真実をウソで窒息させるアメリカ政府
Paul Craig Roberts
2014年8月13日
欧米の煽動者は、誰もだませず、自分をだましているのだろうか?
ウクライナ、EUとアメリカ政府は、ロシアと赤十字が、現在は東ウクライナになっている旧ロシア領に、トラックで運びこむ人道的支援は、ロシア侵略軍の為の策略、欺瞞、口実だという最新のばかげた言動を主張している。この実に非常識なウソは、欧米の煽動者連中が、欧米国民の知性に何の敬意も払っていないことを示している。
もしロシアが軍隊を、ウクライナに送り込みたいのであれば、ロシアは何の口実も不要であり、まして赤十字との共同人道事業など不要なこと等、ばかでさえ理解できるはずだ。東ウクライナは、クリミアの先例に習って、キエフからの独立とロシアへの再編入支持という投票結果を出している。もしロシアが口実を必要とするのであれば、もう何ヶ月も前に東部ウクライナ人がした判断だけで十分なのだ。しかしロシアは、ロシア人が、ガザのパレスチナ人同様に、アメリカの傀儡によって虐殺されるのを救うのに何の口実もいらないのだ。
何もしないことで、ロシア政府は、ヨーロッパのアメリカ属国諸国が、ロシアでなく、アメリカ政府こそが問題であること、アメリカ政府は、ロシアとの紛争の犠牲を、ヨーロッパ人に負担させるよう企んでいることを理解する為の時間を与えているのだ。
アメリカや、アメリカ属国EU諸国や、キエフのアメリカ傀儡が、人道支援の流入に反対しているのは、アメリカが、キエフで権力に据えつけたロシア嫌いの過激派から、直接威嚇されているそうした旧ロシア領内の、一般国民の生命、住宅や、インフラのアメリカとその傀儡による大規模破壊を世界に知らせない為の、欧米による必死の試みなのだ。
アメリカが権力の座にすえたきわめて残忍なロシア嫌いの犯罪人連中によって支配されている国に、何の未来も見いだせない人々に対して行われている残虐行為を報じないことによって、欧米売女マスコミは、長い不名誉な歴史に、更なる失敗を付け足した。
気が狂ったNATOの将軍達、アメリカ国防長官や、アメリカ上院議員連中が、ウクライナだけでなく、バルト海諸国、ポーランド、事実上、全ヨーロッパに対する、不気味に迫りくるロシア侵略についてのヒステリーを広めている。このヒステリーは、ロシアの準備やら、そうした侵略の動機に関するいかなる兆候の証拠も皆無なのに、欧米を巻き込んでいる。プーチンはソ連帝国を再現するつもりだというウソを、アメリカ政府は広めている。旧ロシアの一部だったグルジアを掌握していたのに、ロシアからの離脱を認めた同じプーチンが。
アメリカのプロパガンダは機能している。世論調査では、アフガニスタン、イラク、ソマリア、リビア、シリアやイランについて散々ウソをつかれ続けた後、もういい加減に目覚めているべきアメリカ国民の大多数が、きわまりない、だまされやすさから、またしても、プロパガンダの犠牲となり、ロシアを脅威と見なしている。
虚報を吹き込まれ、洗脳されたアメリカ国民の現今の疑問はこうだ。“一体どうやってロシア人を止めよう?”かくして、堕落した、うそつきオバマ政権はまたしても、アメリカ人に戦争を準備させているのだ。
アメリカが、ヨーロッパの属国にも実施を強制している対ロシア経済制裁への反撃としての、ロシアの対経済制裁が、だまされているアメリカ人納税者の身に降りかかってしまうことが、平和への一縷の希望だ。ポーランド政府は、アメリカ政府に、アメリカ政府のおかげで、ポーランドが、ロシアに売れなくなったリンゴや農産物を買い上げるよう要求している。ポーランドは、アメリカ政府が、ロシアに向けたアメリカ・ミサイル基地の場所として選んだ国なので、ポーランド政府には強い影響力があるのだ。アメリカが、ポーランドに屈してしまえば、手ひどい打撃を受けたギリシャやオーストリアや、それ以外のヨーロッパ諸国からも、アメリカ政府の経済制裁が、属国国民に押しつける犠牲を、ヨーロッパ人に、埋め合わせをしてくれという、同様な要求に、アメリカは直面することになろう。
21世紀、アメリカ合州国が、世界に対して押しつけ続けている欺瞞は、途方もないものだ。歴史上、これに匹敵するものは全く存在しない。無数の戦争(アフガニスタン、イラク、ソマリア、イラク、シリア、ウクライナ、そしてほぼイラン)あるいは、パキスタンやイエメン国境内部でのアメリカ政府の違法な軍事行動等の欺瞞のみならず、世界に押しつけ続けている、膨大な金融詐欺もある。ウオール街の詐欺による犠牲には、ヨーロッパの累積債務危機、公的債務のIMF救済措置によるヨーロッパ諸国の国家主権侵害や、“救済された”ギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガルや、アイルランドや、東ヨーロッパ諸国の窮乏化などがある。
いつの日か、ヨーロッパ人も目覚めるだろう。目覚めれば、彼等は、アメリカ政府は、ありもしない“ロシアの脅威”から彼等を守る以外、何もしておらず、ヨーロッパ人を、アメリカの世界覇権の為の戦争における、徴募兵士として雇い入れて、劇的な犠牲を強いているだけであることに気づくだろう。アメリカ政府にふりつけられたこの役割は、自分達の為にならず、その中でヨーロッパ人が最初の犠牲者となる、第三次世界大戦に引き込まれるだけだということに、遅かれ早かれ、ヨーロッパ人は気づくに違いない。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2014/08/13/washington-chokes-truth-lies-paul-craig-roberts/
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大本営広報部紙媒体、民主党派閥が活性化をもたらし、良い結果をうむがごとき虚報を載せている。二大政党を目指す小選挙区制導入からの時間は短いのでじっくり待ちたい。という趣旨の「識者」戯言も。二日酔いの体が一層つらくなった。
「二大政党を目指す小選挙区制導入」支配層には良い結果を生んだだろうが、ヒ庶民にとっては何の良い結果もない。益々酷くなるばかり。早急に廃絶すべき制度。全ての大本営広報機関が統一戦線を組んで、強引に導入を手助けした大きな犯罪、決して大本営広報連中は認めない。確信犯。
『「英語教育神話」の解体 今なぜこの教科書か』という英語教科書を購入した。素晴らしい教科書。冒頭の「英語教育神話」の真相が読ませる。
原発事故調査委員会の話まであってびっくり。
28ページ冒頭の文章が、この教科書の性格を端的に表現しているのではあるまいか?
「英語帝国に対する抵抗と対米従属からの日本民族の独立のために」英語を学ぶのである。この方法の危険なところは、ミイラ取りがミイラになることだ。そうならないためには、どうするか。ここ改めて本稿の冒頭に戻るのだが本教科書が志向する徹底した批評的精神と批判的精神を育てることである。当然英語自体も批評と批判の対象にしてある。
中学生から社会人まで多くの人に初級英語で語れることの豊富さを実感してほしい、と帯にある。3700円+税で、高価だが、じっくり拝読に値する参考書だ。
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