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2014年5月11日 (日)

ヨーロッパの9/11

Peter Schwarz
wsws.org
2014年5月7日

日曜日、フランクフルター・アルゲマイネ・ゾンタグスツァイトゥンクのインタビューで、NATO事務総長アナス・フォー・ラスムセンは、ロシアによるクリミア併合を、9/11“対テロ戦争”と対比した。この対比は、ラスムセンとフランクフルター・アルゲマイネ・ゾンタグス・ツァイトゥンクが、おそらく意図していた以上のことを物語っている。

2001年9月11日のテロ攻撃は、違法な戦争や軍事力の大規模増強の口実として、12年間以上アメリカ政府の役にたってきた。アメリカは、“対テロ戦争”の名において、アフガニスタン、イラクとリビアを攻撃し、テロリスト容疑者を拉致し、拷問し、殺害し、世界中の何十億もの人々をスパイし、アメリカに警察国家構造を作り上げた。

自分たちが引き起こした挑発したウクライナ危機で、ヨーロッパ、とりわけドイツの支配層は、同様な道を歩み始めたのだ。連中は確実な経済的、地政学的権益を追求しているのだ。ロシアを押し返し、黒海地域、カフカスや中央アジアにおける、影響力の拡大だ。彼等は、この危機を、軍国主義に対する、大衆の根強い反対を克服し、将来の階級闘争に備えて、国家機構を作り上げるという企みにも利用しているのだ。

新聞に語りながら、ラスムセンは、ヨーロッパのNATO加盟諸国による大規模再軍備を呼びかけた。“国防費縮小を止め、流れを反転し、徐々に、より多くの資金を国防に投資しよう”と彼は要求した。

“ウクライナで起きた事はヨーロッパにとっての警鐘に違いない”と彼は述べた。ロシアは防衛支出を、30パーセント増加したが、ヨーロッパのNATO加盟国の中には、支出を40パーセント削減した国もある。

世界最大の軍事同盟の事務総長は、ロシアがウクライナを更に不安定化させたり、NATO加盟国との紛争を挑発したりするようなことがあれば、ロシアは“深刻な結果”を招くことになると威嚇した。“我々同盟国の一国に対する攻撃は、我々全員に対する攻撃だと我々が見なすことを、ロシアはいささかも疑ってはならない”と彼は述べた。NATO軍、戦闘機、海軍部隊の東ヨーロッパ配備は、ひたすら“抑止力”としての政策だと主張した。

主要ドイツ政治家達は即座にラスムセンを支持した。社会民主党(SPD)会派の安全保障政策スポークスマン、ライナー・アルノルトは、各国が近年“財政的制約のみを動機として、ばらばらに軍事力を低下させた”ことを根拠に、NATO加盟諸国を批判し、NATOが“核を用いない効果的な抑止力を確保できる”よう主張し、そういう状態を終わらせねばならないとアルノルトは要求した。

アルノルトは、多国籍部隊をたちあげ、部隊を東ヨーロッパに配備することを示唆した。ドイツ軍は“費用がかかる特殊技”で貢献することが可能で、ドイツのタイガー・ヘリコプター、新たなピューマ歩兵戦闘車と、ボクサー装甲兵員輸送車で参加する。キリスト教民主同盟の外交政策専門家アンドレアス・ショッケンホフはこれに同意し、機甲部隊の提供に加え、ドイツ軍はサイバー攻撃防止と海軍配備計画にも協力できると補足した。

ワシントンとベルリンは極右ファシスト勢力を動員し、意図的にウクライナの危機を挑発している。トゥルチノフ大統領とヤツェニュク首相の政権を実現した2月22日のクーデターは、ワシントンとベルリンが指図し、右派セクターとスヴォボダ党ファシストが主要な役割を演じたものだ。

欧米帝国主義大国は、選挙で選ばれたわけではないキエフ政権が大衆の反対に遭い、ロシアの反発を招くことは計算済みだった。ナチス占領時に、150万人のユダヤ人を含め、600万人が殺害された国で、ステパーン・バンデーラ等のナチス協力者を政府が称賛すれば、必然的に大変な反感を招いて当然だ。

オデッサでの最近の虐殺で、帝国主義によって動員されている勢力の残忍な特性があきらかになった。5月2日、新政権反対派の数百人が避難したオデッサ労働組合会館に、右派セクター暴漢や他のキエフ政権支持者連中が放火した。多数の人々が火で亡くなり、多数の人々が、炎から逃れようと窓から飛び出して重傷を負った。地上では、ファシスト達が大喜びで喝さいし、はやしたてた。いくつかの報道によれば、犠牲者の多くは、ファシスト暴徒が会館に火を放つ前に、右翼民兵に殺害されていた。

意気地がなく破廉恥なドイツ・マスコミは、危機のエスカレーションは、ロシアのプーチン大統領のせいだとして描き出して、こうした事実を隠蔽する仕事を引き受けている。

キエフ政権が、ウクライナ国民のかなりの部分に拒否されていることを示す証拠が増えれば増えるほど、奇怪なマスコミは、益々現実をひっくり返そうとするのだ。

月曜日、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥンクは、“社会問題や、言語的、文化的、歴史的問題を巡るウクライナ社会の本当の紛争をかき立て、巧妙に操作して、モスクワがウクライナに対する宣戦布告なしの戦争を遂行しているのだという事実を見失うべきではない”と読者に警告した。確かに紛争は存在しているが、紛争はロシアの巧妙な操作ではなく、何より欧米諸大国の積極的介入によってあおられているのだ。

ラスムセンがウクライナ危機を9/11と比較したのは、全ヨーロッパの労働者に対する警告だ。欧米大国による挑発的行動が、ウクライナ人労働者階級とロシアのみに向けられているのではなく、全ヨーロッパの労働者階級に向けられていることを示しているのだ。彼等は、これを戦争の為の大規模軍事力増強と、警察国家樹立の口実にするつもりだ。

ラスムセンはこの分野の専門家だ。彼は、“From Social State to Minimal State”(社会福祉国家から、最低限の要求を満たすだけの国家へ)という、実に多くを物語る題の本を書いている。デンマーク首相として在任した間に、かつては寛容で有名だったデンマークを、彼は外国人に対する要塞へと転換した。彼の指揮の下、2003年に、デンマークは、イラクに軍隊を派兵したヨーロッパの数少ない国々の一つとなった。

戦争と軍国主義に反対しようとする全ての人々に、ドイツとイギリスのソーシャリスト・イクゥオリティ党のヨーロッパ選挙キャンペーンを支持し、ヨーロッパ第四インターナショナル国際委員会の部門を立ち上げるよう我々は呼びかける。それが戦争と軍国主義に一貫して反対する唯一の政治的方向だ。

記事原文のurl:www.wsws.org/en/articles/2014/05/07/pers-m07.html

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下記記事は、直接関連する内容の翻訳記事の一つ。

NATOの戦雲男‘Fogh’Of War

首相、単なる物見遊山で、公費を使ってはるばるヨーロッパにでかけたわけではない。参戦活動推進の為だろうか?大切な仕事。NATOとの協力。加盟と似たようなものだろうか?

これで、ウクライナでロシアとアメリカが直接対峙すれば、「ドレイもん」「どこでも派兵ドア」全開できる?アニメ「どらえもん」、やがて宗主国でも放映されるという。

オデッサの虐殺、そしてさらなる殺戮を推進する組織との一体化、「ドレイもん」「どこでも派兵ドア」を引き受けにでかけたのだろうか。ただで国民を差し出すはずはなく、政治家や軍需産業は見返りとして、武器輸出や共同開発もあるのだろうか。三原則は当然廃棄。

彼の指揮の下、201X年に、日本は、○○○○に軍隊を派兵したアジアの数少ない国々の一つとなる。

昨日今日、思いついた計画のはずはない。

大西洋共同体(NATO)に日本を組み込む ブレジンスキー 2009/21/15

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