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2014年8月17日 (日)

ウクライナ、腐敗したジャーナリズムと汎大西洋主義という信仰

カレル・ヴァン・ウォルフレン

The Unz Review
2014年8月14日

欧州連合は、(もはや)歴史を把握し、世界的な現実を慎重に評価できる、あるいは自分達が導いているものの長期的な利益と結びついた単純な常識を持った政治家達によって率いられてはいない。これについて更なる証拠が必要なのであれば、ロシア懲罰を狙って、先週合意した経済制裁が、たっぷりそれを提供してくれている。

連中が良いことをしていると見なされるはずの、こうした政治家連中が個人的に考えている、あらゆる理解や懸念は、TVや新聞が準備するのだから、まずはマスコミから始めることこそが、連中の愚かさを推し量る一つの方法だ。

欧州連合の大半の国において、マレーシア旅客機搭乗客の恐ろしい運命以降の、世界的現実に関する一般的な理解は、英米主要マスコミの姿勢を丸写しにした主流新聞やTVに依存しており、当てこすりや中傷が、あるべき報道に置き換わっている‘ニュース’によって提示されている。フィナンシャル・タイムズや、かつては高く評価されていた、私が16年間、東アジア特派員として働いていたオランダのNRCハンデルスブラッドの様な立派な刊行物が、この堕落したジャーナリズムに参加するのみならず、狂った結論に導く手伝いをしているのだ。こうしたものから派生する専門家連中の談義や論説記事は、私が記憶している、政治的な狙いの為にかきたてられた、これまでの持続的なメディア・ヒステリーのあらゆるものを超越してしまっている。私が目にした最も言語道断のものとして、エコノミスト誌掲載の反プーチン指導者による論説があるが(7月26日)、フランスを侵略する際のジャンクールの戦い前に、自軍兵士を説諭するシェークスピアの『ヘンリー五世』の調子を帯びていた。

政治に関心のあるヨーロッパ人達が、お互い重要な国際的事件の進展を熟慮し、討論する手段という意味で、ヨーロッパの公的領域を維持する為の、ヨーロッパ全体を対象にしている新聞や刊行物は皆無であることをまず念頭におくことが必要だ。世界情勢に関心を持った人々は、通常ニューヨーク・タイムズや、フィナンシャル・タイムズの国際版を読むので、地政学的問題に関する疑問や答えは、ニューヨークやロンドンの編集者達が重要だと決めたことによって、日常的に形成されたり、強く影響を受けたりしてしまう。デア・シュピーゲル、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥンク、デイー・ツァイトやハンデルスブラットに現在見られる様な、そうしたものと大きく異なる見解は、ドイツ国境を越えられないのだ。そこで、欧州連合の権益そのものに直接影響があるような事柄であるにせよ、国際問題を巡って進展するヨーロッパ世論の様なものは皆無ということになる。

飛行機墜落で亡くなった193人の国民の(105人の他国籍の人々と共に)によって、オランダ国民は、自分達に影響しかねない世界の出来事に対する無頓着さから突然解放されたが、オランダ・マスコミは、アメリカが始めたモスクワ指弾を慌ただしく見倣った。ロシア大統領の有責性に何らかの形で言及しない説明は、禁止扱いされる様に見えた。これは、指弾に加われという大変な圧力下にあっただろうに、一体何が本当に起きたのかについて徹底的な調査を待つことを主張した、節度あるオランダ首相の声明とは真っ向から食い違っていた。

その直後の頃に私が見たTVニュース番組は、途方に暮れ、本当におろおろするばかりの視聴者に、暴露してくれるよう、反ロシア解説者の中でも、アメリカ・ネオコンとつながりを持った評論家連中を招いた。あるオランダ外交政策専門家は、“分離主義者”の外交的立場を間接的に承認するのに等しいことなので、外務大臣や代理は、オランダ国民の亡骸を引き取りの為、(マレーシア当局者がそうした様には)墜落現場に行けなかったと説明した。欧州連合が、アメリカが始めたクーデターによって作り上げられた政権を承認してしまった時点で、外交的にクーデター政権に縛りつけられてしまったのだ。

墜落現場の住民や反キエフ戦士達は、ユーチューブ映像で、非協力的な犯罪人として描かれており、非常の多くの視聴者にとって、彼等の罪の確認も同然だった。後に本物のジャーナリストによる報道が、衝撃を受けて、非常に心配している村人達を描いて、様相は変わったが、両者の矛盾は説明されず、極悪非道というそれまでの憶測が、一体なぜこの人々がそもそも戦っているのかについてのいかなる客観的分析に道を譲ることもなかった。偏向したツィッターや、ユーチューブ‘ニュース’が、東ウクライナ人に対する、オランダの公式的怒りの基盤となり、世論には、解決されるべきものが生じたが、それは、またもや一般的見解では、威厳なる厳粛な軍事式典での、亡骸の引き取りの全国版テレビ放映(マレーシアの仲介によって公開された)によって実現された。

私が見たり読んだりしたもので、クーデターや内戦をもたらしたウクライナ危機は、オバマ大統領から自由裁量を任せられた、ネオコンや、国務省やホワイト・ハウスにいる少数のR2P (“保護する責任”)狂信者が生み出したものであることをほのめかしているものさえ皆無だった。オランダ・マスコミは、大惨事が、即座に、ホワイト・ハウスや国務省の狙い用の論争の種に変えられたことさえも気がつかないように見える。もしも自分の停戦の主張が受け入れられていれば、大惨事は起きてはいなかっただろうと彼が主張した際の、プーチンが正しかった可能性は受け入れられなかった。

6月10日、キエフは、暴漢や、ウクライナ人ナチスの子孫や、IMFや欧州連合に夢中になっているオリガルヒの寄せ集めに支配されることを望まないロシア語話者の東ウクライナ人に対する内戦の停戦を破ったのだ。‘反乱者’とされる人々は、ヨーロッパのニュース報道では全く、あるいは,極わずかしか扱われていない、キエフ軍が行った民族浄化作戦(体系的なテロ爆撃や虐殺 - 30人以上のウクライナ人が生きたまま焼き殺された)の開始に反撃しているのだ。

キエフでの2月クーデター前に、政治不安定化工作の為、50億ドル費やしたと公式に認めているアメリカのNGOが、突如ウクライナから消滅したり、キエフの軍隊や民兵が内戦戦略を立てている横で、アメリカ人軍事顧問や特殊部隊兵士が手をこまぬいていたりするとは考えがたい。結局、新たな暴漢連中は、アメリカや欧州連合やIMFが提供する資金的生命維持装置に依存している政権なのだ。我々に分かっていることは、自分がその始まりを手助けした内戦における殺戮の継続を、アメリカが奨励しているということだ。

ところが、主要マスコミが我々を信じ込ませようとしていることと、全く逆に、本質的にいやがっている敵に対するプロパガンダ戦争で、アメリカは常に楽勝し続けている。プロパガンダの波は、アメリカ発で、ソ連帝国喪失で高まった民族主義によって支援され、突き動かされているプーチンが、この消滅した帝国の国境まで、ロシア連邦を拡張しようと企んでいるという前提にぴったりあてはまるよう作られている。ネオコン熱に感染した専門家連中が、大胆になればなるほど、ロシアは益々、西欧を包囲しようと、おどしてくる。かくしてヨーロッパ人は、プーチンが、これをずっと求めながら、外交を拒否していると信じこまされてしまっている。かくして、支配的プロパガンダが、アメリカではなく、プーチンの行動こそが危険で過激なものに見えてしまう効果をもたらしている。プーチンやロシアの悪い面を強調したがる身の上話を持っている人々は、すべからく即座に行動すべきなのだ。オランダの編集者達は、今のところ全く飽くことを知らない様だ。

良く言及されているモスクワ・プロパガンダが存在することは疑いようはない。しかし、真面目なジャーナリストには、競合するプロパガンダを比較考量し、どれだけの真実やウソやたわごとが、そこに含まれているかを見分ける手法があるのだ。私の視野の中では、これはドイツにおいて、ごくわずか起きているにすぎない。それ以外については、特に‘対テロ戦争’やイラク侵略開始以来、ソ連時代の地下出版物の安定化版のような形になっている、内部告発者や、古風な調査ジャーナリズムに温かい、これまで以上に益々不可欠となっているアメリカのウェブサイトを頼りにして、政治的現実を寄せ集め、全貌を明らかにしなければならないのだ。

オランダでは、国務省の発表はほぼ全て額面通りで受け取られている。ソ連崩壊後のアメリカの歴史は、実に息をのむほどのウソだ。パナマ、アフガニスタン、イラク、シリア、ベネズエラ、リビア、そして北朝鮮で。アメリカによる他国政府転覆の実績。アメリカの非合法活動や偽旗作戦。そして約一千もの軍事基地で、地球をこっそりと要塞化していることは、都合よく問題外にされている。旅客機墜落後の一週間続いたヒステリー状態のおかげで、関係した歴史について多少知識がある人々に口を開く暇を与えなかった。現代ジャーナリズム世界での職の安定は実にあやふやで、潮流に逆らって動けば、悪魔の味方をするのも同様で、ジャーナリストとしての‘信頼性’を損なうことになりかねない。

真面目なジャーナリストの旧世代の人間にとって、主流マスコミの信ぴょう性に関して、衝撃的で、疑わしいのは、公式説明を傷つけたり、破壊したりしかねない潜在的なヒントに対する論説の無関心さだ。他の多くのものと同様に、本や映画批評を飾っている使い捨ての注記で明らかな通り、公式説明は、既に大衆文化に浸透している。オランダでは、公式説明は既に石に刻まれており、一万回も反復されることになるだろう。もちろん、そういうものを無視するわけには行くまいが、それは何の証拠にも基づいていない。

もしも、ジャーナリストとして、あるいはオランダが公式に率いている調査チーム・メンバーとして、私が調査していたなら、ロシア・レーダー上の、マレーシア旅客機近くにいたウクライナ戦闘機二機の存在は、私が非常に関心を持つ有力なヒントになろう。これは、旅客機の近くで、墜落に近い時間帯に、はっきりと別の飛行機、戦闘機を見たり、空からの爆発を聞いたりしたという現地の村人の目撃者談話というBBC報道で裏付けられる様に思われる。BBCのアーカイブから削除されて、この報道は最近注意を引いた。墜落現場にたどり着き、一週間以上、残骸調査に費やし、最初の欧州安全保障協力機構(OSCE)査察官の一人で、CBCワールド・ニューズで、二つか三つの“全くあばた状態の”胴体の一部について下記の様に語ったマイケル・ボツィウルキューと話をしてみたいものだ。“ほとんど機関銃による射撃のように見える。もう極めて強力な機関銃射撃が、我々がどこでも見たことのない様な独自の痕跡を残している。”

一体なぜマレーシア機のパイロットが、墜落の直前に、航路を外れ、急速に降下したのかを理解し、キエフの外国人航空管制官が実際に、墜落直後、首にされたのかを確認する為に、没収されたとされているキエフ航空管制塔のレーダーと音声記録を、何とかして是非見てみたいものだ。諜報活動の乱用を批判する団体“Veteran Intelligence Professionals for Sanity”と同様、私もアメリカ当局に、衛星写真‘反逆者’の手中にあったブーク・ミサイル砲台や、ロシアの関与について、彼等が持っていると主張する証拠を示す為、アクセスを認めるよう、何としても強く促したいし、彼等に、一体なぜ、既にそうしていないのかを問いたいものだ。現在に至るまで、アメリカは酒気検知器テストを拒んでいる運転手のような振る舞いをしている。諜報機関幹部が、アメリカの一部新聞に対し、国務長官が世界に語ったアメリカの確かさが、それほどではないことを漏洩して以来、私の好奇心は強まるばかりだ。

ウクライナ問題における、アメリカに対するヨーロッパ・マスコミの忠誠度や、ヨーロッパ政治家達の卑屈な振る舞いの全体像を把握するためには、我々は汎大西洋主義について知り、理解する必要がある。これは、ヨーロッパの信仰だ。もちろん、それで公式な教義が生み出されているわけではないが、ほぼそういうものとして機能しているのだ。それはイラク侵略当時のオランダ語スローガンで巧みに要約されている。“zonder Amerika gaat het niet” (アメリカ合州国無しには、[物事は]動かない)。言うまでもなく、冷戦が汎大西洋主義を生み出したのだ。皮肉にも、ソ連からの脅威が説得力を失うにつれ、益々多数のヨーロッパ人政治エリートの中で、信仰が強化された。これは恐らく世代交代が理由だろう。第二次世界大戦が遠い過去となるにつれ、世界規模の問題に対する独自の外交政策を持っていることが一体どういうことかを、ヨーロッパ政府が益々忘れるにつれ。欧州連合政府の現在の幹部連中は、現実的な戦略的熟慮に不慣れなのだ。国際関係や地球政治に関する習慣的な考え方は、冷戦認識論に深く根差している。

これは必然的に‘責任ある’編集方針の特徴ともなる。汎大西洋主義は、今やヨーロッパにとって、恐ろしい苦難の種だ。汎大西洋主義は、歴史的記憶喪失、故意の無知や危険な程の思い違いによる政治的怒りを助長する。しかし、汎大西洋主義は、なかなか消え去ろうとしない、疑問の余地のない冷戦時代の保護に関する確実性や、大衆文化に深く埋め込まれた冷戦への忠誠心や、ヨーロッパの全くの無知や、自分がいささか洗脳されてすぎていることを認めるのに、どうしても気が進まないもっともさ等の混合物を餌に育つ。アメリカは、極悪非道なことをし放題だ、全員の忘れっぽさのおかげで、汎大西洋主義は全く無傷のままのこるのだが、マスコミは、これを改める為に、ごくわずか、あるいは全く何もしようはとしない。プーチンの悪口にはうんざりしているオランダ国民がいるのを私は知っているが、ウクライナという文脈で、指弾する先は、アメリカであるべきだという考え方は、ほとんど受け入れられることはない。そこで、オランダの刊行物は、ヨーロッパの他の多くの刊行物と共に、ウクライナ危機は、全てアメリカが始めたことであり、プーチンではなく、アメリカこそが解決の為の鍵を握っていることを認識して、正しい視点から捉える立場に立つことができずにいる。そうなれば、汎大西洋主義を放棄するよう駆り立てられることになるだろう。

汎大西洋主義は、その制度的具現化であるNATOから、強みの大半を得ている。ソ連崩壊と共に消滅したNATOの存在理由は、ほとんど忘れさられている。1949年に設立されたNATOは、第二次世界大戦後、全世界の支配を狙っていたモスクワが画策していた共産主義に直面し、安全保障と国防の為の大西洋両岸の協力が必要だという発想に基づいていた。ヨーロッパ人が、経済統合に向かって、最初の動きを始める中では、ヨーロッパ内部での不信についてはほとんど語られなかった。NATOは、ヨーロッパのいかなる大国にも、他の国々を支配しようとはさせないという、ある種のアメリカによる保障だった。

ヨーロッパの協調した外交・国防政策の発展を妨げ、加盟諸国に、アメリカ軍国主義に使える道具となることを強いているので、欧州連合にとって、NATOはだいぶ前から重荷になっている。‘有志連合’に参加している各国政府は、国民に対し、イラクやアフガニスタンで亡くなっているヨーロッパ人兵士達は、ヨーロッパをテロリストから安全にしておく為に必要な犠牲だというウソを売り込まねばならなかったのだから、これはまた道徳的負担でもある。アメリカ合州国が占領していた地域に軍隊を配備した各国政府も、そういう行動は概して相当いやいやながらなやっており、一連のアメリカ人幹部から、民主主義と自由を守るという集団的目的の為に、ヨーロッパ人はほとんど何もしようとしないという叱責を受けてきた。

イデオロギーとしての特徴から、汎大西洋主義は歴史に無関係だ。根本的な政治的曖昧さという苦悩に対する馬用の薬として、自らの歴史を提供している。アメリカ側が言葉を広めて助けてくれて、アメリカ主流マスコミに書き換えられるかも知れない代物だ。

現時点でのオランダの経験以上に、これを具体的に実証しているものはまずありえまい。過去三週間の会話で、NATOは、一インチたりとも東に向かって拡張することはないという約束のもとで、ジェームズ・ベーカーが、ゴルバチョフに、ドイツの再統一と、ワルシャワ条約軍の撤退を受け入れさせ、1989年12月、ゴルバチョフと父親ブッシュとの間で、マルタで締結された外交協定で、冷戦が終わったことを友人達に思いださせると、彼等が心から驚くのを目にした。アメリカは、東ヨーロッパからのソ連軍撤退につけ込むことはしないというブッシュの約束への見返りとして、ゴルバチョフは、ロシアが東ドイツだけでも、約350,000人の兵士を保有していた東ヨーロッパの兵力を使用することはないと約束したのだ。ビル・クリントンは、こうしたアメリカの約束を破り、ひたすら選挙対策上の理由から、彼はNATO拡大を自慢し、1999年には、チェコ共和国とハンガリーを正式加盟国にした。十年後、更に9ヶ国が加盟し、その時点で、NATO加盟諸国の数は、冷戦中の倍となった。ロシア専門家として著名なアメリカ人で、冷戦封じ込め政策の創始者、ジョージ・ケナン大使は、クリントンの動きを“冷戦後時代の全ての時期を通じて、アメリカ政策上、最も決定的な過ち”と呼んだ。

汎大西洋主義に幇助されている歴史的無知の究極の証明として、痛烈な程丸見えになっている争点は、ウラジーミル・プーチンのクリミア侵略という主張だ。またしても、ここでも政治的現実は、アメリカ主流マスコミによって作り上げられたのだ。侵略などなかったのだ。そもそもそこはロシア海軍の‘不凍港’黒海基地なので、ロシア人水兵や兵士はずっとそこにいた。アメリカ合州国の歴史ほどの長期間にわたって、クリミアはロシアの一部だった。1954年、彼自身ウクライナ出身のフルシチョフが、ロシアもウクライナも、同じ国家に所属していたので、クリミアを、ウクライナ社会主義共和国に与え、この地域が別の州となったものだ。住民投票で、まずはクーデターで生まれたキエフ政権からの独立、そして次にロシアとの再統一に投票したロシア語話者のクリミア住民は大満足だ。

プーチンには、そのようなことをする権利がないと主張する人々は、存在もしていない、イランからの敵意あるミサイルを迎撃する為とされている、アメリカ合州国が、益々ロシア国境近くに進めている(スターウォーズ計画) ミサイル防衛システムという鎖の歴史を知らないのだ。領土的一体性や主権を巡る殊勝そうな発言は、こうした状況の下では、意味をなさず、それが自らの外交政策において、主権の概念を排除しているアメリカから主張されるなど、露骨なほどばかげている。

汎大西洋主義者の忌まわしい動きの一つは、ノルマンディー上陸作戦記念にまつわる会合や行事から、プーチンを、この17年で初めて排除したことだ。その結果、G8は、G7になった。記憶喪失と無知のおかげで、ソ連は、比較のしようもない、想像もできない戦死者の犠牲を払って、(オランダを占領していた)ナチス戦争機構の心臓をえぐり出したという自分達に直接関連している歴史が、オランダには見えなくなっている。それなしには、ノルマンディー上陸はありえなかったろう。

さほど遠くはない昔、イラクとアフガニスタンの徹底的な軍事的大惨事が、NATOをその必然的な終焉も、そう遠くはないかもしれないと思わせる様な立場に押しやるかのように思われた。しかしウクライナ危機と、ロシア海軍基地のあるクリミアが、アメリカが所有する同盟の手中に落ちる可能性を防ぐというプーチンの果断さが、それまで、よろめいていたこの機構にとっての天の恵みとなったのだ。

NATO指導部は既に、バルト諸国におけるプレゼンス強化の為、軍隊を移動させており、ミサイルや攻撃機を、ポーランドやリトアニアに送り、マレーシア旅客機の墜落以来、ロシアに対する危険な挑発になりかねない更なる軍事的な動きを準備している。いずれもNATOに加盟していないバルト諸国とポーランド外務大臣が、そうなっている理由には擁護の余地があるかも知れないにせよ、背後の強力な駆動力となっているのは明らかだ。動員の雰囲気は、過去一週間で広がっている。腹話術師の人形の様なアナス・フォー・ラスムセンやヤープ・デ・ホープ・スヘッフェルが、TV画面に登場して、NATO加盟国の堕落を痛烈に批判することが期待できよう。現事務総長のラスムセンは、8月7日には、キエフで、NATOの“ウクライナの主権と領土的一体性に対する支持は揺るぎない”と宣言し、9月、ウェールズでのNATOのサミットで、ウクライナとの協力関係を強化することを期待していると述べた。この協力関係は既に強力なので、彼は“ロシアの侵略への反撃として、NATOは、国軍と防衛機構の改革の為、ウクライナと一層緊密に協力している”と述べた。

この間、アメリカ議会では、23人の共和党上院議員が、アメリカが、ウクライナを、非NATOの同盟国とすることを可能にして、ロシアとの直接的な軍事紛争の準備を整えることができるようにすることを意図した“ロシア侵略防止法”という法案を提出した。その法案が一体どうなるかを見るには、アメリカの中間選挙の後まで待つ必要性がありそうだが、法案は既に、ウクライナで、次のステップに進みたがっているアメリカの連中に、政治的な口実を与えるのに役立っている。

昨年9月、プーチンは、ネオコンが推進していた、対シリア爆撃作戦をオバマが辞めるのを可能にさせて、彼を助け、更には、もう一つのネオコン計画である、イランとの核計画にまつわる紛争を緩和するのを支援した。これがネオコンをして、プーチン-オバマのつながりを何としても断ち切ると決断させたのだ。ネオコン連中が、プーチンを打倒し、最終的には、ロシア連邦を分割することを熱望していることは、もはや秘密ではない。ヨーロッパでは、ロシアで活動している無数のNGOの存在がほとんど知られていないが、こうしたNGOがネオコンを手助けするのだ。ウラジーミル・プーチンは、NATOや、アメリカ議会の機先を制する為、クリミア住民投票直後に、恐らくは彼がしておくべきことであった東ウクライナ掌握をして、今すぐ、あるいは間もなく反撃が可能だろう。これはもちろん、ヨーロッパ中の編集者の目からすれば、彼の悪意の証明だ。

こうしたこと全てから見て、現在の世界情勢の中で、問われるべき最も決定的な疑問の一つはこれだ。アメリカはヨーロッパ人が頼りにしている保護者であることを辞め、火遊びをしており、それどころか、ヨーロッパの安全保障を危険に曝しているのだという事実に、ヨーロッパ人が目覚める為には、一体何がおきる必要があるのだろう? ウクライナ危機は、何よりも、核戦略家による狂気の専門用語でいう‘第一撃’能力をアメリカに与えてくれるスターウォーズ計画のミサイル砲台を、ロシア国境の広大な地域沿いに設置するのが狙いであることが明らかとなる瞬間は到来するだろうか?

国内の政治的理由から、アメリカに必要な為、アメリカ合州国が、ヨーロッパの敵ではないものを、敵として考えていることが、年配のヨーロッパ人の間では十分に理解され始めている。それは、経済的に極めて重要な軍事産業を存続させ続け、政治的誠実さ公職を目指して戦う連中を簡便にテストする為なのだ。ところが、ならずもの国家やテロリストを‘正しい戦争’の標的として利用するのは全く説得力がないが、軍国主義のNATOによる、プーチンのロシア悪魔化なら、北大西洋両岸の現状を引き延ばせるかも知れない。マレーシア旅客機の運命の背後にある真実は、私がそれについて聞いた瞬間から、政治的に決められていたのだろうと私は考えいる。ブラック・ボックスは、ロンドンにある。NATOの手中にあるのだろうか?

覚醒の為の他の障害類も山のようにある。金融経済化と新自由主義政策が、大西洋両岸における金権主義者権益の密接な絡み合いを生み出した。汎大西洋主義信仰と共に、こうしたものが、欧州連合の政治的発展や、独自の政治判断で進めるというヨーロッパの能力を邪魔するのに役立った。イギリスのトニー・ブレアがアメリカの言いなりとなって以来、そしてフランスのニコラ・サルコジも、ほぼそれに類するものと化して以来。

残るはドイツ。アンゲラ・メルケルは明らかに経済制裁には不満なのだが、結局はアメリカ大統領に気に入られていたかったがゆえに、そして、第二次世界大戦の勝利者としてのアメリカ合州国が、様々な協定によって、いまだに影響力を持っているがゆえに同調した。ドイツ外務大臣フランク=ヴァルター・シュタインマイヤーは、新聞に引用され、TVに出演し、経済制裁を拒み、エスカレーションと最後通告によってもたらされた結果の例として、イラクとリビアを挙げたが、彼さえも立場を変え、最終的には連中に同調した。

デア・シュピーゲルは希望を与えてくれるドイツ刊行物の一つだ。同紙のコラムニストの一人、ヤコブ・アウグスタインは、経済制裁に同意した“夢遊病者”を攻撃し、同僚達のモスクワ指弾を譴責している。ハンデルスブラット発行者のガボール・スタインガルトは、“敵に対して、言語的、そして次には、軍事的エスカレーションをし、孤立化し、悪魔化し、そして攻撃するアメリカの癖”を痛罵し、ドイツ・ジャーナリズムも“わずか数週間で、冷静から、興奮したものへと切り替わってしまった。意見の広がりは、暗視照準の視野にまで狭められてしまっている”と結論づけている。ヨーロッパの他の地域にも、このような発言をする、もっと多数のジャーナリストがいるべきなのだが、彼等の声も、悪口の騒音の中では、最後まで持ちこたえられまい。

またもや、歴史が作られつつある。ヨーロッパの運命を決定しかねないものも、汎大西洋主義信仰擁護者の外部にあり、アメリカという国家の機能障害と徹底的無責任さを、上品なヨーロッパ人は我に返って確信することができずにいる。

カレル・ヴァン・ウォルフレンは、オランダ人ジャーナリストで、アムステルダム大学の退職教授。1969年以来、公共政策問題に関し、20冊以上の本を刊行し、11ヶ国語に翻訳され、世界中で100万部以上売れている。オランダ主要新聞の一紙、NRCハンデルスブラッドの海外特派員として、彼はオランダでジャーナリズム最高の賞を受けており、彼の記事は長年にわたり、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ニュー・リパブリック、ナショナル・インタレスト、ル・モンドや他の無数の新聞や雑誌に掲載されている。

記事原文のurl:http://www.unz.com/article/the-ukraine-corrupted-journalism-and-the-atlanticist-faith/
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前回のPaul Craig Roberts氏の記事、「アメリカは世界を最終戦争への道に向かわせている」この記事が主題。文脈上、不可欠ゆえ、毎回同様酷い翻訳だが掲載する。

キオスクで「慰安婦問題で訂正した新聞に、ホテル宣伝掲載拒否」という見出しを見た。
ホテル名を見て吹き出した。国内出張や観光時、絶対に泊まらないホテル。仮に、宿泊代金を下さっても、決して泊まることはしない。

自民党の集会で新聞を潰せと主張しているオバサマもおられる。彼女の著作、十年以上、購入したことも読んだこともない。テレビに出演された瞬間、切り換えるか消すかしている。

「その新聞を読むと馬鹿になる」という別雑誌編集長の発言も見た。その雑誌を読めば、確実に、更に馬鹿になるだろう。恥ずかしながら、お金を払って読んだことが一度ある。

おかしな連中のほうが、声が途方もなく大きいのはいずこも同じようだ。

益々抱きつかれ心中をさせられている状況の今、この記事全く人ごとではないが、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏の健筆を拝読して嬉しく思う。

NATOや汎大西洋主義、この国に置き換えれば、安保条約やら今話題の集団的自衛権、実質、宗主国侵略戦争に、砲弾の餌食を提供する義務だろうか。しかし、

彼等の声も、悪口の騒音の中では、最後まで持ちこたえられるまい。
と言って、黙っているわけには行くまい。

ソ連時代の地下出版物の安定化版のような形になっている、内部告発者や、古風な調査ジャーナリズムに温かい、これまで以上に益々不可欠となっている日本のウェブサイトを頼りにして、政治的現実を寄せ集めて、全貌を明らかにしなければならない。と愚考する。若者の野球を見ている余裕、残念ながら小生には全くない。そこで

岩上安身による哲学者・能川元一氏インタビュー

※「慰安婦問題」や「南京虐殺問題」を「なかったこと」にしようとする歴史修正主義者の詭弁を徹底論破した哲学者・能川元一氏へ、岩上安身が再インタビュー

【IWJブログ】慰安婦問題・朝日の吉田証言訂正への反応を概観する ~女性の意思に反して、性行為を強要した「広義の強制性」は消えない

岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

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この記事の翻訳は必要だと思っていました。
「毎回同様酷い翻訳だが」とおっしゃるとおり
良い翻訳ではないですが、
翻訳の労を取られたことに感謝と、拍手を
送ります。

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