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2014年4月16日 (水)

TPPの外交政策上の利点論は、過去の協定に対してなされた誤った主張の繰り返し

2014年4月10日

Public Citizen

新たな報告書が、中国に対する防壁としての、環太平洋戦略的提携協定TPPという考え方が虚偽であることを証明し、NAFTA以来、協定に対して主張されてきた同様な地政学的主張の結果を分類している。

バラク・オバマ大統領アジア歴訪が迫り、環太平洋戦略的提携協定(TPP)の唱道者連中が、増大しつつある中国の影響力に対する防壁だ、という宣伝文句を益々売り込む中、パブリック・シチズンが今日公開した報告書は、貿易協定で、過去二十年間利用された、ほぼ同様な外交政策上の主張は、常に事実無根であったことが証明されることを明らかにしている。報告書は、馬鹿馬鹿しいもの、事実に反するものから、過去の協定に対してなされた同様な主張で、実際の結果により、繰り返し反証されているものに至るまで、TPPを推進するため言われている、様々な外交政策上の主張を検討している。

“貿易協定を売り込む為に持ち出されたお決まりの外交政策の主張経済問題が失敗した後” パブリック・シチズンのグローバル・トレード・ウォッチのデイレクター、ロリ・ワラックは語っている。“議会はそうし損なえば、アメリカの力が衰えたり、競争相手に重要な市場の乗っ取られたり、外国の不安定を意味したりという恐ろしい予言に基づいて、まずい協定を承認することを繰り返し、こうした予言の多くが、協定発効にもかかわらず、そして場合によっては、協定発効のおかげで、現実となることにようやく気付くのです。”

中国の上昇中の経済力と影響力は正当なものではあっても、アメリカがその影響を懸念していて、なんらか特定のアメリカ貿易協定を樹立すれば、この過程を管理できるだろうという考え方は、実績と矛盾している。パブリック・シチズンの調査は、過去の貿易協定が、貿易パートナー市場における日本、ヨーロッパや中国の経済的利益に反撃するという主張の結果を検討している。アメリカ外交政策の同盟諸国を強化したり、敵を阻止したり、アメリカの国家安全保障を強化する。

報告書の主な発見事項には下記のものがある。

  • 過去の自由貿易協定(FTA)は、中国の増加する影響力経済的影響力(あるいは日本)に反撃しそこなってきた。2000年から2011年まで、中南米の8ヶ国とのアメリカFTAは、西半球における外国の経済的影響力に対するとりでとして売り込まれた。アメリカの協定が実施されand中南米諸国に対する中国の輸出は増大し、105億ドルから、1450ドル以上へと、1,280パーセント以上増加したが、アメリカの輸出はそこそこしか増えていない。中南米の輸入品中のアメリカ製品の占有率は、36パーセント低下した、中国のシェアは、575パーセント増加した。同様に、北米自由貿易協定(NAFTA)の下で、最初の20年、メキシコ輸入品中のアメリカ製品のシェアは、ほぼ70パーセントから、50パーセント以下に落ちたが、中国のシェアは2,600パーセント以上上がった。同様に、アメリカ合州国が、NAFTAや他のFTAを締結しない限り、日本が、日本の自由貿易協定を結んで、中南米諸国で、アメリカ製品の市場シェアを奪ってしまうというヒステリックな主張の後で、そのような日本FTAも、どの道締結されたのだ。
  • TPPは中国を“封じ込めたり”孤立化させたりするものではない。報告は、将来のTPP加盟国として、中国を歓迎しているというアメリカ幹部が繰り返しているの声明を引用している。もし中国がメンバーになるのを歓迎されるのであれば、TPPでどうして中国を孤立化できようか? 政権幹部達は、中国はTPPのルールに同意した場合にのみ参加できことを認めているが、これらのルールは、中国製品のアメリカ市場への無税参入を可能にし、新たな外国投資家の権利や特権は、アメリカ合州国内での、中国の相対的な力を強化する可能性がある。これがTPP加盟の興味が増しつつあるという中国の声明を説明するものかも知れない。TPPは、こうした諸国の多くが中国をパートナーと見なしていることからして、中国の影響力に対する防壁として機能すべく太平洋同盟諸国を強化するものではない。報告書は、もしもTPPが中国封じ込めの道具になるようなことがあれば、TPP交渉への参加を止めるつもりだというTPP参加国幹部の発言を引用している。
  • TPPは“我々”のルールを押しつける道具ではない。提案されているTPPルールは、偽りながら、好都合に恐ろしい、TPPを売り込む為に使われている二項対立を無効にしてしまう。我々には、協定を “われわれ”のルールを国際的に押しつける為に利用するか、それとも、中国が決めたルールの中で暮らすかの選択肢がある。この議論は、TPPが本当に“われわれ”のルールであることを前提にしているが、実際には多くのTPP条件は、それを形作った600人の公式アメリカ企業貿易顧問達の狭い特別利益を反映している。TPP投資ルールは、アメリカ雇用の海外移転を一層の促進し、国家安全保障と、国内インフラの両方に必要不可欠なアメリカの製造基盤を更に破壊する。TPP購買ルールは、税金で集めた我々のドルを、国内の経済成長と雇用を生み出す為に再投資するバイ・アメリカン政策を禁じてしまうことになる。TPPのサービス部門のルールは、わが国のエネルギー価格を押し上げ、わが国のエネルギー上の独立と財政上の安定性を損なうだろう。TPPの医薬品と著作権条件で、医療経費は上昇し、イノベーションを阻むだろう。研究は、アメリカ産業の空洞化は、国家安全保障とわが国の経済的繁栄に対する脅威だと結論している最近のアメリカ国防省報告を要約している。

“政治家や評論家達の中には、TPPが影響しようのない地政学的問題を取り上げることで、勃興する中国に関するアメリカ人の懸念を活性化し、TPPが、大半のアメリカ国民にとって恩恵があるのか?という本当の問題から逸らそうとしたがっている様に見えると、ワラックは語っている。

報告書は数十年の貿易協定と外交政策の主張を羅列して、政権による最近のTPPに関する主張が、ほぼ一言一句、過去の協定に使われた売り込み口上の繰り返しであることを明らかにしている。例えばジョー・バイデン副大統領が、最近TPPを“アメリカの持久力の象徴”と呼んだことは、当時の、ダン・グリックマンアメリカ下院議員(民主党-カンサス州)による1993年のNAFTAの宣伝文句に酷似している。“NAFTAは極めて重要なものとなり、そう、アメリカの指導力の象徴的なテストになった。”

過去のFTAを売り込むのに繰り返し利用され、TPPを売り込む為、現在も再利用されている事実無根の多くの外交政策の主張の中には下記がある。

  • NAFTA: 1993年、当時アメリカ上院議員のジョン・ケリー(民主党-マサチューセッツ州選出)は、“メキシコ経済の成長と成熟に貢献し、それにより、進歩を後退させかねない社会的、政治的爆発の可能性を和らげるだろう”と主張してNAFTAを擁護したが、NAFTAから20年後、メキシコの平均成長率は南米諸国20ヶ国中、18番中だ。実際、NAFTAでは、助成金を受けたアメリカ・トウモロコシの流入が、250万人のメキシコ人農民と農業労働者の生活手段を消滅させて、メキシコの大規模な貧困と不安定に貢献した。大量移住は、NAFTAの最初の七年間でのアメリカ合州国への移民の倍増に貢献し、メキシコで急増する麻薬戦争の暴力に油を注いだ。NAFTAは“社会・政治的爆発”を防ぐことに失敗した。どちらかといえば、社会・政治的爆発に貢献したのではないかと、ケリーは恐れていた。
  • CAFTA: 2005年、当時のビル・ファーストアメリカ上院議員(共和党-テネシー州選出)は、中央アメリカ自由貿易連合CAFTA)をこう言って支持した。“ウゴ・チャベスは、日々ベネズエラを益々カストロに近づけている。これらの政権は、連中の残虐な方法と全体主義的哲学を広めようとして、他の中南米の国々に影響を及ぼそうとしており、我々は彼等が成功するの放置しておくわけには行かない。… [中米]経済を、民主的資本主義と結びつけることで、CAFTAは、こうした国々を戸口にある脅威から守る助けになるだろう。”CAFTAが発効して間もなく、大半のCAFTA参加国は、ベネズエラとの密接な経済・政治的つながりを確立した。ドミニカ共和国、ホンジュラス、グアテマラとニカラグア全てが、CAFTAが発効して間もなく、助成金を受けている石油を得るために、ベネズエラとの協定に署名した。
  • コロンビアFTA: 2011年、当時のアメリカ下院議員ジョフ・デイビス(共和党-ケンタッキー州選出)は“コロンビアとの貿易協定は、コロンビア人に、麻薬取引に対する代案を与えることによって、わが国の国家安全保障上の利益を前進させる”と主張して、コロンビアFTAの成立を推進した。デイビスの主張は、コロンビア自身の農業大臣の意見と真っ向から対立している。FTAの成立前に、もし条約が発効すれば、コロンビアの農民は、FTAで輸出が可能になった助成金を得たアメリカ作物の流入と競合できなくなり、“三つの選択肢しかなくなると農業大臣が予言した。都市や他国に移住する(特に、アメリカ合州国あるいは隣接諸国)か、麻薬栽培地帯で働く為、村を離れるか、違法武装集団に加わるか”2013年8月、収入の下落や解雇に直面した何千人ものコロンビア農民が道路を封鎖し、全国ストを全国ストライキを開始し、FTAの廃止を呼びかけた。

“TPPは、過去に誤っていたことが明らかとなり、実際のTPP文章と、ほとんど関係のない、焼き直しの外交政策論点や、大げさな国家安全保障話に基づいてではなく、実際の条項やありそうな結果の利益について議論されるべきです”とワラックは語っている。

記事言文url:citizen.typepad.com/eyesontrade/2014/04/tpp-foreign-policy-arguments-mimic-false-claims-made-for-past-pacts.html
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ロリ・ワラック女史、既に数回来日され、反TPP集会での講演や、国会議員との会合もしておられる。反TPP記事も多数書いておられる。ロリ・ウォラックという表記が良いのだろうか?

Democracy Now!で「TPPは貿易協定の衣を着た企業による世界支配の道具」でこの放送の日本語字幕ビデオが見られる。時間は19分。

番組の書き起こしを下記で翻訳してある。

TPPは貿易協定の衣を着た企業による世界支配の道具 Democracy Now!書き起こし

レーガン政権で財務次官補をつとめたポール・クレイグ・ロバーツ氏も最近のコラム「ロシアとNATOを同時に脅迫するオバマ」で書いておられる。(原文には太字はない。)

アメリカ以外の諸国には、今やWTOを脱退し、環太平洋TPPや、環大西洋“貿易協定”を避けるべく、考え得る最善の理由があるのだ。協定は貿易に関するものではない。これら“貿易協定”の狙いは、他の国々に対し、アメリカ政府とアメリカ企業の覇権を確立することにある。

そもそも、アメリカ議会図書館議会調査局文書に、重要なのは非関税障壁解除だ、と明記してある。秘密でも、陰謀論でも、妄想でもない。

(TPPでの)アメリカの狙いは、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策を日本に解除させることにある 米国議会図書館議会調査局文書

そうした重要な点には、一切ふれず、牛肉関税程度のことしか触れない大本営広報部、一体何を狙っているのか、不思議に思いながら眺めるばかり。

TPP関連の翻訳記事を、下記にまとめてある。

TPP関連主要記事リスト

 

大本営広報に「小泉・細川氏、脱原発で再びタッグ」なる、げんなりする話が載っている。

  • 郵政破壊、イラク派兵等、安倍政権の悪しき前例を確立した実績をもつ人物と、
  • 村上誠一郎自民党衆議院議員も徹底批判する「小選挙区制」を導入した人物が、

その大罪の謝罪も清算も全くせずに、ブームにのっての脱原発。脱原発運動分裂工作以外の何者でもない。謝罪清算をしてからの脱原発であれば大歓迎するが、ありえない。

不思議な「学者」やら有名女優他が賛同しているという。そうした連中のファンではないので気にならない。破廉恥な太鼓持ちは無限にいる。

自分の首を絞める政治家連中、それをもてはやす太鼓持ちを喜ぶ庶民の心理が不思議。

村上誠一郎自民党衆議院議員、ご自分は、増税や医療問題について、辛口な正論を選挙区で主張しても、おかげさまで、しっかり受かると言っておられた。しかし、小選挙区制では、大多数の政治家にとって、それは困難だとも。

大本営広報部、小選挙区制導入を強力に推進した。とんでもない犯罪団体だ。彼等も決して謝罪も清算もしない。確信犯だ。その大本営広報部がTPPは素晴らしい、必要不可欠とあおっている。

ただのメタボ・オヤジがむきになってTPPに反対する理由の一つは、大本営広報部が推進しているからだ。原発もそうだった。安保もそうだった。秘密法案も同じそして、集団的自衛権も。勝手な憲法解釈による派兵は憲法破壊なのだ。

TPPにもどろう。アメリカの「パプリック・シチズン」ワラックさんの活動は素晴らしいが、日本でも、しっかり活動している方々がおられる。もちろん大本営広報部は報じない。

IWJは報じている。ビデオもある。

2014/04/13 良いこと無しの国家戦略特区構想、 韓米FTAの韓国も規制緩和の嵐で大ダメージ

政府は3月28日(金)、国家戦略特区諮問会議を開き、東京や大阪など6つの地域について、国家戦略特区として指定を決めた。4月13日(日)、この国家戦略特区構想の危険性を読み解く「危ない!国家戦略特区~雇用・医療・暮らしはどう変わるのか~」と題するシンポジウムが行われた。

TPP、国家戦略特区の実態、大本営報道とは全く違うことがすぐ理解いただけるだろう。

●プログラム・パネリスト
1.【基調報告】国家戦略特区とは何か 奈須りえさん(前大田区議)

2. 【各分野からの報告】国家戦略特区でどう変わる?
  *雇用・労働:河添誠さん(首都圏青年ユニオン青年非正規労働センター)
  *医療:色平哲郎さん(佐久総合病院医師)
  *東京はどう変わる?:宇都宮健児さん(弁護士・元日弁連会長)
  *韓米FTAでの経験―TPPと国家戦略特区:郭洋春さん(立教大学教授)

3.【パネルディスカッション】いのちと暮らしの市場化にNO!
  奈須りえさん(前大田区議)
  河添誠さん(首都圏青年ユニオン青年非正規労働センター)
  色平哲郎さん(佐久総合病院医師)
  宇都宮健児さん(弁護士・前日弁連会長)
  郭洋春さん(立教大学教授)
  ※コーディネーター:内田聖子さん(PARC事務局長)

主催】国家戦略特区を許さない市民会議

こうした情報を提供できる、独立したメディアの継続には、資金が必要だ。そこで、

岩上安身よりみなさまへ 2

岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

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オバマ・アジア4ヶ国歴訪に思う

 2日前,ヤフ-ベトナム・ヤフ-マレ-シアのHPを開いてみた。驚く事勿れ,AP配信の同じ記事・内容。いくらか得をした気分で片方を眺めてみると,TPPの話は一つも出てこない。日本の外は,南東アジアの海域安全について関心があるらしい。

 一方国内では,豚肉の差額関税は維持しながらも,輸入量を増やすとか,増やさないとか小生には理解できない内容が並ぶ。○痴・メディアの一つJNNは,豚肉に関する『合意前進』した内容を入手したという。しかしながら,TPP交渉は「秘密交渉」であったはず。交渉内容が漏れてくるはずもない。喜々として報ずるJNNは-環境省の教育政策を支持し,自民党文教部会の幹部が漏らした情報を載せる毎日新聞の子会社-「秘密交渉」を忘れて操作情報をそのまま載せる。土曜夕方の『報道特集』が泣いている。

 さて○痴メディアに載らない情報の一つに,イスラエル・パレスチナ平和交渉がある。その交渉期間は残り一ヶ月を切ったが,行方は分からない。パレスチナが準国連加盟国となったのは,3.11以降だと記憶しているが,オバマ大統領は大変である。パキスタン・アフガニスタンではオバマが反省したはずの,無人機droneによる無差別殺人がまた繰り返された。
 他方,ベネスエラでは昨年,3人の大使館員が破壊工作をしたとして国外追放された。それ以前にも現大統領による大使館員=CIA要員追放があり,オバマ政権は報復を誓った。ブラジルでは6月に迫った世界蹴球大会を前に,CIA主導による反政府デモは消えた感がある。コロンビアではCIAが支援する政府に対する反政府デモが勢いを増しているそうだ。ウクライナ然り。

 USAIDの隠し財産があるから CIA は財政的には余裕があるが,オバマ大統領は大変である。国家財政破綻に加えて,1988年に発表された,ガルブレイス氏ら著名人70人の広告『原則の再確認』はすでになきに等しい。しかしそれでも,韓国の大統領と自公民政権の首相とを引き合わせたオバマ大統領の努力には敬意を払いたい(その結果の善し悪しは短期的には分からない。例えば今日,党派を超えた国会議員が靖国に大挙して押しかけたそうだ)。

 今回は,中国と領土争いの渦中にある4ヶ国訪問である。先日の報道によれば,米・中・日間でレ-ザ-照準を互いに照射しないという約束が為された。オバマもケリ-も白々しい嘘を吐く。しかしそれにも関わらず,南沙諸島,南シナ海での紛争が少しでも解決に近づくことを期待したい。 

追記: オバマとケリ-の嘘は,アレユリアの本当の嘘つきがウクライナ東部で語った「嘘」とは質的に異なる。嘘は嘘だと強硬に言い張る人がいらっしゃるが,『白馬は馬に非ず』ということを証明した公孫竜先生の論理(夕陽妄語[Ⅱ])に従えば,「白々しい嘘」と「嘘」とは異なると,考える。

 

二国間TPP交渉に思う-テロ国家米国=属国日本

 昨年7月安倍自公民政権は,キナバル市で初めてTPP交渉に参加した。世に報じれらているようにアフラック保険の簡保での取り扱い,軽自動車税の引き上げなどの土産持参での交渉参加であったが,バリ島での閣僚級会議に出席するはずのオバマ大統領が欠席し,年内交渉妥結は不能となり,翌年に持ち越し,TPP交渉は2月の閣僚会議でも失敗した。
 しかし交渉担当者たちや太鼓持ち日本のマスゴミは交渉失敗にも関わらず,二国間交渉に期待掛けて4月中旬に致る。12ヶ国はどこへ行ってしまったのか分からない今日,特に米日が閣僚会議を続けるのは何の意味があるのであろうか,探ってみた。諸賢のご批判を仰ぎたい。

 第一に,すでにTPP交渉は決裂した。TPP交渉担当者たちは,背後に控える多国籍企業や財界に対して,多くの困難にも関わらず米日双方が血が出るほど交渉したことを示したい。
 しかしマレーシア,チリは絶対に合意しない。ISD条項は絶対に認められないからである。また喩え,日本側が農産物の関税をほとんど0%近くに下げることに合意したとしても,一度は議会での証言を『忌避』したフロマン代表が,自動車関税を議会の反対を押し切ってまでも0%にすることはあり得ないから,豪州の関税撤廃主張を抑えきれない。

 第二に第一に関連して,またもし逆に農産物関税を死守したとなれば,次期参院選の集票力が増す。特に自民党が有利になることは明らかであるからである。その交渉期間は長ければ長いほど,農民に訴える力は大きいであろう。

 第三に,現在「交渉」と称して彼ら担当者たちが話し合っているのは,今後のことである。すでに指摘されているように,12ヶ国TPP交渉は,米国から見た日本の関税撤廃の話である。Deregulation。
 今日,外国の弁護士が日本で複数事務所を開設できる法案が成立した(日本人弁護士が米国で事務所を開設はできない?)。またすでに国家関税特区として東京を始め5地域が指定された。つまり,TPP25項目は諦め,安倍自公民政権が続く間にできる限りの名を捨てて実(関税撤廃)を採る戦略に切り替えた。

 アジア諸国の反発を買わないように,文科省が検閲で教科書を改悪できないからその代わりに,図書の閉架,蝋人形撤去,図書裁断(精神鑑定は怪しい=世論操作であると推認する)など国家水準でできないことを地方水準でやらせる。名を捨てて実を採る。syu氏が指摘されるように,(地方)行政,地方市長・議員水準で「実を採る」方針が推進されようとしている。すなわち,地方水準での「厄い」は,中国政府もアジア諸国も口は出せない,内政干渉できないそれである。

 (故郷那須塩原市には,総務省からのキャリア官僚が迎えられ,市行政を指導している。例の「左翼のくそったれ」発言官僚と同じように市町村にキャリア官僚が派遣されるようになったらしい。20代で地方の税務署長や駅長になるのは可笑しいと指摘したのは10年以上前の気がするが,昨日の東京新聞に拠れば,フクシマの被爆映画上映を那須塩原市は断ったという。その理由はその映画に「公共性がない」からだそうだ。
 「公共性がないか,あるか」の議論は,裁判所の判断を待つしかないが,中国やアジア諸国が直接関与できない議論である。裏を返せば,国がしづらいことをキャリア官僚を派遣して地方にやらせる戦術が横行し始めたと言うことであろう)。

 
 第四に,日本のマスゴミの役割は,「実際には行われていない」TPP交渉が行われていることを宣伝し続けることに意義がある。デモを排除できない代わりに,疲労困憊感を彼らに押し付ける。それに挫折感が加わるかはオバマ離日まで分からないが,自公民多数のうちに「名を捨てて実を採る」政策を進めるために,国民の関心を逸らす。敵は本能寺にあり。 

 加藤周一が言うように,「・・(ヨ-ロッパの)国家は経済単位としては小さすぎ,文化的単位としては大きすぎる。それにもかかわらず,政治だけが国家単位で行われているということに,二十世紀末今日の最大の問題があるに違いない」。しかしそれは二十世紀だけの問題だけでなく,国連の力がますます低下し,選挙民の声が政府に届かない中で,今日の,日本の問題でもあろうからである。『ヨ-ロッパをどう思いますか(夕陽妄語[Ⅳ])』を読んで以上のような感想を抱く。

 毎回拝読させていただいております。ありがとうございます。
当方介護のため辞職して3年になる、たぶん同年代の男です。毎回自分の考えと全く変わらないご意見に喜ぶと共に、英語が苦手で、これといった長所(力)のない自分に忸怩たる思いもしております。
 この国の棄民根性は明治以降変わらず、いやさらに度を増していると言えますね。
しかし不思議なのは、ネトウヨが湧いて出てきてから、行政や市長・議員レベルで似たような者が湧いてきていることです。
 ネトウヨの若者はある意味鉄砲玉で自業自得ですが・・・
ぼやいていても始まらないことを痛感しながら、どこかでこの国は腐りきって早く潰れたほうが良いのではと感じている自分がいます。
 1%とそれを操るサイコパス連中に一矢報いたいという思いを抱えながら収入乏しきゆえこもった生活をしています。
 初めてコメントを書きました。ボヤキより感謝の気持を少しでも伝えたかったのですが・・・
 あらためて、ありがとうございます。

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