アビー・マーティン、リズ・ウォールと、マスコミ戦争について
公開: 2014年3月6日、12:10
Russia Today
アビー・マーティン
今日、RTアメリカのキャスター、リズ・ウォールが、局の編集姿勢に同意できないと主張して、放送中に辞任した。以下は、それに関する私の言い分だ。
今どき、RTで働くには大変な勇気が必要だ。RTと、そのジャーナリスト達がこれほどのいじめにあうのを見たことがない。連中が可哀相なアビーに何をしたのか、御自分でご覧頂きたい。まず、彼女がロシアの姿勢への異議を放送中に公に発言した。そして事実上、アメリカの英雄になった。しかしそこで、アビーは、アメリカの姿勢にも決して同意はしないことを明らかにし、自分の見解を自由に発言できるRTで働いていることを誇りに思うと言ったのだ。一時間も立たないうちに、これほどの夜更けに、何と表現したら良いか思いつけない形で、アビーは顔に泥を塗られてしまった。我々が、広報活動として、全ての出来事を仕組んだのだ、と主張するアメリカ大手マスコミまであらわれた。彼等はアビーに陰謀論者というレッテルを貼り、活動家としての彼女の過去を暴き出した。最初に彼女を称賛しておいて、24時間もしないうちに激しく非難したのだ。リズ・ウォールを含めた彼女の同僚達の目の前でこうしたこと全てが起きたのだ。社員達がそれを見ながらどう感じたと皆様はお考えだろうか?
昨日、ロシアの立場が正しいと思う理由をニューヨーク・タイムズ記者に説明するのにかなりの時間を費やした。私はロシア人だ。私は自国を支持し、できる限り真実の為に戦うつもりだ。アビーもリズも、あるいは他の多くの社員達もロシア国民ではなく、外国人だ。そして現在、彼らの国はわが国をナチス・ドイツになぞらえている。彼等がRTで、忠実に長年働き、毎日主流マスコミから隔絶した意見を示し続けてきたことは、素晴らしく、説得力があり、日々増える視聴者を引き寄せている。この人々は、占拠運動について、自分達の国に最初に語った人々だ、職務を遂行する中、抗議集会で拘留され、何時間も手錠をかけられ、裁判で裁かれた人々だ。彼等はシリア、リビアにおけるアメリカの偽善に激怒した人々であり、読者ご自身でこのリストを完成することができるだろうが、化学兵器を最も頻繁に使用しており、原子爆弾さえ行使する用意があると言っているのが誰かを世界に思い起こさせた人々だ。彼等は欧米大手マスコミが決してしようとしなかったことをなし遂げた人々だ。しかしそれも平和時のことだ。今は本当の戦争になっている。有り難いことに、クリミアで、ではない。マスコミ戦争だ。毎日毎時、わが社の為に働いている人々はこう言われ続けている。“お前たちは嘘つきだ。お前たちはジャーナリストではない。お前はクレムリンのプロパガンダ代弁者だ。お前はロシアに身を売ったのだ。仕事を辞める頃合いだ。全員お前をあざわらっているぞ。手遅れになる前に改心しろ。”
過去数日間、RTに関して書かれた記事の嵐、文字通り何トンもの印刷物は、まるで口述筆記のように見える。記事や報道で、RTのジャーナリストを非難し、リンチをしなかった立派な報道機関はほぼど皆無だ。あらゆるジャーナリストにとって、将来の出世見込みは、明らかに重要だから、わが社の社員は、同僚、市民、将来雇い主になる可能性がある企業等に耳を傾けている。この圧力に一体何人が耐えられるだろう? 耐えられる人も、耐えられない人もいるだろう。私の国より、自分の国を信じているがゆえに、心から不同意だという人々もいる。自分の将来だけを考えている人々もいる。私にとって彼等を裁くのは困難だ。
こうしたこと全てが典型的なメディア戦争だ。我々はこうしたことを味わう初めての例ではなく、最後の例になるつもりもない。アラブの春の際、レバノンのアルジャジーラ職員が集団辞職して大ニュースになった。エジプトの職員もそれに続いた。20人以上のジャーナリストが放送局の編集方針に異を唱えて辞職した。世界中のマスコミからのいかなる圧力も無しに、こういうことが起きたのは、アラブの春の間、アルジャジーラが完全に世界中の大手マスコミと歩調を合わせた事実ゆえだ。ところが誰一人としてアルジャジーラを批判しようとはせず、逆に全員その報道を称賛したのだ。
リズが発言してから数分後に、世界中のほとんど全ての主要報道機関が、わが社の疲労困憊した広報担当の女性の表現では“CNN、NYT、ほとんど全員が”RTの公式見解を得ようと行列しながら、他人の不幸を痛快がって、嬉しそうにしているのがわかった。これにはアシュトン・パエトの漏洩電話会話暴露のニュースを、そういうことなどまるでなかったかのように無視している人々も含まれる。ライバル・マスコミのアンカーの辞職は確かにずっとニュースとして価値があろうし、反政府派のごろつき連中が人々を殺害しているかも知れないと話している二人のヨーロッパ指導者より、ウクライナの危機に対する関係が深いのだろう。
全員に全く違う説明をしている何千何万もの欧米マスコミに対立して、日々、反撃するのも極めて困難なマスコミ攻撃下にある孤立した放送局で、一体なぜ私が働き続けているのか、私は良く分かっている(!)。それが祖国だからだ。私にとって他の選択肢はない。しかし世界中のRTで働いている外国人ジャーナリストには選択肢がある。彼らの中に、“一体なぜ自分の将来の出世や、評価を犠牲にして、ロシアを擁護しなければならないのだろうと自問する人々がいて不思議はない。一体なぜ私が、同業ジャーナリスト達からの侮辱に耐えなければならないのだろう?”“私が真実を語っているためだ。真実を語る人が他にいないのだから”と言える人は少なかろう。答えを見つけることができず、そっと退職する人々もいるだろう。これまで夢見たことさえない素晴らしい成功を得ようとして、放送中に辞職するという自己宣伝の妙技を演じる者もいるだろう。
大勢から離れて屹立することは実に困難であり、時として、耐えがたい。耐えることができない人々には、今後のご幸運をお祈りしよう。RTのため、今後も全力を尽くそうという人々、たとえ世界中が違うことを言っていても、自分達は正しいと確信している人々。あなた方を誇りに思うと申し上げる他ない。私は非常に誇りに思っている。
マルガリータ・シモニャン、RT編集長
記事原文のurl:rt.com/op-edge/about-liz-wahl-media-wars-126/
----------
この事件の報道、Yahooにはあった。
「ロシア・トゥデイ」のキャスターが異例の政府批判
TBS系(JNN) 3月5日(水)7時44分配信
アルメニア語全く知らないが「ャン」という末尾の人名はアルメニア系だというのを何かで読んだ記憶がある。
ミコヤンという人がいたのを覚えている。彼はアルメニア人。
大昔、アルメニア・コニャックをまとめ買いしていた。価格のわりに美味なお酒だった。しかし、アルメニア独立以来、安くおいしいアルメニア・コニャック購入した記憶がない。アララットという銘柄、星の数と味は比例していたと記憶している。のんべいの戯れごと。
放送中に辞職を発表したリズ・ウォールという女性、祖父母、ハンガリー動乱を避けて、アメリカに移住したという。父親は退役軍人で、夫は基地で働く医者だという。そういう背景を持ちながら、ロシア国営放送で働いていること自体、実に不思議に思う。普通なら、そういうハンガリー人にとっては一番避けたい就職先。若い方は「ハンガリー動乱」という言葉自体、ご存じないだろう。
当時のナジ・イムレ首相、秘密裁判で処刑されたが、ハンガリーでは名誉回復している。
田中正造直訴の書状を書いた幸徳秋水、政府のデッチあげ大逆事件で死刑になった。犯罪的な冤罪で死刑にされた方々今も有罪のまま。国家による名誉回復はされていない。
戦争をしない国、労働者の幸せをめざした人々、犯罪人でなく偉人だろう。異常な国では、そういう行為は犯罪。今後、新たな幸徳秋水や小林多喜二が作られるのだろうか?
『ウクライナ人とロシア人の間の曖昧な境界』で、ウクライナ語とロシア語の近さを説明する部分のみご紹介した記事『モスクワへの道はキエフ経由: ロシアを脅かすクーデター』(英語原文)の中で、Mahdi Darius Nazemroayaは、憲法と現状のラダ(議会)議員構成から、ウクライナ政府の正当性への疑念も論じている。
新政権の正当性論議、大本営広報部は意図的に無視しても、街の弁護士日記は無視しておられない。
街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋
グローバリズムという名のむき出しの暴力 2014年3月9日
この、むき出しの暴力の本質は、軍事に本質があるのではなく、EUへ併合しようという市場とマネーの思惑だ。
« 雇用無し、経済無し、平和も生活も見込み無し | トップページ | ベネズエラ、アメリカ合州国とオバマ大統領 »
「アメリカ」カテゴリの記事
- トランプ大統領の対中国「貿易戦争2.0」は過酷なものになるだろう(2024.12.06)
- 欧米帝国主義は常に嘘の溜まり場だったが、今やメディア・トイレは詰まっている(2024.11.30)
- 熟練専門家を前線に派兵して、戦争遂行努力の失敗を示しているウクライナ(2024.11.26)
「マスコミ」カテゴリの記事
- 欧米帝国主義は常に嘘の溜まり場だったが、今やメディア・トイレは詰まっている(2024.11.30)
- なぜワシントン・ポストは存在しないトランプ・プーチン電話会話を報道するのか?(2024.11.18)
- NYタイムズ、ウクライナに関する報道の変更を発表(2024.11.07)
- ジャーナリズムに対する戦争を続けるイスラエル(2024.10.27)
- イスラエル国防軍兵士が殺害された時とガザで病院患者が生きたまま焼かれた時のメディア報道(2024.10.18)
「東ヨーロッパ・バルト諸国」カテゴリの記事
- 東欧の視点(2023.04.14)
- ジョージアで混乱を起こしてロシアに対する新たな戦線を開くアメリカ(2023.03.15)
- NATO分裂を予兆するアメリカ主導「有志連合」(2023.02.24)
- ウクライナ戦争-論争の的になっているポーランドの墓地(2022.12.04)
- 元ポーランド大統領、ロシア人口削減を示唆(2022.07.11)
「ロシア」カテゴリの記事
- 対シリア戦争を再燃させるアメリカと同盟諸国(2024.12.02)
- ロシアとの戦争でアメリカが負ける理由(2024.12.04)
- ロシア新形ミサイルが、いかにゲームを変えつつあるのか(2024.11.29)
「インターネット」カテゴリの記事
- 欧米帝国主義は常に嘘の溜まり場だったが、今やメディア・トイレは詰まっている(2024.11.30)
- アメリカとイスラエルの戦争挑発に対する批判を積極的に検閲するメタ(2024.10.10)
- 余計者パベル・ドゥーロフ(2024.10.04)
- まだ分かっていないドゥーロフ(2024.09.17)
- Telegramのパベル・デュロフを人質に取ったフランス(2024.09.02)
「Mahdi Darius Nazemroaya」カテゴリの記事
- シリア国民の声(2018.04.20)
- 加熱するエネルギー戦争: イスラエル-トルコ関係正常化と、カタール国内トルコ基地(2015.12.31)
- 文化帝国主義と認知操作: ハリウッドがアメリカ戦争犯罪をいかに隠蔽しているか(2015.09.06)
- 世界環境の変化ゆえに、イランとの交渉を強いられたアメリカ(2015.07.22)
- スポーツなど忘れろ: 対ロシア戦争が新たな段階に入る中、FIFAスキャンダルの背後にあるのは地政学(2015.06.07)
4年前になくなった父は演歌歌手の「端やん」がTVに出てくると大喜びだった。また父の同僚で,町内子供会の会長さんに「広ヤン」と呼ばれていた方があった。6年前,メキシコから帰った後偶然にお会いしたので,テキーラのエキスが入ったチョコを2,3個上げた覚えがある。その後お姿を見かけないと思ったら,亡くなっていたそうで,本当に残念。
ところで当ブログのご主人がソ連の指導者の一人で,アルメニア出身の「ミコヤン」氏を取り上げている。それで,端やんも広やんもアルメニア出身かなと勘違いしたほどの偶然と相成った。
偶然とは,加藤周一の『夕陽妄語Ⅳ』に彼が登場する事である。「イスマイル・カダレとアルバニア」によれば[Ⅳ],
ソ連邦の指導者たちは,スタ-リンの時代に度々「粛清」され,その後も権力の
中心が代わる度に「失脚」を繰り返した。決して「失脚」しなかったのは,ミコヤンで
ある。・・・・・
放射能汚染地帯東日本を脱出するに持ってきた本が3冊ある中で,そのうちの一つが[Ⅳ]であり,その中の第2稿(ペ-ジ10-11)にミコヤン氏が登場する。しかし始めの2ページは起承転結の「起」に当たり,それを読んだだけでは彼の性格や人物像はよく分からない。
そこで図らずもか,偶然か,当ご主人のアルメニア・コニャック案内により,ミコヤン氏を少し調べたくなった。もちろん下戸の私だが,コニャックも一口味わいたい。
なお蛇足ながら付け加えれば,皆さんご承知のように,アララト山中にノアの箱舟が発見された。洪水が収まった後,同船して生き残った人々が,後の人間の祖先であると考えれば,「ヤン」というのは,世界的に広がった呼び方の一つなのかもしれない。他国でそういう呼び方があればご教示願いたい。
投稿: 箒川 兵庫助 (タ) | 2014年3月11日 (火) 23時36分
まっすん様
うまく説明できるかどうか分かりませんが,私は次のようなことをお勧めいたします。
第1に怒ること。ナバ-ム弾やピン・ポイント爆撃で無辜の村人が殺されたことに怒らなければ,まず世界は変わらないでしょう。
第2に女の議会を造ること。悪名高いIMFが今回もウクライナに乗り込んでいますが,女性の社会進出を各国に提唱しています。そこで戦争ばかりしてきた男共に代わって議員となることです。もちろん資金が必要です。例えば,供託金。立候補に必要な供託金をほとんど零にする必要がありますが,ある程度働いて貯める。
もちろん女性とて戦争大好きな方もいますが,腹を痛めた我が子を戦争で亡くすことを歓迎する母親は少ないと考えます。
第3に税金を必要以上に払わないこと。会社あるいは共同組合を造って収支決算を赤字すれすれにして,国税庁に税金を払わないこと。宗教法人名義を借りていくらか布教活動をすれば税金は免れます。
復興税など余計な金が国に入るから,復興とは関係ないところに税金が使われてしまいます。すなわち,税金はなるべく払わないようにする必要があります。もちろん節約も必要ですが,買い控え疲れとなり余計に使ってしまうこともありますので十分ご注意ください。
そこで思い出すのは,名古屋の河村市長です。「減税」を訴えています。要するに男が大半を占めてきた議会は税金の浪費団体です。改革できるはずです。
恥ずかしながら小生は,皿洗いをしながら南東アジアを転々としておりますが,日本政府には最低限の税しか納めておりません。NHKの受信料はもとより,住民税も納めていません。
第4に海外に口座を開いて資金を貯めること。これも節税の一種であり,タックス・ヘイブンの問題でもあります。例えば,カンボジアに行けば,パスポートがあれば,口座を開設できるそうです。ドル預金で年4%です。無税です。
為替差損という危険性もありますが,日本円が75円まで行く可能性はほとんど考えられませんので100万円貯金すれば,4万円の利子が付きます。150円の円安なら為替益がでます。日本の銀行の利息は,1%もない上,20%の税金がかかります。
個人でできることは,限られていますが何もできないわけではありません。もちろんカンボジアに行く費用は必要ですが,ノーパンしゃぶしゃぶ大蔵省こと財務省に税金を払わないことは,例えば,米軍への思いやり予算3000億円の削減に繋がるはずです。
30億ドルをなくせば,米国がウクライナに援助すると口約束した10億ドルが米国の実際の負担となるはずです。なくさなければ,この30億ドルから10億ドルが捻出されることになるでしょう。何しろ米軍基地には米兵の家族住宅もあれば,ゴルフ場もあるのですから,維持費は高くなります。それを今まで金丸信氏の一言で米国に払われてきたのですから,日本の国富が毎年,失われていることになります。
第5に金に汚くなりましょう。欧米人と比べて日本人は税金が何に使われるかに余り関心を払わないそうです。カナダやフランスは旅行者にある額以上の買い物をすれば,税金が戻って来ることにも現れています。またギリシア支援にドイツ国民が余り快く思っていないように,また米国のティー・パーティが生活保護に税金が使われるのは可笑しいと主張しているように,税の使い方にうるさいのが欧米であるようです。
ところが日本人は金のことをぐちぐち言うのは「金に汚い」として嫌われます。要するにこれも一種の歴代政府のプロパガンダですので,決算委員会の動向に注意を向けることができます。また,山田正彦元議員は私の尊敬する一人ですが,彼のブログには消費増税が不必要である理由が書かれています。
第6に「デモ」に参加しましょう。デモに参加できない私が言うと,卑怯に聞こえますが,議会外勢力としてデモは人の心を動かします。政策に反映せざるを得ないときもあります。
第7に日本語から外国語へ翻訳をしましょう。外国語に自信のある方は,日本人の考えを紹介するのです。日本は文化輸入国ですので文化輸出国になる必要があります。「知る」だけでなく「お知らせ」するのです。喩え少しでも,日本から発信されれば,日本に注目する人々は多いのですから,訴えの一部が届くはずです。ちなみに小生は,フクシマの核分裂事故が収束していないことを破格の英語で機会あるごとに説明しています。
個人としてできることはまだたくさんありますが,また文が長くなりすぎと人生の同行者から批判されそうなので止めます。
投稿: 箒川 兵庫助 (ヨ) | 2014年3月11日 (火) 18時21分
マスコミに載らない海外記事を目の当たりにして、私たちは具体的にどのような行動をとればいいですか? まずは知ること、という答え以外に、何をすれば世界を変えることができますか? お考えをお聞かせください。
投稿: まっすん | 2014年3月11日 (火) 01時11分