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2014年5月13日 (火)

やくざ国家アメリカ アメリカ民主主義はいずこ?

Paul Craig Roberts
2014年5月6日

言葉のあやの背後を吟味すれば、アメリカで、民主主義を見いだすことは不可能だ。私は長年、アメリカ政府が、もはや法律や国民に対して、責任を負わないことを書いてきた(例えば、小著“How America Was Lost”)。憲法はうち棄てられ、行政府は独裁君主制に成り下がっている。

アメリカの世界覇権というネオコン・イデオロギーと、ウオール街や、軍安保複合体、イスラエル・ロビー、アグリビジネスや採取産業(エネルギー、鉱業、製材)等の強力な私益集団の経済的権益との相利共生関係から生まれる計略を押しつけるのに、政府が利用されている。ドル帝国主義、脅し、賄賂と戦争こそがアメリカの覇権を拡大する手段だ。こうした計略が、アメリカ国民に無断で、承認も得ず、しかも国民の反対にもかかわらず推し進められている。

プリンストン大学のマーティン・ギレンズ教授と、ノースウエスタン大学のベンジャミン・ページ教授が、アメリカの統治を検討し、アメリカは有力な裕福な私的権益集団による寡頭制支配であり、アメリカ政府は、うわべだけ民主主義に似ているに過ぎないと結論をだした。彼等の分析は、学会誌“パースペクティブズ・オン・ポリティックス”で発表される予定だ。

彼等の結論は衝撃的だ。

“我々の研究で明らかになった中心点は、経済エリートや企業権益を代表する組織は、アメリカ政府の政策に対してかなりの独自の影響力を持っているが、大衆を基盤とする圧力団体や一般人には、独自の影響力はほとんど無いか、皆無だということだ。”

“大半の国民が、経済エリート、および/または、組織化された利益集団に不同意な場合、通常、国民の方が負ける。”

“我々の研究結果は、アメリカ合州国において、少なくとも実際に政策の結果を決定するという因果関係の意味で、多数派が支配しているわけではないことを示している。”

“平均的アメリカ人の好みは、公共政策に対し、極めてわずかな、ほとんどゼロに近い、統計学上、有意でない影響しかないように見える。”

多数の要因が、アメリカにおける民主主義と、責任ある政府の崩壊に寄与している。一つの要因は、アメリカ・マスコミがごく少数の企業に集中していることだ。クリントン政権末期に、かつて、かなりの独立性を持っていた多様なメディアが、5つの巨大企業に集中化されてしまった。これら企業の価値は、主として、その連邦放送免許にある。こうした免許の更新を確実にするため、マスコミは、重要な諸問題について、政府に異議申し立てすることを避けているのだ。

もうひとつの要因は、アメリカの工業・製造業雇用の外国移転だ。この発展が民主党の財政支援の根幹をなしていた製造業・工業の労働組合を破壊した。今や民主党は、共和党と全く同じ利益団体、ウオール街、軍安保複合体や、環境を破壊する公害産業に懇願するしかないのだ。二大政党いずれも 全く同じ私益組織によって資金援助を受けており、両政党とも、同じご主人に仕えている。もはや、いかなる拮抗力も存在していない。オバマ政権は、ジョージ・W・ブッシュ政権の継続に過ぎない。

共和党が多数派のアメリカ最高裁判所による最近の二つの裁定も、もう一つの決定的な要因だ。裁判所は、小数独裁集団がアメリカ政府を買収するのは、表現の自由の権利を行使しているに過ぎないと裁定した(シチズンズ・ユナイテッド 対 連邦選挙管理委員会と、マッカチョン 対 連邦選挙管理委員会)。堕落した最高裁判所は、企業や小数独裁集団が、連中が選んだ政権を作るために、彼等の莫大な資金を使用する“憲法上の権利”を発明した。

アメリカの私益集団は余りに強力なので、金で法律からさえ逃れられるのだ。3月27日、退職する証券取引委員会検察官ジェームズ・キドニーが、ゴールドマン・サックスや他の巨大アメリカ銀行の金融犯罪者を彼が告訴しようとしたのに、“公職を退いた後、高報酬の仕事につくことしか頭にない”SECの政治任用官達によって阻止されたと語った。

利権と有権者とを比較しての議員達の反応度合いを確認する為の最近の実験で、二通の書状が議員会館の事務所に送られた。一通は、議員に、選挙区の地域団体と会ってくれるよう要求していた。もう一通の書状は、議員に、積極的な寄附提供者の団体と会ってくれるよう要求していた。後者の書状が、議員達から遥かに多くの回答を得た。

アメリカとヨーロッパでは、“やくざ国家ロシア”に関わるプロパガンダが常時行われている。このプロパガンダによると、プーチン大統領は、ロシアを支配して、国民を略奪する為にプーチンを利用している、小数独裁集団の道具だ。私の意見では、このプロパガンダ、ロシア国内で、アメリカ第五列として機能している、アメリカ政府から資金受けているNGOが情報源だ。プロパガンダの狙いは、モスクワに、アメリカ政府に迎合する政権をしつらえることを期待して、プーチンと彼の政府の正統性を破壊することだ。

私の印象では、ロシア政府は、民営化時代に資源を掌握した一部の小数独裁集団連中の活動を縮小させたが、政府のそうした行為は、法の支配と首尾一貫している。対照的に、アメリカでは小数独裁集団が法律を支配し、法律からの免除を得るために法を利用している。

本当のやくざ国家はアメリカだ。あらゆる組織が腐敗している。監督官達は、監督するはずの業界での高給仕事欲しさに、法からの保護を売りつけている。最高裁判所は、金で政府を買うことを許したのみならず、憲法をも警察国家に売り払った。最高裁判所は、適正手続きのないアメリカ国民の無期限勾留に対する申し立ての聴取を拒否したのだ。これは疑いの余地のない違憲の法律であるのに、最高裁判所は申し立ての聴取を拒否して、野放しの警察権を、やくざ国家に与えてしまっている。http://rt.com/usa/156172-scotus-ndaa-hedges-obama/

やくざ国家のもう一つの決定的な特徴は、反対派や真実を語る人々を犯罪人として扱うことだ。アメリカ政府は、アメリカ政府の違法で、違憲で、犯罪的な行為を暴露したことに対し、ジュリアン・アサンジや、エドワード・スノーデンを犯罪人として扱うため、できる限りのあらゆることを行ってきた。アメリカ政府には偽善の悪臭が漂っている。4月26日、国務省は、今年度の第三次“言論の自由キャンペーン”、つまりアメリカ政府の傀儡ではない諸外国に向けられたプロパガンダ活動を発表した。その同じ司法省が、最高裁判所に、政府の悪事を報道したかどで投獄できるようにすべく、ジェームズ・ライズン記者が密情報源を明らかにするよう強いられることに対し、アメリカ人ジャーナリストが憲法の下で有している保護を否定するよう命令した。https://pressfreedomfoundation.org/blog/2014/04/state-dept-launches-free-press-campaign-while-doj-supreme-court-force-reporter

21世紀に、アメリカ政府は、何兆ドルも戦争に浪費し、七乃至八ヶ国を破壊し、何百万人もの人々を殺害し、身体障害にし、強制退去させた。アメリカの戦争犯罪は、“対テロ戦争”だと宣言して、アメリカ政府は、自分達が作り出した戦争状態を利用して、アメリカ国民の市民的自由を破壊した。

21世紀に、アメリカ政府による重要な発表で、ウソでないものを見つけ出すのは困難だ。オバマケアはウソだ。サダム・フセインの大量破壊兵器はウソだ。アサドの化学兵器使用はウソだ。イランの核兵器はウソだ。ロシアのクリミア侵略と併合はウソだ。飛行禁止空域はウソだ。ロシアのグルジア侵略はウソだ。アメリカ政府による市民的自由の破壊や、違法な軍事攻撃の基盤である9/11自体がウソだ。ごく少数のサウジアラビア人が、政府や諜報機関の支援無しに、欧米世界のあらゆる国家安全保障機構を出し抜いた、などと言う雲をつかむような話は信じ難い。安全保障国家の全機関が同時にしくじった等とは到底信じがたい。アメリカ政府が、そのような法外なウソをつくのは、アメリカ政府が、アメリカ人の知性に敬意を持っておらず、アメリカ・マスコミの品位にも敬意を持っていないことを示している。これはアメリカ政府が、ヨーロッパやアジアの同盟諸国の知性や品位に敬意を持っていないことも示している。

アメリカ政府は比較的ささいなことに対してさえ本当のことは決して言わない。雇用、失業、インフレ、GDP成長、経済回復。ごく少数特定利益集団の利益のために払っている経済上の犠牲を隠蔽する為、アメリカ政府は市場を操作している。アメリカ政府は“民営化”の名において、公共資産や政府の責任を、強欲な私益に引き渡してしまっている。

避け難い結論は、アメリカがやくざ国家だということだ。実際、アメリカは単なるやくざ国家よりもひどい。アメリカは破廉恥な略奪的暴政だ。

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四半期毎のご寄付のお願い

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Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTが購入可能。

記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2014/05/06/gangster-state-america-paul-craig-roberts-2/

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首相「憲法従来解釈は不十分」 集団的自衛権で見解へ

「憲法従来解釈は十分」 集団的自衛権で首相曲解へ の間違いだろう。

アメリカの元政府高官が、真実を語り続ける勇気、誠意には言葉もない。

日本の元政府高官ということでは、孫崎享氏の著作を拝読し、講演を拝聴している。

孫崎享氏ニコニコチャンネル記事に非常に気になる話題があった。「集団的自衛権と新自由主義、両者はつながる。新自由主義で出る貧困層不満を軍事的に制圧意図」そのまま転載・ご紹介しよう。

 「集団的自衛権と新自由主義、両者はつながる」ことに関しては、守秘義務違反になりそうな情報に基づいていますが、こちらは紹介できないので、一般的な形で説明します。

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集団的自衛権と新自由主義、両者は一見は無関係の様である。

集団的自衛権は米国の戦略のために自衛隊を使う。これは公式文書を見ても明らかである。

しかし、米国はイラク戦争とアフガニスタン戦争から撤退した。従って仮に日本の自衛隊が米国の戦略のために戦うシステムを使っても、実際武力紛争に米国が及び腰の中被害が少ないのでないかと言う見方がある。

一見そのように見える。

しかし事態はもう少し複雑の様だ。

ウォルフォウィッツという人物がいる。イラク戦争では国防次官として、介入に最も積極的に発言した人物である。ネオコンの中核的人物であった。2005年3月にブッシュ大統領により世界銀行総裁に指名されている。何でネオコンの中心的人物が世界銀行の総裁になるのか。

世界銀行は新自由主義の牙城である。企業の利益を最優先するシステムを世界に推し進めている。TPPのISD条項もここの裁判で処理されていく。

新自由主義を促進すれば格差社会を世界中に広める。伝統的村などの社会を崩壊させていく。そうするとどうなるか。最貧層に陥った層の中に武装闘争を始める者が出る。特にこれは未だ伝統社会が残り、伝統文化の維持を掲げるイスラム社会に強い。

新自由主義の拡散には武力闘争がつきものとなる。その担保を行うのがネオコン等の積極的軍備介入グループである。

ネオコンと新自由主義はつながっている。その中で、自衛隊はネオコンの道具として使われていく。強敵が米国に向かわないため外国軍隊を利用するメリットがある。どの国で抵抗運動が強くなるかはわからない。だから類型分類などとあいまいな論に終始し国を特定した議論が出来ないのだ。

『知事が「美味しんぼ」描写批判』。この人にだけはいわれたくないと個人的に思う。プルサーマルに反対し、冤罪で追われた佐藤栄佐久氏の後、知事となり、原発を推進した人物。

是非を論じている皆様は、木村晋三獨協医科大学准教授の『放射能汚染地図の今』をお読みだろうか? 不思議なことに、というより例によって、大本営広報部による書評、紹介記事、目にしていない。

「集団的自衛権」「TPP」賛成が71%だという大本営広報部調査。大本営広報部が異常なのか、国民が異常なのか、その両方か?

自分の肉親を宗主国侵略戦争に差し出すことを71%が賛成するような国、世界にとってならずもの属国。日露戦争とのつながりで、漱石が『三四郎』で書いた運命?

「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、「滅びるね」と言った。――熊本でこんなことを口に出せば、すぐなぐられる。悪くすると国賊取り扱いにされる。

「クリミアを強奪したプーチン大統領はヒトラーに似てきた! 」というトンデモ記事見出しに驚いて、筆者名をみて納得。一体どういう歴史認識だろう。

「キエフを強奪したオバマ大統領はヒトラーに似てきた! 」ならわかる。

避け難い結論は、日本がやくざ国家の属国だということだ。実際、日本は単なるやくざ属国よりもひどい。日本も破廉恥な略奪的暴政だ。

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