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2014年5月 2日 (金)

アメリカ経済はトランプで組み立てた家のようなもの

Paul Craig Roberts
2014年4月30日

アメリカ経済はトランプで組み立てた家のようなものだ。アメリカ経済のあらゆる側面が不正であり、回復という幻想は、不正な統計によって生み出されているのだ。

アメリカ資本主義そのものが幻想だ。あらゆる金融市場は不正操作されている。連邦準備金制度理事会の量的緩和によって金融市場bに注ぎ込まれた大な流動性資産は、株と国債価格を押し上げ、資本コストの尺度と見なされている利子率をゼロかマイナスに押しやり、資本は余りに豊富な為にコストはゼロで、無料で使えることになってしまった。メガ・バンクや自動車メーカー等の破産した大企業は、倒産することが許されない。そうではなく、公的債務と貨幣創出が、私的損失を埋め、株主でなく、大企業の株など持たない人々を犠牲にして“大きすぎて潰せない”企業を破綻させずにおく為に利用されている。

国内労働を、より安価な外国の労働に置き換えることで、利益を得るようになっていて、結果的に、消費者の購買力が減少し、収入と富の不平等が拡大している時時代には、利益は、資本主義の資源の効率的利用によって、社会福祉が実現しているという尺度にはならない。21世紀、雇用海外移転の時代に、アメリカは、収入と富の不平等の、かつてなかったような爆発を経験している。伝統的な経済的な意味での社会福祉の実現に、資本主義が失敗していることの動かぬ証拠について、私は著書、“The Failure of Laissez Faire Capitalism=自由放任資本主義の失敗”で言及したし、トーマス・ピケッティの最新刊、“Capital in 21st Century=21世紀の資本”は、ポール・クルーグマンのような、のんきな経済学者に対して、憂慮すべき現実の実態を描いている。不平等についてのピケッティの描写は非常に気になるが、状況はピケッティが述べているよりひどいというマイケル・ハドソンに私は同意する。http://michael-hudson.com/2014/04/pikettys-wealth-gap-wake-up/

政府や裁判所や監督官庁を支配している強力な私的権益によって資本主義は変化させられ、資本主義は略奪機構となった。ウオール街はもはやいかなる積極的な機能もはたしていない。ウオール街は略奪機構であり、社会にとって無意味な重荷だ。一般人が知り得ない事前情報を利用した先回り売買取引に高速コンピューターを使って、投資適格債を装った賭けである詐欺的金融商品を売って、未曾有の規模のレバレッジ効果を利用して、安全ではない賭けをして、あらゆる商品市場を不正操作して、ウオール街は利益を得ている。

連邦準備金制度理事会と財務省の“Plunge Protection Team=株価急落対策チーム”が、株式先物取引購入で、株式市場を維持し、Comex金先物市場で、裸の空売りをして、膨大なお札の印刷からドルを守り、略奪を支援している。

アメリカ経済は、もはや教育、勤勉、自由市場価格や、本当の自由市場なら課される会計責任に基づいてはいない。そうではなく、アメリカ経済は、価格操作、商品の投機的支配、「アメリカ政府の傀儡」諸国によるドル維持、操作され偽装された公式統計、経済マスコミによるプロパガンダや、経済的にも政治的にも、ドル決済制度により直接被害を受けているロシアや中国の様な国々の惰性に基づいているのだ。

アメリカ以外の大半の政府が無能なおかげで、アメリカ政府の無能さは目立たず、これはアメリカ政府にとって救いだ。

しかし、アメリカ政府支配の下で暮らすアメリカ国民にとって、それは救済ではない。あらゆる統計証拠が極めて明瞭に示している通り、大多数のアメリカ国民の手に入る収入と富の比率は、減少しつつある。この減少は、アメリカ経済の頼みの綱である消費者市場の終焉を意味する。大富豪達が益々不均衡な比率の所得と富を持つようになっている状態で、輸入商品や海外生産された商品やサービスを、国内消費者市場を販売することに基づく経済に一体何がおきるだろう? 収入が何年も増えず、むしろ減っていて、余りに貧しい為に、金を貸そうとしない銀行から借金もできない圧倒的多数のアメリカ人が一体どのようにしてより多くを購入できようか?

私が育った頃のアメリカは自給自足だった。外国貿易は、経済の中では小さな部分だった。私が財務次官補だった頃は、アメリカはまだ石油以外は貿易収支が黒字だった。アメリカの雇用の海外移転は始まっておらず、外国への投資に対するアメリカの収入は、アメリカへの投資に対する外国の収入を越えていた。それゆえ、アメリカの海外からの収入が、貿易収支上、エネルギー赤字を埋めることができていた。

レーガン政権の間に実現された経済的安定性は、ウオール街の強欲によって粉砕された。ウオール街は、もし企業が、アメリカ市場向けの商品やサービスの生産を海外移転して、より高い利潤を生まなければ乗っ取るぞといって脅したのだ。より安い労賃が収入と株式価格を押し上げ、更なる収入に対するウオール街の強い欲求を満足させたが、大富豪を除いて、アメリカの生活水準の上昇を終わらせた。金融規制緩和が、経済に資産バブルのリスクを詰め込んだ。

アメリカ国民は驚くほど無頓着な国民だ。ほかの国の国民であれば、こうなる前に、ウオール街を焦土と化していただろう。

アメリカ政府には無比の臣民がいる。アメリカ国民は、果てしない虐待を受け入れ、自分達の窮状を、どこか外国政府のせいにするのだ。イラク、アフガニスタン、リビア、中国、ロシア。これほど無頓着で従順な国民は、略奪用の理想的な獲物で、そういう国民の、略奪で空洞化した経済はトランプで組み立てた家のようなものだ。

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Paul CraigRobertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTが購入可能。

記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2014/04/30/us-economy-house-cards-paul-craig-roberts/
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アメリカは日本の消費税を許さない 通貨戦争で読み解く世界経済』 岩本沙弓著 文春新書を読み終えた。

新・マネー敗戦 ドル暴落後の日本』と同様、重要な視点が提示されている。こういうまっとうな意見を言う方は、ワイドショーに呼ばれない。日米の、消費税、貿易交渉、為替レートの入り組んだ関係、「きみが悪い」なあと思っているところに、フロマン氏による、うれしそうなTPP一里塚報告。 鹿児島補選の最中だったので、農業依存度が高い地方を刺激しないよう、「強硬姿勢」茶番を演じたのだろう。属国傀儡が強硬姿勢をとるはずがないのだ。

大本営広報部は、そもそもの始めから、TPPの深刻な問題点についても、アメリカ議会からの大統領への通商交渉授権についても、徹底的な報道管制。本当に北朝鮮を笑えない島国だ。

憲法記念日を明日に控え、憲法を完璧に破壊する売国政党の幹事長、宗主国で「ドレイもん」の「どこでも肉弾ドア」提供を誓約し、おほめにあずかり、首相はドイツで原発再稼働を宣言した。

ところが昼のワイドショーは、旅行の予約したバスがこない事件やら、刺殺された女性の話やら、セウォル号の話題を報じて、注意をそらしてくださる。

日本の庶民にこれから大きな影響を与えることがわかっている大問題

    • TPP
    • 集団的自衛権容認
  • 原発再稼働

を真面目にとりあげることは絶対にない。ああした放送を昼間やめるだけでも、相当節電できるだろう。知的レベルの劣化にも歯止めがかけられるだろうに。

国名を変えるだけで通じる文章、浪曲石松三十石船道中をまたもや思い出す。「ひとり忘れちゃいませんか?」

日本国民は驚くほど無頓着な国民だ。ほかの国の国民であれば、こうなる前に、兜町を焦土と化していただろう。

政府には
無比の臣民がいる。日本国民は、果てしない虐待を受け入れ、自分達の窮状を、どこか外国政府のせいにするのだ。イラク、アフガニスタン、リビア、中国、ロ
シア、北朝鮮。これほど無頓着で従順な国民は、略奪用の理想的な獲物で、そういう国民の、略奪で空洞化した経済はトランプで組み立てた家のようなものだ。

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