プーチンを中傷するワシントン
Paul Craig Roberts
2014年10月24日
今日、ソチでのヴァルダイ国際会議の会合で、ロシアのプーチン大統領は、それ以外の世界を犠牲にして、自らの狭く身勝手な利益や、ワシントンを支配する私的利益集団の権益に役立つよう、ワシントンは世界を不安定化していると、正しく、もっともな非難をした。世界中の指導者達がワシントンのやくざの様なネオコン政権を糾弾すべき頃合いなのだ。プーチンは、ワシントンの二重基準を、ローマのことわざで表現した。“神[アメリカ]に許されていることは、家畜[それ以外の国]にはゆるされない。”
RTはプーチン演説をここで報じている。http://rt.com/news/198924-putin-valdai-speech-president/
RIAノーボスチはここで報じている: http://en.ria.ru/politics/20141024/194537272/Putin-Global-Security-System-Seriously-Weakened-Deformed.html
奇妙なことに、ロシア・マスコミは、私がこの記事を書いている時点では、プーチン全発言の英語版を報じていない。多分、ロシア・マスコミは、プーチン発言の重要性を自覚していないのだ。余りに多くのロシア・マスコミが、ロシア人購読者を利用して、ロシア政府を攻撃し、評判を落とすそうとしている外国権益の所有になっている。ロシア政府が、自国民に対するワシントンのプロパガンダを許しているのは驚くべきことだ。恐らく、モスクワが、ロシア国民へのワシントンのプロパガンダを認めているのは、アメリカでの、RT、RIAや、ボイス・オブ・ロシアの報道を守るためだろう。だがバランスは平等ではない。欧米におけるロシアの報道は、他では報道されないニュースだ。彼等はアメリカを中傷しているわけではない。
下記も参照のこと。
プーチン: 世界の指導者達は恐喝されている。http://en.ria.ru/world/20141024/194542305/Putin-Says-Reports-Show-World-Leaders-Could-Be-Blackmailed-With.html
プーチン: アメリカは世界中の紛争をエスカレートさせている。http://rt.com/news/198924-putin-valdai-speech-president/
ドイツ議員: 根拠無しの経済制裁: http://en.ria.ru/interview/20141014/194062719/German-MP-Germany-Has-No-Evidence-of-Who-Shot-Down-MH17.html
アメリカの印刷媒体でもTVでも、プーチン演説についての報道は目にしていない。明らかに、アメリカでは、アメリカ外交政策やそれに対する外国の対応に関する公開された議論は存在していない。プロパガンダと沈黙が、まっとうな認識や公開論議を排除するような国は、自分自身をどう呼ぼうと、民主主義ではない。
ワシントンは真実を中傷で沈黙させる闇魔術を修得して久しい。ワシントンは中傷を利用してきた。1953年の、イランで民主的に選出されていた指導者、モサデク打倒に、1960年の、コンゴ首相パトリス・ルムンバ打倒、1954年のグアテマラのアルベンス大統領打倒、2002年にはベネズエラのウゴ・チャベス大統領を打倒しようとしたが、クーデターは、ワシントンの代替用傀儡を追い出し、チャベスを再度任命したベネズエラ国民と軍に潰された、2013年の、選挙で選ばれていたウクライナのヤヌコビッチ大統領打倒、2009年の、ホンジュラスのマヌエル・セラヤ大統領打倒、2013年のエジプト史上初めて民主的に選出されたムハンマド・ムルシー大統領政権の打倒、リビアのカダフィ、イラクのサダム・フセインの打倒、シリアのアサドやイラン政府を打倒しようとする進行中の取り組み、インドネシアのスカルノ、ベトナムのホー・チ・ミン、そしてキューバのカストロを打倒しようとして失敗した取り組み。
現在、ワシントンの標的はウラジーミル プーチンだ。これは愚行と思い上がりの極みだ。プーチンの支持率は、歴史上のどのアメリカ大統領よりも遥かに高い。現在、オバマ政権とアメリカ議会の支持率は、民主主義が機能するレベルより、とてつもなく低い。もしアメリカが実際に民主主義なのであれば、それは世界史上で最も機能不全な民主主義だ。事実上、ワシントン政府を運営している強力な私的利益集団を除いては、誰もアメリカ政府を支持してはいない。それ以外の全員がワシントンを忌み嫌っている。
13年間にわたる中東とアフリカにおける生命や財産の残虐な破壊の結果、機能不全で、崩壊しつつあるアメリカ経済、無敵の傲慢さを誇示して、ワシントンは、アメリカのソフト・パワーを破壊した。外国においては、ごく少数の欺かれている連中やアメリカが資金提供するNGOだけが、いまだにアメリカ合州国に対し好意的見解を抱いているに過ぎない。
世界中のあらゆる世論調査で、アメリカは世界平和に対する最大脅威の座を占めている。ワシントンは、わが国を嫌われもの国家にしたが、我々国民はそれに対して何もしてこなかった。
アメリカの印刷・TVメディアや大半のイギリスや欧米のマスコミからすら、決してこういう事実を知ることはできない。10月16日に私が報じた通り、ドイツで最も重要な新聞の一つフランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥンクの元編集者ウド・ウルフコッテが、ベスト・セラー本を書き、その中で、CIAが、主要ヨーロッパ・マスコミの重要人物全員を支配していると書いている。彼自身の言葉で、ウド・ウルフコッテは“大衆に対し、ウソをつき、裏切り、真実は語らないように教えられました。”と語っている。 http://www.paulcraigroberts.org/2014/10/16/cia-owns-everyone-significance-major-media/
元ウオール・ストリート・ジャーナル編集者、ビジネス・ウイークのコラムニスト、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスのコラムニスト、ドイツの雑誌やフランスやイタリア新聞のコラムニストとして、ワシントンの主張に対するあらゆる異議の漸進的な封じ込めを、私は見聞きし、経験してきた。欧米ジャーナリズムおける成功への道は、大半は民間組織だが、更にアメリカの世界覇権というネオコン・イデオロギーに支えられた闇の通常予算枠外の“治安”機関で構成されるワシントン支配体制の為にウソをつくことであるのが明らかになった。
ロシア・マスコミとプーチン顧問の大半は、ワシントンによるウラジーミル・プーチン大統領中傷のマスコミ・キャンペーンを十分に承知している。http://en.itar-tass.com/russia/756160 今日のロシア・インサイダーのインターネット・サイトは、的を射た質問をしている。“CIAは、プーチン中傷キャンペーンを遂行しているのだろうか?”ロシア・インサイダーが明らかにしている通り、答えはまず確実にそうだ。http://russia-insider.com/en/politics_media_watch/2014/10/24/04-54-03pm/cia_running_defamation_campaign_against_putin
上のURLをクリックして、イギリスのサン紙や、デイリー・ミラーや、デイリー・エクスプレスの一面をご覧願いたい。こうした一面記事は、ワシントンかラングレーでデザインされており、実際、CIAや全米民主主義基金やワシントンの海外プロパガンダに資金提供している共和党か民主党組織のどれかが資金を出している広告に、まず間違いなかろうと私は思う。
もちろん、こうしたイギリスのゴミ新聞、アメリカのスーパー・レジで売られている“映画俳優がUFOに乗ったエイリアンに誘拐された”という類のセンセーショナルながらくた紙だと片づけられておしまいになる可能性がある。そこで上記URLをスクロール・ダウンし、ニューズウイークやエコノミストの表紙をご覧願いたい。かつて評判の高い雑誌だったものだ。現在は誰もそういう雑誌を読んでおらず、こういう雑誌は、CIA助成金に頼って存続しているに違いないと私は推測している。それでもヨーロッパ、カナダ、オーストラリアや、日本のマスコミや、アメリカ帝国の国境にある他の国々のマスコミにも確実に影響を及ぼすだろう。多数の騙されやすいばか者達は、いまだにアメリカに言論の自由があると思い込んでいる。
ロシア・インサイダー報道の下記部分に、是非ご注目願いたい。
“諜報機関によるニュース操作の問題が最近話題になっている。CIAやドイツ連邦情報局(GSS)が、マスコミ幹部や主要ジャーナリストに対し、直接の現金支払いを含め、ニュース報道と解釈に影響を与えるプログラムを長年にわたって行ってきたという暴露だ。
“指摘されているものの一例は下記の通り。
彼[プーチン]を、圧政的な帝国再建を狙う狡猾な独裁者として描くこと。
個人的に多数のジャーナリスト殺害を命じ、KGB離反者を、放射能の毒を盛って殺害するよう個人的に命じたと主張すること。
彼は有名体操選手と情事関係にあるという証拠の無い噂の頻繁な引用。
A彼が個人用に何十億も隠匿しているという、証拠も提示しない主張。
彼が豪勢で怠惰な生き方をしており夜更かしするという最近のニューズ・ウイーク記事
彼の横柄さとされるものに焦点を当てた最近のニューヨーク・タイムズ記事。
ヒラリー・クリントンが、演説するたびに、彼は悪人で、いじめっ子で、強く対決する必要がある人物だと発言
彼の人格を表現するのに軽侮語を頻繁に使う“ばか者の悪党”(今週のニューヨーク・タイムズのトーマス・フリードマン記事)
ソ連崩壊は遺憾という彼の発言の歪曲引用。
彼用に南部ロシアに建設された超豪華別荘とされるものに関する記事。
MH17便の犠牲者を殺害したことに、彼は個人的に責任があるとして描き出す欧米マスコミの異常に派手な見出し(中でもドイツが最悪)。
そして、たわ言 - 彼を不気味な怪物風に表現する雑誌表紙等”
読者がもしまだご存じでなければ、フロリダ州で暮らしているアメリカ軍高官解説者の仮名、The Sakerをご紹介したい。もちろん、それは私ではない。この記事の一番下にあるSakerのインタビューを是非お読みねがいたい。http://russia-insider.com/en/politics_media_watch/2014/10/24/04-54-03pm/cia_running_defamation_campaign_against_putin
日々読者の皆様から、個人としては一体何ができるかというご質問を頂く。テロリストとして私を逮捕できる様、“政府を打倒しなさい”と答えるのを願っている政府の手先も中にはいるだろう。この質問に対する私のお答えは、人々は十分知識を得るまでは無力だということだ。人々は十分知識を得て、態度を明確にすれば、人々は政府を国民の管理下に戻せるだろう。もしこうしたことが起こらない、あるいは起き得ないのであれば、アメリカ民主主義は死んでおり、国家権力から憲法や法律によって守られている自由な国民としての我々の生活もおしまいなのだ。
アメリカは既に終わってしまっており、ワシントンの覇権を全世界中確立するという狂気のネオコン衝動で、それ以外の全世界をも終わらせようとしている可能性が高い。ロシアと中国はワシントンの家臣になることを甘んじまいし、イインドもイギリス植民地であることにはうんざりしている。もしワシントンの狂った覇権者連中が固執すれば、核戦争がその結果になろう。
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四半期毎のご寄附のお願い
多くの皆様が御承知の通り、数年前に私が引退しようとした際に、読者の皆様は、それを受けいれてくださらなかった。私は、協賛各紙に同時に掲載され
るコラムを降りて、皆様にお別れをつげた。皆様が、何千通もの電子メールで、小生の経験と知識を頼りにしておられ、それが現代の出来事を客観的に理解する
のに役立っていると言ってこられたのだ。皆様の御意見には説得力があった。私は引退を止め、このウェブサイトを開設したが、皆様から強固なご指示頂いてい
る。
これは皆様のウェブサイトだ。皆様に支持を頂ける限りは継続する。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2014/10/24/washington-defaming-putin-paul-craig-roberts/
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昨日、『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』(矢部宏治著)集英社インターナショナルを買いたくて、ターミナル駅の大書店によった。大書店でないとまともな本は変えない。地元書店に羅列されているのは、嫌韓本の類や集団的侵略権利推進本ばかり。
伊東光晴京大名誉教授の『アベノミクス批判 四本の矢を折る』が平台のすぐ近くに並んでいた。既に4刷。大手ネット書店をみるとゴミ以下の批判記事が載っているが、庶民全員馬鹿なわけではない。宇沢弘文氏も氏の盟友であられたように伺っている。人間の為の日本版近代経済学がここにある。
『マルクスとともに資本主義の終わりを考える』的場昭弘著 亜紀書房も購入し、今読んでいる。こちらはマルクス経済学。
的場昭弘氏の本、これまで何冊か拝読したが、これは非常に読みやすい。まるでポール・クレイグ・ロバーツ氏や、トニー・カータルッチや、Strategic Culture Foundation記事を日本語で読んでいるような気分で、嬉しくなった。
電車中の雑誌広告や店頭でみる文藝秋冬やら、右翼公論やら、収監厳代や、収監分秋、収監退潮、誰が買うのだろうと、小生も長いこと不思議に思っている。
ポール・クレイグ・ロバーツ氏のおっしゃる通り、
現在は誰もそういう雑誌を読んでおらず、こういう雑誌は、CIA助成金に頼って存続しているに違いないと私は推測している。
TPPに関する、紙媒体・電気洗脳機放送、まさにこの主張の通り。宗主国支配層の拡声器でしかない。
長年にわたって行ってきたニュース報道と解釈に影響を与えるプログラムの成果だ。
対照的なまっとうな報道、大本営広報でない組織のみが行っている。
2014/10/23 「TPPはグローバル企業による侵略、国家の乗っ取り」〜TPPの違憲性ついて岩月浩二弁護士に岩上安身が聞く
※ 10月26日まで、会員以外の方にも動画全編公開中!
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2014/10/23 「TPPはグローバル企業による侵略、国家の乗っ取り」〜TPPの違憲性ついて岩月浩二弁護士に岩上安身が聞く
を読みました。
日本国民にとってTPPに加入するメリットは皆無のようです。
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日本がTPPのISD条項を認めるのであれば(すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定める...... [続きを読む]
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