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2013年12月16日 (月)

世界を戦争に押しやるアメリカ政府

Paul Craig Roberts
2013年12月14日

読者の皆様、皆様が当事者としての責任を果たしてくださったので、私も自らの責任を果たしたい。

世界を戦争に押しやるアメリカ政府

Paul Craig Roberts

アメリカ政府は、アメリカに、12年間戦争をさせてきた。アフガニスタン、イラク、ソマリア、リビア、パキスタン、イエメン、そして、これから戦争になりかねないシリア、出番を待っているイラン。これらの戦争は、資金、威信や、アメリカ人兵士達と、攻撃される一般市民両方の死亡と負傷の点で、非常に犠牲の大きなものだ。こうした戦争のいずれにも、やむにやまれぬ理由も、正当化できる説明はありそうにない。戦争は、軍事/安全保障複合体の利益にとって重要だ。戦争は、アメリカにおけるシュタージ警察国家の建設の口実として役立っており、またこうした戦争は、ヨルダン川西岸と、レバノン南部全てをイスラエルが併合する障害を除去して、イスラエルの利益に役立ってきた。

これらの戦争は金がかかり、破壊的ではあるものの、世界大戦のレベルは遥かに下回り、まして、核兵器を保有する敵国に対する世界大戦には及ばない。

人類にとって致命的な戦争は、アメリカ政府が、アメリカや、NATOとアジアのアメリカ傀儡諸国を、そこへ向かって突進させているロシアと中国との戦争だ。アメリカ政府がこの最終戦争に突進する原因となっている多数の要因はあるが、最も重要なのは、アメリカ例外主義という教義だ。

この独善的な教義によれば、アメリカは、なくてはならない国なのだ。これの意味するところは、アメリカは、世界に対し、非宗教的な“民主的資本主義”覇権を確立すべく、歴史によって選ばれたというものだ。この目標の優位性ゆえに、アメリカ政府は、伝統的な道徳規範を超越し、アメリカ国内法、国際法も含め、全ての法を超越する。

かくして、挑発されたわけでもないのに一方的に行う他の国々への侵略にも、国際法や、ニュルンベルク基準の下で、明らかな戦争犯罪である一般市民への攻撃に対しても、アメリカ政府内の誰一人として、責任を問われずにいる。また、アメリカ政府内の誰一人として、アメリカ法やジュネーブ協定の下で禁じられている犯罪である拷問に対しても責任を問われずにいる。令状無しのスパイ、令状なしの捜査、人身保護令状請求権の侵害、適正手続き無しの国民殺害、法的代理人の否定、秘密の証拠にもとづく有罪判決といった、憲法上の権利に対する無数の侵害に対しても誰も責任を問われずにいる。リストは長大だ。

あらゆる点で、ナチス・ドイツの生まれ変わりである政府の、一体何が例外で、なくてはならないものなのか疑いたくなる。自分たちは、世界でも特別な国民だという信念を吹き込まれる国民は、必然的に人間性を喪失する。かくして、ブラドリー・マニングが暴露したアメリカ軍のビデオが示している通り、アメリカ軍兵士達は、街路を歩く無辜の人々を無差別に殺して、楽しんでいる。

米国自由人権協会と、憲法上の権利を主張する団体や、インターネット上の独立した発言を除いて、キリスト教会を含むアメリカ国民は、自らの政府の犯罪行為と不道徳行為を、ほとんど抗議もせずに、受け入れている。

道徳的非難がないことが、アメリカ政府を大胆にさせ、アメリカ政府は、アメリカ世界覇権の邪魔になるロシアと中国の現政府に対し強く出ている。

アメリカは、1991年のソ連崩壊以来、22年間、反ロシア工作を行なってきた。レーガン-ゴルバチョフ合意に反して、アメリカ政府はNATOを東ヨーロッパやバルト諸国にまで拡張し、ロシア国境に軍事基地を建設した。アメリカは、グルジアやウクライナ等ロシアそのものの元構成諸国にまで、NATOを拡張することも狙っている。

アメリカが、ロシア国境に軍事基地やミサイル基地を建設する唯一の理由は、アメリカの覇権に抵抗するロシアの能力を無効にすることだ。ロシアは近隣諸国に対し、いかなる威嚇的振る舞いもしておらず、グルジアの南オセチア侵略に対するロシアの反撃を唯一の例外として、アメリカの挑発を前にしても極めて受動的だった。

これも今変わりつつある。ジョージ・W・ブッシュ政権がアメリカの戦争原理を変更し、核兵器を防衛的、報復的使用から、先制的第一撃へと押し上げ、ロシア国境へのアメリカの対弾道弾ミサイル基地の建設と、アメリカが新技術を兵器化したことで、アメリカがロシアの第一撃能力を奪おうとしていることが、ロシアにとって明らかになった。

12月12日、ロシア国会(議会の両院)での大統領演説で、ウラジーミル・プーチンは、アメリカがロシアに及ぼしている攻撃的な軍事的脅威をとりあげた。アメリカは、その対弾道ミサイルを、防衛システムと呼んでいるが、“実際は戦略的攻撃能力”の重要な一環であり、勢力の均衡をアメリカに有利な様に変更することを狙ったものだとプーチンは述べた。脅威の存在を認め、プーチンは脅威に答えた。“ロシアに対する軍事的優位性を実現できるという幻想は誰にも持たせないようにしよう。我々は決してそれを許さない。”

オバマ政権が核兵器削減協定を廃棄したのに答えて、プーチンは述べた。“我々はこうしたこと全てを認識しており、何をすべきかを知っている。”

誰かが将来歴史を書くことができれば、オバマ政権はレーガン大統領が終わらせようと熱心に努力した冷戦をよみがえらせ、熱い戦争へと突進させた政権として記録されよう。

ロシアを敵にするだけでは満足せず、オバマ政権は中国までも敵にした。オバマ政権は、南シナ海は“アメリカ国家安全保障にとっての関心”地域だと宣言した。これは、メキシコ湾は、中国の国家安全保障にとって関心ある地域だと中国が宣言するようなものだ。

南シナ海に対する主張が口先だけのものではないことを明らかにする為、オバマ政権は、アメリカ艦隊の60%を、中国の勢力圏へ再配置を必要とする“アジアへの回帰”を発表した。アメリカは、フィリピン、韓国、ベトナム、オーストラリアとタイへの海軍基地と空軍基地の確保に余念がない。アメリカは、様々な島々に対する中国の主張と争い、空域を拡張した中国近隣諸国と組んで挑発を強化した。

中国はおじけづいてはいない。中国は“世界の非アメリカ化”を呼びかけている。先月、現在中国政府は、アメリカを地表から消し去るに十分な核兵器とその運搬システムを所有していると発表した。数日前、南シナ海で、中国艦船がアメリカ・ミサイル巡洋艦に攻撃的に接近した。

アメリカがロシアと中国に対してとっている軍事的攻撃の姿勢は、通常なら、戦争に至って終わる、極端な自信満々な態度を示している。アメリカ国民は、アメリカの優れた技術的能力で、ロシアと中国のミサイル発射を防いだり、迎撃したりすることができると言われ、アメリカの先制攻撃は、朝飯前状態にまで高められる。ところが、イランが核兵器を入手することによる潜在的な危険は、余りに大きいので、今、先制攻撃戦争が必要だと言われており、核兵器を入手するかも知れないごく少数の無国籍イスラム教徒達に対し、アメリカは無防備なままであるという理由で、巨大な国土安全保障省が正当化される。アメリカの攻撃に対するロシアと中国の報復的対応は、取るに足りないこと見なされるが、イランの核の脅威と無国籍のイスラム教徒はそうではないというのは異常な状況だ。

ロシアと中国に戦争のシグナルを送るだけでは満足せずに、アメリカは、イランと仕事をしている企業への新たな制裁を発表し、イラン人共同社会を粉砕することに決めたもののように思われる。イラン人は、アメリカの妨害を、アメリカが恐らく意図した通り、アメリカには協定を本気で維持する意図が欠如していると理解し、ジュネーブを発ち、イランに帰国した。協定が復活されうるか、あるいはイスラエル・ロビーが、イランとの戦争の脅威を終わらせるのを約束する協定を頓挫させることに成功したかは現時点ではまだわからない。

アメリカ国民は、自国政府に対する影響力、あるいは政府の意図についての認識すら、例え持っているとしても、ごく僅かしかないか。しかも、世界戦争推進に向けるアメリカ政府の動きを止める為、アメリカ国民がその後ろに結集できる組織的な反対勢力は存在しない。希望が多少でもあるとすれば、それはアメリカのヨーロッパやアジアの傀儡にあるように思われる。ひたすらアメリカの対世界覇権を獲得を幇助するだけの目的の為に、自らの国の存在を危うくしているこれら政府に一体どのような利益があるのだろう? 各国政府は、アメリカがやっているゲームが、自国にとって致死的なものであることが理解できないのだろうか?

ドイツだけが、同時に自国の利益にも役に立てながら、世界を戦争から救うことができる可能性がある。ドイツがすべきことは、EUとNATOからの脱退だけだ。同盟は崩壊し、その崩壊は、アメリカ政府の覇権への野望を終わらせることとなろう。

Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでい る。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the Westが購入可能。

記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2013/12/14/washington-drives-world-toward-war-paul-craig-roberts/

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多くの日本の読者の方々も、ポール・クレーグ・ロバーツ氏に寄付されたことだろう。

「チリ大統領にバチェレ氏決選投票、左派の女性前職」

右派が政権をとる前、彼女が大統領だった。彼女が復活したとは素晴らしいことだ。

どこかの属国では、二大政党なるものの片方がシナリオ通り政権を取り、やがてぼろぼろとなり、さらに強力になって、元の売国与党に大政奉還した国とは大違い。

信頼を完全にうしなった政党のかわりに、ガラクタを寄せ集め、にせの「夢よもう一度」状態をでっち上げようと大本営広報部は必死。

二大政党は、完成すれば宗主国と同じになるだけ。どちらを選んでも、大多数の国民はかならず不幸になる仕組み。小選挙区制度が悪の根源。

秘密法案反対もポーズだけとって、大本営広報部への信頼をつなぎ止めようという工作だったろう。本当に反対なら、テレビも使って継続すればよい。

TPP隠蔽欺瞞報道を見るだけで、大本営広報部洗脳工作のインチキさは十分わかる。

日本国民は、自国政府に対する影響力、あるいは政府の意図についての認識すら、例え持っているとしても、ごく僅かしかないか。しかも、世界戦争推進に向ける日本政府の動きを止める為、日本の国民がその後ろに結集できる組織的な反対勢力は存在していない。

ひたすらアメリカの対世界覇権を獲得を幇助するだけの目的の為、自らの国の存在を危うくしている日本政府に一体どのような利益があるのだろう? 日本政府は、アメリカがやっているゲームが、日本にとって致死的なものであることが理解できないのだろうか?

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