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2014年5月27日 (火)

なぜ戦争が不可避なのか

Paul Craig Roberts

2014年5月25日

読者の皆様

四半期毎の寄附をお願いする時期となった。ご理解いただいている通り、このコラムとウェブサイトは皆様からご支持をいただける限り継続することになっている。

今日の戦没将兵記念日に向けた私の下記コラムは、一体何が危機的状況にあるかを明らかにしている。読者が、『マトリックス』の世界から完全に離脱して、あるがままの現実を本当にご覧になりたいとお考えであれば、読者は勇敢な方であり、そうした皆様を読者、支援者としていることを光栄に思う。

もし現実が読者にとって酷に過ぎるのであれば、私も自らを危険にさらすのを止めるべきだろう。

なぜ戦争が不可避なのか

Paul Craig Roberts

戦没将兵記念日とは、アメリカ人戦没者を追悼する日だ。7月4日同様、戦没将兵記念日は、戦争の慶賀へと変えられてしまった。

戦争で家族や親しい友人を失った人々は、死が無駄だったことは望まない。結果的に、戦争は、真実、正義、そして、アメリカ的生活様式の為に戦った高貴な兵士達が行った輝かしい偉業となる。愛国的演説は、アメリカ人が自由でいられるよう、彼等の命を捧げたこの戦没者達に、我々がどれほど恩義があるかを語る。

演説は善意だろうが、演説は、更なる戦争を支持する偽りの現実を生み出してしまう。アメリカの戦争は一つとして、アメリカの自由を維持することと無関係だ。逆に、戦争は我々の市民的自由を押し流し、我々を不自由にしてしまうのだ。

リンカーン大統領は、北部新聞記者、編集者達を逮捕投獄する為の大統領命令を出した。彼は北部の新聞社300社を閉鎖させ、14,000人の政治囚を投獄した。リンカーンは、戦争を批判する、オハイオ州選出アメリカ下院議員クレメント・ヴァランディガムを逮捕し、南部連合国に追放した。ウッドロー・ウィルソン大統領は、第一次世界大戦を、言論の自由を抑圧するのに利用し、フランクリン・D・ルーズベルト大統領は、人種的に容疑者となるという理由で、120,000人の日系アメリカ国民を抑留するのに第二次世界大戦を利用した。サミュエル・ウォーカー教授は、ジョージ・W・ブッシュ大統領が、アメリカ人の市民的自由を全面的攻撃するのに“対テロ戦争”を利用し、ブッシュ政権を、アメリカの自由がこれまで直面した最大の脅威と化したと結論している。

リンカーンは、国家の権利を永久に破壊したが、アメリカの三大戦争と同時に行われた人身保護令状と、言論の自由の停止は、戦争終結時に解除された。ところが、ジョージ・W・ブッシュ大統領の憲法廃棄は、オバマ大統領によって拡大され、議会によって、大統領命令は法律に成文化されてしまった。アメリカ国民の自由を守るどころか、“対テロ戦争”で亡くなったアメリカ兵士は、適法手続きをへずに、大統領がアメリカ国民を無期限に拘留したり、法律や憲法にいかなる説明責任もなしに、アメリカ国民を容疑だけで殺害したり出来るようにする為に亡くなったのだ。

アメリカの戦争は、アメリカ人の自由を保護しておらず、それどころか、自由を破壊しているという結論は避けがたい。アレクサンドル・ソルジェニーツィンが言った通り、“戦争状態は、国内の専制政治の口実として役立つだけだ。”

南部の連邦脱退は、アメリカ帝国にとっての脅威ではあっても、アメリカ人にとっての脅威ではなかった。第一次世界大戦時のドイツも、第二次世界大戦ドイツと日本も、アメリカにとっての脅威ではなかった。歴史家達が完全に明らかにしている通り、ドイツが第一次世界大戦を始めたわけではなく、領土拡張を目指して戦争をしたわけでもない。日本の野望はアジアにあった。ヒトラーは、イギリスとフランスとの戦争を望んでいたわけではない。ヒトラーの領土的野望は、主にウィルソン大統領の保証に違反して、第一次世界大戦の戦利品としてドイツから奪われたドイツ諸州を取り戻すことだった。ドイツの他の野望は、東方向だった。ドイツも日本も、アメリカを侵略する計画はなかった。日本は、アジアでの活動に対する障害物を排除することを期待して、真珠湾のアメリカ艦隊を攻撃したのであり、アメリカ侵略の前触れとして攻撃したわけではない。

確かに、21世紀にブッシュとオバマによって荒廃させられた国々、イラク、アフガニスタン、リビア、ソマリア、シリア、パキスタンとイエメンは、アメリカに対する軍事的脅威ではなかった。実際、こうした戦争は、専制的な行政府によって、今アメリカに存在している秘密警察国家の基盤を確立するために利用されたのだ。

真実は耐え難いが、真実は明らかだ。アメリカの戦争は、アメリカ政府の権力、銀行家や兵器産業の利益、アメリカ企業の富を増す為に行われてきたのだ。海兵隊の大将スメドリー・バトラーは言った。“少尉から少将に至るあらゆる階級で服務した。服務期間中、ほとんどの時間、大企業、ウオール街と銀行家の高級用心棒として過ごした。要するに、私は資本主義の為のゆすり屋だった。”

戦没者を賛美せずに追悼するのは、ほとんど不可能で、彼等が戦った戦争を賛美せずに、彼等を賛美することも不可能だ。

21世紀中ずっと、アメリカは戦争を続けてきた。結集した軍隊やアメリカの自由に対する脅威に対する戦争ではなく、一般市民、女性、子供や村の長老に対する戦争を、アメリカ国民自身の自由に対する戦争を。これらの戦争に既得権益を持つエリート連中が、戦争は “テロリストの脅威”を打ち破るには更に20年から30年続けざるを得ないとのたまっている。

これはもちろん、たわごとだ。アメリカ政府が嘘で正当化して、イスラム教の人々を軍事攻撃して、テロリストを生み出し始めるまで、テロリストの脅威など存在しなかった。

アメリカ政府が、戦争の嘘に成功する余り、アメリカ政府の傍若無人さと傲慢さは、アメリカ政府が判断できる範疇を越えてしまったのだ。

民主的に選出されたウクライナ政権を打倒することで、アメリカ政府は、ロシアと対決することとなった。この対決は、おそらくアメリカ政府にとって、そして、おそらく全世界にとって、まずい結果となりかねない。

カダフィとアサドが、アメリカ政府に従おうとしなかったのに、一体なぜアメリカ政府は、ロシアが従うと思っているのだろう? ロシアは、リビアやシリアとは違うのだ。アメリカ政府は、幼稚園の子供達を散々なぐりつけ、今や、大学フットボールのラインバッカーに挑戦できると思い込んでいるいじめっ子同然だ。

ブッシュとオバマの政権が絶え間のない嘘と、他の国民に対する暴力で、アメリカの評判を破壊した。世界はアメリカ政府を最大の脅威と見なしているのだ。

全世界の世論調査は常に、世界中の人々が、アメリカとイスラエルを,世界の平和に対する最大の脅威となる二ヶ国と見なしていることを示している。http://www.ibtimes.com/gallup-poll-biggest-threat-world-peace-america-1525008 および
http://www.jewishfederations.org/european-poll-israel-biggest-threat-to-world-peace.aspx

イランや北朝鮮等の、アメリカ政府プロパガンダが、“ならず者国家”や“悪の枢軸”と称する国々は、世界中の人々に質問すれば、リストのはるか下位でしかない。世界がアメリカ政府の虫のいいプロパガンダなど信じていないことはこれ以上明らかにしようがあるまい。世界はアメリカとイスラエルをこそ、ならず者国家と見なしているのだ。

アメリカとイスラエルは、イデオロギーに支配されている、世界でたった二つの国だ。アメリカは、アメリカは歴史によって、全世界に覇権を行使するべく選ばれた“例外的な必要欠くべからざる国”だと主張するネオコン・イデオロギーに支配されている。このイデオロギーは、アメリカ外交政策の基盤であるブレジンスキーとウォルフォウィッツのドクトリンによって強化されている。

イスラエル政府は、ナイル川からユーフラテス川に至る“大イスラエル”を宣言するシオニスト・イデオロギーに支配されている。多くのイスラエル人自身は、このイデオロギーを受け入れてはいないが、これが“入植者”とイスラエル政府を支配している連中のイデオロギーだ。

イデオロギーは重要な戦争の原因だ。ドイツ人の優越というヒトラー・イデオロギーが、アメリカの優越というネオコン・イデオロギーに反映しているのと同様に、労働者階級は資本家階級より優れているという共産主義イデオロギーは、イスラエル人はパレスチナ人より優れているというシオニスト・イデオロギーに反映しているの。シオニストは、占拠者の権利について全く聞いたことが無く、最近のパレスチナ入植ユダヤ人、実際は侵略者だが、には、他の人々が何千年も占拠していた土地を所有する権利があると主張している。

他者よりも自分達が優れているというアメリカ政府とイスラエルのドクトリンは、”他の人々”には決してしっくりこない。オバマが演説でアメリカ人は例外的な国民だと主張すると、ロシアのプーチン大統領はこう応じた。“神は我々全員を平等につくられた。”

イスラエル国民にとって不利益なことに、イスラエル政府は永遠の敵を作っている。イスラエルは世界の中で自ら孤立化している。イスラエルの存続は、もっぱらアメリカ政府のイスラエルを保護する意思と能力にかかっている。これはつまり、イスラエルの権力は、アメリカ政府権力の派生物ということだ。

アメリカ政府の権力は、また別の話だ。第二次世界大戦後に、唯一生き残った経済として、アメリカ・ドルが世界通貨となった。このドルの役割によって、アメリカ政府は世界に対する金融覇権を獲得し、これがアメリカ政府権力の主要源泉だ。他の国々が勃興すれば、アメリカ政府の覇権は危機に曝される。

他の国々の勃興を防ぐため、アメリカ政府は、ブレジンスキーと、ウォルフォウィッツ・ドクトリンを援用している。要約すれは、ブレジンスキー・ドクトリンとは、唯一の超大国であり続ける為には、アメリカ政府ユーラシア陸塊を支配せねばならないというものだ。ブレジンスキーは、ロシア政府をアメリカ帝国に買収することで、これを平和裡に進めたがっている。”ゆるく連帯したロシア ... 非中央集権化したロシアは、帝国主義的動員を受けにくくなる。” 言い換えれば、ロシアを、各国の政治家がアメリカ政府の金で買収できる様な、準自治国家の連合体に分割してしまうのだ。

ブレジンスキーは“ユーラシアの為の地政学戦略”を提案しており、ブレジンスキー戦略では、中国と“連合ロシア”は世界唯一の超大国としてのアメリカの役割を永続化させるため、アメリカ政府が管理する“大陸横断安全保障体制”の一環だ。

同僚だったブレジンスキーに、もし全員が我々と同盟を組んだら、我々は一体何に対して団結していることになるのかと尋ねたことがある? 私の質問に彼は驚いた。ソ連崩壊後でさえも、ブレジンスキーは、冷戦戦略に捕らわれたままだった為だろうと思う。冷戦思考は、優位に立つことが重要で、さもなくば主な関与者の立場から抹殺されてしまうおそれがあるとする。優勢であることの重要性は、極めて強烈なものとなり、しかも、この激烈な衝動は、ソ連崩壊も生き続けたのだ。他の国々に対して優勢となることこそ、アメリカ政府が知っている唯一の外交政策だ。

アメリカが優勢でなければならないという考え方が、ネオコンと、アメリカ政府が民主的に選出されたウクライナ政権を打倒し、アメリカ政府が直接ロシアと対立することになった危機がもたらされた、ネオコンによる21世紀の戦争の準備を整えたのだ。

アメリカ政府の為に働いている複数の戦略研究所を私は知っている。私は、ウイリアム・E・サイモン講座の政治経済学教授の職にあった。長年、戦略国際問題研究所CSISでも働いた。ウクライナで、アメリカ政府は、ロシアより優勢でなければならず、さもなくばアメリカ政府は、面子と超大国としての立場を失うことになるという考え方が広く行き渡っている。

一方の大国が自分が優勢だと感じれば、優勢であるという思想は常に戦争に至る。

戦争への道は、ウォルフォウィッツ・ドクトリンによって強化されている。アメリカの軍・外交政策ドクトリンを編み出したネオコン知識人、ポール・ウォルフォウィッツは、多くの似たような文章を書いている。

“我々の第一目標は、旧ソ連地域であれ、他の場所であれ、かつてソ連が引き起こしていた規模の脅威をもたらす新たなライバルの再登場を防ぐことだ。これは新たな地域防衛戦略の根底にある主要な考え方であり、統合的に管理すればグローバル・パワーを生み出すに十分な資源がある地域を、いかなる敵対的勢力にも支配させないよう、我々は尽力しなければならない。”

ウォルフォウィッツ・ドクトリンでは、相互利益の為、その国がアメリカとうまくやっていきたがっているかどうかと無関係に、ほかのどの強国も、アメリカへの脅威で、敵対的勢力だと定義される。

ブレジンスキーとネオコンとの違いは、ブレジンスキーは、外交的な理由だけであるにせよ、両国の意見にも耳を傾ける重要な要素として帝国に取り込み、ロシアと中国を買収することを期待している。一方ネオコンは、軍事力と、アメリカが資金を与えているNGOやテロリスト組織さえ使って画策する相手国内での転覆活動を併用する用意があるのだ。

アメリカもイスラエルも、両国は世界最大の脅威だという世界的評判を恥ずかしく思っていない。実際、両国は、最大の脅威と見なされるのを誇りに思っているのだ。両国の対外政策にはいかなる外交も無い。アメリカとイスラエルの外交政策は、ひたすら暴力が頼りだ。アメリカ政府は、諸国にアメリカ政府のいう通りにしろ、さもなくば“爆撃で石器時代にしてやる”と語っている。イスラエルは、全てのパレスチナ人、女性子供さえもが“テロリスト”だと宣言し、イスラエルは、テロリストに対し、自衛しているだけだと主張して、街頭で彼等を撃ち殺し続けている。イスラエルは、国家としてのパレスチナの存在を認めず、自らの犯罪を、パレスチナ人は、イスラエルの存在を認めようとしないという主張で糊塗している。

“我々には不愉快な外交など不要だ。我々には力がある。”

これはかならず戦争を招く態度であり、アメリカは世界をその方向に動かしている。イギリス首相、ドイツ首相とフランス大統領は、アメリカ政府を黙認する連中だ。彼等はアメリカ政府に対し援護をしているのだ。戦争犯罪ではなく、従おうとしない国々に“民主主義と女性の権利”をもたらす、アメリカ政府“有志連合”と軍事侵略というわけだ。

中国もほとんど同様の扱いを受けている。アメリカ人口の四倍の国民がいながら、監獄の囚人の数がアメリカより少ない国中国がアメリカ政府によって常時“専制国家”として非難されている。中国は人権侵害で非難される一方、アメリカの警官はアメリカ国民に残忍な仕打ちをしている。

人類にとっての問題は、ロシアと中国がリビアとイラクでないことだ。この両国は戦略核兵器を保有している。両国の大陸塊は、アメリカを遥かに凌ぐ。バグダッドやアフガニスタンを見事に征服できなかったアメリカが、通常戦争でロシアや中国に勝てる見込みは皆無だ。アメリカ政府は核のボタンを押すことになろう。道徳心が欠如している政府に、他に何が期待できよう?

世界は、アメリカ政府とイスラエルに匹敵する、ならずもの国家をかつて経験していない。両国政府は誰でも全員でも殺す覚悟がある。アメリカ政府がウクライナ国内に作り出した危機と、以後の危険状態をご覧願いたい。2014年5月23日、ロシア大統領プーチンが、62ヶ国からの代表団と欧米大企業146社のCEOが集う三日間の催し、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで演説した。

プーチンは締結されつつある何十億ドルもの貿易協定については語らなかった。その代わりに、プーチンは、アメリカ政府がロシアにもたらした危機について語り、ヨーロッパが、アメリカ政府の対ロシア・プロパガンダや、きわめて重要なロシア権益へのアメリカ政府による干渉を支持して、アメリカ政府の家臣となっていることを批判した。

プーチンの言葉づかいはそつがなかったが、アメリカとヨーロッパの強力な経済利益集団が受け止めたメッセージは、もしアメリカ政府とヨーロッパ政府が、ロシアの懸念を無視し続け、ロシアがあたかも存在していないかのごとく、ロシアのきわめて重要な権益に干渉し続けられる様に振る舞うことを続ければ、結局は面倒なことになるというものだ。

こうした大企業トップ達は、このメッセージをアメリカ政府やヨーロッパの首都に持ち帰るだろう。プーチンは、ロシアとの対話の欠如により、欧米はウクライナをNATOに加盟させ、ロシア・ウクライナ国境にミサイル基地を設置するという間違えをおかしかねないと明言した。プーチンは、ロシアが欧米の善意には頼れないことを学び、プーチンは、脅迫こそしなかったものの、ウクライナ内の欧米軍事基地は受け入れられないと明言した。

アメリカ政府は、ロシアを無視し続けよう。しかしながら、ヨーロッパ資本は、アメリカ政府が、彼等をヨーロッパ権益に反するロシアとの対立に押しやっているのかどうか判断することを強いられよう。かくして、プーチンは、ヨーロッパには、和解するのに十分な知性と独立があるのかどうか決めるよう、ヨーロッパの政治家達を吟味しているのだ。

もしアメリカ政府が、横柄な傲岸と不遜さで、プーチンに欧米を見限るよう強いれば、両国を軍事基地で包囲するというアメリカ政府の敵対的な政策に対抗すべく形成されつつあるロシア/中国戦略的同盟は、不可避の戦争に対する準備へと強化されよう。

もし誰か生き残れた人々がいるとすれば、地球上の生命を破壊してくれたことで、ネオコン、ウォルフォウィッツ・ドクトリンと、ブレジンスキー戦略に感謝できるだろう。

アメリカ国民の中には、自分達が全てを知っていると思い違いをした人々が多数いる。こうした人々は、イスラム教を、政治イデオロギーと同一視する、アメリカとイスラエルのプロパガンダで洗脳されている。彼等は、イスラム教という宗教は、軍国主義ドクトリンのようなもので、あたかも欧米文明にまだ何か残っているかのごとく、欧米文明の打倒を呼びかけていると信じ込んでいる。

彼等が欧米の迫害者や占領者を憎む以上に、スンナ派とシーア派が互いにひどく憎悪しあっているという完璧な証拠を前にしても、このプロパガンダを信じている人々が多い。アメリカはイラクを去ったが、現在の殺戮は、アメリカ侵略と占領時代と同程度か、それ以上だ。スンナ派/シーア派武力衝突による日々の死亡者数は膨大だ。これほど分裂した宗教は、イスラム原理主義者自身以外の誰にとっても脅威ではない。アメリカ政府はまんまとイスラム原理主義者の分裂につけこんで、カダフィを打倒し、現在、イスラム原理主義者の分裂を、シリア政権打倒の企てに活用している。イスラム原理主義者は、欧米の侵略に対して自らを守る為に、団結することさえできない。欧米を打倒する為に、イスラム原理主義者が団結する見込みは皆無だ。

例えイスラム教徒が団結できたとしても、イスラム教徒にとって、欧米を打倒しても、無意味だろう。欧米は自ら転覆してしまったのだ。アメリカでは、ブッシュ政権とオバマ政権によって、憲法は破壊されてしまった。もはや何も残っていない。憲法同様、アメリカには、かつてのアメリカ合州国などもはや存在していない。別の実体が置き換わってしまったのだ。

ヨーロッパは、全加盟国主権の終焉を必要とした欧州連合で死んでしまった。ブリュッセルにいる一握りの無責任な官僚達が、フランス、ドイツ、イギリス、イタリア、オランダ、スペイン、ギリシャや、ポルトガル国民の意思を凌駕するようになってしまった。

欧米文明は、もぬけの骸骨だ。いまだに辛うじて立ってはいるが、そこにはもはや生命はない。自由の血は失われてしまった。欧米の国民が自国政府を見ても、見えるのは敵ばかりだ。一体なぜアメリカ政府は地方警察部隊の軍備を整え、まるで占領軍であるかの様に武装させているのだろう? 一体なぜ、国土安全保障省、農務省や郵政公社や社会保障庁すらもが、十億発もの弾薬や軽機関銃を注文したのだろう? 納税者の金で支払った兵器保有は、アメリカ国民を弾圧する為でないとしたら、一体何の為だろう?

著名な時代傾向予想者ジェラルド・セレンテが、最新のトレンド・ジャーナル誌で書いている通り“反乱は世界の隅々にまで広がった”。ヨーロッパ中で、怒れる自暴自棄の憤慨した人々が、人々を疲れ果てさせているEU金融政策に反対して行進している。NGOと言う名で知られる資金潤沢な第五列を駆使しての、アメリカ政府によるロシア・中国の不安定化工作の為のあらゆる取り組みにもかかわらず、ロシア・中国両国政府は、アメリカやヨーロッパ政府よりも多くの国民から支持を受けている。

二十世紀に、ロシアと中国は専制政治とは何かを学び、両国はそれを拒絶した。

アメリカでは、従順で自分の意見がなく大勢に従う国民を脅し、市民的自由を放棄させるのに利用された“対テロ戦争”というでっち上げに名を借りて、専制政治が忍び込み、アメリカ政府を法律に対する責任から解放し、アメリカ政府が軍国主義的警察国家を樹立することを可能にした。第二次世界大戦以来終始、アメリカ政府は、金融覇権と、今や“ロシアの脅威”に変わった“ソ連の脅威”をヨーロッパをアメリカ帝国政府に取り込む為に利用してきたのだ。

プーチンは、ヨーロッパ諸国の利益が、アメリカ政府への従属に勝利するのを期待しているのだ。これが現在のプーチンの賭けだ。これが、プーチンが、ウクライナにおけるアメリカ政府の挑発に、引きこまれずにいる理由だ。

もしヨーロッパがしくじれば、ロシアのプーチンと中国は、アメリカ政府の覇権への欲求が不可避にしている戦争に備えることとなろう。

Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでい る。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTが購入可能。

記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2014/05/25/war-inevitable-paul-craig-roberts/
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類似話題の記事に下記がある。

戦没者追悼記念日:軍国主義と兵器を慶賀する日

大量殺りくの慶賀:戦争と集団的健忘症-Chris Hedgesのコラム

アジア各地で収集された遺骨が、千鳥ヶ淵に納められたというニュースを電気洗脳機で見た。
将来、宗主国のために散った方々に対する心理的予行演習だろうか?

一方で、広島での展示から、被爆者の親子をかたどった人形が不評?で撤去されたとあった。真実は楽しくはない。楽しくないから隠すのであれば、愚行は益々繰り返され易くなろう。

宗主国の元政権幹部が、アメリカの戦争は私利私欲の金儲け・世界支配以外のなにものでもないとおっしゃるのだから、事実だろう。

日本からも多数の方が寄附されるよう願いたい。寄附が非常に多く集まるようになれば、専門翻訳者を起用した日本語版も実現するだろう。

欧米文明は、もぬけの骸骨だ。いまだに辛うじて立ってはいるが、そこにもはや生命はない。自由の血は失われてしまった。欧米の国民が自国政府を見ても、見えるのは敵ばかりだ。

そのまま何度も繰り返して引用している田中正造の言葉と重なる。田中正造は「最早亡びたるのちの国なり」と1899年、115年前に断言している。是非、岩波文庫をお読み願いたい。

田中正造文集 (一) 鉱毒と政治 岩波文庫 青N107-1 219ページ

川俣久平宛書簡 明治33年2月12日

拝啓仕候。先刻我国亡滅ニ近シ、死ニ水取りニ来らるべしと申上候ハ誤りニ候。実ハ最早亡びたるのちの国なり。今ハガイ骨の草むらの中ニゴロゴロ然たる如シ。たまたま死に残りたるものハ非常の病人なり。肉落ち色青し。また死人となりて身体に肉あるものハ狼や狸きの餌となり居りツツアリマス。この荒れたるさまの国会を見ニ来賜へ。
これを以て推量すべきハ行政、司法の両部なり。行政の事ハ人よくしれり。国会の事人よくこれをしれり。司法ニ至りてハ腐敗の見えぬもの故ニ、その弊害の深毒ニ至りしハ国会の比ニあらず。依てこの三者一モ取るものなし。

中略

行政、司法、立法の内部の精神死して、或いハ犬に食れ、或いハ早くもガイ骨トナリテ踊ルアリ、死ニ残りの痩せ男トナレルアリ。
亡国ノ跡。

渡良瀬遊水池(谷中村跡)視察、佐野博物館での田中正造直訴状見学、足尾精錬所の鉱害によるはげ山視察というニュースに、田中正造の思想・行動の現代との繋がりの深さを思う。豊葦原瑞穂の国、今やTPPで米も畜産も破壊され、原発事故で魚まで放射能汚染、そして田中の軍備撤廃論、非戦論も虚しく、宗主国の侵略戦争の肉弾にとられる。田中は、鉱害で苦しむ谷中村農民が、徴兵され、侵略戦争に行かされる理不尽さを告発していた。

田中正造といえば、下野新聞、驚くほど地道な活動しておられる。下野新聞、サイト左上の検索欄に、田中正造と入れて調べると、膨大な数の記事が読める。無料で読んでは申し訳ないほどの量と質。

「集団的自衛権」容認という「集団的先制侵略攻撃権」容認論議、傀儡政権や、お抱え御用学者が噴飯ものの猫騙し例を挙げて、目をそらしている。

有力な本当の有識者の方々が集まって、傀儡政府版でない、民間の独立した法制?懇談会を結成されたという。顔ぶれ、御用学者集団と格が違う。

そもそも宗主国の無謀な「集団的先制侵略攻撃権」容認を主張する説、論理的、政治的、軍事的にトンデモ例しかないのは当然だろう。

宗主国の侵略戦争に引きずりこまれることに賛成するのだから、宗主国の侵略戦争に賛成し、悪逆非道を実践することを推進するようになるだけのことで、宗主国の侵略戦争を批判すれば済む。インチキな例をあれこれあげつらう必要、本質的に皆無にも思えるが。

宗主国がしかけた戦争が「全て良い戦争だった」場合にのみ、集団的自衛権というもの、考慮に値するだろう。

ポール・クレーグ・ロバーツ氏のおっしゃる通り、宗主国の戦争、悉く、金融、国防大企業や、与党政治家利権拡大のためでしかなく、アメリカ国民の自由や幸福すらも破壊する戦争だ。そこに喜んで助っ人に行きますという人々、パソコン遠隔操作容疑者と比較にならない悪質サイコパス連中でしかないだろう。

世論調査で「集団的先制侵略攻撃権」容認に賛成される方には、「ではあなたの縁者・友人が地球の裏側で侵略戦争の手先になることに賛成しますね」という質問を追加する必要があるだろう。

そもそも、賛成する人がいること自体、メタボ・オヤジには謎だ。同胞を理不尽な侵略戦争で殺し、負傷させて、何が嬉しいのだろう。

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  軍事ジャ-ナリスト 前田哲男先生を再発見:『米軍世界戦略と沖縄-東アジア共同体と日米安保-』


 検索を掛けたら,偶然にも前田先生のお名前を発見。ブログやサイトなどIT関連がからきしダメなので,お許しを頂きたいが出典が明記されていないようながする。老眼で目が悪いのかもしれない。日付についてもお許し願いたい(多分,2009年)。

  さて,『米軍世界戦略と沖縄』の内容をまとめることが私の今回の役目ではない。ただ米日軍事同盟を語るとき,前田論文抜きには語れないと考えるので,前回も「グレ-ソ-ン」の概念について教えを頂いた。上記の内容については先生が次のようにまとめておられるので参照され,原典に直接当たって頂きたい。特に若い人には。
 「・・・・ いま焦点となっている沖縄の基地問題、辺野古移設がいったん合意された普天間基地。その中核をなす海兵隊とは、どのような部隊なのか。前段として、沖縄の米軍基地はどのように形成されてきたのか、歴史的な背景から見ていきたい。・・・・」

  ところで2,3日前,原発再稼働について福井地裁による画期的な判決が出たが,米日地位協定が日本国憲法より上位にあり,米軍機の騒音については日本の裁判になじまないという司法権を放棄した判決が出た。
  騒音により精神的にも肉体的にも苦痛を感じている日本国民がいる以上,憲法前文を待つまでもなく,健康で文化的な生活つまり,基本的人権が著しく制限されているならば,裁判所は白黒をつけるべきであった。

  その判決を見透かしたように前田氏は,『国内法優位原則』を確立すべきだという。その前例はあるのか。例えばドイツ。東西ドイツ統一を機に地位協定を改定(ボン協定)して,『国内法優位原則』を確立したという。

  例のMH370機が米軍とタイ軍の合同演習で誤撃墜されたと噂されるタイ国。米国との安保条約をそのままにして米軍の基地をベトナム戦争後なくしたそうだ。また最近のオバマ訪比で米軍はフィリピンの基地を10年間使えるようになった。米軍の基地を造るのではなく,駐留である(3ヶ月ぐらいの駐留は本当の意味での駐留ではない,など詭弁を弄して短期駐留していたが)。

  しかし東南アジア非核地帯条約(バンコク条約)がある以上,米軍駐留は「核抜き」であることが前提である(井上ひさし氏の映像参照されたい)。「核抜き」の話題を提供した報道は寡聞にして知らない。今後の核に関するニュ-ズが注目される。

  しかしそれだけではない。日本には建前上,「非核三原則」があるので,日本の国会もモンゴルと共に北東アジア非核地帯条約に参加すれば,核攻撃を受けなくて済むだろう。それがダメなら,ASEAN諸国とバンコク条約を結べばいい(それらの結果,非核宣言地帯がアジア全体に拡がることが期待されている)。

追記1:前田先生はケント・カルダ-氏の『米軍再編の政治学』(日本経済新聞社 2008年)を推薦されている。
追記2:ベトナムへの日本政府の原発輸出促進政策が問題になっているが,ゴミとして出たプルトニウムがなぜ日本に戻ってくるかの理由が明らかになった。バンコク条約があるから長期に持つことができないからである)。
追記3:海兵隊については,本海外記事でも取り上げられたように,森永教授のTV発言がある。併せて読まれたい(但し,小生,能力低下の故に,その文章がどこにあるのか思い出せない)。

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日本のマスコミは夜な夜な権力の「お食事会」に「およばれ」されることが「恥」でなく「名誉」だと感じているらしい。 したがって、 そんな「不都合な真実」など、なっから報 ... [続きを読む]

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“村山談話"をめぐる、 村山元首相と政治評論家の森田実氏の対談を聴いたのは、 つい先日の25日(日)のことである。 [続きを読む]

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