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2014年6月 9日 (月)

益々傍若無人化するウソ

Paul Craig Roberts
2014年6月6日

欧米“指導者連中”が自分のウソで作り上げたおとぎ話の架空世界に暮らしていることに関し、もし多少の疑念があったとすれば、G-7会合とノルマンディー上陸作戦70周年祝典が疑念を一掃してくれた。

この機会にぶちまけられた馬鹿げたウソは、抱腹絶倒に値する。オバマと、そのポチ、キャメロンは、1944年6月6日のノルマンディー上陸作戦を“世界が知っている最大の解放軍”だと語り、ヒトラー打倒のあらゆる功績をアメリカとイギリスだけのものとした。ノルマンディー上陸作戦までの三年間、ドイツ国防軍と戦い、打ち破ったソ連と赤軍への言及は皆無だ。

1942年8月23日から1943年2月2日まで戦われ、22人の将軍を含め強力なドイツ第6軍の大半の残滓が降伏したスターリングラードの戦いでドイツは第二次世界大戦に破れたのだ。

地球上に終結した、これまで最大の侵略軍が、一千マイルもの戦線で、19カ月間ロシアに侵攻した。300万人の優秀なドイツ軍兵士。7,500の砲兵部隊、3,000輌の戦車を有する19のパンサー師団と、2,500機の飛行機が、ロシア中に、14ヶ月間進撃した。

三年後の1944年6月、この軍隊の極僅かしか残っていなかった。赤軍がこてんぱんに潰したのだ。いわゆる“連合軍”(どうやらロシアは除くものの様に見える言葉)がフランスに上陸した際、彼等に抵抗するものはほとんど皆無だった。ヒトラーに残された最良の軍隊はロシア戦線にあり、赤軍がベルリンに接近するにつれ、日々崩壊していた。

赤軍がドイツとの戦争に勝ったのだ。アメリカとイギリスは、ドイツ国防軍が消耗しボロボロになり、ほとんど抵抗もできなくなってから登場した。ワシントンとロンドンは、ロシアにドイツ打倒の重荷を負わせたまま、最後の瞬間まで戦争を避けていたとヨシフ・スターリンは信じていた。

ハリウッドや人気作家達は、もちろん真実を隠蔽した。アメリカには『遠すぎた橋』等のいかに英雄的であるにせよ、とるに足らない出来事を戦争の転換点であるかのごとく描き出す、あらゆる類の映画がある。それでも、事実は明らかだ。戦争はロシアによって、東部戦線で勝利したのだ。ハリウッド映画は面白いが、たわごとだ。

ウクライナ強奪と、クリミア黒海艦隊基地からのロシア追放という、オバマの計画が挫折したがゆえに、ロシアは“世界コミュニティー”からまたもや仲間外れとなった。アメリカの歴史ほどの長期間に亘り、ロシアの一部だったのだ。ウクライナ人のフルシチョフが、ロシアとウクライナが、同じ国家の一部だった時代の1954年に、クリミアを、ウクライナ社会主義共和国に組み込んだ。

ワシントンが押しつけたキエフ傀儡政府が最近、ロシア語の使用を廃止し、ロシアの二重国籍を持つウクライナ人を逮捕すると宣言し、ウクライナのナチスからの解放に捧げられたロシアの戦争記念碑を破壊し始めた際、クリミア住民は投票箱を利用し、最初に独立を投票で決め、次に母国との再統一に投票して、ワシントン傀儡のキエフ政府から自らを切り離した。

ワシントンと、ワシントンの命令に従う他のG-7参加国は、まさに、イギリス植民地アメリカが宣言した自決の行動にも等しいこのクリミア住民の自決の行動を“ロシアの侵略と併合”の例だと表現している。キエフから離脱するための同様な取り組みが、現在、東部と南部ウクライナを構成している他のもともとロシア領で進行中だ。ワシントンは、東部と南部ウクライナの自決を“テロ”と同一視し、抗議行動をする民間人に軍事行動をするよう、キエフ傀儡をそそのかした。分離主義者達に“テロリスト”とレッテルを貼る理由は、彼等を殺してもかまわないことにする為だ。

アメリカ大統領と西ヨーロッパ諸国の肩書きだけの首長連中が、世界に向かって、堂々とこれほどあからさまなウソをつくというのは、もののわかった人にとって、驚くべきことだ。世界には歴史学者がいる。世界には“主流マスコミ”、別名プロパガンダ省、またはジェラルド・セレンテの彼等に対する造語“売女マスコミ”を遥かに超越する知識を持った人々がいる。どんな呼び名を使おうと、欧米マスコミは、たんまりお金をもらった売女の集団だ。連中は金や、晩餐会招待や、大金謝礼の講演招請や、たっぷり前払いがもらえる出版契約で、ウソをつく。

私は知っている。連中は私も買収しようとしたのだから。

ワシントンが、どれほど狭義に“世界コミュニティー”を定義しているかご覧願いたい。“世界コミュニティー”とは、G7の国々だ。そうなのだ。7ヶ国が“世界コミュニティー”を構成するのだ“世界コミュニティー”は、6つの白人国家と、ワシントンの傀儡国家日本で構成される。“世界コミュニティー”は、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアと日本なのだ。他の190ヶ国は、ワシントンの“世界コミュニティー”の一環ではない。ネオコン教義では、190ヶ国は人類の一環ですらない。

“世界コミュニティー”の人口は、中国やインドなど、そこから除外された国々の一国のそれに満たない。私はまだ計算していないが、おそらくはロシアの面積だけでも“世界コミュニティー”の面積を越えるだろう。

そこで、この“世界コミュニティー”とは一体何者だろう?

“世界コミュニティー”とは、アメリカ属国集団だ。イギリス、フランスとドイツは、二十世紀の風景の中で重要だった。連中の歴史は大学で教わる。国民の生活水準は全国民とは言えないが立派な標準だ。こうした国々の過去が現在の重要性の理由だ。

実際、歴史によって、あるいは欧米にとって重要な歴史によって、こうした国々は前進してきた。ワシントンの付属物である日本は“欧米”の一員になろうとしている。これほど誇り高い、好戦的な国民がクズ同然となる様子は驚くべきものだ。

ヒトラー打倒の上でロシアの貢献が皆無だという戯言への爆笑を止め、G-7会合に戻ろうと思う。この会合での大きな出来事は、ロシア排除と、G-8の、G-7への縮小だ。

今回、ロシアが、そのメンバーである会合への参加を認められなかったのは、17年ではじめてだ。一体なぜだろう?

ロシアは懲罰されているのだ。ロシアは、ホワイト・ハウスの阿呆が“世界コミュニティー”であると思っている7ヶ国から、孤立させられている。

国家安全保障会議や、国務省や国連に自分が任命した愚か者連中が、ウクライナのかなりの部分が、ロシア人が暮らす、元々ロシアの州であることも知らないほどひどい教育しか受けていなかったことに、オバマは怒り心頭だ。オバマが任命したこうした無知な愚か者連中は、クリミアを掌握し、ロシアを追い出し、ロシアが地中海にアクセスできなくし、シリアのタルトゥス海軍基地を維持することができなくなり、ワシントンのシリア侵略がやりやすくなると思い込んでいたのだ。

ロシアがタタール人から独立を取り戻して以来、クリミアはロシアの一部だ。個人的に、53年前、サマルカンドの大タメルラン(彼はティムールとしても知られている)廟を参拝したので、タルタルあるいはタタール民族を覚えている。現在チムールの都は観光地として修復されている。53年前は、そこはイスラム寺院尖塔の頂上から木々が繁茂する荒れ果てた廃墟だった。

他の計画が悉く失敗したのと同様、オバマのウクライナ強奪計画が失敗すると、ワシントンの既得私的権益代弁人連中は、プーチンとロシアを悪魔化し、冷戦を再開する好機を捕らえた。オバマと彼の7ヶ国傀儡、あるいは属国集団は、全く効果の無い現在のプロパガンダ経済制裁に代わって、本格的経済制裁で、ロシアを脅すのにこの機会を活用したのだ。オバマと彼のイギリス・ポチによれば、ワシントンが支援するキエフのネオ・ファシスト政府への服従に対する、東部と南部ウクライナのロシア人住民抗議行動を、プーチンは何とかして抑えなければならないのだ。

プーチンは、投票率が国民のわずかな比率でしかなかったインチキな選挙で権力の座についたオリガルヒ、ワシントンが打倒した政権の元閣僚を容認するよう期待されているのだ。プーチンは、この腐敗したオリガルヒの両頬にキスし、ウクライナの天然ガス代金を支払い、借金を免除するよう期待されているのだ。更に、ロシアは、クリミア住民をはねつけ、ロシアとの再統一から彼等を追い出し、西ウクライナ人の一部がかつて共に戦ったナチス・ドイツに対する、ロシアの勝利への報復として、絶滅させられてしまうべく、ネオナチ右派セクターに引き渡すよう期待されているのだ。これと引き換えに、ワシントンとNATOは、存在していないイランの核ICBMから、ヨーロッパを守るため、ウクライナのロシア国境に弾道弾迎撃ミサイル基地を設置する。

これが、ロシアにとっても利点がある取引だということになっている。

選挙で選ばれた民主的政権、西ヨーロッパや東ヨーロッパやワシントンと同じ程度の腐敗の政権を打倒するのに、オバマ政権は、ウクライナ国内にある、たんまり資金を提供したアメリカNGOを利用した。

イギリス、フランス、ドイツと、イタリアを支配している愚かな政治家連中は、今回は更なる本格的経済制裁を警告して、ロシアに向かってこぶしを振り上げている。この愚か者連中は、自分達のエネルギー供給を本当に絶ちたいのだろうか? ドイツ産業が依存し、ヨーロッパ人が、冬、凍えぬよう依存しているエネルギーを供給すると、ワシントンがプロパガンタの主張をしても、その可能性は皆無だ。

対ロシア経済制裁は、ヨーロッパを破壊するだろうが、ロシアに対しては、何かあったにせよ効果はごく僅かだ。ロシアは既に、中国やBRICSと共に、ドル決済制度離脱の方向で動いている。

ドル需要が減れば、ドル交換価値も下落しよう。当初は、ワシントンは属国に、ドルを支持するよう強制できるだろうが、最終的にはそれも不可能になる。

ホワイト・ハウスの阿呆、ネオコン化した国家安全保障会議、売女マスコミや卑屈な議会が行っていることは、アメリカを奈落の底へと導きつつある思い上がりと傲慢さに基づく政策の支持、擁護だ。

奈落の底はブラック・ホールのようなものだ。そこから抜け出すことはできない。

ワシントンのウソは余りに露骨で見え透いていて、ワシントンは自らの信憑性を破壊している。NSAスパイをお考え願いたい。スノーデンやグリーンウォルドが発表した文書で、ワシントンが政府指導者や一般人のみならず、アメリカの商業・金融権益を推進する為、外国企業をもスパイしていることが実に明確になった。アメリカが中国の企業秘密を盗んでいることは疑いようがない。そこで、ワシントンは一体何をしているのだろう? ワシントンは、そうした文書が証明していることを否定するのみならず、かけられた嫌疑をひっくり返し、5人の中国人将軍がアメリカ企業をスパイしていると非難している。

アメリカ司法長官が喧伝するこうした訴追の唯一の目的はプロパガンダだ。告発は単に偽りであるのみならず、他の点では全く無意味だ。中国はワシントンのウソツキ共に、5人の中国人将軍を差し出すつもりは毛頭ない。売女マスコミにとって、この話はNSAのスパイ活動を目立たなくさせる一つの手段だ。中国は、犯人としてのNSAの身代わりなのだ。

中国やブラジル、ドイツや他のあらゆる国々は、NSA幹部やオバマや議会の監督委員会の委員達に対する逮捕状を、一体なぜ発行しないのだろう? 一体なぜ他の国々は、いつもワシントンが、プロパガンダ先制攻撃で解釈を支配するのを許してしまうのだろう?

アメリカ国民は極めてプロパガンダを受けやすい。アメリカ人は、どうもプロパガンダがとりわけ好きなようだ。タリバンとアメリカの捕虜交換で解放されたばかりのアメリカ人兵士ボウ・バーグダール陸軍軍曹に対して、かき立てられている憎悪をお考え願いたい。売女マスコミがバーグダールに対してかき立てた憎悪と残忍性によって、故郷の町が、彼の解放祝賀会を中止するに至った。マスコミが仕組んだバーグダール憎悪は、アイダホ州ヘイリーに対する威嚇にまで燃え上がった。

バーグダール攻撃の背景は一体何だろう? どうやら答えは、バーグダールが、360万ドルのアーミー・レンジャーズ入団契約を断って、自由を擁護すべく、アフガニスタンに出征し、戦争への疑念を抱くようになったプロ・フットボール人気選手パット・ティルマンと似ているということだ。もともとパット・ティルマンの死は、彼の英雄的な行動と敵砲火の為だとされていた。後に、ティルマンは“味方による誤爆”の犠牲だったことが判明した。政府がスポーツの英雄に反戦言辞をさせたくなかった為、彼は殺害されたのだと多くの人々は結論した。バーグダールは戦場を離脱したので、ロシア、中国、イラン、プーチン、アサド、クリミア住民やウクライナのロシア語話者住民達と同様、マスコミによって殺害されなければならないのだ。

アメリカでは憎悪と憎悪の醸成は健在だ。だが道徳的美徳は全く皆無だ。

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四半期毎のご寄付のお願い

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Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2014/06/06/lies-grow-audacious-paul-craig-roberts/

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芸能人にはうといので、食べて応援といっている集団のことはほとんど知らない。彼等が農園作業をする番組の指導者をしていた方が急性骨髄性白血病で亡くなったという記事を見た。漫画の鼻血問題描写を政府は大騒ぎした。今回はどうなのだろう?「原爆放射線による人体への影響」という文章の一節を引用しておこう。太字は小生が追加。

白血病の中でも慢性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病は放射線によって誘発される可能性が高く、ついで急性骨髄性白血病が高い。

食べて応援といっている若者達、金や、晩餐会招待や、大金謝礼の講演招請や、たっぷり前払いがもらえる出版契約で、ウソをつくのではなく、宣伝通り、ご本人達も毎食摂取した上で活躍していただきたい。

道徳的美徳は全く皆無、とあるが、このコラム、前回の話題は、12歳の少女達が同級生をナイフで刺し殺そうとした事件。少女達は、ネット世界の架空の主人公に認められてもらいたくて、殺人を試みたという話。同級生ナイフ殺人未遂、決して孤立した出来事ではなく、アメリカ全体の道徳心喪失の象徴ではというものだ。そちらも訳したが、この記事を掲載することにした。そういう事件を口実に、ネットの自由は潰され、大本営広報並の内容に落ちぶれるのは確実というのが彼の予想。あたるだろう。

TPPにはネットの自由を破壊する条項が入っているので(記事を転載した場合、記事の著者本人が訴えなくとも、他人が訴え、削除を要求できる、とい
うようなことだったと思う。何しろ公表されていないのだから考えようもない。卑劣な大企業幹部、官僚、政治家が考えそうな妙案)、やがてこの種ブログ、彼の予想通り非合法化される。

その時は、ブログから縁を切り寝ころがるだけ。そう遠くない時期に実現するだろう。

長崎で原爆体験を語る方に、「死に損ない」といった中三生徒の記事を読んで、彼の12歳少女達コラムを連想した。第一の属国、宗主国の悪いところは真っ先に学ぶ。そうすることこそ属国の意義。良いところを学ぶのは時間も、能力も必要だ。悪いことを学ぶのは、時間もいらず、馬鹿でもできる。意義あるのものを作り上げることは馬鹿にはできない。意義あるものをこわすのは馬鹿でもできる。歴代首相、政権をみればわかる。ずっと破壊の連続。宗主国で憲法が打ち捨てられているのだから、属国で憲法を維持できるはずがない。全て宗主国の思し召し。現代日本語で保守とは破壊を意味する。伝統的価値維持と無縁。

カジノ話も宗主国を見ればわかるように思う。

博打のやり方をしらない為、宗主国ではスロット・マシンを数回ためしただけ。周囲にいたのは、おじいさま、おばあさまばかり。なぜ遥々自動車にのって、散財しにくるのか全く理解できなかった。ともかく、喜んで?多数の老若男女家族が嬉々として訪れている。国営おれおれ詐欺。国が運営すると、詐欺ではなく、自己責任の娯楽になる。

ギャンブル好き同僚がいた。膨大な金額(百万の桁?)すったと聞いた。出張、それだけの金を持ってはでかけない。日本から送金してもらい帰国したという。彼は競馬も好き。休日出勤した際、背広姿の彼に驚いたことがある。奥様に「仕事だ」といって背広を着て家を出、馬券を購入してから会社に来て仕事をするのだ、と別人から聞いた。彼は幸か不幸か離婚だけで済んでいる。

ラスベガス・ファンの同僚や友人もいる。賭け事には無関心で、演し物やレストランの食事が楽しみなのだという。カジノは賭博の儲けをレストランに回しているのだろうか?やがて日本にもできるだろうから、レストランの評判を確認し、良ければレストランにだけ行ってみよう、と貧乏人は思っている。

刻々進行中の憲法破壊、侵略戦争参戦に反対しているのは、社民党、共産党、天然記念物並の絶滅危惧種政党しかない。野党再編など真っ赤な嘘、与党パートナー候補再編にすぎない。大政翼賛会大本営広報部は、真っ赤な嘘の夜盗再編を書いても、世の中がひどくなったのは「小選挙区制が原因だ」とか「小選挙区制による絶滅危惧種政党衰退の為だ」といった記事は決してかかない。大政翼賛大本営広報、読者を地獄に落とし、不幸にして成立する、実に不思議な洗脳商売。

漱石本が売れているという記事を見た。『こころ』が売れているそうだ。色々読んだ彼の作品中、素人に一番難解な小説。どこが良いか全くわからない。再読する気力もおきない。

個人的には、何度も引用している『三四郎』の一節が最高だ。明治の戦争推進時期に、よくかけたものだ。そして『坑夫』。偶然声をかけられ、足尾銅山で働いた人物の経験談。いくら読んでも、銅山事業や、鉱毒問題への批判的言辞は見当たらない。それでも、福島廃炉活動?に活躍されている皆様リクルートの原型と思ってよむと現代的。

『三四郎』の一節、あきずに引用しよう。高校時代、このくだりを読んでファンになったので。

「どうも西洋人は美しいですね」と言った。
 三四郎はべつだんの答も出ないのでただはあと受けて笑っていた。すると髭の男は、
「お互いは哀れだなあ」と言い出した。「こんな顔をして、こんなに弱っていては、いくら日露戦争に勝って、一等国になってもだめですね。もっとも建物を見ても、庭園を見ても、いずれも顔相応のところだが、――あなたは東京がはじめてなら、まだ富士山を見たことがないでしょう。今に見えるから御覧なさい。あれが日本一
(にほんいち)の名物だ
あれよりほかに自慢するものは何もない。ところがその富士山は天然自然に昔からあったものなんだからしかたがない。我々がこしらえたものじゃない」と言ってまたにやにや笑っている。三四郎は日露戦争以後こんな人間に出会うとは思いもよらなかった。どうも日本人じゃないような気がす
る。
「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、
滅びるね」と
言った。――熊本でこんなことを口に出せば、すぐなぐられる。悪くすると国賊取り扱いにされる。三四郎は頭の中のどこのすみにもこういう思想を入れる余裕
はないような空気のうちで生長した。だからことによると自分の年の若いのに乗じて、ひとを愚弄(ぐろう)するのではなかろうかとも考えた。男は例のごと
く、にやにや笑っている。そのくせ言葉(ことば)つきはどこまでもおちついている。どうも見当がつかないから、相手になるのをやめて黙ってしまった。する
と男が、こう言った。
「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より……」でちょっと切ったが、三四郎の顔を見ると耳を傾けている。
「日本より頭の中のほうが広いでしょう」と言った。「とらわれちゃだめだ。いくら日本のためを思ったって贔屓(ひいき)の引き倒しになるばかりだ」

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コメント

連投で、しかも主題からはづれて申しわけありません。

バッハに傾倒した天才ピアニストのグレン・グールド、かれは漱石の「草枕」を愛読してゐたとのことです。
もちろん英訳ですが、蔵書には「行人」や「猫」もあつたとのことです。カナダ人のグールドが「草枕」のどこを、なにを愛したのか、いまだにわからぬことのひとつです。

「6つの白人国家と、ワシントンの傀儡国家日本」という表現はしっくりこないので、「6つの白人国家と名誉白人国家日本」の方がいいだろう(笑)。
まあ日本では名誉白人用語のトンデモ和製英語「ブラック」を使って「ブラック企業」「ブラック大学」「ブラック官庁」「ブラック国家」「ブラックバイト」・・・、言葉でも白人英語に負けず劣らず、ブラック(black)に悪を含意して使っている。

『夏目漱石 上・中』の著者・松原正氏にうかがつたところ、漱石の最高傑作は「坊っちやん」で、そのつぎは「行人」とのことでした。下巻はなかなかでないのですが・・・。

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