TPPの農業で、オーストラリア・日本FTAは、ニュージーランドとアメリカを出し抜いた
4月8日
Press Release - ジェーン・ケルシー教授
ジェーン・ケルシー教授によれば、オーストラリアは、日本との自由貿易協定に対する長年にわたる交渉を突然締結して、ニュージーランドや、他の環太平洋戦略的提携協定TPP参加国を出し抜いた。…オーストラリア-日本FTAは、TPPの農業について、ニュージーランドやアメリカに抜け駆けをしたのだ。
日本のTPP戦略を注視しているジェーン・ケルシー教授によれば、‘オーストラリアは、日本との長年にわたる自由貿易協定交渉を突然に締結して、ニュージーランドや、他の環太平洋戦略的提携協定TPP参加国をを出し抜いた様に見えます’。
詳細情報は乏しく、文章は少なくともあと一ヶ月たたないと入手できない。可能性として、5月17-18日、中国でのAPEC会合に沿って召集されると予想されているTPP閣僚の後まで。
オーストラリア外務貿易省が発表した要約情報は、オーストラリアが、農業で、TPPで日本に対して要求されているものより遥かに救いレベルで妥結したことを示唆している。協定に、論争の的となっている投資家・国家紛争解決メカニズムを含めることを拒否した可能性もある。
乳製品の協定は、濃縮タンパク質とカゼインと、より大量のオーストラリア・チェダー・チーズの即時無関税アクセスと、冷凍ヨーグルトやアイスクリームに将来の可能性を持たせた様に見える。
すくなくともチーズについての譲歩は、オーストラリアのみに適用される低関税割当という形のようだ。
協定により、オーストラリアは、12ヶ国が参加する交渉で、日本が農業で譲歩するはずのものに優先的にアクセスできることになる。
‘アメリカは感心しないでしょう。オバマ大統領は4月23日から25日まで日本を訪問する予定で、その際に協定に署名をしたがっていました。しかし、アメリカが、日本が譲歩する予定を遥か上回るもの要求をしているので、農業に関する交渉は、ひどく行き詰まったままでしょう’とケルシー教授は予想している。
‘オーストラリアは、日本が譲歩する予定のものを最初に利用する権利を得ただけでなく、アメリカが要求するものより遥かに低い水準でまとまったように見えます。’
‘もしアメリカが不満なのであれば、ニュージーランドは取り乱す立場にあります。グローサー貿易相は全農業産品の包括的自由化がなければならないと主張しており、もしそれが実現しなければ、離脱すると言い続けてきました’とケルシー教授は言う。
‘TPPが実現する場合は、大物達によって、大物達のために、まとめられるのです。今やオーストラリアは、ニュージーランドも見捨てたのです。’
‘ティム・グローサー貿易相は現実に直面するべき時です。ニュージーランドには何の取引材料もなく、政治的影響力もありません。TPPによる、規制を決定める主権へのリスクは余りに高すぎ、経済的恩恵の見込みは非常に低いのです。’
終わり
コンテンツの典拠はscoop.co.nz
元のurl
記事原文のurl:www.itsourfuture.org.nz/fta-steals-a-march-on-nz-and-us-on-agriculture-in-tppa/
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この協定に関する大本営広報部記事を読んでも、素人にはまったく様子はわからない。
この協定の、TPP交渉に対する影響も、素人には全くわからない。
さすが、ケルシー教授は、大本営広報部と違って「投資家・国家紛争解決メカニズム」に触れておられる。
大本営広報部記事が報道しようと、するまいと、TPP協定の本質が、日米協定であり、非関税部分が目玉であることはかわりないだろう。
レーガン政権で財務次官補をつとめたポール・クレイグ・ロバーツ氏も最近のコラム「ロシアとNATOを同時に脅迫するオバマ」で書いておられる。(原文には太字はない。)
アメリカ以外の諸国には、今やWTOを脱退し、環太平洋TPPや、環大西洋“貿易協定”を避けるべく、考え得る最善の理由があるのだ。協定は貿易に関するものではない。これら“貿易協定”の狙いは、他の国々に対し、アメリカ政府とアメリカ企業の覇権を確立することにある。
そもそも、アメリカ議会図書館議会調査局文書に、重要なのは非関税障壁解除だ、と明記してある。秘密でも、陰謀論でも、妄想でもない。
(TPPでの)アメリカの狙いは、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策を日本に解除させることにある 米国議会図書館議会調査局文書
そうした重要な点には、一切ふれず、牛肉関税程度のことしか触れない大本営広報部、一体何を狙っているのか、不思議に思いながら眺めるばかり。
TPP関連の翻訳記事を、下記にまとめてある。
TPP、国家戦略特区問題を分析しつづけておられるブログ『神州の泉』様から、有り難いトラッバックをいただいた。副島隆彦氏の新刊『金融市場を操られる絶望国家・日本』の中で書かれている国家戦略特区乗っ取り政策の元締め氏のお名前も当然でてくる。
安倍政権がTPP判断基準5項目を一貫して無視し続けた理由こそ、国家戦略特区の布石だった!
4/13夜のTBS-BS報道番組で、村上誠一郎自民党衆議院議員の素晴らしい意見をきけたが、「経済ラウンドアップ」では、解説者氏「TPPは、まとまってくれないと困るんですがね」と、いつもの大本営広報部に戻ってしまった。
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