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2013年12月 5日 (木)

二プロテスト物語: ウクライナとタイ

二プロテスト物語: ウクライナとタイ

ウクライナのEU支持派抗議行動参加者を支持し、アメリカが支援するタイ政権に反対するタイの抗議行動を非難して、欧米の偽善は丸出し。

2013年12月2日更新 - 現地時間1555 - おそらくは、欧米が支援するEU支持派暴徒からヒントを得て、タイの反政府抗議行動参加者達も、バリケード突破の為に、自らのブルドーザーを準備したもののようだ。

彼等が打倒しようとしているのが、欧米が支援している政権なので、欧米は既に善人ぶって、タイの抗議行動参加者を非難している。欧米はその偽善の度合いを強化して、キエフの暴徒が似たような事をしているのを喝采しながら、ブルドーザーの利用を非難するのだろうか?

Tony Cartalucci
2013年12月2日
Land Destroyer

どういう場合に、抗議行動は正しく、正義で、進歩的で、擁護可能なのだろうか? 一連の客観的な評価基準に基づくこの疑問に対する回答は一つだと、誰でも考えるだろう。しかし現実は、欧米によれば、抗議行動は、自分達の権益に役立つ限りにおいてのみ、善なのだ。

ウクライナとタイで継続中の抗議行動では、政府庁舎を襲い、占拠しようとしている抗議行動参加者達が特徴的だ。いずれも、占拠することができない庁舎の長期的包囲計画を持っていて、いずれも、それぞれの国の政権を打倒するという目標があるように見える。ところが、欧米は、その内一方は高貴で、もう一方はそうではないと言っている。

“高貴な”ウクライナの抗議行動

写真: EU支持派抗議行動で、ネオ-ナチ・スヴォボダ党の三本指の敬礼が写っている(写真はCNNによる)。スヴォボダ党のことを、“ウクライナ民族主義者が、ユダヤのネズミどもに金切り声を上げさせた、云々”といった類の記事に書く“ユニティ・オブ・ノビリティー、非ユダヤ的なニュースと調査資料”の様なサイトに、好奇心を持った読者を導きかねないので、欧米マスコミは、参加していた暴徒の内訳には決して触れなかったのだ

CNNは、この偽善を見え見えに示してくれている。“ EU支持派抗議行動に対する暴力的取り締まりで、ウクライナ警察が非難される”と称する記事でCNNはこう書いている。

土曜日早々、先の抗議行動に対する警察の取り締まりに反応して、欧州連合との画期的な貿易協定に署名しないというウクライナの決定に反対する約10,000人の抗議行動参加者達が修道院外の広場に押しかけた。

大胆になった抗議行動参加者達は、機動隊による一掃作戦により、独立広場で、7人が病院に収容され、数十人が逮捕された後で、抗議行動参加者の集団が避難した先の聖ミハイル黄金ドーム修道院の外で、ウクライナとEUの旗を振り、国歌を歌った。

ヴィタリー・クリチコ、アルセニー・ヤツェニュクと、オレグ・チャグニボクが発表した声明によれば、反対派のトップ・リーダー三人は、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領の辞任と、新たな大統領選挙と、国会選挙を要求した。

“暴力的な取り締まり”に関しては、CNNの見出しはこうだ。

ポーランド外務省の声明によると“…機動隊が土曜早々介入し、ウクライナのヨーロッパ統合を支持し平和的に抗議行動をしていた数百人の人々を“暴力的に解散させた”。

“平和的なデモを強制的に解散させても、ウクライナのヨーロッパ統合”という大義の救いにはならないポーランド外務省広報官マルチン・ヴォイツェホフスキーは述べた。“予測不能で、取り返しのつかない結果をもたらす可能性があるので、ウクライナ当局に、我々は武力行使に対して警告した。”

アメリカ合州国はキエフのアメリカ大使館にオンライン掲載した声明で“抗議行動参加者に対する暴力”とされるものを非難した。

土曜日、アメリカ国務省が発表した声明にはこうある。“ウクライナ指導部に、国民の言論と集会の自由の権利を尊重するよう、我々は強く求める… 市民社会の為の積極的な環境を育成し、[キエフ]や、他の場所で、ウクライナの未来に対する考え方を、建設的で、平和的な手段で表現する全てのウクライナ国民の権利を保護するよう、ウクライナ政府に要求する。現代ウクライナに、暴力と威嚇の居場所があってはならない。”

イギリスのインデペンデント紙BBCも報じている通り、警察のバリケードを破ろうとしてウクライナの抗議行動参加者は、火やブルドーザーまで利用した。

写真: ウクライナのEU支持派抗議行動の光景。抗議行動参加者は、警察バリケードを突破するのに、火、こん棒や、ブルドーザーすら利用した。欧米は、抗議行動を支援し、アメリカやイギリスの都市でも、通常使用される暴動鎮圧用装備や戦術を利用したかどで、ウクライナ警察を“暴力と威嚇”で非難した。

もちろん、アメリカ、イギリスや、EUや、それぞれの国の政府を支配しているフォーチュン500の既得権益が、文字通り、抗議行動の大半に資金を提供して、一体なぜ、抗議行動参加者の背後にいるのは明白だ。欧州連合は単なるヨーロッパの集団化であり、強力な多国籍企業にとって邪魔な、保護主義の弱体化であり、大企業により資金援助された政治家達に、全ての国々に即座に適用する便利な共通政策を作り出す能力を与える、一度で用が足りる大企業ファシズムなのだ。

“悪い”タイの抗議行動

対照的に、タクシン・チナワットと彼の身内びいきで首相になった妹インラック・チナワット首相の政権に反対する現在継続中のタイの抗議行動に対して、アメリカは大胆にこう述べている

“暴力や公的、私的財産の占拠は、政治的対立の解決手段として、認められるものではない。”

更なる偽善は、今度はタイでの同様な抗議を取り上げ、暴力的で反民主主義的な暴徒の群として描き出した、もう一つの“定評ある”欧米ニュース源、ガーディアン紙でも見ることができる。抗議行動の標的は、ウオール街が支援するタクシン・チナワットと、彼の身内びいきで座についた傀儡、インラック・チナワット首相の政権だ。

ガーディアンの“タイの衝突: 暴力的抗議行動がエスカレートし、首相は脱出を余儀なくされた”という記事には、こうある。

日曜早々、抗議行動参加者が警察構内に侵入し、インラック・チナワット首相を秘密の場所への脱出を強いる中、バンコクでの抗議行動でタイ政府支持者の一人が射殺され、死亡者数は二人に増えた。

反政府抗議行動参加者が、放送局、タイPBSを掌握したと報じる記事もある。

インラック支持側と反対側の街頭での激しい衝突の最中、軍隊が支援する警察は、政府庁舎と、億万長者である兄、打倒された元首相タクシン・チナワットを保護しようとしていた。

日曜、反政府抗議行動参加者達が首相が午前中にいた警察のスポーツ・クラブ構内に侵入したが、首相は敷地を脱出し、非公表の場所に向かうことができたと側近は述べた。

市の別の地域で、インラックの事務所がある政府議会近くで、抗議行動参加者に、警官は催涙弾を発砲したと、ロイターに目撃者は語っている。

抗議行動参加者を、残忍な暴徒として描き出す企みの中で、少なくとも、更に3人、全員学生の死者が確認されており、“政府支持者達”の死亡が報じられる前に、その全員が殺害され、確認されているのを、ガーディアンは意図的に無視している。

写真: 一番上のもの 体制側の殺し屋が、衝突現場の学生を銃撃し、少なくとも学生一人の死亡が確認された。中央と一番下のもの 彼のtシャツは、タクシン・チナワットの北東部政治拠点の一つピサヌローク県出身の親政権派“赤シャツ”一派が身につけていたものとそっくりだ。この党派は、2010年の衝突における流血惨事にも直接関与していた、体制派議員のジャトゥポン・プロムパンと密接に繋がっている。写真にはタクシン・チナワット自身と一緒にポーズするメンバーが写っている。この集団は、タクシン・チナワットに代わってバンコクの街頭で率いていた2010年の武力反乱の真っ只中に射殺され、“セ・デーン”という名で良く知られている今は亡きカティヤ・サワディポンによって訓練された。この集団は現在、下記記事の昨夜の暴力行為に関与した殺し屋の隣に写っている。

写真: これまでの所、少なくとも一人の学生の死亡と、更に多数の負傷の犯人だとされる別の殺し屋の写真。殺し屋は黒装束をまとい、様々な武器を携帯している。射手は街頭と屋上の両方で活動しているという報道がある。こうしたものの一件たりとも欧米マスコミは報じない。

実際は、暴力行動は、現在継続中の反政府抗議行動から離れた、政権側が自らの“対抗集会”を開催していたバンコクの別の場所で起きた。近隣の大学の何千人もの大学生が、混乱させる、一日24時間、一週間連続の集会という抗議行動を開始した。学生に散会するよう警告した後、政権指導部は、ビデオに撮影され、この写真にある対学生銃撃をした黒装束の武装集団を解き放った。数時間、学生は包囲され、継続的に銃撃された。衝突は、包囲された学生達が、脱出して、逃げようとする間も続いた。死者が出たのは、抗議行動ではなく、この衝突なのだ。これは日々のニュースをガーディアン紙に依存していれば、疑いを持たない読者達は誰も知り得ない事実だ。

欧米マスコミは、ウクライナの暴動を“暴力的”と呼んではいるものの、体制側が、ウクライナの群衆支配手法と、既に何人かの命を奪った武装集団の双方を駆使しているにもかかわらず、タイの抗議行動に関しては、同様の“暴力的な取り締まり”については、欧米マスコミでは全く報じられない。

なぜ欧米はタイ政権を擁護しているのか?

タクシン・チナワットと妹のインラック・チナワットの政権で、兄タクシンは、2001年、初めて首相の座に就く前から欧米によって、10年近く支持されてきた。

タクシンは、2001年-2006年、首相をつとめた。タクシン・チナワットがタイ首相となるずっと以前から、彼はウオール街-ロンドンの出世階段を既に徐々に出世しており、同時に、タイ政界でも頭角を現しつつあった。彼は公職にありながら、カーライル・グループに、顧問として任命され、自分のコネを、政治的イメージ強化の為に利用しようとした。2001年、タイの英字紙“ネーション”でThanong Khanthongはこう書いていた。

“1998年4月、タイが深い経済的泥沼から抜け出せずにいた頃、タクシンは、タイ愛国党(パック・タイ・ラック・タイ)を立ち上げながら、アメリカのコネを利用して、自分の政治的イメージを強化しようとしていた。自分の任務は、アメリカの株式ファンドと、タイのビジネス界の“国家的仲人”として機能することだと言って、父親ブッシュをバンコクと自宅に招待した。3月、父親ブッシュ政権時代のアメリカ国務長官ジェームズ・ベーカーIIIのタイ滞在時には、ホスト役を務めた。”

2001年に首相の座につくと、タクシンは、欧米のスポンサーから受けた支援に対するお返しを始めた。2003年、タイ軍と国民、双方からの広範な抗議にもかかわらず、彼は、アメリカのイラク侵略に、タイ軍を派兵させた。タクシンは、CIAがタイを忌まわしい囚人引き渡しプログラムで利用することも認めた。

2004年、2011選挙で タクシンの妹インラック・チナワットを権力の座につける前に、タクシンの“赤シャツ”“反独裁民主戦線”(UDD)の指導部をもてなした米国・ASEANビジネス評議会に支援され、タクシンは国会承認無しで、アメリカ-タイ自由貿易協定(FTA)を強引に成立させようとした。

写真: アメリカにおける大企業ファシズム紳士録である米国・ASEANビジネス評議会に、タクシン・チナワットの“赤シャツ”街頭暴徒指導者達が近づいた。(画像はクリックすると拡大する)

2004年の評議会メンバーには、3Mや、戦争で儲けるベクテル、ボーイング、カーギル、シティグループ、ゼネラル・エレクトリック、IBM、悪名高いモンサントがおり、現在、更に、ゴールドマン・サックスや、 JPモルガン等の銀行、ロッキード・マーチン、レイセオン、シェブロン、エクソン、BP、グラクソ・スミス・クライン、メルク、ノースロップ・グラマン、モンサントGMOのそっくりさん、シンジェンタ、フィリップ・モリス等も入っている。

写真: 彼を権力の座から排除した2006年の軍事クーデター直前、CFRの前に座る退陣させられた独裁者タクシン・チナワット。2006年以来、権力を奪回するための努力で、彼はワシントン、ウオール街と、彼らの強大な宣伝機関によって、全面的な断固とした支持を得ている。

タクシンは2006年9月まで首相の座に留まった。彼を権力の座から追い出した軍事クーデター直前、タクシンは、文字通り、ニューヨーク市で、フォーチュン500社が資金を提供している外交問題評議会の前に立ち、進捗報告をしていた。

彼の政権を打倒した2006年のクーデター以来、エーデルマンPR社ケネス・エーデルマン(フリーダム・ハウスインターナショナル・クライシス・グループPNAC)、ベーカー・ボッツ法律事務所のジェームズ・ベーカー(CFR)、バーボー・グリフィス & ロジャーズ法律事務所ロバート・ブラックウィル(CFR)、コブレ&キム法律事務所、そして現在はアムステルダム & ペロフ法律事務所ロバート・アムステルダム(チャタム・ハウス)を含む連中のロビー会社経由で、アメリカの大企業-投資家エリートが、タクシンの代理だ。

アムステルダム & ペロフ法律事務所のロバート・アムステルダムは、同時に、タクシンの“赤シャツ”UDD運動の代表をしており、参加者の大半が、親タクシン派赤シャツ(文字通り、会議で赤シャツをまとっている)である、いわゆる“有識者集団”ニティラートの設立総会にも出席していた。タクシンと、UDDの街頭フロント活動への更なる支援は、全米民主主義基金が資金を提供しているオンライン・メディアの“NGO”プラチャタイ経由で、アメリカ国務省から提供されている。

欧米がチナワット政権に、天文学的な時間と資源を投資しており、彼等による反政権抗議行動参加者に対する非難は、“法による支配”やら“民主主義”といった理想と無関係な、自分達の投資を保護しようとする欧米の企みであることは明らかだ。

タイ国民が、ウクライナの抗議行動から学べること

ウクライナのEU支持派抗議行動者達は、警察バリケードを打ち破るのにブルドーザーを利用した。これは欧米によって非難されておらず、タイの抗議行動参加者達も、傍観者や警官の生命を絶対に守る限り、同様な手段が、国際的“規範”からして“許容できる”と見なされるべきだ。しかしながら、タイの抗議行動参加者達にとって、彼等がブルドーザーを同郷人に向けて運転しようとする欲求で恩恵を受けるとは考えられず、その代わり、政府庁舎にアクセスできるようにする為、警察が防御不能な場所の壁を突破する為の、大型車輛の利用は有り得よう。

火も受け入れられる抗議行動の手段に見える。アメリカ合州国や他のEU支持政府からも、ウクライナでも、それ以前のタイでの政権支持派集会でも、“平和的”と呼ばれており、警察の前進を妨げる為の防衛障壁を作る為に、火を利用してもかまわない(というより、使用されるべき)もののようだ。警察がそのような障壁を突破する為に、延々と準備することを強いるべく、警察よりもずっと先回って設置すべきだ。この場合、抗議行動参加者達は、目的を実現する為の、より良い戦略的立場に移動することが可能になろう。

ウクライナでの抗議行動が“国際社会”に支援されていることは、タイ国民にとって、何をすべきかといういくつかのヒントになるかも知れず、そういうヒントは、タイ国民にも、彼らの方が優れていることを示す機会を与えてくれよう。

ウクライナの抗議行動参加者達は、ごろつきや、人種差別主義者、偏屈者や、このBBC記事で書かれたスヴォボダ(ナチスの背景については、こちら)の様な文字通りネオ-ナチを推進しているあらゆる党派で、最終的に、暴力レベルのエスカレーションに訴えないという保証はない連中なので、タイの抗議行動参加者達は平和主義に徹するべきだ。圧倒された警察は尊厳をもって扱われるべきで、 彼等は同郷人であり、抗議行動参加者の本当の標的でもなければ、彼らの目標でもなく、我々の我々全員の目標は、遥か彼方から命令する大企業-投資家既得権益の排除であることを想起すべきだ。

記事原文のurl:landdestroyer.blogspot.jp/2013/12/a-tale-of-two-protests-ukraine-thailand.html?utm_source=BP_recent 

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ウクライナの反政府暴動、例えば、安倍政権が、TPP交渉から離脱する、と方針を転換したのを、TPP支持派の民衆(そういう不思議な人々、小生の身の回りにも沢山いる)が、怒って暴動を起こしているようなものだろう。EUに入れば、更に経済が悪化し、賃金が低下し、先進国への移民が増えることは必至だろうに。

徳洲会の選挙違反、資金問題が大きな記事になっている。電気洗脳箱でもそうなのかどうかは、良くわからない。基本的に悪人と茶坊主しか出てこない電気洗脳箱、ほとんど娯楽専用で、歌謡曲番組を見ている。精神と知能に悪いニュースという名前の洗脳は極力避けている。

徳洲会が、どうしても宗主国流の医療制度・保険を導入しなければならないほどのとんでもない医療を施したのならわかるが。案の定、元民主党で農林水産大臣をつとめられた山田正彦元議員の名前がしっかりあがっている。

そうではないだろう。心労の余り?担当相が入院したTPP問題や、秘密法案問題の方が、日本の庶民と将来にとって遥かに重要だろう。

大本営広報部の紙媒体記事面積の大小と、電気媒体ニュース放映時間の長短は、大本営に好都合な話題に大きく、長く、不都合な話題は、小さく、短く、あるいは、全く報じないという関係がある。

反政権抗議行動参加者に対する非難は、“法による支配”やら“民主主義”といった理想と無関係な、自分達の投資を保護しようとする欧米・日本支配層の企みであることは明らかだ。

TPPは単なるアジアの集団化であり、強力な多国籍企業にとって邪魔な、保護主義の弱体化であり、大企業により資金援助された政治家達に、全ての国々に即座に適用する便利な共通政策を作り出す能力を与える、一度で用が足りる大企業ファシズムなのだ。

というわけで、特定秘密保護法案への抗議活動はテロなのだ。

『田中正造』 未来を紡ぐ思想人 160-161ページから、今にぴったりの文章を引用させて頂こう。

こうして、正造は、「鳴呼、人民は愚でも正直で常に前後を考へ、百年の計をなすに、官吏、今の官吏は、殊に上流官吏等ハ之二反し、百年どころか一年の計もなくして只一時一刻慾ばりのみ。其日其日の椅子安全を計るのみ。故に常に姑息なり。之をもうすべし信ずるは大誤りと可申。人民は人民の経験を信じて一歩譲るべからず。又動くべからず、動かざるべからずですよ」と明言するにいたった(⑰二五五-六)。
 今日では、いや、今日でさえも、「国家百年の大計」という言葉は、政治家や官僚、学者、それに財界の〝おえら方″の専売特許という感が強い。しかし、そうした知識ある人々が「国家百年」の先を見通して立案し実施したはずのさまざまな事業や計画が、それこそ一〇年もたたないうちに破綻し、手直しを余儀なくされ、その結果さらなる悪循環に陥ってしまう事例にことかかないのはなぜだろう。

中略

こうして、被害は常に民衆に集中するという構図が、近現代を通じて繰り返され、これからも繰り返されようとしている。

中略

 どこで、どうしたら、こうした構図を根こそぎ断ち切ることができるのか。そのとき、正造は、官吏(知識人)を信用するな、人民は人民の経験を信じて一歩も譲るな、というのである。

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コメント

海坊主様

とても気になりますね。
Thailand: Military Move is Not a Coupという題の、同じ筆者
Tony Cartalucciによる、2014年5月20日記事を読もうと思っています。
http://altthainews.blogspot.jp/2014/05/thailand-military-move-is-not-coup.html

軍部によるクーデターがタイで勃発しましたね。エジプト式、とでもいうのでしょうか。民衆による反政府デモが長期化してニッチも行かなくなった米欧は、反政府側に政権を取られてしまうのなら、とタイ軍を唆したのでしょうか。

アメリカはウクライナ政府への制裁を検討しているとの報道がありますね。

本記事を読んだ読者はアメリカの厚顔無恥な振る舞いに苦笑を堪えきれないでしょう。タイ政府にも同様の制裁措置を表明して初めて首尾一貫というもの。アメリカ様のあからさまなダブルスタンダードに嘲笑いたくなる師走の一日。

本記事もさることながらコメント欄の興味深い議論に惹かれ、久々にキーボードを叩いております。ウクライナとタイで発生した反政府デモに対する報道姿勢、これは先の記事『マララとナビラ:天地の差』にも通底する問題で私には看過出来ないからです。欧米のマスメディアに取り上げられる価値のあるデモとは私たち一般民衆には価値があるどころかむしろ有害ではないか、と思わざるを得ません。日本のいわゆる反政府デモ(反原発・反特定秘密保護法)には国内のマスメディアが自主的な報道管制(問題の矮小化・特殊化)を敷いてデモの拡大を妨げています。

田中正造氏の名声と後世の評価、それには贖罪の意味があると私は思います。
後述しますが氏と共に闘おうとした人々は「数の力」と「時間の力」が整うまでの途方も無く果てしない闘いに挑む事が出来ませんでした。だからせめて自分達の側に立って半生を賭して闘ってくれた氏に心から同情して手厚く葬り、そして死後に氏を讃えることにしたのでしょう。このことが氏への贖罪となって人々自らをも癒す働きをしたと思います。

ここに根源的で深刻な問題があると思います。
財力・権力・暴力を手中にしている支配者達と一般の民衆が対決する時に立ちはだかる圧倒的に隔絶した厚い壁は、支配者達が保持する力に相応する別の力によって破壊することが出来ると私は考えます。具体的にそれは何かといえば「数の力」であり「時間の力」ではないでしょうか。田中正造氏が獲得出来なかったのは圧倒的な「数の力」でした。すなわち多くの民衆の団結により産まれる意思表明です。また、圧倒的な格差のある中での闘いでは「時間の力」も必要だと思います。氏が直面した問題は氏の半生では解決することが出来ませんでした。対決する相手との力量の差が大きい程、闘いは小さなものにさせられます(問題の矮小化・特殊化)。如何に正論をぶとうがその力が小さければ相手の力に飲み込まれるのです。少しずつ前進しながら闘い続け小さな勝利を重ねながら一歩、一歩と拡大していかなくては最終的な決戦には辿り着かないでしょう。だから、田中正造氏と立ち上がった人々はその闘いを諦めざるを得なかった、私はそう考えています。

そんなわけで、メタボ・カモ様の問いかけに対する私なりの回答は「短期決戦で勝利出来る程力が拮抗していない状況なのだから失敗するべくして失敗したものである。成功させるためには「数の力」を蓄えるために時間をかけて闘い続けなければならない」です。

そのためにはキョウ様が述べられたように、人々が正確に問題を認識すること、そして認識し続けること。これが闘いの原点にあるべきではないかと思います。

長文失礼しました。

>なぜ失敗したのか?どうすれば成功するのか

まずは正確に認識することではないでしょうか。
秘密にするのではなく。
誤った認識の上で幾らあがいてもどうしようもないです。
例えば、貧困化が進んでいるという現実やら、過剰な競争社会の結果が
どうなったかの認識、主様がご紹介くださる様々な視点からの考察。

美しい国とか言って悪魔の甘言に溺れている間に凄まじいことに
なってしまいましたよね。誰が自国に火をつけまわっていたのか、誰が
どのように動いていたのか、まともな動きをしていたのは誰なのか。

結果はどうあがいても出てきますが、それをごまかしたり、騙したり
している間は、解決しようがないですよね。秘密保護法の筋の悪さなど
努力して破壊を進めているようにしか見えないですよね。

某政党にフリーハンド(熟議なしに決められる政治)を与えてしまった人
たちは、オウム真理教信者を決して笑ったり、非難する立場にすらない
のでは。結局御用ではない国民のことを考えるまともな知識人がいなければ
分析さえ出来ない現実がありますよね。

自分で土人国家や賊国家であることを証明しているのが今の日本の現実では
ないでしょうか。北朝鮮を非難しながら北朝鮮的な国家のありようを目指すとか
精神が分裂しているとしか思えないのですが。あまりに人材が劣化し過ぎて
正当な国家運営が出来ていないだけでしょう。国際的に見ても、歴史的視点から
見ても相当に恥ずかしい状態なはずで、トップレベルがこの状態であることに
恥すら感じないのであれば、お先真っ暗ではないですか。物凄い政治音痴な国
であることを自己証明してしまったと思います。

とにかく、まずは認識を正確にすることから始めないと、不正確な認識の上で
動いてもおかしなことになっていくだけだと思います。

キョウ様

決して冷たいことではないでしょう。それが事実です。
田中正造氏自身は失敗したのです。
他の様々な国民の権利を守る戦いの大半と同様に。

そもそも「感動している」という意識は皆無です。
おそらく、小生の書き方が悪いのでしょう。
田中正造に関する講演をIWJ等で拝聴してみると、「彼の本を読んで、偉いと感心するだけでは意味がない。何らかの形で自ら実践しなければ、田中正造に学ぶ意味はありません」という趣旨のことを講師の方々はいっておられます。

御承知の通り、彼は庭田家に倒れ込み、そこで看病され、亡くなりました。
その時点で、彼を慕う大多数の人々は遊水池化支持派になっていました。
「脅したり、甘い汁を吸わせたり」手法で。
反対運動を金で分裂させる手法は今も同じでしょう。
皮肉なことに、多数の遊水池化支持派の人々に看病されながら亡くなったのです。

『田中正造 未来を紡ぐ思想人』265ページから引用させていただきましょう。
引用開始
正造の最後の言葉は、次のようなものであった。

同情と云ふ事にも二つある。此の田中正造への同情と正造の問題への同情とハ分けて見なければならぬ。皆さんのは正造への同情で、問題への同情でハ無い。問題から言ふ時にハ此処も敵地だ。問題での同情で来て居て下ださるのハ島田宗三さん一人だ。谷中問題でも然うだ。問題の本当の所ハ谷中の人達にも解かつて居ない。(別巻五二五)
引用終了

木下尚江が書き留めたこの書簡を、島田宗三は自分の死まで公表しませんでした。
彼の本葬には大変な人数が集まりました。墓も人々の希望に従って多数作られました。「皆さんのは正造への同情」でしょう。

『田中正造 未来を紡ぐ思想人』266ページからも引用させていただきましょう。

引用開始
家も家庭も職も生活も名誉も財産も、何もかも振りすてて、ひたすら目前の苦しんでいる人のために尽くそうとした正造の生き方を、誰もがまねることは不可能である。
 だが、永六輔が言うように、「正造を追い、正造を越えなければ」と心がけて生きることは必要であろう。〝正造を追う″とは、正造を語りつぎ、正造が生涯をかけて追求した「問題」が何であったかをきちんと認識することであり、〝正造を越える″とは、それらの「問題」が克服された社会を樹立するために、私たち一人ひとりが少しずつ力を割きあうことではなかろうか。
引用終了

なぜ失敗したのか?どうすれば成功するのかについての詳しい御説を、どこかに書いて頂けれは幸いです。ご連絡頂き次第、リンクなり、url紹介なり、いたします。

冷たいことを言うようですが、
田中正造氏自身は失敗したんですよね。
凄いと持ち上げるのは結構ですが、なぜ失敗したのか?を
考えず、感動するだけではあまり意味がないのでは。

> どこで、どうしたら、こうした構図を根こそぎ断ち切ることができるのか。そのとき、正造は、官吏(知識人)を信用するな、人民は人民の経験を信じて一歩も譲るな、というのである。

人民が本当に賢かったら官吏に一方的にやられることもないでしょうし、
官吏の中にもまともな人がいるのに「官吏(知識人)を信用するな」とやって
しまっているところもまずいのでは。

結局のところ脅したり、甘い汁を吸わせたり、隠蔽したりなどは賊の手法
なんですよね。本当に実力があればそうした構図を作らずともまともな
手法の積み重ねで適切な運営が出来るのではないでしょうか。これは極端な
劣化というか、元々の性質がストレートに出てきてしまっているだけのような。
その認識とその性質の抑え込みに失敗しているだけのように思います。

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