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2014年8月12日 (火)

アメリカの産業空洞化

2014年8月11日

ポール・クレイグ・ロバーツ、デイヴ・クランツラー、ジョン・タイタス

2004年1月6日、ポール・クレイグ・ロバーツと、アメリカ上院議員チャールズ・シュマーが、ニューヨーク・タイムズの論説欄に“自由貿易再考”と題する共著論文を発表した。論文は、アメリカ人労働者は“機械工から、ソフトウエア・エンジニア、はてはウオール街アナリストに至るまで、ありとあらゆるレベルの職業で、直接的なグローバル競争に直面している。毎日、直接顔を突き合わせてやりとりすることが不要な職業のあらゆる労働者達は、今や、何千キロも彼方にいる、より低賃金で、同程度の技能の労働者によって置き変えられる恐れがある。アメリカの雇用は、外国企業との競争ではなく、より低賃金の国に事業移転し、経費を削減する多国籍企業のおかげで失われつつある。”新経済の時代にアメリカが突入したことを指摘していた。ロバーツとシュマーは、雇用の海外移転は、それに関する、いかなる懸念も根拠がない、単に双方が恩恵を受ける自由貿易の動きにすぎない、という経済学者達の考え方の正しさに異議を申し立てたのだ。

レーガン財務次官補と、ニューヨーク州選出のリベラルな民主党上院議員という異様な組み合わせによる“自由貿易グローバリズム”と見なされているものに対する異議申し立ては、センセーションを巻き起こした。ワシントンのリベラルなシンクタンク、ブルッキングス研究所が、ロバーツとシュマーの為に、彼等の説を説明させる為、というよりは、おそらく二人の異端な見解を擁護させるべく、ワシントン会議を主催した。この会議は、C-スパンで生放送され、同放送局は、この会議を何度か再放送した。

ロバーツとシュマーが会議を支配し、ワシントンの政策立案者や経済評論家である聴衆達が、雇用海外移転政策は、どこかが本当に間違っているのかもしれないと気がつきかけて、アメリカが雇用を海外移転していることの結果についての質問に答えて、ロバーツは言った。“20年後、アメリカは第三世界になるでしょう。”

アメリカ経済は、あと20年間もつだろうといったロバーツは楽観的に過ぎたようだ。会議からわずか10年後、既にアメリカは、益々第三世界の国の様相を呈している。デトロイト、クリーブランド、セントルイス等のアメリカの大都市、五分の一から、四分の一の人口を失った。本当の平均家計所得は、何年も低下し続けており、アメリカを“機会の社会”にしていた「出世のはしご」が解体されてしまったことを示している。4月、低賃金労働者の擁護団体ナショナル・エンプロイメント・ロー・プロジェクトは、本当の平均家計所得は、2007年から、2012年の間に、10%低減したと報じた。

共和党は、どうも犠牲者に罪をなすりつける傾向がある。“一体何が問題というのだ?アメリカは地球上で最も豊かな国だ。貧しいアメリカ人ですら、TVを所有し、中古車を2,000ドルで購入できるではないか”とおっしゃる前に、アメリカ世帯の三分の二は、手持ちのものを売却するか、家族や友人から借りるかしないと、400ドルという現金を用意できないという連邦準備金制度理事会が最近公開した報告書をお考え頂きたい。

アメリカの経済マスコミの報道からは決して知ることはできないが、現在、アメリカ人が直面している悲惨な就職見通しは、30年前のインドのそれに匹敵する。アメリカの大学卒業生達が雇用される場合があるとすれば、ソフトウエア・エンジニアや、管理職としてではなく、ウエイトレスやバーテンダーとしてなのだ。彼等は独立して暮らすほどの収入がえられず、親元で暮らさざるをえない。学資ローンを抱えた人々の半数は利息を支払えずにいる。18パーセントは、取り立て中か、滞納しているかだ。更に学資ローンを抱えた人々の34%が繰り延べか、債務履行猶予状態にある。明らかに、教育は解決策にはならない。

雇用の海外移転は、労務費を低減し、大企業の利益を増し、大企業幹部や大口株主を豊かにはしたが、何百万もの給料の良い雇用の喪失で、何百万人ものアメリカ人が落ちぶれさせられたのだ。おまけに、雇用の海外移転は、アメリカ経済が依存していた消費者需要の増大をも破壊して、経済は、労働年齢人口の増加に追いつくだけの十分な雇用を生み出せない結果となった。

2008年10月から、2014年7月の間に、労働年齢人口は1340万人増えたが、アメリカ労働人口は、わずか110万人しか増加していない。言い換えれば、増大した労働年齢人口中の過去6年間の失業率は、91.8%だ。

2000年以来、雇用の欠如が就労率を低下させ続けてきたが、量的緩和が2008年に始まって以来、就労率の低下は加速している。

明らかに、就労率が崩壊していては、経済回復などありえない。

右翼の論者達は、就労率が低いのは、潤沢な社会福祉のおかげで、人々が働かなくても済んでいるためだと主張するだろう。荒唐無稽な主張だ。この期間中、食料切符は二度も引き下げられ、失業給付は他の社会福祉同様に削減された。現代、アメリカで、社会福祉で暮らすのは極めて困難だ。しかも、物乞いするわけには行かない。

グラフは就労率の崩壊を示している。就労率65%の線より上のわずかな小さなピークは、経済が労働年齢人口に追いつくだけの十分な雇用を生み出せていたわずかな時期を示している。線より下の大きなピークは、雇用が不足している為、存在しない雇用を探すのをあきらめ、労働人口として勘定に入れられなくなった人々を生み出した時期を示している。6.2%のアメリカ失業率というのは、職が見つからない為に、労働人口からはずれてしまった、あきらめた求職意欲喪失労働者を除外しているのだから、誤解を招くものだ。

Shadowstats.comのジョン・ウィリアムズは、本当のアメリカ失業率は、23.2%だと計算しているが、この数値はアメリカ就労率の崩壊と辻褄があう。

ロバーツとシュマーが警鐘を鳴らしてから十年で、アメリカは、新規雇用の基準が、海外に移転することが不可能なアメリカ国内サービス業の低賃金パートタイム雇用という国へと化した。国民の三分の二が、400ドルの現金も用意できないような悲惨な状況で暮らしている。国民の貯蓄は、暮らしを維持する為に、引き出されつつある。大企業は、将来の為に投資する為ではなく、自社株を買い戻す為に資金を借りて、株価、CEOボーナス、大企業債務を押し上げている。1パーセントの人々の所得と富の増加は、生産的な経済活動ではなく、略奪で得ているのだ。

これはまさに第三世界の国の統計データだ。

Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでい る。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTが購入可能。

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2014/08/11/de-industrialization-america/

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こういう経済政策を推進する宗主国に留学して、経済学を修めたり、経済学を教えた連中が、この国の政権にいて、宗主国で学んだ通りの経済破壊政策を推進するのだから、この国も直ぐ宗主国においつくだろう。

徴兵制の是非、あるいは実現可能性についての記事もあるが、宗主国では、貧困ゆえに、大学に進めない層を意図的に作り出し、彼等、彼女らを「自発的に」兵士として、採用する政策をとっている。

属国も宗主国を見倣い、貧困層を作り出し、侵略軍隊を維持する予定だろうか?

平和宣言で、集団的自衛権を批判した方を、土屋正忠が非難しているという。ある集会で実物に会ったことがある。当然、彼を祝う政治集会などではない。動物園で、パンダを見るような気分で眺めていた。いやガラガラ蛇だろうが。

昨日ふれた、「反日」の秘密 朝鮮半島をめぐる巨大な謀略 安倍首相も朴大統領も知らない 鬼塚英昭(著)が気になって、参考書にあげられていた『韓国とキリスト教』を読んだ。

韓国におけるキリスト教の歴史概説として、大変わかりやすい本だ。

アメリカやイスラエルのような選民思想も、韓国には歴史的にしっくりする考え方のようだ。プロテスタントの教義も、現世利益を求める心理に実に、ぴったりするようだ。

第5章は 「韓国キリスト教会の問題と展望」

今話題の慰安婦問題でっち上げ?にまつわる論者諸氏の文より、こういう本の方が、両国のものの考え方の違いを考える上で参考になるだろうと思う。

幼い時、日曜礼拝に参加し、小遣いすら十分ないのに献金した(子供心としては「させられた」)思い出がある。調べてみると、プロテスタント!今、どれだけの信者が集まっているのかは、全く覗いていないので不明だ。

賛美歌も二つほど覚えているが、浦上天主堂も大浦天主堂も、教会には見学以外の目的では、よったことがない。(結婚式と葬式は、やむをえない例外)

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