ウクライナと帝国主義支持派知識人
2014年2月5日
wsws.org
欧米の学者や外交政策工作員の集団が発表した“ウクライナの未来に関する公開書簡”は、アメリカ政府と欧州連合(EU)に支援されて、ウクライナで続いている極右抗議行動の下劣な擁護だ。1991年のソビエト社会主義共和国連邦崩壊以来、ほぼ四半世紀にわたって、東欧における帝国主義戦争と介入で繰り返された、アメリカとEUの政策は、民主主義と人権に対する私欲のない愛によって突き動かされているという古びた嘘を、この書簡は説いて回っているのだ。
書簡にはこうある。“ウクライナ国民の将来は、何よりウクライナ国民自身にかかっている。10年前、彼等は、オレンジ革命の際、民主主義と自らの未来を擁護し、現在、再びそうした価値観の為に立ち上がっている。ヨーロッパの人々が、共通のヨーロッパという理想に幻滅を覚える中、ウクライナの人々は、その理想と、ヨーロッパにおけるウクライナの居場所の為に戦っている。その腐敗した指導部の独裁主義への誘惑から、ウクライナを擁護することは、民主主義世界のためになる。”
帝国主義勢力が民主主義の為に戦っているという公開書簡の見せ掛けを、帝国主義大国の現地代理人の正体が粉砕している。一連の街頭抗議行動で、ウクライナ政権を打倒し、ロシアに敵対的な親EU政権で置き換え、残酷な緊縮政策を課するために、連中は「右セクター(プラヴィー・セクトル」組織と、スヴォボダ(自由)党の数千人のファシスト暴徒という中核部分に頼っている。アメリカ政府とEUは民主主義の為に戦っているわけではなく、社会反革命を組織しているのだ。
11月、ウクライナのヴィクトル・ヤヌコヴィッチ大統領は、ウクライナをEUに統合し、主要銀行に対するウクライナの債務を返済する為、労働者に対する何百億ドルもの社会保障給付削減を押し通す計画を取り下げた。大衆抗議行動の爆発を恐れ、代りに彼はロシアからの救済措置を受け入れた。ウクライナ内の、ウクライナ語地域とロシア語地域で、それぞれ、反政府抗議行動と反反政府抗議行動の対決が広がると、極右反政府派は活動を倍加した。
EU介入がウクライナを社会崩壊と内戦で脅かす中、公開書簡は現実を逆転して、ウクライナ国内での展開を、EUに対する脅威だとしている。“物事を良い方向に変え、ウクライナが独裁制となるのを防ぐのは、まだ手遅れではない。ウクライナにおける独裁的な方向への方向転換と、新たに拡張しつつあるロシア帝国主義の勢力圏へのウクライナ再統合を前にした無抵抗は、欧州連合の整合性を脅やかすものだ。”
実際、ウクライナもロシアも、EUを攻撃すると脅しているわけではない。地域を分捕り、ロシアを標的とする、アメリカとヨーロッパ帝国主義による積極的攻勢の中で、素晴らしい賞品として出現つつあるのが、エネルギー・パイプライン・ネットワークや、戦略的軍事基地や、重工業を擁するウクライナだ。アメリカとヨーロッパの帝国主義は、中東におけるロシアの主要同盟国であるシリアとイランを攻撃すると脅す一方、彼等は東欧におけるロシアの主要同盟国ウクライナを、政権転覆や分離で脅かしている。
資本主義復興後に、1990年代のNATO介入のエスカレーションと、ユーゴスラビアでの戦争で始まった、東欧に無制限の帝国主義的支配を押しつけようという動きは、今や極めて高度な段階にある。この動きが、その不満をロシアに対して動員可能な、チェチェン人から、タタール人やチェルケス人に到るまでの様々な民族集団を、アメリカ政府が研究済みのロシアで、体制転覆と民族的分割をおこす次の作戦が起動したのだ。
欧米マスコミの主要部門で、これが実に直接的に表明された。ロンドンのフィナンシャル・タイムズは、日曜こう書いた。“ヤヌコヴィッチ氏とプーチン氏は、似た統治手法の、似たタイプの指導者だ。もしウクライナ国民がキエフの男を権力から追い出せば、ロシア人もクレムリンの男に同じことをしても良いではないかと考える可能性がある。”
東欧を支配しようとするアメリカ-EUの動きに同調して、公開書簡署名者達は、歴史的にドイツ帝国主義の目的だったことを奉じているのだ。ドイツは20世紀、1918年と1941年、ウクライナに二度侵略した。重要なことは、現在のウクライナにおける帝国主義の代理人は、ウクライナの人口を減らし、皆殺しを行なって、ドイツ人入植者による植民地化を準備することが政策だったナチの同盟者として、ウクライナ版ホロコーストの実行を支援したウクライナ・ファシストの政治的末裔だ。
今年のミュンヘン安全保障会議で、ドイツは第二次世界大戦の終結以来守ってきた武力行使に対する制限を放棄する計画であると、ドイツ人幹部が述べた。
ソ連官僚の自己破壊的政策と、帝国主義という概念はマルクス主義が発明した虚構だと信じて、ソビエト社会主義共和国連邦解体を進めたミハイル・ゴルバチョフの軽率な手法の悲惨な結果が、はっきりと視界に現れつつある。
ソビエト社会主義共和国連邦の解体は、資本主義を復興するのみならず、ロシアを、帝国主義大国の半植民地的領土に転換すると、トロツキーは警告した。“資本主義ロシアは、もはや世界大戦の過程で、帝政ロシアが運命付けられていた三流の位置さえ維持できなくなる。現代のロシア資本主義は、将来性の無い従属的半植民地的資本主義となろう。第二位となったロシアは、第1位のロシアとインド間のどこかに位置するだろう。国営化された産業と海外貿易独占を備えたソ連体制は、その矛盾と困難さにもかかわらず、国家の経済的、文化的独立の為の保護装置なのだ。”
これが帝国主義者とその代理ファシストによって計画されている狙いだ。内部からの破壊活動、内戦、あるいは外部からの軍事介入によって、ロシアとウクライナを半植民地地位に戻すことだ。何百万人もの死をもたらしかねないこの過程が発動されつつある。
帝国主義戦争と新植民地主義的搾取に対する戦いへの労働者階級の動員は、東欧における中心課題だ。しかるべき警告が発せられるべきなのだ。そのような戦いが無い中、この地域の少数独裁政権の破綻と不人気からして、帝国主義政権に支援され、帝国主義支持派の学者や外交工作員から政治的な隠れ蓑を与えられた、固い決意のファシスト集団が、既存政権の転覆に成功するだろうと考えても不思議はない。
これが公開書簡署名者の反動的な役割を浮き彫りにしている。署名した連中は、スペインの元外務大臣アナ・パラシオや、フランスのベルナール・クシュネルや、アメリカ国務省のクリス・ストーンや、億万長者ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティー財団とつながりをもつアリエ・ナイアの様な外交官あるいは“非政府”帝国主義工作員だ。とはいえ大半は、有識なくせに無知なのと、歴史的な無知の恥ずべき組み合わせから、ウクライナ極右反動派に信頼性を与える為、自分達の名前を貸している学者、知識人だ。
署名者リスト中でも、かつては歴史上の諸問題について真面目な記事を書いていた歴史学者、フリッツ・スターン等のいくつかの名前には遺憾を感じる。
ポストモダニストのペテン師スラヴォイ・ジジェクの様な連中には決して驚かない。彼等は、帝国主義者の山賊行為に対する中流階級裕福層の協力と、帝国主義の為の代弁者としての訓練で思いついた似非左翼の反動的役割を確認しているに過ぎない。
大学とマスコミにおけるマルクス主義を巡る何十年もの知的闘争の後、文化生活は悲惨な状態にある。マルクス主義の帝国主義という概念に対する敵意と物質的利益が、政策を動かしており、こうした層は、アメリカのイラク占領中に行なわれたファルージャ破壊や、アフガニスタンでの無人機殺戮作戦のような帝国主義者達の犯罪にも全く動じないままだ。それでも、EU政治家連中が帝国主義的介入の標的にした政権を非難して、連中の道徳的分泌腺を刺激すると、連中のペンは素早く動き出す。いくつか空虚な人権念仏を唱えるだけで、ファシストの手伝いとしてさえ、連中を自由に操ることができるのだ。
Alex Lantier
記事原文のurl:www.wsws.org/en/articles/2014/02/05/pers-f05.html
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浜岡の防潮堤なるものの場面を先程大本営放送電気装置で見た。ペラペラのコンクリート塀。津波を遮れるわけがないだろう。そもそも、津波以前に、原子炉は、地震の振動で深刻な影響を受けるだろう。放射能緩慢殺人装置運営業者の茶番コメント、それを審査する茶番委員会、それを受けて許可する茶番政府、それをそのまま流す茶番大本営広報部。無責任な連中の行為による被害は、人類滅亡まで続くだろう。
今日の夕刊に、こういう記事があった。
政府は13日、ウクライナが輸入自動車に不当な追加関税をかけているとして、世界貿易機関(WTO)に提訴した。3月中に裁判の一審にあたる小委員会(パネル)が設けられる見通しだ。一審の結論は約1年後に出るという。
最高の完成段階にある属国、宗主国に言われていやがらせ行為をしているに違いない。
読みながら、いかがわしい声明に賛同した「帝国主義支持派知識人」、「脱原発都知事候補に統一を呼びかける会・勝手連有名人」に置き換えれば、東京にも、それなりあてはまりそうな気がしてきた。
「毒をもって毒を制する」という不思議な発想で、国家戦略特区推進や岩盤規制廃止を是とした著名人の皆様を。
お殿様の政策に全く賛成できなかったものとして、単純に、皆様がお殿様の「国家戦略特区推進や岩盤規制廃止」論に賛成した理由を知りたいと、今も思っている。お殿様支持派の勝手連諸氏による、お殿様の「国家戦略特区推進や岩盤規制廃止」論に関する、支持なり、反対なりの発言、どこかに記録があればご教示頂きたい。
お殿様を支持し、彼の新自由主義推進政策を是とされた「統一を呼びかける会」の方々等、選挙が終わった今、彼等が「党派勢力の増強のみが目的の党派」と規定する集団や、小生のように、「新自由主義政策推進に反対する連中」とは連帯しないとおっしゃるのではないか?皆様、新自由主義推進派の新首長や元幕僚長氏との親和性の方が、むしろ強いのではと懸念する。
都知事選挙のドサクサのなか、こっそり国家戦略特区、構造改革特区パブリック・コメント募集は終わった。
国家戦略特区の恐ろしさ、小生の妄想であってほしい。が前大田区議会議員奈須りえ氏による記事がある。
国家戦略特区、構造改革特区パブコメにあたり私が考えていること 2014年02月12日
「左翼の壊死」という言葉を見た。「リベラル派・リベラル風知識人の壊死」なら納得だ。
日本の原爆反対運動、二つの流れに分裂したままのようだ。原発反対運動も、同様に、新自由主義推進派と、新自由主義反対派に別れるのだろうか。新自由主義推進派でありながら、脱原発をいうのも、辻褄があわない様に思える。そこで妄言。
尼様や原発評論家やタレント政治家の様な皆様には決して驚かない。彼等は、帝国主義者の山賊行為に対する中流階級裕福層の協力と、帝国主義の為の代弁者としての訓練で思いついた似非リベラルの反動的役割を確認しているに過ぎない。
こうした皆様も、アメリカのイラク占領中に行なわれたファルージャ破壊や、アフガニスタンでの無人機殺戮作戦のような帝国主義者達の犯罪にも全く動じないままだ。それでも、傀儡属国政治家連中が、宗主国が帝国主義的包囲の標的にした政権を非難して、こうした有名人連中の道徳的分泌腺を刺激すると、この連中のペンや口は素早く動き出す。いくつか空虚な人権念仏を唱えるだけで、宗主国・属国傀儡ファシストの手伝いとしてさえ、連中を自由に操ることができるのだ。
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