ロシアがウクライナを侵略したかどうか判断する方法
2014年9月1日
Paul Craig Roberts
“もしも、ロシアが、ウクライナに、正規軍部隊を派遣しているとお考えであれば、一言申しあげたい。もしロシアが正規軍兵士を派兵していれば、我々はエレノフカの戦いについて語ってはいなかっただろう。我々は、キエフの戦い、あるいは、あり得るリボフ攻略を語っていただろう。”
ドネツク人民共和国、アレクサンドル・V・ザハルチェンコ首相 https://www.youtube.com/watch?v=yH35raTPVu8
リボフは、西ウクライナのポーランド国境近くの都市だ。言い換えれば、もしロシアがウクライナを侵略すれば、戦闘は、ウクライナの東から西へと移動する。
最近のコラムで書いた通り、欧米各国政府と、その売女マスコミが流布した 1,000人のロシア軍兵士がウクライナを侵略したという空想は、愚の骨頂だ。http://www.paulcraigroberts.org/2014/08/28/washington-piles-lie-upon-lie-paul-craig-roberts/(英語原文)(小生の邦訳はこちら)
そうした主張の馬鹿馬鹿しさにもかかわらず、一部の欧米大衆紙は、欧米の新聞全てが今やそうなっているのだが、この1,000人の兵士は“全面的侵略”だと宣言している。こうしたたわごと全て、ウェールズでの来るNATO会議に向けた尽力だ。虚報は、最終戦争を容易に招きかねない、ロシア国境でのNATO軍事力増強用のヒステリーと正当化をもたらす為に使われているにすぎない。http://www.informationclearinghouse.info/article39543.htm
皆様には、これを自問願いたい。欧米マスコミ全てが、ロシアのウクライナ侵略は、1,000人の兵士(その証拠は誰も見つけていない)では済まないことがわからない程に無知で、無能なのか、それとも、欧米マスコミ丸ごとが、欧米マスコミが、イラクの大量破壊兵器というでっち上げた証拠に基づいて、ジョージ・W・ブッシュのイラク侵略に奉仕したのと同様、アメリカ政府の戦争挑発者連中の為の、プロパガンダ省を、単に自ら務めているのだろうかと。欧米マスコミに関して導ける結論は二つしかない。完璧に愚昧であるか、完璧に腐敗しているかのいずれかだ。
ドミトリー・オルロフが、ロシアのウクライナ侵略はどのようなものになるか語ってくれている。
ロシアがウクライナを侵略したかどうか判断する方法(英語原文)(小生の翻訳はこちら)
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2014/09/01/can-tell-whether-russia-invaded-ukraine/
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人はパンのみにて生きるにあらず。さりとて霞を食べて生きるわけには行かない。翻訳作業はタダでできても、翻訳参考資料の費用はかなりの金額になる。だが、万引きすれば、見苦しい顔が公開されかねない。そこで時折、書籍代を稼がなければならない、というわけで、「判断する方法」、今日は訳す時間がとれない。あしからず。
「お偉方」顔を変われど傀儡は傀儡。風が吹けば胡蝶蘭業者は儲かる。
宗主国のトップ外交政策集団の雑誌、フォーリン・アフェアーズに掲載された記事の下記日本語訳を拝読した。
芳ちゃんのブログ 2014年9月1日の翻訳記事「ウクライナ危機を招いたのは西側であって、プーチンではない」 - 米外交問題評議会
基本的に、ポール・クレーグ・ロバーツ氏の主張とほとんど重なっている。戦時の日本「顕教と密教」ではないが、大衆向け戦意向上プロパガンダと、支配層の冷静な理解、全く別物ということらしい。当たり前だが、全員がトチ狂っているわけではないのだ。
属国傀儡日本政府も、大本営広報部も、この記事にある欧米各国政府と売女マスコミと全く同じ、虚報しか報じない。購読紙の論説の愚劣さ、予想通りながら、唖然とするばかり。
一事が万事。
価値ある情報を得ようと思ってなどいないが、たまに、よりましな記事もあるのではと、つい妄想してしまう自分が悲しい。
デング熱やホテル支配人性犯罪は大々的に報道してくださるが、国民を侵略戦争に砲弾の餌食として提供する与党幹部の犯罪と悪辣さ・深刻さを比べれば、四、五桁違うだろう。
「大きすぎて潰せない銀行」という言い方があるが、巨悪は、始めから批判の外にあり、話題にすること自体がタブーだ。
- 国体護持などというのは呪文にすぎず、敗戦以来、ずっと属国にすぎないこと
- 属国を守ってくださっているふれこみの宗主国軍事集団は、孫崎享氏が指摘される通り、暴力団以下の悪辣な存在であること、などは、決して触れられない。
電気洗脳機から流される「ニュース」なるもの全て目くらまし。見れば見るほど白痴化すること確実。電気代も無駄。
アレクサンドル・V・ザハルチェンコ首相の暗殺未遂事件が起きたと、ロシアのイタル・タスは報じている。事件の結果、首相専用車の運転手が負傷したが、ザハルチェンコ首相自身は無事だった。という。
田中正造の足尾鉱山操業停止、非武装・平和主義は、そのまま、原発再稼働反対、集団的先制的侵略権の拒否だろう。
田中正造の直訴状を書いたのは幸徳秋水だった。明治政府の陰謀で、濡れ衣を着せられ処刑された。歴史に「もし」などありえないが、明治政府の戦争推進ではなく、幸徳秋水の夢のようなアナキズムに近い政策が実現されていれば、今の属国は存在しなかっただろう。
徳富蘆花の謀叛論(草稿)、岩波文庫版は、現在入手困難だ。幸いデジタル・テキストが青空文庫にある。その末尾をご紹介しよう。(太字は勝手に加工させていただいた。)(岩波文庫版では、23-24ページにあたる部分)
諸君、幸徳君らは時の政府に謀叛人と見做されて殺された。諸君、謀叛を恐れてはならぬ。謀叛人を恐れてはならぬ。自ら謀叛人となるを恐れてはならぬ。新しいものは常に謀叛である。「身を殺して魂(たましい)を殺す能わざる者を恐るるなかれ」。肉体の死は何でもない。恐るべきは霊魂の死である。人が教えらえたる信条のままに執着し、言わせらるるごとく言い、させらるるごとくふるまい、型から鋳出した人形のごとく形式的に生活の安を偸(ぬす)んで、一切の自立自信、自化自発を失う時、すなわちこれ霊魂の死である。我らは生きねばならぬ。生きるために謀叛しなければならぬ。古人はいうた、いかなる真理にも停滞するな、停滞すれば墓となると。人生は解脱の連続である。いかに愛着するところのものでも脱(ぬ)ぎ棄てねばならぬ時がある、それは形式残って生命去った時である。「死にし者は死にし者に葬らせ」墓は常に後にしなければならぬ。幸徳らは政治上に謀叛して死んだ。死んでもはや復活した。墓は空虚だ。いつまでも墓に縋(すが)りついてはならぬ。「もし爾(なんじ)の右眼爾を礙(つまず)かさば抽出(ぬきだ)してこれをすてよ」。愛別、離苦、打克たねばならぬ。我らは苦痛を忍んで解脱せねばならぬ。繰り返して曰(い)う、諸君、我々は生きねばならぬ、生きるために常に謀叛しなければならぬ、自己に対して、また周囲に対して。
諸君、幸徳君らは乱臣賊子となって絞台の露と消えた。その行動について不満があるとしても、誰か志士としてその動機を疑い得る。諸君、西郷も逆賊であっ
た。しかし今日となって見れば、逆賊でないこと西郷のごとき者があるか。幸徳らも誤って乱臣賊子となった。しかし百年の公論は必ずその事を惜しんで、その志を悲しむであろう。要するに人格の問題である。諸君、我々は人格を研(みが)くことを怠ってはならぬ。
今年5月21日、天皇、皇后は、佐野市郷土博物館で、田中正造の直訴状を見学した。明治政府の天敵として抹殺された幸徳秋水の手になる1901年12月10日の田中正造直訴状、その志は、徳富蘆花が予言していた通り、113年後、宛て先に届いたことになるだろう。
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芳ちゃんのブログ「ウクライナ危機を招いたのは西側であって、プーチンではない」 - 米外交問題評議会 に、
最近、外交問題評議会がその機関誌である「フォーリン・アフェアーズ」に載せたひとつの記事 を紹介しておられる。
アメリカ側から見た「ウクライナ紛争」を元に論評しても、やっぱり現在のアメリカの方針は改めるべきであると言っている。
この提言に従ってアメリカ政府が、賢明な選択をされる様祈...... [続きを読む]
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