えば、Information Clearing Houseは広告を掲載しておらず、OpEdNewsの記事に対して投稿されるコメントの率はごく僅かで、記事を読んだ読者の1パーセントでしかない。そこで私は、コメント欄をおいておく理由なる主張は、不合理だと結論づけている。

コメント欄は、新聞編集者への手紙のようなもので、読者が意見を言えるようにするためだという向きもある。だが印刷媒体の編集者は、手紙をよく読み、何か意義のあるものだけを公表している。ウェブサイト・コメント欄で、ありとあらゆる阿呆や、荒らし連中が、筆者の記事を読む人々に対して、意見を言っているのは、それとは違う。

新聞編集者達の解決策が完全だったと申しあげたいわけではないし、この発言で、コメントされる方々全員を、一派ひとからげで非難するつもりもない。言いたいのは、コメント欄に書きこむ為には、筆者より遥かに多くの知識や、学問や、より開かれた精神が必要だということだ。新たな情報や、分析、あるいは主流意見と異なる視点を、読みやすい記事でご提供するには、時間も思慮も大いに必要だが、中傷や、とんでもないことなら瞬時で書ける。

荒らし連中は、偽名やペンネームを使って、自分の正体を隠すことが多い。良くある手法は、著者が言っている内容でなく、著者個人を攻撃することだ。例えば、荒らし連中は、進歩的な左翼サイトで、悪のレーガン政権で働いた人物で、それゆえ信用できない人物だと、私の“正体を暴いている”。保守系サイトでは、私は、CounterPunchに記事を書く左翼だと“暴露”されている。筆者の正体を暴く、こうした行為は、そうした情報を無視したいので、先入観と合わない情報は聞きたくない連中の役にたつ。

サイトの中には、筆者も書き放題、攻撃もし放題にしているものもある。RTに、サイト報道に対する、荒らし連中による反論のし放題にしているコメント欄があるのは不可解だ。自己否定をするサイトの意義は、一体何だろう? コメント欄があるサイトは、実際、政治的な既得権集団が、そのサイトの報道や、筆者達をおとしめるのを認めていると同じことだ。サイトを評価するだけの実績が明らかでない匿名読者に、記事の評価を認めるサイトもある。ごく少数の読者しか参加しないので、サイト評価は、きわめて少数の正体不明の連中によって、決められかねない。

大統領や、政府高官や、売女マスコミ連中や、警官やら、強欲銀行幹部の不正の責任を、私が問うているのと同様、荒らし連中や、その同類の責任を、私は問うているのだ。

今年、いくつかのコラムで、ロシアやプーチンの意図に関する、ワシントンによる一貫した攻撃的なウソや、選挙で選ばれたウクライナ政権を打倒し、ワシントンの傀儡を据えつけたワシントンによるクーデターや、戦争を引き起こしかねない、無謀で危険な行為である、ロシアに対する軍事的熱狂に、NATOをワシントンが追い込んでいるのを指摘した。

荒らし連中は、こうした懸念を、破滅の予感やら、自国政府に対する不信の餌食となった常識を失った人物がわめき立てていることにしてしまう。連中は、核戦争は、不合理で、それゆえ、起こり得ず、社会の大惨事を予言する人など無視すべきだと言うのだ。ネオコンが、核兵器と、その使用を擁護し、大多数のアメリカ人が、プーチンは“暴漢”で“ヒトラーよりひどい”というプロパガンダを真に受け、ニューヨーク・タイムズが“アメリカ、核兵器の本格的更新を計画”と報じている事実にも関わらず。http://www.nytimes.com/2014/09/22/us/us-ramping-up-major-renewal-in-nuclear-arms.html?_r=1

理性的で洞察力ある人物で、アメリカの良心役を長らくつとめてきたノーム・チョムスキーが、ワシントンが、世界を核戦争に追いやりつつあると感じる、社会の大惨事を予言する人々の一員に加わってくれたことを嬉しく思っている。

チョムスキーの意見はここで読める。http://rt.com/news/203055-us-russia-war-chomsky/

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四半期毎のご寄附のお願い

多くの皆様が御承知の通り、数年前に私が引退しようとした際に、読者の皆様は、それを受けいれてくださらなかった。私は、協賛各紙に同時に掲載され
るコラムを降りて、皆様にお別れをつげた。皆様が、何千通もの電子メールで、小生の経験と知識を頼りにしておられ、それが現代の出来事を客観的に理解する
のに役立っていると言ってこられたのだ。皆様の御意見には説得力があった。私は引退を止め、このウェブサイトを開設したが、皆様から強固なご指示頂いてい
る。

これは皆様のウェブサイトだ。皆様に支持を頂ける限りは継続する。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2014/11/11/prospect-nuclear-war-paul-craig-roberts/
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郵便や電子メールは、読者が筆者を酷評し、うっぷんをはらせるようにする手段だが、コメント欄では、集団で攻撃して、筆者を誹謗するだけでなく、ウェブサイト読者全員に私憤を読ませることが可能なので、ポール・クレーグ・ロバーツ氏を見倣って、コメント公開は慎重にしている。コメントが「公開されない」とご不満の方は、ご自分のサイトに掲載頂くよう、お願いする。

先日知人から『続・100年予測』という本を頂いた。「面白いですよ」ということだった。この知人の推薦にウソはない。

ただし「面白い」というより、「不快」といった方が、正しいかも知れない。
宗主国の施政方針が、きわめて具体的に書かれている。
頂いた本は、2014年9月刊のハヤカワ・ノンフィクション文庫だが、元々は、2011年6月に『激動予測』という書名で刊行されたもの。

筆者ジョージ・フリードマン、ストラトフォーのトップなのだから、宗主国支配層の考えとかなり重なるだろう。

彼等が、国内や、外国で実行している作戦の背景が何となく見えてくるような気がする。

185-186ページに、こういう文章がある。

アメリカは旧敵が息を吹き返さないよう、心臓に杭を打ちこむべきだった。分離独立運動を支援するか、経済的圧力を加えるなどして、ロシアの体制に負荷をかけるべきだった。こうした措置を講じていれば、ロシア連邦のすべてが崩壊し、かつての従属国がその残骸をすべて吸収して、ユーラシアで新たな勢力均衡を築いた可能性が高い。

204ページには、こういう文章がある。

ポーランドは、昔からドイツとロシアの喉につき刺さった小骨であり、しっかり刺さったままにしておくことは、アメリカの利益になる。ドイツと手を組めばロシアの脅威になり、ロシアと手を組めばドイツの脅威になるポーランドを、両方にとって脅威にしておかなければならない。どちらの国にも安泰だと思わせるわけにはいかないからだ。

その章のまとめには、こういう文章がある。

次ぎの10年に、アメリカはロシアとドイツの接近を阻止し、対抗勢力としてポーランドの強化を図る。

ポーランド、宗主国の走狗となって、両側の大国の憎まれ役を演じているわけだ。

2014年7月 1日の翻訳記事、ポーランド外務大臣のアメリカに関するオーラルセックス発言は'彼の政治的現実主義を示している' ? モスクワ
訳しながら不思議な記事と思っていたが、この本を読んで意味がわかった。

『来るべき日本との戦争』という強烈な題名の本を、1991年に書いている。なぜか翻訳は出ていない。 

2014/11/15追記:『ザ・カミング・ワー・ウィズ・ジャパン』、原題通りの邦訳が出ていた。小室直樹氏監訳?

小室直樹氏、既に、1980年12月の時点で『アメリカの逆襲 宿命の対決に日本は勝てるか』を書いている。

まえがきに、

日本こそアメリカ最大の敵国になりつつあるのだ。

カバーの著者の言葉にはこうある。

日本を支えてきた二つの柱、日米安全保障条約と自由貿易体制が崩れようとしている。安保条文にある恐るべき落とし穴、国連憲章にある〝敵国条項〟に気づいている日本人がいるだろうか。
 そして、自国のために構築されたはずの自由貿易体制が、結局、日本を利するだけだとアメリカが悟ったら。
 太平洋の両岸にある二つの先進国は、現在、きわめて微妙で危険なバランスの上にあるのだ。

彼の指摘通り、自国のために構築されたはずの自由貿易体制が、結局、日本を利するだけだとアメリカが悟ったので、アメリカの大企業だけが自由に日本で活動できる仕組みとして、TPPを押しつけるに至ったのだろう。

第ニ次太平洋戦争でも完敗。

どちらも絶版なのが、残念。

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