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2014年6月 7日 (土)

帝国主義に仕える右翼“知識人”キエフに集合

David North

2014年5月16日
World Socialist Web Site

右翼学者集団、ジャーナリスト、戦争支持派人権活動家と、“談話”専門家が、来る週末(5月16-19日)、キエフに集合する。エール大学のティモシー・スナイダー教授と、ネオコン雑誌ニュー・リパブリックNew Republic編集者レオン・ウィーゼルティアが率いる会議の目的は、アメリカ合州国とドイツによる資金援助と指揮を受けたクーデターで、2月に権力の座についたウクライナ政権に政治的、道徳的体面を与えることだ。

自らを“知識人の国際的集団”と売り込む)主催者が発行した宣伝ビラ、いや失礼、“宣言”には、会議についてこう表現されている。“自由を大切に思う人々と、多大の犠牲を払って自由を勝ち取った国との出会い”。この声明に多少の真実はある、ヤヌコービッチ政権の打倒で、実際、アメリカ合州国には莫大な経費がかかったのだから。

会議は、帝国主義プロパガンダの実践だ。会議のスポンサーには、カナダ、フランス、ドイツ、ポーランドと、アメリカ合州国大使館も入っている。他のスポンサーには、ウクライナ外務省、ヨーロッパ民主主義基金と、ユーロジン(Eurozine)がいる。ユーロジンのウェブは、キエフ会議の大宣伝をしており、ウクライナ・クーデターの地政学的意義に関する無数の記事がある。目につく特集記事には“冷戦IIで勝利する方法”などがある。著者のヴラジスラフ・イノゼムツェフは、現在ワシントンD.C.にある戦略国際問題研究所CSISの客員研究員だ。

1960年代の冷戦時、反共産主義の文化自由会議議会(CCF)に参加した知識人は、この組織の事業が、中央情報局(CIA)の策謀と公式につながった際には、いささか悔しがった。当時は、CIAや他の国家諜報機関に協力していると見られることは、その人物の知的、道徳的名声のためにならないと考えられていたものだ。過ぎにし時! キエフ会議に参加する連中は、彼等がヤヌコービッチ政権打倒に深く関与した各国政府に支持され、演出されたこのイベントの参加者であるという紛れもない事実にも、全く臆することはない。

会議丸ごと、欺瞞と二枚舌の実践だ。民主的“言辞”の美辞麗句が、全く反動的な政治的思惑を精緻化する為の隠れ蓑となっている。全ての文章は解読が必要だ。

宣言は、会議では“ウクライナの多元的文化の、ヨーロッパ、ロシアと世界の将来に対する意味について広範な公開議論を行う”予定だと主張している。これが実際に意味していることを解読すれば、会議は、ヨーロッパとユーラシアにおける、ロシアの影響力を弱体化させることを狙った更なる作戦の為、ウクライナ・クーデターが手本としてどのように役立つか検討するものだ。

この会議で論じられる他の話題には下記がある。

1. “いかにして人権を地に足が着いたものにできるか、そして我々はいかにして人権の理想によって動機付けられるか?”[解読:“どうすれば、人権‘言辞’を政治的不安定化や反対政権打倒の口実にできるか?”]

2. “いかに、そして、いつ、言語は普遍的なものにアクセスを可能にするのか、また、いかに、そして、いつ、政治的差異を定義するのか?”[解読:“どうすれば民主的な専門用語を、社会的葛藤の裏にある物質的権益を分かりにくくするのに利用できるか?”]

3. “世界的なアナーキー、国内の腐敗、そして人は概して誤りを犯しがちな中、政治に於ける品位はいかにして可能か?”[解読:“現代地政学の現実は、一体なぜ‘境界を逸脱するのか’つまり拷問の使用、標的暗殺、独裁主義、戦争等を正当化するのだろう。”]

こうした疑問をくどくど論じることで、知的エネルギーの消費を最小限に止めながらも、討論参加者が息を吐くように、大量のたわ言を語るのを可能にするだろう。議題としてリストに載っていないものの中には、何百人ではないにせよ、多数の死者をもたらした、南部と東部ウクライナ住民に対するキエフ政権の弾圧行動から生じる諸々の疑問がある。主催者には、2月のクーデターや、現政権の編成において、スヴォボダと右派セクターというネオ-ファシスト勢力が演じた大きな役割を検討したり説明したりする予定はない。

参加者で目立つのは、慌ただしく寄せ集められた“札付き”の一群、つまり人権という偽装の下、帝国主義的介入の推進にしっかりとした実績がある連中だ。連中は、本質的に犯罪的性格の国家政策を売り込むことが専門だ。“人権”というまじない文句は、さまざまな形で、常に帝国主義を正当化するための手段として機能してきた。ベルギーのレオポルド王でさえ、1880年代、コンゴで何百万人も殺害しながら、彼の無力な犠牲者達の“道徳と物質的復興”のために行動しているのだと主張していた。一世紀以上前に、最初の偉大な帝国主義研究学者の一人、ジョン・ホブソンは、帝国主義政策の裏にある本当の動機を隠すため、道徳的言い訳の偽善的利用が演じている陰険な役割に注意するよう呼びかけた。彼はこう書いていた。

    まさに、この本当に重要な動機の改ざんにこそ、帝国主義の最大の欠点と、最も注目すべき危険がある。一連の様々な動機の中から、最も薄弱なもの[つまり“人権”および/あるいは“民主主義”]が、最も体裁が良い為に、公的に重要なものとして選ばれ、政策を作成した人々の念頭には全く存在もしていなかった諸問題が、主因として扱われれば、国家の道徳的信用は低下してしまう。帝国主義の全ての政策は、この欺瞞に満ちあふれている。[帝国主義: 一研究(ケンブリッジ、2010年)、pp. 209-10]

参加者には、イラク解放委員会主要メンバーとして動き、アメリカ新世紀プロジェクトと極めて近いと見なされているレオン・ウィーゼルティアもいる。アメリカのセルビア爆撃を擁護したリベラル政治理論家ポール・バーマン(コソボ人分離主義を支持)や、9/11直後に、中東や中央アジアにおける、アメリカの戦争を、イスラム教ファシズムに対する戦いだとして正当化しようとした。バーマンの“アレクシ・ド・トクヴィルと民主主義思想”と題する日曜夜の講義は、オレフ・チャフニボクや、スヴォボダ党の信奉者達にとって、目を見張らせるものとなるのは確実だ。

ベルナール・クシュネルも必然的に出席する。数十年前、国境なき医師団 [Medecins Sans Frontieres]とつきあっていたクシュネルは、戦術的問題を巡って、この組織と別れ、より堅固な“人道的介入”プログラムを擁護すべく世界の医療団[Medecins du Monde]を立ち上げた。この活動基盤は、ホブソンが予想しただろう通り、あちこちの国々への軍事介入に対する無数の口実を認めた。クシュネルは、バルカン半島での介入を推進した。彼は最終的にフランス・サルコジ大統領政権で、外務大臣になった。2011年、内閣を去った後、彼はサルコジのリビア攻撃も、フランスのコート=ジボアール侵略も支持した。この政治反動主義者で、フランス資本主義国家の擁護者が“ヨーロッパは、ウクライナ革命を必要としているか?”という話題の公開討論会に参加する予定だ。

クシュネルの同国人で、もう一人の人道的介入支持者、著名な哲学者ベルナール=アンリ・レヴィは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の非難講演をする予定だ。演題は“アルトゥロ・プーチンの興隆”だ。ベルトルト・ブレヒトの極めて深刻な寓話劇[アルトゥロ・ウイの興隆]という題名のこの知ったかぶりな悪用には、いかにもレヴィの仕事らしい特徴がある。レヴィは、プーチンなら報復を恐れずに非難できるのだ。オバマの犯罪を非難するには、ともあれレヴィの胆力以上の遥かに多くの度胸が必要だろう。ブレヒトの作品は、ヒトラーの政権獲得への痛烈な諷刺だ。重要なことに、ブレヒトは物語の舞台をシカゴにおき、資本主義環境における犯罪地下組織の活動と、ナチス党の活動を比較している。アメリカ人観客の心に深く響くよう意図された、最も恐ろしいセリフとして、これがある。“奴が敗北したとて喜ぶな、お前たち。世界が立ち上がり、野郎を止めたとはいえ、奴を生んだあばずれは、またもや盛りがついている。”古いブレヒトの警告は、また新たに時宜を得ている。

フランスにおける、知識人としてのレヴィの評判は、ぼろぼろだ。2010年、彼はカントと啓蒙主義を攻撃するエッセーを書いた。彼のこの反カントの痛烈な非難は、その作品がレヴィの目に留まった哲学者“ジャン・バティスト・ブトゥル”の著作に依拠していた。残念ながら、レヴィは“ブトゥル”と彼の思想体系(“ブトゥリスム”)が丸ごとフランス人ジャーナリスト、フレデリック・パジェスによる架空の作品だという事実を見過ごしていた。今や嘲りの対象と化し、髪を見事にセットしているレヴィの哲学を、あるフランス人賢者が“神は死んだが、髪は完璧だ”とうまく纏めた。[ベルナール=アンリ・レヴィの思想、彼が広く知られていることに関し、必要なことがらを学びたいと思う方々にとって、彼に関するウイキペディア記事は簡潔な要約になっている。]

レヴィは、会議のいささか喜劇的な側面の代表だが、ティモシー・スナイダー教授の参加と、彼の主要な役割は、暗黒面を代表している。彼のあっと言う間の目ざましい有名人への変身は、ウクライナを自分の勢力圏に引き込もうとするアメリカの企みに、見せかけの学問的正当化を与え、ロシアを、スナイダーによれば、アメリカ合州国とヨーロッパが擁護する人類の民主的熱望に対する大敵として汚名を着せようとする彼の執拗な努力と、全て深く関係している。

スナイダーを、著名学者の成層圏へと送り込んだ書物は、『ブラッドランド ヒトラーとスターリン大虐殺の真実』と題する本だ。2010年に刊行された本書は、傑作として、有力なメディアに称賛された。多数の新聞に、スナイダーを、あたかもツキジデスの化身であるかのように褒めそやす書評が載った。スナイダーは、注目されて喜んでいるようだ。2012年版ペーパーバック本では、最初の14ページは、ひたすら彼に対する書評賛辞の抜粋引用に割かれている。

何でそれほど大騒ぎするのだろう? スナイダーの本は、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ支持者による不正投票という主張を巡る大衆抗議行動の後、アメリカが支援したビクトル・ユシチェンコのウクライナ大統領就任することとなった2004-2005年のウクライナ・オレンジ革命の余波に出現した。権力掌握を強化するため、ユシチェンコは右翼ウクライナ狂信的排外主義に訴えようとした。反ロシア感情をあおるよう仕組まれた、このキャンペーンの主な要素は、破滅的な飢餓と約350万人の死者をもたらした、1930年代のソ連集団化を、ナチスによるヨーロッパ・ユダヤ人の組織的絶滅に匹敵するものとして提示することだった。ホロドモール(餓死)は、ホロコーストが、ユダヤ人の意図的な大量虐殺だったのと同様、ウクライナ人に対し、ソ連が計画し、実行した集団大虐殺の一種だと彼は主張するのだ。

控えめに言っても、事実からしても、理論的な視点からも実にこころもとない、この解釈の正統性とは無関係に、ホロドモールを、ソ連(とロシア)によるウクライナ迫害の象徴にまで格上げするのは、政治的に扇動的で、それゆえ極めて有用だ。これはウクライナ右翼には、有力な神話を、アメリカ帝国主義には、反ロシア感情の炎を煽り立てるのに使えるプロパガンダ用こん棒を提供することとなった。

ユシチェンコは、2010年の選挙で、権力の座から下ろされた。ところが、彼の最後の行動の一つとして、彼は、第三帝国に協力し、ユダヤ人とポーランド人の大量虐殺に参加した悪名高いウクライナ民族主義者、ファシストのステパーン・バンデーラ(1909-1959)を“ウクライナの英雄”だと宣言した。これはウクライナの首席ラビも含む広範な抗議運動を引き起こした。奇妙なことに、それに続く彼の文章からすると、ティモシー・スナイダーは抗議をした連中の一人だった。2010年2月24日付けのニューヨーク・レビュー・オブ・ブックスに掲載された記事で、彼はユシチェンコの行動を疑問視していた。スナイダーは、バンデラとウクライナ民族主義者組織 (OUN-B)の犯罪を簡潔に要約し、こう書いた。

    1939年、ドイツ人は、ウクライナ民族主義者達が望んだ通り、ポーランドを破壊した。そして彼等は、1941年、ソ連を破壊しようとした。6月、ドイツ国防軍がソ連を侵略した際には、ハンガリー、ルーマニア、イタリアとスロバキアの軍隊や、OUN-Bと関係しているウクライナ志願兵のわずかな分遣隊も加わった。これらウクライナ民族主義者の一部は、ドイツ人が残虐なユダヤ人虐殺(ポグロム)を計画するのを手伝った。そうすることで彼等はドイツ政策を推進したが、それは、ユダヤ人とソ連の圧制を彼らが同一視したことによる、彼等自身の人種的純粋化計画と首尾一貫していた。

スナイダーは、OUN-Bの指揮の下で活動していたウクライナ武装反抗部隊軍(UPA)の行為を述べていた。

    彼等の指揮の下、1943年と1944年に、UPAは、西ウクライナのポーランド人民族浄化に乗り出した。UPAパルチザンは、何万人ものポーランド人を殺害したが、その大半は女子供だった。ポーランド人の家庭に身を寄せたユダヤ人の一部も殺害された。ポーランド人(と生き残った極僅かのユダヤ人)は、UPAに支配されている地方から、ドイツ人が支配していた都市に逃げた。

ナチス降伏の余波の中、ソ連とポーランド(現在はスターリン主義政党が支配)は、アメリカ合州国から支援を受けたOUNが継続するレジスタンスに直面した。1950年代まで続いた戦闘で、何千人もが亡くなった。ソ連とポーランドは、OUNを“ドイツ-ウクライナ・ファシスト”と呼ぶが、それをスナイダーは“ソ連国内・外での、永続的で効果的なプロパガンダとして役立つには十分な精度の描写”だと認めていた。バンデラについては、スナイダーこう書いている。“KGB [ソ連秘密警察]によって、1959年に暗殺されるまで、彼はファシスト・ウクライナの理想に忠実だった。”

バンデラ賛美とウクライナ政治の関係について発言し、スナイダーはこう書いている。

    ユシチェンコは、大統領選挙の第1回投票で完敗したが、おそらくある程度は、より多くのウクライナ国民が、西ウクライナの民族主義パルチザンよりも、赤軍に共感したためだ。バンデラは英雄とされた後、オデッサで、身代わりの人形が燃やされた。2007年に市当局が建立した西ウクライナのリビウにある彼の像さえ、選挙戦中は警護された。[強調は筆者による]

歴史エッセイの最後にスナイダーはこう書いた。“離任時にバンデラを受け入れたことで、ユシチェンコは彼自身の政治的遺産に暗影を投じてしまった。”

スナイダーが2010年始めに発行されたこのエッセイを書いた時には、彼は明らかに、バンデラとOUNは、ウクライナ史において、重要で、危険で、不穏な要素だと見なしていた。ところが、Bloodlandsが8ヶ月後の2010年10月に刊行されるまでに、スナイダーのこの話題の扱いは、驚くべき、根本的変化をとげた。524ページの著書の中で、ウクライナ民族主義者の作戦は、ごくおざなりにしか触れられていない。Bloodlandsの索引には、ステパーン・バンデーラもOUNも一項目とて載っていない! 本全体の中で、OUNに率いられたUPAの残忍な行為は、326ページのたった一文しか書かれていない。

2010年、Bloodlands刊行の最終準備段階を行う中、スナイダーは、ベーシック・ブックス社の編集者達と相談した可能性が極めて高いが、ウクライナ民族主義者の犯罪に関する言及を本から除くべきだと決めたことは明らかだ。スナイダーが2010年2月のニューヨーク・レビュー・オブ・ブックスのエッセーに書いたウクライナ・ファシズムに関する事実や問題の記述は、Bloodlands中には一言も見当たらない。

刊行された本として、Bloodlandsは、見え透いた程に不正直な、右翼歴史修正主義の実践だ。つまり、ソ連の方がおそらくより酷かったことを強く示唆し、ソ連とナチス・ドイツが、政治的、道徳的な等価物として提示されるホロドモール説の是認だ。二つの政権の、歴史的起源、社会経済的な基盤や、政治的目的に関する検討は皆無だ。全ての真面目な集団農場化研究において取り上げられるべき、複雑な歴史的、政治的問題はあっさり無視されている。無謀な集団農場化導入が生み出した大惨事は“スターリンは、ソビエト・ウクライナで何百万人もの人々を殺害することを選んだ。”という主張で“説明される”。

有力なマスコミとは対照的に、真面目な歴史学者による、スナイダーの本に不利な書評もある。ウクライナ民族主義者が実行した残虐行為の程度を最小化しようとする彼の取り組みは懸念をもたらした。ブラウン大学教授のオマール・バルトフはこう書いている:

    当時[1941年夏]のウクライナ人隣人による、東ポーランド全体におけるユダヤ人大量虐殺は、ほとんど扱われておらず、素早くその前のソ連の犯罪に関連付けられている。ドイツが支配していた警察に入り、ナチス親衛隊に入隊し、あるいは絶滅収容所職員として働いて、一体なぜウクライナ人がユダヤ人という隣人を虐殺したのかについて説明しようとするスナイダーの取り組みは、こうした連中が行った暴力行為を考えると極めて貧弱に思える。

バルトフは、ソビエト・レジスタンスの暴力とナチス侵略者が行った暴力行為を同一視するスナイダーの試みに反対している。

    パルチザンと占領者、ソ連とナチス占領、ドイツ国防軍と赤軍の犯罪性を同一視し、民族間の暴力を回避することで、スナイダーは、戦争から、多くの道徳的内容を排除してしまい、全員罪人で、誰を責めることもできないという、弁解者連中の主張をうっかり採用している。[Slavic Review、2011年夏号]

歴史学者マーク・マザワーは、スナイダーの研究に痛烈に批判している。“たしかに、東ヨーロッパ反ユダヤ主義の重要性を大げさに扱い過ぎる場合があり、これで批判される学者は決して少なくないのだが、過小評価しすぎる場合もあり、ここでのスナイダーの扱いは、後者の方向にそれている。” [Contemporary European History、2012年5月]

スナイダーのそれ以降の変化から見て、Bloodland中で、ウクライナ民族主義者の犯罪を回避してる理由は、ウクライナにおけるアメリカ合州国の政治工作と、スナイダー自身の、そうした工作への関与が益々深まったことに関する政治的動機による判断だと見る以外に、説明は困難だ。過去数カ月間、スナイダーは、キエフ政権の最も卓越した擁護者の一人として登場した。彼の著作と演説の最も際立った特徴は、ロシアに対するむき出しの敵意と、2月クーデターと、キエフ政権の政治的状況への過激派右翼の、あらゆる重大な関与に対する猛烈な否定だ。

ウィーゼルティアーのニュー・レパブリックに掲載された、彼のつい最近のキエフ政権擁護論で、スナイダーは、知的不誠実さのひどさを更新した。ロシアや、ソ連さえもが、準ファシスト政権として描かれているのだ。ウクライナ政界における、スヴォボダと右派セクターの重要な役割は無視されている。新ウクライナ政権へのロシアの反対にこそ、ファシズム台頭の兆候が見られる、とスナイダーは主張している。

更に異様な一節で、スナイダーはこう述べている。“ファシズムは、裸体男性の賛美、同時に犯罪化され、模倣される同性愛へのこだわりを意味する。 … 現在、こうした思想がロシアで勃興している …”スヴォボダが、同性愛には極めて敵対的で、スヴォボダが、2012年に、“50人の性倒錯者の安息日”だと公然と非難したゲイの権利集会を粉砕したことを、スナイダーが知らなかったことは有り得ない [スヴォボダに関する英語版ウイキペディア記事に引用されている]

自分の政治的下心に合わせて、スナイダーは鉄面皮にも歴史を歪曲している。彼が4年前に書いたことと正反対に、今や彼はこう述べている。“ウクライナ民族主義者の政治協力と蜂起は、概して、ドイツ占領史における些細な要素だった。”

ティモシー・スナイダーの著作の中で、我々は、知的に、不健全で危険な傾向に直面させられる。歴史記述と、御国の為のプロパガンダでっちあげとの違いを抹殺しているのだ。今週末キエフに集まる全ての“知識人”は、この大いに反動的な過程の権化なのだ。

記事原文のurl:http://www.wsws.org/en/articles/2014/05/16/kiev-m16.html

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大本営広報部記事をあげつらうのが馬鹿馬鹿しくなった。大変な資本と労力をかけて虚報を流すのに、貧しい個人が文句を言っても勝ち目はない。個々の報道に文句を言うより、ポール・クレーグ・ロバーツ氏が前回記事でも書いておられる通り、大本営広報の電気洗脳機も、紙媒体も、基本的に見ない、読まないことが一番重要だろう。

この翻訳、「些細なことをうるさく言う記事だ」と大半の皆様は思われるに違いない。

個人的に全く同感で、この記事に大いに納得したのが翻訳した理由だ。

宗主国一流大の学者による良い本と思って調べて見たところ、本当にパンデラの名前、索引にないのだ。パンデラが活躍したはずの時期について書かれた本だから当然記述があると思っていた。索引から、どう活躍をしたか詳しく読めると思った読者には肩すかし。

この先生、別の本、最近翻訳が出たばかり。高いのを我慢して買おうと思っていたが、この本にこりて、中止した。一冊の本がこれほど歪曲した内容であれば、他の著書に期待しろというのは無理だろう。

支配体制が推進する政策にあわせて歴史を書かれてはかなわない。歴史ではなくて、体制偽神話。支配体制と、庶民の利害が一致すれば別だが。この国では、戦後、支配者と、庶民の利害、一致した時期はほとんどないか、万一あってもさほど長くはないだろう。現在は、両方の利害は真っ向から対立している。有権者と利害が完全に対立する支配者が権力につける制度というのを、制度と呼べるのかどうか?

他のウクライナ史を見ると、古代から現代まで扱って、この記事の本と同程度の厚さの本で、索引にしっかりパンデラが載っている。(Ukraine: A History by Orest Subtenly そもそも表紙の画が読書欲をそそる。)アメリカ人ジャーナリストが書いた本の中でも、Ukraine: A Historyは、お勧め参考書として載っていた。

この国で官僚養成大学元教授が、集団的自衛権容認の旗ふりをしているのは、このティモシー・スナイダー先生の劣化日本版?「曲学阿世の徒」と吉田首相なら呼んだかも。

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コメント

こんにちわ。だいぶ以前に二、三度コメントさせて頂いたこともある者です。

ティモシー・スナイダーという名前で思い出したことがありますので、今回、少し書コメントさせていただきます。英語教育学者の寺島隆吉氏のブログ、WEBLOG「百々峰だより」の最近の記事、「ウクライナ情勢の読み方(番外編)―元CIA高官は語る 『IAEA事務局長・天野之弥はアメリカの傀儡(かいらい)だ』」
http://pub.ne.jp/tacktaka/?entry_id=5262900
の中で紹介されているDemocracyNow!の番組の中で元CIA高官レイ・マクガバン氏とティモシー・スナイダー教授が論争している場面があります。

(以下は上記ブログからの引用です)

マクガバン氏は、元CIA 上級分析官で、ブッシュ(シニア)大統領への日例指示 [PDB:President's daily briefing] の作成、国家情報評価 [NIE: National Intelligence Estimates] の主任を務めたほどの高官でした。
 また27年間の勤務の最初の10年はロシアの外交政策を担当しました。現在は、アメリカの情報機関を退職したひとたちが結成した「諜報活動の乱用を批判する団体」(VIPS:Veteran Intelligence Professionals for Sanity)の運営委員を務めています。
 なお以下の翻訳は、DemocracyNow!(2014/03/03)で放映されたディベートのマクガバン発言、しかもその一部です。この番組で、マクガバン氏の論争相手として登場したティモシー・スナイダー氏は高名なイエール大学の歴史学教授です。
 マクガバン氏は、自称「レベラル左派」のスナイダー氏がウクライナの現状を「独裁者に抗して立ち上がった民衆」という単純な図式でしか見れないのは驚くばかりだ、と反論していました。

(引用終わり)

なお、私自身は英語が苦手なので、原文はよく理解出来ないないのですが、記事の中にあるDemocracyNow!の全文書き起こしはこちらです。
http://www.democracynow.org/2014/3/3/who_is_provoking_the_unrest_in

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