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2014年11月 7日 (金)

ワシントンは自ら油染みた墓穴を掘ったのだろうか?

William Engdahl
New Eatern Outlook
2014年11月6日

今やニューヨーク・タイムズさえもが、石油の富みで慢心したベドウィンの親友、サウジアラビアを利用して、世界の石油価格を崩壊させ、ロシアを破産させようというオバマ政権の秘密戦略についてあからさまに語っている。ところがバラク・オバマ周辺のネオコン・ロシア嫌い連中や、冷戦タカ派希望者どもは、自ら油染みた墓穴を掘ったのかもしれない様子が見え始めている。前の記事で書いた様に、連中の石油価格戦略は基本的に愚劣だ。あらゆる影響を考慮に入れていないがゆえに愚劣なのだ。価格が急落している中、アメリカ石油生産に対する影響を見てみよう。

9月以来のアメリカ石油価格の崩壊は、近いうちに、アメリカ・シェール油バブルを崩壊させ、アメリカ合州国が世界最大の産油国として、サウジアラビアとロシアを越えるという幻想をはぎ取るだろう。アメリカ・エネルギー省が発表したエセ資源予測によって醸成されたこの幻想が、オバマ地政学戦略の基軸だ。

今、過去数年間のアメリカ国内石油生産増加の背後にあった金融ねずみ講は、架空の煙雲中に霧消しようとしている。シェール石油生産の基本的な経済学は、ジョン・ケリーとサウジアラビアのアブゥドゥッラー国王が、9月始めに紅海の近くで秘密会談をし、対ロシアのサウジアラビア石油価格戦争に合意して以来ぼろぼろになり、石油価格は23%も下落した。

ゴールドマン・サックスの、ウオール街金融専門家が、WTI(米国産標準油種=ウエスト・テキサス・インターミディエイト)と呼ばれる標準価格でのアメリカ石油価格が、一バレル、70ドルに低下するという2015年予測をだしたばかりだ。2013年9月、WTIは一バレル、106ドル以上だった。つまりわずか数ヶ月で、34%という急激な価格崩壊ということになる。それが一体なぜアメリカ・シェール生産にとって深刻なのだろう? なぜなら、通常の原油鉱床と違い、シェール油、業界で言うタイト・オイルは劇的速度で枯渇するのだ。

カナダの地質調査で30年の経験を持つカナダスト石油地質学者デービッド・ヒューズが、初めて公表されたアメリカ・シェール油の既存の生産データを用いて発表した包括的新分析(シェール油というのはごく最近のものだ)は、アメリカ・シェール油井石油量の劇的な減少率を示している。

シェール油盆地7つの三年間の油井平均減退速度は、驚くべき60-パーセントから、91パーセントにわたっている。つまり、三年間で、油井から得られる石油量がこの比率で減少するのだ。これはつまり、推計究極回収量の43パーセントから、64パーセントが、油井開発最初の三年間でとりだされるのだ。シェール・ガス盆地の7つのうち、4つは既に、油井の生産性という意味で、末期的衰退状態にある。ヘインズビル・シェール、フェイエットビル・シェール、ウッドフォード・シェールと、バーネット・シェールだ。

石油が、これら最高のシェール油地帯で、60%から91%も減少するということは、石油生産量を維持する為にだけでも、石油会社はより深く掘削しなければならず、ましてlet alone総石油量を増加させる。つまり、掘削業者は、ずっと深く掘削する為に、より大量の資金を費やさねばならないのだ。ヒューズによれば、オバマ政権エネルギー省は、アメリカ・シェール油神話を持ち上げる企業が提供したバラ色の予測数値を、無批判的に受けいれた。彼の計算は、将来のアメリカ・シェール油生産は、エネルギー省の2040年予測のわずか10%であることを示している。

ヒューズは、現在のシェール油会社の絶えがたいジレンマを“二十日鼠の掘削踏み車”にたとえている。生産水準を維持する為にだけでも、彼等は益々多くの井戸を掘削しなければならない。石油会社は、生産を最大化する為、最も有望なシェール油地帯、いわゆる“スイート・スポット”を既に開発してしまった。今や生産が終末的に減衰し始めたので、石油会社は、石油やガス産出量がそれほど豊富でない場所で掘削を始めざるを得ない。“もしアメリカ石油と天然ガス生産の未来が、アメリカの深いシェール鉱床資源に依存するのであれば…我々は大きな失望を味わうことになる。”と彼は言い足した。

石油価格の崩壊

ヒューズが語っているのは、ケリー-アブドゥッラー・サウジ石油価格戦争が始まる前シェール石油の状態 。現在、アメリカWTI石油価格は、六週間で、破滅的な25%の下落で、下落し続けている。ロシアやイラン等の他の石油生産大国は、国家予算の為に収入を増大すべく、世界市場を、連中の石油で溢れさせており、世界石油供給過剰を激化させている。これが更に価格を押し下げる。

アメリカにおける過去五年間の、シェール石油とガスの大当たりは、連邦準備金制度理事会のゼロ金利と、貪欲なウオール街の企業やファンドによる膨大な投機的投資を基盤に作り上げられていた。油井は超高速で枯渇するので、石油市場の価格が崩壊すれば、シェール石油掘削業者に貸している経済そのものも崩壊する。資金は突然消滅し、負債で身動きが取れない石油会社で、本当の問題が始まる。

カーター大統領のエネルギー政策局元局長で、現在は、最も重要な新シェール油地域の一つ、ノース・ダコタ州、バッケン・シェールで、エネルギー・コンサルタントをしているフィリップ・フェアレーガーによれば、一バレル、70ドルの石油価格では、7月の一日110万バレルから、2月の、一日800,000バレルにまで、生産高が28パーセント減少しかねない。“価格が下落すれば、キャッシュフローは減り、掘削を継続する為に、こうした連中に信用貸しされていた資金はすっかり枯渇し、掘削市場は低迷することになる”と、フェアレーガーは言う。

神話とウソと石油戦争

シェール石油バブルの終焉は、アメリカの石油地政学に対し、壊滅的打撃を与えることになる。現在、アメリカ石油生産の推計55%と、過去数年間のあらゆる生産増加は、シェール油の水圧破砕によるものだ。石油価格が低下する中、経済リスクゆえの融資停止で、シェール油掘削業者は、一定の石油生産を維持する為だけでも必要な新規掘削中止も余儀なくされる。

中東における攻撃的なアメリカ外交政策、シリアのアル-アサド政権に対する戦争、対イランの強硬な石油経済制裁、ロシア石油プロジェクトに対する経済制裁、イラク石油地帯でのISIS容認、リビア石油経済を安定させる為の介入を拒否し、混乱を我慢しているのも、全てアメリカが再度世界の石油王となり、ハイリスクな石油地政学を演じる余裕ができるのだという、ワシントンのうぬぼれた見解を前提としている。CIA、国防省、国務省やホワイト・ハウスに対し、エネルギー問題で助言に責任を持っている公式の政府機関、アメリカ・エネルギー省は、神話とウソに基づいて、アメリカ・シェール石油の成長予想を発表していたのだ。そこで、オバマ・ホワイト・ハウスはシェール油のバラ色の未来に関するこの同じ神話とウソに基づいて、石油戦争を開始したのだ。

当時のオバマ国家安全保障顧問トム・ドニロン演説は、この油ぎった傲慢さの典型例だ。2013年4月、コロンビア大学での演説で、当時オバマの国家安全保障顧問ドニロンは公的にこう語った。“アメリカの新たなエネルギー体制により、我々はより強い立場で関与することが可能になる。アメリカ・エネルギー供給の増加は、世界的な供給の途絶や価格ショックに対する、我が国の脆弱性を下げるのに役立つクッションとして機能する。我が国の国際安全保障目標を追求し、実施する上で、我々がより強い立場に立つことを可能にする。”

今後三ヶ月ほど、アメリカ・シェール石油分野は戦略的なものとなろう。

F. William Engdahl(ウィリアム・イングドール)は、戦略的危機コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学の世界的ベ ストセラー本の著者。本記事は、オンライン雑誌“New Eastern Outlook”独占。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2014/11/06/has-washington-just-shot-itself-in-the-oily-foot/

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ストーブ用灯油を買う季節になった。宗主国ミツグ氏による異常金融政策のおかげで、しっかり円の価値が低下している為だろうか、石油低下の恩恵はごくわずか。

なけなしの貯金も価値はどんどん低下しつつある。証券会社から、「株を買いませんか」という電話がかかってくる。これもオレオレ詐欺の一種の様なものと思うので、電話の「相手確認ボタン」を押し「お名前をおっしゃってください」と自動音声を流して切っている。とんでも日銀政策の発表前、株が上がる前に、日銀政策があるので株を買えと電話してくれたら、なけなしの貯金を下ろして購入していたろうに。

東京新聞デジタル版最新記事に下記があった。傀儡氏、正気の判断ができる、プーチン氏の爪のアカを煎じて飲んで貰いたいものだ。

プーチン氏、米主導TPPを警戒 中国の自由貿易圏構想支持
ロシアのプーチン大統領は6日までに、環太平洋連携協定(TPP)をめぐり「米国が自分の利益になる地域経済の協力体制をつくろうとしている」と述べ、米主導で進むアジア太平洋地域の通商ルールづくりに警戒感を示した。

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