フラッキング現場の近くで暮らすと赤ん坊の出生異常が増えるという研究
Russia Today
公開日: 2014年1月31日、 14:06
編集: 2014年2月2日、 15:52
コロラド州ライフル郊外で地下からの天然ガス・ライザー・パイプとして運用されている天然ガス掘削装置、(ロイター/ George Frey)
フラッキングは生物学的に有害な産業だといわれて既に議論を呼んでいるとは言え、新たな研究が、その工程が胎児の健康に悪影響を与える可能性があることを示して、議論のテンションを更に上げた。
フラッキング井戸から16キロ内の範囲に住んでいる母親の子宮内にいる赤ん坊は、先天的心臓欠陥や神経管欠損症の危険性が遥かに大きい。出生データを、ガス井戸の地理的位置と先天性症状と関連づける最近の研究によって、そう推測されている。
水圧フラッキングとは、水と砂と化学物質げ構成される加圧された液体を使って、岩を水圧破砕する工程だ。地下深く掘削して、ガスや他の化学物質が岩から穴の中に出てくるように強いる割れ目を形成するのだ。支持者達は、それがガスと石油を得る非常に経済的な方法だと信じている。環境保護団体は、この工程は小地震や、酷く汚染された水をもたらす可能性があり、無数の問題を引き起こすと主張している。
“コロラドの田舎における出産結果と母親の住居の天然ガス開発地との距離”という名の研究は、国立環境衛生科学研究所と学術誌エンバイロンメンタル・ヘルス・パースペクティブ(EHP)によるもので、出生異常、胎児成長異常と早産という三種の変異を研究している。
結果の症状には、心内膜床欠損症、肺動脈閉鎖や狭窄症等がある。もし妊婦が半径16キロ内に住んでいると、赤ん坊が先天的心臓欠陥を持って生まれる可能性が30パーセント増えることを明らかにしている。
コロラドの研究は、1996年から2009年迄の期間の約125,000件の出生サンプルのデータから導かれた。
“フラッキングは赤ん坊の奇形を引き起しますが、フラッキングについて知れば知るほど、酷いことがわかります”コロラド州のクリーン・ウォーター・アクション・プログラムのゲーリー・ウォックナー理事長は、環境ビジネス・ポータルのEcowatch.comに、研究についてコメントして、そう語った。
ウォックナーによれば、これは人の健康に対するフラッキングの影響に実際に取り組む、コロラド地域で初めての本格的な研究だ。
“もしフラッキング現場の近くに住んでいて、健康な赤ちゃんを産みたいのであれば、引っ越しを検討すべきです”と彼は言う。
コロラド州には47,000箇所のガス井戸があると報じられている。こうしたもの内、26パーセントもが、あらゆる種類の人が暮らす建物から、300メートル以内、場合によっては、わずか半径30メートルにある。
井戸の汚染された水を 水入れに移す農民のルイス・ミークス。(ロイター/ Jon Hurdle)
しかしながら、掘削工程で放出される化学物質については様々な研究が行なわれている。研究によれば、天然ガス開発は、二酸化窒素、二酸化硫黄や他の有害化合物質の放出を引き起こしている。こうした物質は、井戸からパイプライン、更には蛇口に到るまでの水が入るあらゆる種類の容器、基本的に掘削工程にまつわる至る所で発生する。
コロラド州内では無いが、文字通り、蛇口から出てくる水に火を点けたノース・ダコタの男性を含め、注目すべき最近の例がある。
研究によれば、より害の少ない汚染物質でさえ、生まれていない胎児を、より有害な突然変異原への曝露を増す機能がある。
研究が結論付けている通り、“我々の結果と、天然ガス開発の現在の傾向を総合的に見れば、天然ガス開発の健康への影響の可能性に対するより包括的で厳格な研究を行なう重要性が浮き彫りになる。”
フラッキングの影響に関する他の研究で、テキサス州のある最近の報告では、掘削を行なっている企業が、おそらくは既に検査を行い、陰性の結果を得ただろうという報告を受けて、環境保護庁が検査しないことに決めた後、飲料水中にメタンが発見された。
とはいえ、1月から、地下水の化学組成に対する正確な影響を判定するため、掘削前と後に水の検査を要求する新たな検査規則ができた。
環境ロビイスト達は、そうしたものが依然弱すぎると主張して、現在、勧告とこうした規則の改良に取り組んでいる。
ガス掘削がコロラド州に約44,000件の雇用と何億ドルもの収入をもたらしている中、コロラドでのフラッキングを、どのように削減することができるのかは現時点では不明だ。とは言え、ガゼット紙によれば、掘削場所は以前より、益々人口密集地に近づきつつあるという。
記事原文のurl:rt.com/usa/fracking-colorado-birth-defects-477/
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雪降る中『世界』3月号を買いにでかけた。800円+税 上着は雪まみれ。靴はびしょ濡れ。
特集「脱成長」への構想 の中で、
第三の矢を折る 人口減少下の経済 安倍首相の現状認識は誤っている 伊東光晴(京都大学名誉教授)
を、まず拝読。
食いモノにされる「美しい国」ウソで固められたTPP・日米並行協議 鈴木宣弘(東京大学教授)
をこれから拝読する。
TPP・日米並行協議、太字部分だけ拝読してもすさまじい。首相の言葉通り(福島原発のかわりに)「完全にコントロールされた」電波と紙の大本営広報部が報じないTPPの事実が書かれている。こういうことを平然と推進する諸氏、もはやヒトではなく、エイリアンでは?
『「国家主権を侵害するISD条項に反対する」のウソ』から、ごく一部をご紹介する。
実は、米国でも、全50州の100人以上の州議会議員が州の自治が崩される可能性を指摘してISD条項に反対する書簡を提出している。司法権の侵害、地方自治の侵害などで、日本の憲法秩序も破壊すると日本の法律家も指摘している。(宇都宮健児氏など)
次の項目は、
「有能な」官僚による「特別背任罪」
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日本人のほぼ一割
の約34%がもっとも関心を持っていることは景気であるということが都知事選の結果明確になった。とにかく目先のゼニさえあればどんなDV変態禿でもいいと言いう ... [続きを読む]
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コロラド住民様の投稿を読んで,原子力ムラと反原発派の医学論争-外部・内部被爆論争を連想しました。
普段から,心弁異常の割合が多かったとすると,フラッキングの影響との因果関係は科学的に断言できないことになり,フラッキングを止める根拠が不十分となります。とはいえ,他の症状もたくさんあるようですから,また水道管からガスが吹き出るなど事象を見れば,危険性は高いといえます。
昔見たTVでは,このフラッキング法を発明した方は,特許申請をしなかったようですが,広範囲に岩盤を崩すのは,素人目には危険に映ります。希硫酸や希塩酸を使っている話も聞いたことがありますので,健康にいいはずはありません。続報をお願いします。
なお本翻訳記事は,読みやすかったことをお伝え申し上げます。
さて,1980年代初頭,テロリスト集団CIAは,10年以内にソ連が崩壊し,石油資源が
枯渇するだろうと予測しました(朝日新聞)。前者は当たり,後者は外れ。今もって枯渇していないことを考えたとき,ウクライナは崩壊するでしょう。しかし頁岩が枯渇するかどうかは意見の分かれるところではないでしょうか。
当ブログのご主人が引用する岩波新書の『医学的根拠は何か』を持ち合わせていませんが,故・加藤周一は,クロ-ド・ベルナ-ルの『実験医学序説』(言葉と人間,朝日新聞)を紹介していたので,岩波文庫でこの序説を赤線を引き引き読んだことがあります。
よく分かりませんでしたが,実験群とか対照群とかいう言葉を知りました。またさらに,条件を同じくする必要があることも併せて知りました。比較する対象の条件を同じくすることは相当大変です。その意味でノバティルスやモンサントのデ-タは信用できません。
その後,フクシマの核分裂事故を起こした東電や原子力ムラの御用学者がいい加減なことを言っていたので,この本を思いだし,批判したことがあります。普段から線量が高いというです。これには2つの観点から反論しました。
1つは核実験から大量の,核分裂発電所からも毎日,放射性物質が飛び散っているので自然界の放射性カリウムよりそちらの汚染で線量が高くなっている。自然界からの放射線量は,本当はもっと低いはず。2つめは,浴びなくて済む放射線を浴びたわけだから,東電側は「安全だ」という前に,福島県の住民ばかりでなく,被爆者全員に謝罪しすべきだろう,というものでした。
この環境教育用の副読本を調査する組織ができたようですが,その後どうなったのやら。買収されたのでしょうか。
経済評論家の佐高信氏が指摘したように,原発賛成派のビ-トたけしや原子力ムラの人間を原発敷地内に強制移住させる必要があります。と同様にフラッキングを続行する利益優先の企業は,3マイル島行きが必要かもしれません。
投稿: 箒川 兵庫助(甲) | 2014年2月 9日 (日) 15時52分
コロラド州民様
ご指摘大変に有り難うございます。早速訂正いたしました。素人インチキ翻訳の際、地名・人名表記は、実に厄介です。
岩波新書『医学的根拠は何か』を読むと、統計データ処理はなかなか大変なことがわかります。(そして日本の大学医学部のインチキさも)
投稿: メタボ・カモ | 2014年2月 9日 (日) 11時04分
どうでも良いことですが、地元住民としてはこの記事の一番最初に「コロラド州リフル郊外」と書いてあるので、「そんな場所、あったっけ?」て思ってしまいました。「リフル」ではなく、「ライフル」です。狩猟用「ライフル」と同じスペルです。
うちの長男もコロラドで生まれましたが、それから30年経って今頃わかったことですが、心弁が異常だそうです。といっても、通常の生活をしていれば、困ることは無いそうですが・・・
30年前ですから、当時はフラッキングは無かったですけどね。
アメリカでは先天的心弁異常と診断される人は、多いようですね。間違っているかもしれませんが、長男がそう診断されてからネットで調べたら、統計的に全人口の15-30%位の比率だたっと思います。
おそらく、そういう検査をする機会が日本などに比べてはるかに多いので、そういう結果になるのかな、と思っています。
投稿: コロラド州住民 | 2014年2月 9日 (日) 10時26分
御久し振りです。つい最近フラッキング反対集会に行ってきた所です。フラッキングはアメリカで『ガスランド』と言うドキュメンタリーフィルムによって一般にに知られる様になったのですが(2010年ごろ)私もそのドキュメンタリーフィルムを見た直後“トンでもねー話はメキシコ湾だけじゃねーんだぜ!”と言うタイトルでフラッキングの記事について訳した物ですが------。
このフラッキングの技術によりアメリカは石油とガスの輸出国に返り咲いたのですが(おかげでガスの価格は暴落状態だそうです)問題は古い技術では手に入れられなかったガスや石油を絞り出している訳ですからこれ等の石油、ガスを撮り尽くした後はアメリカの石油、ガスは枯渇してしまい最終的に値段が暴騰し米経済を混乱のどん底に突き落とすのではと懸念されているそうです。話によると早ければ4~5年の可能性もあると言う事です。然しその前に2016年に又リセッションが来るそうですから--------
投稿: ejnews | 2014年2月 9日 (日) 06時42分