アメリカが支援する政権が戦争に向けて武装する中、ヌーランド、キエフに到着
Finian CUNNINGHAM
2014年10月7日| 00:00
Strategic Culture Foundation
ウクライナでの戦争が更にエスカレートする不吉な兆しとして、アメリカ国務省幹部のビクトリア・ヌーランドがキエフを訪問し、欧米が支援する政権の幹部と会合した。
9月5日に斡旋された休戦は、ここ数日間、キエフ軍が東部の都市ドネツクへの連続砲撃を強化し、何人かの一般市民死傷者がほぼ毎日の様に報道され、強い圧力下に置かれている。
ドネツクで一般市民の家屋が燃える中、キエフ政権は“戦闘即応性を高め”、ドネツクとルハンスク人民共和国と自称する地域での独立派運動を弾圧しようと、新たな軍部隊を東部ドンバス地域に向け動員し、臨戦体制を再開するとあからさまに語り初めている。
先月キエフ政権は矛盾したことを言っていた。ある時には、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と欧州安全保障協力機構(OSCE)が仲介した休戦をしっかり遵守すると宣言する。ある時には、政権の強硬派が、実際は、休戦協定など存在せず、今にもロシアとの全面戦争になりそうだと警告する。
その間、休戦なるものは、主にキエフ軍が紛争戦線からの撤退を拒否し、一般市民が暮らす中心部への砲撃を継続しているおかげでぼろぼろになっている。
今やキエフの大統領となったペトロ・ポロシェンコは、執拗な戦争言辞に切り換えた。今週テレビに出演して、元産業界の大物はネクタイと背広から軍服に着替え、彼の指揮下にある軍隊は“最新の戦闘技術”を駆使する用意ができていると警告した。
ポロシェンコはこう語った。“ウクライナは経済を臨戦態勢に切り換え、ウクライナ軍を強化するためあらゆる施策を行う”。破産したウクライナは、未払いガス代として、ロシアに530億ドルも借金を負いながらだ。
先週、強硬派のアルセニー・ヤツェニュク首相は、キエフ軍は新装備と冬支度を補充したと発表した。
キエフ政治指導部中における、この軍国主義再生のタイミングは、東部での休戦違反増大と共に、黒幕ビクトリア・ヌーランド訪問との単なる偶然の一致ではないように思える。
ジョン・ケリーの国務次官補、ヌーランドは、3月以来キエフを訪問していなかった。過去7カ月間、彼女は、ウクライナに対し、めっきり目立たない姿勢をとっていた。彼女が登場しなかったのは、2月22日、当時の大統領ヴィクトル・ヤヌコーヴィチの選挙で選ばれた政権が、ヤツェニュク率いるファシスト陰謀団により退陣させられた、CIAが支援したクーデターを監督する上で、彼女の物議をかもした関与から注意をそらすことを狙ったものであるのは確実だ。
クーデターの2週間前に、アメリカ駐ウクライナ大使ジェフリー・パイアットとの私的電話会話で、ヌーランドは、中心人物としてヤツェニュクを指名する新政権の姿を描いていた。ヌーランドはまた、欧州連合を強烈な卑語で非難する様子も盗聴されたが、それは連中の意中の人物“ヤッツ”が陣頭指揮する新政権を据える上で、ワシントンが主導的立場にあることの明らかな兆候だった。
ヤツェニュクの祖国党と、ネオナチのスヴォボダ党は、右派セクター突撃隊員と共に、以来、反ロシア政策の政権を牛耳ってきた。4月のCIA長官ジョン・ブレナンによるキエフ秘密訪問の後、政権は、アメリカが支援したクーデターの正統性を認めようとしない、ウクライナ東部の反政府派ロシア系住民を弾圧する、大規模軍事攻勢に乗り出した。
対テロ作戦と称する攻勢が、3,600人以上の死亡と百万人以上の避難民をもたらしたにもかかわらず、欧米マスコミ報道は異様に少ない。死傷者の大半は一般市民で、ロシアの調査委員会は、先週 ドネツクとルハンスクの一般住民が多数暮らす中心部への、キエフ軍による無差別砲撃で、少なくとも2,500人が殺害されたと報じている。キエフ軍は、通常の軍部隊に加えて、いわゆる国家防衛隊や、イゴル・コロモイスキー等のキエフ・オリガルヒ連中が運用している様々な個人的民兵(暗殺部隊)に所属するネオナチ準軍事部隊で構成されている。
ワシントンもブリュッセルも、キエフ政権を“ウクライナ政府”と呼んで合法性を与え、このテロ作戦を見えにくくしている。ワシントンとブリュッセルは、ロシアのドンバス地域への秘密侵攻と不安定化を非難するキエフの陽動作戦プロパガンダも強化している。モスクワは終始あらゆる関与を否定している。欧米諸国政府もキエフ政権もNATOも、ロシアに対する特定の狙いを持った主張を裏付ける立証可能な証拠は一片たりとも提出していない。
ロシアのプーチン大統領と、OSCE議長でスイス大統領でもあるディディエ・ビュルカルテは、今週、ウクライナ紛争のあらゆる当事者は、9月5日にミンスクで締結された停戦条件を順守しなければならないと繰り返して述べた。
だがキエフは今や休戦を認めるふりを全てかなぐり捨てようとしている様に見える。
休戦協定が発効して以来、キエフのポロシェンコ大統領によって署名されて以来、ドンバスの独立志向のロシア語話者民兵は、キエフ軍は、紛争の小康状態を、再編の好機として利用しているに過ぎないと主張してきた。
9月8日の演説で、ドネツク人民共和国アンドレイ・プルギン第一副首相はこう述べた。“彼等は、休戦協定という条件がなければ不可能だったことを行っている。それなしに、車両隊のあらゆる動きは不可能だったろう。休戦中に、戦闘車両の車列は目的地に到着し、攻撃に備えている。”
こうしたことに全てにおけるポロシェンコの公的役割は、休戦をしっかり守り、意見が違う地域との政治対話への道を準備している、という外面的な印象をもたらすことにあるように見える。
ところが、こうした印象も、連続的な休戦違反や、彼の軍により増大しつつある一般市民の死傷者や、ヤツェニュクの様な硬派による絶えざる反ロシア言辞や、ワシントンからの、対キエフ政権軍事支援提供、ポロシェンコが三週間前、ホワイト・ハウスで歓待されていた間に発表された5300万ドルもの最近の払い込みを背景にして、見る必要がある。
今週ヌーランドがキエフに着陸した日に、政権は、多くの人々がずっと予想していたことを発表した。一ヶ月になる停戦協定を、軍事作戦を倍増する為の戦術的発射台として、利用していたのに過ぎなかったことを。
キエフのウクライナ国防安全保障理事会広報担当官、アンドレイ・リセンコは、月曜日にこう述べた。“我々は、現在使用している装備の性能を高め、新たな兵器、兵器を製造し、ハードウエアを修理する国防産業を再編し、再整備を行うことに成功した。”彼は更にこう述べた。“徹底的な偵察と、敵に関する更なる情報収集を実施できるよう、わが軍を再編した。動員の第三波を完了した。置き換えが必要だった部隊を置き換え、激しい戦闘の後、多少休息させ、正常にもどれるようにした。”
リセンコが、ここで“正常”と言うのは“東部ウクライナの一般市民への脅嚇”だ。
これが、ポロシェンコが最近“経済を臨戦態勢に移行する”と語っていることを裏付けている。
“キャンディー王”ポロシェンコを含めキエフ政権が、今や対東ウクライナ住民への、そしてその延長として、ロシアそのものに対する、本格的好戦政策に向けて再編していることの不吉な兆しだ。
延び延びになっていたワシントンのウクライナ・タカ派ビクトリア・ヌーランドによる今週のキエフ訪問は、アメリカが支援する戦争のエスカレーション認可の予兆を帯びている。
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宗主国がその軍事産業と武力による永久支配の為にでっちあげたテロ組織に、とうとう自発的に参加しようとする人物が出現した。
一方、傀儡政権そのものも、宗主国の侵略戦争のお先棒を担ぐ為、正規軍を世界中に派兵する準備を着々と進めている。
いつ、傀儡国家の軍隊が、ISISへの爆撃飛行をしても不思議はない。あるいは、ウクライナ東部爆撃に参加しても。
70年にわたる宗主国による国家改造成功がこの現実。
どこまでもついてゆきます下駄の雪。
イスラム過激派による東京テロ攻撃、というヤラセが何時起きても不思議はない。
この国には、国務次官補がわざわざ、命令しにやってこなくとも、宗主国の不景気を解決し、借金をチャラにし、戦費負担を軽くする為なら、国民の命や幸せは、どうでもよい仕組み、しっかり稼働中。
学生のイスラム国入国という話題に関し、IWJの岩上安身氏、早速、「渦中の」中田考氏にインタビュー。2時間27分。
2014/10/09 岩上安身によるイスラム法学者・中田考氏 緊急インタビュー(動画)10月12日までは、非会員でも見られる。必見インタビュー。
IWJは以前にも、中田考氏を招いて、中東問題について、インタビューしている。
中田考氏の最近の著書に、たとえば下記がある。
- 『一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教』(集英社新書)
- 『日亜対訳 クルアーン――「付」訳解と正統十読誦注解』 作品社
『一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教』、大本営広報報道と全く違い示唆に富む興味話題満載の深い本。ご一読をおすすめする。
下記は品切れのようだ。(素人には、とても難解だった。)
- 『イスラームのロジック―アッラーフから原理主義まで』 (講談社選書メチエ)
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