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2014年6月27日 (金)

CIA/NATOの‘汚い戦争’作戦の匂い漂うイラクISIS

William Engdahl

2014年6月24日

"RT"


キルクークの南20km、バシルから5キロ先、イラクと大シリアのイスラム国(ISIL)聖戦戦士との戦闘の為、タザ・ホルマト近くで位置に着くイラク・クルド軍(AFP Photo / Karim Sahib)

6月10日の劇的なモスル奪取以来、何日間も、欧米主流マスコミは、奇妙な略称ISISのイラクと大シリアのイスラム国による、イラク軍事征服の恐ろしい物語の報道だらけだ。

ISISイシスという名称は、古代エジプト神話の肥沃と魔術の女神と同じだ。マスコミが報道すればするほど、益々わけがわからなくなる。

漏洩している詳細が、ISISと、隣国シリアではそれほどでもないが、イラクにおける大規模な軍事的‘高まり’は、世界で二番目に大きな石油産出国イラクでの混沌拡大の次の段階として、また最近のシリアによる安定化の取り組みの弱体化として、バージニア州ラングレーや他のCIAやペンタゴンの出先機関によって、構想され、支配されていることを示唆している。

奇妙な事実

そもそもイラク石油の主要中心地モスルにおけるISISの軍事的成功の詳細そのものが怪しい。情報に詳しいイラク人ジャーナリストによれば、ISISは戦略的なモスル地域、世界で最も豊かな油田の一つを、反撃の一発の射撃も無しで侵略した。ある報道によれば、チクリートの住民達は、“兵士達は、普通であれば政府軍兵士をその場で殺害するはずの戦士達に、平和裡に、武器と制服を引き渡していた”という並外れた光景を報告している。

ISISの覆面をした反社会的な精神病質者連中が、“逃亡する治安部隊から兵器と弾薬”を捕獲したと報じられている。これはアメリカ政府が供給した兵器と弾薬だ。攻勢は、東部シリアにおける、ISISの作戦成功と同時に起きている。イラク人ジャーナリストによれば、この地域のスンナ派の部族長は、バグダッドのシーア派アル-マリキ政権に反対して、ISIS側に着くよう説得されたのだとという。部族長達は、ISIS スンナ派イスラム法の下での方が、バグダッドの反スンナ派による支配下よりも、有利な条件を約束されたのだ。

ニューヨーク・タイムズによれば、ISISの軍事的成功の背後にいる首謀者は、元バース党のトップで、サダム・フセインの後継者、イブラーヒーム・アッ=ドゥーリー将軍だ。ドゥーリーは、イラクの叛徒集団ナクシバンディ軍と、イラクのナクシバンディ派指導者という彼が長年保持している地位に基づく『聖戦・解放最高司令部』のトップだといわれている。

2009年、アメリカの‘イラク増派’当時、米中央軍を率いていたデービッド・ペトレイアス将軍は、記者団にドゥーリーはシリアにいると主張していた。イラク国会議員達は、彼はカタールにいると主張していた。奇妙な事実は、2003年以来、アメリカの最重要指名手配者リストに載っているのに、ドゥーリーは奇跡的に、逮捕を免れ、今やスンナ派イラクの広大な部分を奪還すべく、猛烈な勢いで帰還する。幸運なのか、それともワシントンにいる地位の高いお友達のおかげなのだろうか?

ISISの聖戦戦士に対する資金援助は、スンナ派世界におけるアメリカの最も緊密な同盟諸国三国-クウェート、カタールとサウジアラビアからもあると報じられている。

アメリカのパスボート?

現在登場しているISIS主要メンバーは、消息筋のヨルダン当局者達によれば、2012年、アメリカのCIAと特殊部隊司令部により、ヨルダンの秘密基地で訓練されたのだという。好都合にもシリアとイラク両国の国境に近い、ヨルダン北部砂漠地帯にあるヨルダンの町サファウィで、アメリカ、トルコとヨルダン諜報機関が、シリア人叛徒向けの訓練基地を運営している。サウジアラビアとカタールという二つの湾岸専制君主国がシリアのアサドに対する戦争への資金提供に最も深く関与し、ヨルダンのISIS訓練を資金援助した

シリアのバシャール・アサド政権に対して戦争をしかける為‘過激派ではない’イスラム教聖戦戦士の訓練だと公的に宣伝されているもので、ヨルダンや他の場所の秘密アメリカ訓練基地で、おそらく数千人のイスラム戦士に、非正規戦争、破壊活動や、一般的なテロ活動のテクニックを訓練してきた。‘サラフィスト’や過激派聖戦戦士は訓練しない様、格別の配慮をしているというアメリカ政府の主張は悪い冗談だ。新兵が聖戦戦士ではないと、どうやって確認できるのだろう? CIAの医者が発見した特殊な聖戦DNAでもあるのだろうか?


サラフディン州北部の都市バイジで、イラク軍車両で行進する、イラクとレバントのイスラム国(ISIL)の戦士達。(AFP Photo / HO / Youtube)

今の所モスルまでの道筋で、何十人も、あるいは連中のプロパガンダを信じれば、何百人もの‘異教徒’を斬首している、まさに同じISISテロリスト連中が、新進カリフ帝国拡張の為、ヨルダンのアブドゥッラー王にも間もなく刃を向けかねないと懸念して、ヨルダン政府当局者が詳細を暴露しているのだ。

元アメリカ国務省職員のアンドリュー・ドランが保守系のナショナル・レビュー誌に、ISIS戦士の中には、アメリカのパスポートを持っているものがいると書いている。さて、それでも、もちろん、オバマ政権による支援の証明にはならない。なるほど...

イラン人ジャーナリストのサバ・ザンガネは書いている。"ISISには彼等だけでモスルを占領し、征服する力はなかった。実際に起きたことは、隣接諸国の治安部隊-諜報機関と、イラク政府内部のいくつかの過激派集団による協力の結果だ。"

イラクのチェチェン人司令官

ISISパズルの次の奇怪な部分は、最近のISISの勝利は彼のおかげだとされている‘軍事首謀者’の聖戦戦士タルハン・バティラシビリだ。もし彼の名前が非常にアラビア風ではないように聞こえるとすれば、それは彼がアラビア人ではないからだ。タルハン・バティラシビリはロシア人、実際はグルジア国境近くのチェチェン出身のチェチェン人だ。しかし、よりアラブ風の雰囲気をかもしだすため、彼には、エミール(他に何があろう?) オマール・アル-シシャニという別名もある。問題は、彼がまったくアラブ人風には見えないことだ。黒ずんだあごひげではない。むしろ、長く赤いあごひげで、ある種チェチェン版赤髭王だ。

2013年11月、ウオール・ストリート・ジャーナル記事によれば、エミール・オマールなりバティラシビリなり(お好きな方をどうぞ)は、シリアとイラクの戦争を“アメリカとロシア間の地政学的闘争に変えた。”

これはCIAやペンタゴンや国務省など全組織での主要ネオコンの目標だった。1990年代初期苦闘するロシアを混乱させる為、特にバクーから、カスピ海経由で、ロシアへ直接向かうロシア石油パイプラインの破壊工作の為、1980年代の対ソ連アフガニスタン戦争時の何百人ものサウジアラビア人ムジャヒディンや他の外国人退役兵士達を、CIAはチェチェンに輸送した。ジェームズ・ベーカーIIIとイギリス-アメリカの巨大石油企業にいる彼のお友達には別の計画があった。それはBTCパイプラインと呼ばれるもので、BP-アメリカ石油コンソーシアムが所有し、ロシア領を経ず、トビリシを通過して、NATO加盟国トルコへ向かうものだった。

バティラシビリは面倒見の良さで名高いわけではない。彼は昨年部下達に、負傷した‘敵’兵士のを打ち首にする様命じた所、それが同盟反乱軍司令官だったとわかって謝罪を強いられた。ISISの8,000人以上の外国人聖戦戦士傭兵には、少なくとも1,000人のチェチェン人や、サウジアラビア人、クウェート人、エジプト人や、新疆省出身の中国ウィグル人といわれる聖戦戦士もいる。

アメリカに本拠を置くVeterans Today (VT)ウェブサイトのグルジア支局長ジェフリー・シルバーマンは、バティラシビリは“パンキシ渓谷初期の頃、アメリカ諜報機関とグルジア国家安全保障会議が立ち上げた、ジワリという名のフロント組織NGOを通した、アメリカによる共同計画の産物だ”と語ってくれた。

ジワリは著名な6世紀のグルジア正教会修道院の名でもある。シルバーマンによれば、トビリシにあるグルジア戦略国際研究財団とやらいう組織のトップで、ワシントンにあるポトマック政策研究所のポトマック政策研究所サイバー・センター・ディレクターとしてもリストに載っているデイヴィド・J・スミスが、NGOジワリ設置上で役割を果たした。

シルバーマンは、首都トビリシ近くのルスタヴィのジワリには、アフガニスタン・ムジャヒディンの退役兵士、チェチェン人やグルジア人や雑多なアラブ人の聖戦戦士が集まっていると主張している。彼等は、イラクやシリアを含む国々に、将来派兵する為に、ある種無人の無法地帯である、悪名高いパンキシ渓谷地域に送られた。

バティラシビリや他のグルジア人やチェチェン人のロシア語を話せる聖戦戦士達が、典型的に、グルジアの対敵諜報局の支援とアメリカ大使館の承認を得て、グルジア国境を越えて、グルジアのアハルツィヘとグルジア国境のトルコ側にあるトルコの村Türkgözü近くのヴァーレ検問所経由でトルコへ密出国していたとシルバーマンは述べている。そこから、トルコ経由イラクのモスルなり北東シリアなりに向かうのにほとんど何の問題もない。

シルバーマンは、北部イラクでの出来事は“中央政府かち独立したクルド共和国を作りたいことに関連しているが、これも、全てが新たなグレート・ゲームの一環。これはシリアは言うまでもなく、トルコとイラク両国における、アメリカの権益に役立つだろう。”と考えている

劇的なモスル陥落からほぼ二週間後、アメリカがイラク軍に提供した膨大な武器や軍用車両のISIS勢力による‘捕獲’という事実は極めて示唆に富んでいる。‘懸念’に関する馬鹿げた演説を幾つか行い、イラクの米兵を保護する為という名目で、275人のアメリカ特殊部隊を派兵した以外、ワシントンは事実上、何もしていない。

最終的な詳細がどのようなものであれ、モスル陥落以来の日々、明らかになったのは、イラク国内にある世界最大の油田の幾つかが、突如聖戦戦士に占拠され、もはやイラク政府は石油輸出を大幅に増加する決断ができなくなったことだ。この点については、以降の記事で触れる。

ウィリアム・イングドールは、受賞した地政学的専門家、戦略的危機コンサルタントで、彼の世界的ベストセラー書籍は、13ヶ国語に翻訳されている。

本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。

記事原文url:http://rt.com/op-edge/168064-isis-terrorism-usa-cia-war/
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最大宗教党内の集団的自衛権議論について、代表氏は「進展」と述べたと大本営広報記事

小生の理解に合わせ、表記を改めさせていただこう。

宗教党代表は26日の記者会見で、他国への攻撃に自衛隊が反撃するふりを装って行使する、集団的先制攻撃権をめぐる党内議論について「一歩一歩、焦点が誤魔化され、洗脳が進展している。従来の政府の憲法解釈との論理的破綻についても、詭弁が成立しつつある」と語り、党内の意見集約はまとまりつつあるとの認識を示した。

植草一秀の『知られざる真実』でもしっかり書いておられる。「公明の 正体見たり 三要件

【岩上安身のIWJブログ】迫る会期末 集団的自衛権行使容認の行方と緊迫するイラク情勢 6月20日

「支配層さえ儲かれば、人の命などどうでもよい」というのが、宗主国支配者・属国傀儡、共通の思想。宗主国がくださった憲法9条だけが、この属国民が直接、殺したり、殺されたりする運命から免れられる唯一の手段だった。それが消滅すれば、必ず、直接、殺したり、殺されたりすることになる。全く大義無しに。

「他国への攻撃を自国に対する攻撃と見なして実力で阻止する」と簡単に言うが、その他国、正確には宗主国の可能性が極めて高いが、この記事にあるように、ないことを理由に、「儲かれば、人の命などどうでもよい」原理で常時、戦争をしかけているのだ。そういう国に、何か攻撃があっても、やらせか、当然の報いか、どちらかだろう。口出し・手出しする必要は皆無。

気分が悪くなった電気洗脳箱ニュース。「旗や歌が一部で強制されている」という事実を書いた教科書、高校での使用を認められないという話題が大本営広報部から流れた。有名な女三四郎氏や五体不満足氏が、その審査会?場面に映っていた。ひどい判断をするタレント諸氏、彼等も立派なファシスト。旗や歌が国定のものと決められる際に、口の動きまでモニターするという話など聞かなかった。

始めは処女のごとく、最後は吸血鬼のごとく、悪法は施行される。秘密保護法も必ずそうなる。

極めて個人的な体験。中学三年の時、教室でこの宗教の不気味さを友人と語っていると、突然他の生徒に殴られた。信者。良く一緒に遊んでいたので驚いた。問答無用。その後も別にどうということもなく遊んでいたが、卒業後あっていない。個人的体験に何の意味もないが、以来あの宗教から遠ざかっている。正確に言えば宗教全般から。

ウィリアム・イングドール氏の著書、どれも入手困難で、日本に税金を払わない宗主国巨大ネット書店以外では見当たらないようだ。宗主国巨大ネット書店で購入すれば、愛国者法に基づき、反政府テロリスト候補として本国に登録されるだろうと思う為、価格はともあれ購入もままならない。無人機で攻撃されてはたまらない。:-)町をあるくメタボ・オヤジ、無人機攻撃より、脱法ドラッグでおかしくなった運転手にはねられる可能性の方が遥かに高い。

日本語題名、原題と違う怪しげな雰囲気。中味は十分硬いのに。
販売されていた当時、大書店ではオカルト・陰謀論の棚に置かれていた。オカルトや陰謀論と全く無関係と思えるのに不思議だった。ポルノ雑誌を買う恥ずかしさはないにせよ。

邦題末尾は日本での発売日。

    • ロックフェラーの完全支配 ジオポリティックス(石油・戦争)編 2010/9/30
    • マネーハンドラー ロックフェラーの完全支配 【アグリスーティカル(食糧・医薬)】編 2010/4/29
    • ロックフェラーの完全支配 マネートラスト(金融・詐欺)編 2011/2/25
  • ペンタゴン 戦慄の完全支配 核兵器と謀略的民主化で実現する新世界秩序 2011/10/20

それぞれ原題は下記の通り(だと思う)。

    • A Century of War: Anglo-American Oil Politics and the New World Order
    • Seeds of Destruction: The Hidden Agenda of Genetic Manipulation
    • Gods of Money: Wall Street and the Death of the American Century
  • Full Spectrum Dominance: Totalitarian Democracy in the New World Order

秘密保護法といえば、大学で開催を拒否された催しを思いだした。大学が街宣車の抗議で、こうした催しを拒否する時代だ。幸徳秋水・大逆事件・小林多喜二虐殺の時代が再びやってくるだろう。

2014/06/19 原発・米軍基地・秘密保護法…ジャーナリスト・有識者らが安倍政権に警鐘

岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

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コメント

初めまして。AYAと申します。お話興味深く拝読いたしました。
また軍産複合体がブッシュ政権下でやったような戦争ビジネスを始めたんですね。
しかも今後は、日本も戦争ビジネス(軍産ビジネス)というものに参加していくのでしょうね・・・

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