ポーランド暗殺部隊が、ウクライナで戦っている目的は何か?
Nikolai MALISHEVSKI
2014年5月28日| 00:00
Strategic Culture Foundation
5月11日、飛行機が一機、キエフ空港に極秘裏に着陸した。空港の民間人スタッフでなく、軍関係者が出迎えた。NATOの軍服、覚醒剤アンフェタミン500箱と、毒物と記されたコンテナが、飛行機から下ろされた。ウクライナ保安庁キエフ本部の命令で、戦士、貨物と毒物コンテナは検査されずに、着色ガラス窓の自動車で空港から運び出された。貨物には、CIA職員リチャード・マイケルが付き添っていた。飛行機には右派セクターと、数年前に現ポーランド内務大臣B. シェンケヴィッチが設立したポーランドの民間軍事企業ASBS (バルトロメイ・シェンケヴィッチ・システム解析)オタゴOthagoの戦士が乗っていた。
入手可能なデータによれば(5)、このポーランド民間軍事企業は、東ウクライナでの懲罰作戦で、6人を失った(暫定軍事政権の為に働く外国人傭兵のそれ以外の死傷者は、アメリカ民間軍事企業アカデミと、その子会社民間軍事企業グレイストーン・リミテッドで、それぞれ50人、14人の戦士を失い、CIAとFBIは死傷者25人で、うち13人が死亡した)。
2013年9月に、外務大臣R. シコルスキーが、ワルシャワから23 kmのレギオノヴォにある警察訓練センターでの研修に86人の右派セクター・メンバーを招待して以来゛ポーランドは、ウクライナの暗殺部隊養成に積極的に関与してきた。大学交換留学制度を口実にやってきた戦士達は、大半が40歳代の男性だった。彼等は、集団抗議行動組織法、バリケード構築法、政府庁舎掌握法、市街戦戦術、狙撃用ライフルを含む射撃技術等々について、一ヶ月の研修を受けた。ポーランド週刊誌ニエNieが、民間人の服装をしたポーランド人教官と並んだ、ナチスの制服を着たウクライナ人ファシスト達が写ったレギオノヴォの写真を公開した。
ポーラント特殊部隊が、将来、懲罰作戦に参加する連中を訓練していた間に、ポーランド外務省は公式声明を出していた(2014年2月2日):‘右派セクターによる強硬路線を我々は支持する... 右派セクターや、抗議行動参加者の他の戦闘的集団による過激な行動や、抗議行動参加者達による暴力行使は正当化される... 右派セクターは、最近の抗議行動における、全ての暴力的行動の全責任を負うと言っている。これは率直な姿勢で、我々はこれを尊重する。政治家達は、平和維持機能に失敗している。つまり、唯一、受け入れ可能な選択肢は、右派セクターの過激行動ということだ。他に選択肢はない’。
同時にポーランド首相ドナルド・トゥスクは、ヤヌコーヴィチ大統領に、マイダン反政府勢力に対する‘不釣り合いな武力行使’をしないよう警告していた。祖父ヨゼフ・トゥスクが、ヒトラーのドイツ国防軍で軍務についていたドナルド・トゥスク首相は、現在、キエフ暫定軍事政権に‘東部の反乱者’に対し、‘テロリストに対すると同様’厳しく対処するよう要求している。
5月中旬トゥスク首相は、ファシスト・ウクライナは‘欧州連合に対する挑戦’だと見なしているハンガリーのオルバーン首相に、主要な敵ロシアに対する戦いから関心をそらさぬ為、そのような声明をするのを差し控えるよう要求した。数週間前(2014年4月24日)、ポーランド首相は、ヨーロッパはウクライナ解体に備えねばならないと述べた。
‘ワルシャワの東方政策は、それがかなりの程度、アメリカとイギリスの諜報機関との緊密な協力の下、ポーランド諜報機関によって動かされている点が問題だ’、とチェンストホヴァ地政学研究所所長レシェク・シクリスキーは主張している。4月始め、CIA長官ジョン・ブレナンがキエフを訪問した。彼の訪問のまさに翌日、キエフ政権のトップ、トゥルチノフは‘南東部における出来事に関連して、大規模対テロ作戦’を開始すると宣言した。アメリカ人傭兵のみならず、ポーランド人傭兵もこの作戦に参加した。
CIA長官の次に、4月21-22日、アメリカ副大統領ジョセフ・バイデンがキエフを訪問した。ヴェホヴナ・ラーダで演説し、明らかにロシアを念頭におき、‘人道的脅威’を前にして、ワシントンはウクライナ政府を支持するとバイデンは述べた。東ウクライナで、アメリカ合州国が一体何を必要としているのかという疑問に対する答えは単純だ。暫定軍事政権が鎮圧しようと躍起になっている都市は皆ドニェプロ-ドネツク盆地にあり、この盆地には、シェール・ガスの膨大な埋蔵があるのだ。ロイヤル・ダッチ・シェルは、既にこうした地域の権利を主張している。‘彼等は前政権が署名したこうした契約で利益を上げたい立場にありますから、キエフのクーデター政権が、自国民に対し、軍事行動をしかけている動因は、この場合、経済利権だろうと思いますと、アメリカ外交の専門家ネボシャ・マリッチは主張している。
キエフを頻繁に訪問するようになったアメリカ副大統領の息子ロバート・ハンター・バイデンは最近、キプロスで登録され、ドニェプル-ドネツク盆地でのガス田開発許可証を持つウクライナ最大の民間ガス生産者ブリスマ・ホールディングスの役員に任命された。4月、アメリカ国務長官一家の友人で、ケリーの義理の息子と大学ルームメートで、ジョン・ケリーの2004年大統領選挙活動中は上級顧問をしていたデヴォン・アーチャーも、同社の役員となった。
ユーゴスラビアやイラク戦争の昔から、アメリカ政府高官と身近な縁者連中は、アメリカ占領軍が侵略した全ての国々に、莫大な個人的利害関係を持っているのだ。例えばケリーの前任国務長官マデレーヌ・オルブライトは‘独立コソボ’で事業をしており、バイデンの前任副大統領リチャード・チェイニーと彼の家族も、もう一人のアメリカ国務長官コンドリーザ・ライスも、ハリバートンとシェブロンを通して、イラクのエネルギー資源を手に入れた。東ヨーロッパで、アメリカ権益の為に働いている連中にも、同様の権益が見えている。例えば、ウクライナの元環境大臣ミコラ・ズロチェフスキーと、前ポーランド大統領アレクサンデル・クファシニェフスキは、ブリスマ・ホールディングス取締役会のメンバーだ。
ブリスマ・ホールディングスに開発権が与えられている有望なシェール・ガス田の一つは、ユジフカ・シェール埋蔵地帯だ。スラビャンスクや、隣接する住民160,000人のクラマトルスクの一部の他に、シェルに与えられた地域は、クラスニー・ルチやスヴャトゴルスク市や、隣接するハリコフ州のバラクレヤやイジュームを含んでいる。しかも、シェール・ガス抽出契約には、シェルが、こうした土地を掘削予定だと言えば、ウクライナ政府は、法的所有者から土地を強制的に取り上げる義務があると書かれている。スラビャンスク周辺が、最初のシェール・ガス田掘削用の現場として選ばれている...
右派セクター、ファシスト・オリガルヒ・イゴール・コロモイスキーの私的懲罰部隊や、アメリカとポーランドの民間軍事企業から派遣された傭兵に支援されて、ウクライナ軍が集中している場所が、懲罰作戦の主な理由の一つを直接示している。キエフ政権は、アメリカとポーランド・エリート支配者の事業権益の為に働いているのだ。懲罰部隊とドネツ盆地の住民との間の最も暴力的な衝突が起きたのは、スラビャンスクとクラマトルスク周辺で、イジュームが、懲罰作戦に参加しているウクライナ軍の主要拠点だ。
下記が懲罰作戦でどの様な手法が用いられているかを物語っている。
-攻撃側損失には、攻撃用及び輸送ヘリコプター、装甲車両、122-mm榴弾砲、その一斉発射で14.5 ヘクタールの地域の全生命を壊滅できる‘グラド’ロケット発射装置がある
-迫撃砲による都市攻撃。その結果、自衛軍の戦士より民間人の方が多く死亡している
-狙撃兵達の活動は子供達さえ殺害している
-クラマトルスク空襲における国連マークのヘリコプター利用。ウクライナ軍の同僚達さえ、国連マークを着けた軍装備品を使用する国際規範に違反するのを拒否したので、これらヘリコプターを操縦していたのは、ポーランド人傭兵だ。
こうしたこと全てが、一体どのような種類の貨物が、アメリカ諜報機関監督の下、ポーランド人傭兵によって、急遽ウクライナに輸送されたのか、そして一体なぜポーランド人のクファシニェフスキが、ウクライナ人ファシスト武装集団 (‘国家警備隊’) と、アメリカとポーランド人傭兵による闘士や民間人の殺害で、現在、その事業活動の為に道が開かれつつある企業の取締役会メンバーなのか、という疑問の答えとして考慮することが可能だ。キエフ暫定軍事政権と欧米の御主人連中は、そうした事に強いポーランドが手をくだした、最近シリアで、かつてイラクで起きた様な、現地住民に対して化学兵器を用いることまで含めて、あらゆる挑発をする用意があるように思われる。
記事原文のurl:www.strategic-culture.org/news/2014/05/28/what-are-polish-death-squads-fighting-for-in-ukraine.html
----------
「福岡市がASKAの曲使用を中止」という見出しを読んだ。
「庶民、国歌・旗使用を中止」すべきだろう。庶民を宗主国に肉弾として差し出す首脳、有り難くもなんともない。大いに迷惑ではある。
侵略戦争の動機、常に、侵略を命令する連中の金儲けに決まっているだろう。戦争で命を落とす人と、戦争で大儲けをする人が、全く別なので、戦争はなくならない。戦争で命を落とす人と、戦争で大儲けをする人を一致させるべきだろう。
ウクライナ、その地政学的な位置から、宗主国の金と武器と筋書きで立ち上がったファシストに、武力クーデターで乗っ取られ、悲惨な状態になっている。
この国は、その地政学的な位置から、宗主国の金で飼われたファシストに、ナチス同様、武力クーデターもしなしに、選挙で?乗っ取られ、宗主国の侵略戦争に、肉弾を提出する国になる。ウクライナ以上に悲しい国家。
外出から帰ると、大本営広報洗脳放送を、家人がたまたま見ていた。シンガポールだかどこだかでの日米豪侵略戦担当者会談。「頼むから、これだけは見るな」と強引にスイッチを切った。相手はふてくされ、もう寝ると。そこで一句。
洗脳機、家庭不和、DVもたらす不幸元
大本営広報部でない番組では、洗脳でない情報が得られる。ただし、パソコン。
当ブログ、書いている本人は初老なり老人なりに分類されるが、お読みいただいている方々の推計分類には驚嘆する。
同じ世代と思われる方々、推計数パーセント以下。お読みくださっているのは、40代、30代以下の方々なのだ。学生運動華やかりし時代、ひたすら虐待されていたノンポリ・ネトライキ学生(若い方には意味不明だろう)、一世を風靡した主流派?諸氏にいじめられたままではいけないと、書いているのにすぎない。下手な翻訳を読みこなされる皆様には心からお礼申しあげたい。
情報源が電気洗脳機止まりの高齢者は、真実の情報を入手できないままとなる、と勝手に理解している。
良く拝読するサイトで、実際の素晴らしい活動に比べ、内容が極端に乏しく、更新も極めて稀なサイトがある。不思議に思って、何かの機会に主催者の皆様を拝見すると、小生より年上の方々であることが多い。最近「インターネットの活用が重要」と活動方針に盛り込まれた組織もあるように伺っている。是非とも実践をお願いしたい。
そこで、電気洗脳機でないネット・ジャーナリズム。IWJ
2014/05/28 【集団的自衛権】国民による「安保法制懇」立ち上げ 元法制局長官や憲法学者らが警鐘「民主主義がぶっ壊れている」
泥棒が「ちょっとした空き巣はいい」と刑法解釈を変えるか?
という見出しがあった。
まともでない殺人鬼詐欺師「何十人、いや何万に殺しても良い」と刑法解釈を変えるに違いない、と素人は確信している。
2013/12/29 【北海道】「大間原発の発電はカモフラージュ。本当はプルトニウムのために作られた」 〜アーサー・ビナード講演会
政治では、売国者達が我が世の春を楽しみ、庶民の側にたつ政党、絶滅危惧種になっている。野党再編などと、大本営広報部がはやしたてるが、何のことはない夜盗再編。与党別動隊の組み合わせ、目先を変えるのにすぎない。
人はどうして、ジャンク・フードだけでなく、ジャンク政治家が嬉しいのだろう?
2014/05/27 アーサー・ビナード氏「『押し付け』かどうかなど憲法を理解していない証拠だ」各国憲法と比較して指摘
大本営広報部では決して報じないこうした情報を報道する‘ジャーナリズム’、さぞや繁盛するだろうと思いきや、財政状況は非常に苦しいという最近のお知らせをいただいた。政党同様「悪貨は良貨を駆逐する。」現実は、大いに困ったものだ。
良い情報、無料で手に入るはずがない。仮に大本営広報部各社が破産消滅しても、小生痛痒を感じないが、‘ジャーナリズム’に消滅されては困る。
貧者の一灯をと考えている。何の足しにもなるまいが。
岩上安身よりみなさまへ
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/107798
ジャーナリズムのまっとうな研究者が、独立ジャーナリズムの重要性を語っている番組から、一部を下記に引用しておく。大本営広報部同様、何度も繰り返すが、大本営広報部と違って、これは洗脳プロパガンダではないと思っている。
ロバート・マクチェズニー『資本主義がインターネットを民主主義の敵にする』について語る
この国は途方もない人数の有能な人があふれています。この国は有能な人に満ちています。ここで不足しているのは、彼らを支える資金です。素晴らしいメディアの仕事をしている沢山の人々がいる事実は嬉しいことですが、彼らがきちんと食べられるようになって欲しいと思います。家族を持てるようになって欲しいものです。彼らの頭上には屋根があって欲しいですし、昼間の別の仕事や家事の残り時間で、ジャナーリズム活動をするというようなことを無くしたいものです。子供達を寝かせ着けた後、家を掃除し、会社での仕事に行くべく目覚めるよう床につく前、夜11:00に作業する人々が、報道や文化を担っていては、自由な社会は築けません。資金の保障がなければいけません。我々に必要な良いもの、文化、ジャーナリズムを生み出すことが出来る人々が、まともな報酬を得られるようにすべきです。
« “GMOの魔神を瓶に戻すロシア” | トップページ | “集団的自衛権”を受け入れる日本首相 »
「アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事
- ガザについて連中は嘘をつき、シリアについても嘘をついている(2024.12.03)
- 対シリア戦争を再燃させるアメリカと同盟諸国(2024.12.02)
- ロシアとの戦争でアメリカが負ける理由(2024.12.04)
- ロシア新形ミサイルが、いかにゲームを変えつつあるのか(2024.11.29)
「NATO」カテゴリの記事
- ガザについて連中は嘘をつき、シリアについても嘘をついている(2024.12.03)
- 対シリア戦争を再燃させるアメリカと同盟諸国(2024.12.02)
- ロシアとの戦争でアメリカが負ける理由(2024.12.04)
- ロシア新形ミサイルが、いかにゲームを変えつつあるのか(2024.11.29)
- 欧米帝国主義は常に嘘の溜まり場だったが、今やメディア・トイレは詰まっている(2024.11.30)
「ロシア」カテゴリの記事
- 対シリア戦争を再燃させるアメリカと同盟諸国(2024.12.02)
- ロシアとの戦争でアメリカが負ける理由(2024.12.04)
- ロシア新形ミサイルが、いかにゲームを変えつつあるのか(2024.11.29)
- ドイツを消滅させたいと願うEU精神病院院長(2024.12.01)
「シェール・ガス・石油」カテゴリの記事
- ウクライナ紛争や国内政治崩壊の損失によりドイツは崩壊しつつある(2024.11.23)
- ドイツはロシア燃料を使用していたがゆえにヨーロッパの原動力だった(2024.10.24)
- ドイツがアメリカのポチでいることの破滅的代償を示す選挙混乱とフォルクスワーゲンの苦境(2024.09.10)
- 二つのパイプライン物語…ヨーロッパが失い、中国が得たロシアの戦略的ガス(2024.08.27)
- ノルドストリーム2爆破とゼレンスキーの「三人の男と一隻の船」話(2024.08.21)
「日本版NSC・秘密保護法・集団的自衛権・戦争法案・共謀罪」カテゴリの記事
- アメリカ風アジア版NATOは、どれほど永続的か?(2020.11.06)
- 「欧米」システムの崩壊(2019.04.12)
- ブレナン-ローゼンスタイン-マラー-コミー-売女マスコミによる魔女狩り(2018.08.27)
- アメリカのイージス・アショア弾道ミサイル防衛システム購入で日本の安全性は低がる(2017.12.26)
- 安倍首相はうまくやってのけたが、涙に終わるだろう(2017.10.29)
「ウクライナ」カテゴリの記事
- 対シリア戦争を再燃させるアメリカと同盟諸国(2024.12.02)
- ロシアとの戦争でアメリカが負ける理由(2024.12.04)
- ロシア新形ミサイルが、いかにゲームを変えつつあるのか(2024.11.29)
- 欧米帝国主義は常に嘘の溜まり場だったが、今やメディア・トイレは詰まっている(2024.11.30)
- ドイツを消滅させたいと願うEU精神病院院長(2024.12.01)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: ポーランド暗殺部隊が、ウクライナで戦っている目的は何か?:
» 世界を股に掛ける強盗団 [Dendrodium]
「マスコミに載らない海外記事」のポーランド暗殺部隊が、ウクライナで戦っている目的は何か?
の全文を写させて頂いた。
読んでいるだけで吐き気を催しそうになる内容である。
現在ウクライナでやっている事は、アメリカが過去に中南米や旧ソ連圏の国々・イラク・リビア・シリアetcでやったり、やろうとしていた事と同様のことで、
その国の政府を乗っ取って、その国の資源を手に入れるのが主な目的だ...... [続きを読む]
「東欧紀行」を読む 夕陽妄語[Ⅳ]から
-東欧はヨ-ロッパの一部である- 加藤 周一
1992年,カナダのケベックでポーランド人に一度会ったことがある。こちらは若かったから(今なお30代ですかと問われることがあるが),彼を私を御しやすかったのだろうが,彼の商売のうまさにのせられてしまったことがある。苦い思い出だが,ベルリンの壁が崩れる前に,加藤周一がポーランドの学生たちと懇談していたことを思い出した。
1998年,加藤はワルシャワ・プラ-ハ・ブダベスト,そしてヴィ-ンを旅した。そこで彼は日本文化について語り,学生たちと交流を図った。話をワルシャワ大学に限れば,15人ばかりの学生と懇談したが,日本語で質問する学生もいたという。また必要に応じて自由自在に翻訳できる通訳もいた。つまり,日本語水準の高さが窺われるという意味であろう。
また懇談会後に,学生たちが色紙に「一期一会」と書き,署名して贈ってくれたばかりでなく,招かれた家では手に入れにくいものを手に入れて歓待してくれたというのである。そこに旅人に対する温かい心遣いを加藤は感じ取った。
翻って思うに,そのときの学生たちが25年後の今日,どういう地位にあるのか。現在ならば47,8歳であるから,中堅を越えて幹部級であろう。その彼らが,ウクライナ紛争に対するポーランド政府の態度をどう見ているのか,彼らの考えを知りたいところである。
ある者は,政府役人となってウクライナからの留学生を受け入れることに力を貸したのかもしれない。また別の者は、ポーランド外務省の役人となって,‘右派セクターによる強硬路線を我々は支持する・・・・’と,公式声明を出していた(2014年2月2日):のかもしれない。あるいは週刊誌ニエNieの幹部となって真実を曝露することに号令をかけたのか,どうか。それとも,政府とは全く無関係な職業に就いたのか,どうか。
しかし根本的には,ドナルド・トゥスクのような人物がポーランドの首相となったのかが,問題である。破壊工作集団CIAの暗躍があったとしても不思議ではないが,ヴィーン市民のようにナチス・ドイツの時代は良かったと考えるポーランド市民が多いのだろうか(同様に,日本人の中にも戦前は良かったと考える人々がいる)。
1939年8月25日,ドイツの軍艦S.ホルシュタインがグダニクスに「親善訪問」のために寄港し,現地の高官を艦上に招待し,いくつかの行事を行った。しかし同月31日,ポーランド側防御施設を破壊するため,250人の「海兵突撃隊」を密かに上陸させ,翌日未明,ホルシュタイン号は接岸し,艦砲射撃を開始。ドイツのポーランド侵略が開始されたという(「五十年後の今も」,[Ⅳ],pp198-203)。
以上のような「トロイの木馬」に似た軍事行動をドイツに対してやり返さず,ネオナチへの共感・支持からその矛先を親露派ウクライナ人に向ける,という心理は,ポ-ランド親ナチス市民に共通なのかもしれない。
本記事で‘ワルシャワの東方政策は、それがかなりの程度、アメリカとイギリスの諜報機関との緊密な協力の下、ポーランド諜報機関によって動かされている点が問題だ’、というチェンストホヴァ地政学研究所所長レシェク・シクリスキ-氏の発言を読んで,以上のような感想を抱く。
投稿: 箒川 兵庫助 (な) | 2014年6月 1日 (日) 00時17分