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2013年12月14日 (土)

ウクライナと、ロシア勢力圏へのアメリカとヨーロッパ攻撃の大局的な姿

Finian CUNNINGHAM

Strategic Culture Foundation
2013年12月6日 | 08:41

ブリュッセルのNATO本部で今週、ウクライナの政治的混乱について演説をして、アメリカジョン・ケリー国務長官は、中立を装って、欧州連合とロシアとの間での“買収合戦”に対し警告した。

ケリー国務長官はこう述べた。“彼等[ウクライナ人]は、個人的関係なり、国家的関係なりでの買収合戦ではなく、彼等が得られる恩恵や、それで得られる生活や、彼等が得たいと願う権利や恩恵に基づいて、どこに加盟するのか決定できるべきだ。”

もったいぶった言辞をはぎ取れば、ケリー国務長官自身が、主権国家の内政に対する慈悲深い調停者を気取っている暗黙の姿が見えてくる。実際、この声明の中で、提案されていた欧州連合との貿易協定には進まないという最近の主権国家の決定を下したウクライナ政府の合法性を、ケリー国務長官は否定しているのだ。

ウクライナを巡る買収合戦に対するケリー国務長官の警告にもかかわらず、それこそまさに、EUとアメリカがしかけており、目立たない形ではあれ、少なくとも20年間、積極的にしかけてきたものだ。この買収合戦は、単にウクライナをEU集団に引き込むのみならず、全ての旧ソ連共和国をロシアの勢力範囲から分裂させることを狙ったものだ。しかも、より緊密な商業上の絆を作り出そうというだけのものではない。買収合戦は、地政学的大国としてのロシアを包囲し、弱体化させる為の徹底した非公然戦争に他ならない..。

民主主義、法の支配、統治力やら、その他諸々の曖昧な価値観やら、ユーロビジョン歌謡コンテストさえ、の名の下に、この長期にわたる敵対的地政学プロジェクトで、アメリカとEUは、NATO同盟の軍事パートナーとして、緊密な共同行動を取ってきた。

中立性を装いながら、アメリカの外交政策最高責任者は、今週モルドバに予定外の4時間立ち寄って、アメリカの強硬な姿勢のあらわなサインを出したのだ。ケリー国務長官はモルドヴァの首都キシナウ訪問を可能にすべく、ウクライナでの閣僚会議を欠席し(無視した)、キシナウで、先月モルドヴァがEU連携協定に加盟したことで、モルドヴァ当局者に彼は挨拶した。これ以上露骨なことはない。アメリカは、ヨーロッパを奉じる旧ソ連共和国には承認が与えられるが、奉じない連中は冷遇されるのだということをあらわに示している。

11月末、リトアニア、ビリニュスで開催された東方パートナーシップ首脳会議で、もう一つの旧ソ連共和国グルジアと共に、モルドバはEUとのより緊密な貿易のつながりに加盟した。その場では、EU協定には参加しないというのがウクライナの決断は、キエフでの街頭抗議行動の激化という結果をもたらした。ウクライナ大統領ヴィクトル・ヤヌコーヴィチと彼の政権は、欧州連合に加盟するという彼等の“夢”を拒否したと抗議行動参加者達は主張している。不審な機動力と組織で、抗議行動参加者達は街頭に繰り出し、ブルドーザーや火炎瓶で、政府庁舎を封鎖し、通常の政府機能を混乱させ、さなきだにあるウクライナの経済的苦境を更に悪化させている。

ウクライナは、2015年に国政選挙を行う予定だが、街頭の抗議行動参加者達は、EU協定への参加拒否を巡る正統な異義を表明することを遥かに超えた様に見え、民主的に選出された政府に対するクーデターを開始しようという姿勢だ。

経済的困難や政治的身びいきとされるものへの不満の万能薬をもたらすと称する“EUの夢”という考え方に同意する支持者がウクライナにいることは疑う余地はない。しかし、こうした問題、特にEU加盟を取り下げるというウクライナ政府の最近の決定を巡る大衆の不満につけこむ、外部から率いられた打倒や煽動の兆しが見られることも否定しがたい。

EU協定加盟を拒否するウクライナ政府を、あたかも不当であるように描きだし、街頭での抗議行動を暗黙裡に支持する、ジョン・ケリー国務長官とヘルマン・ファン・ロンパウEU理事会議長の公式声明は、主権政府の内政に対する法外な当てこすりだ。しかも、皮肉にも、欧米当局は、ロシアを介入している当事者として関係づけている。

こうした物事は、ロシアとの歴史的な絆を消し去ろうとして待ち構えているウクライナ国内の諸政党にとって都合のいいように、不満を増幅する為の、欧米の主流マスコミや、様々な人権擁護団体が関与した、アメリカとヨーロッパの同盟諸国による組織的活動のように見える。街頭抗議行動を率いている三つの主要な反対政党は: 元世界ボクシング・チャンピォンのヴィタリー・クリチコが率いる改革を目指すウクライナ民主連合、元指導者ユリア・ティモシェンコが、汚職のかどで投獄されている全ウクライナ連合「祖国」、ネオ-ファシストの全ウクライナ連合「自由」(スヴォボダ)。この三団体全てが、アメリカに本拠を置く全米民主主義基金等の欧米政府・民間機関や、欧米の大企業や資本家の権益に叶うよう、標的にした国家における政権転覆工作をすることが彼の狙いの一つである超億万長者資本家ジョージ・ソロス等とつながっている。ウクライナにおけるこうしたつながりは、少なくとも約10年前のいわゆるオレンジ革命にまでさかのぼる。

今週のジョン・ケリー国務長官によるモルドバ訪問の重要性は、いくら強調してもしすぎることはない。これは、アメリカ国務長官による、この国への20年以上の間で初めての訪問だった。前回の訪問は、ソ連が前年に崩壊した直後の1992年、当時の国務長官ジェームズ・ベーカーIIIによるものだ。

今週にケリーに同行したアメリカ人幹部は、モルドバ訪問は“ロシアの脅威と圧力を前にして、支援と激励の為”に計画されたと記者団に語った。そのよう言辞は下劣だ。意地悪く、政治問題を歪め、 ウクライナの主権政府が判断をしたが、国民の一部がそれに同意せず、ロシアを極悪非道な、堕落した支配力として描きだして、ロシアとその近隣諸国との間の地域的緊張を刺激することを狙っているかのようだ。

見え透いたやり方で、アメリカは、EUと欧米マスコミに、ロシアは非道に振る舞い、近隣諸国を欧米側に押しやっており、各国がEU貿易・政治パートナーシップに加盟しないようロシアは経済的恫喝と威嚇の組み合わせを活用しているという物語を押しつけている。

ロシアは関税同盟と呼ばれる自身の近隣諸国との代替貿易圏を形成しようと務めている。アルメニア、ベラルーシとカザフスタンは、既にこのロシアの提案に加わっており、アゼルバイジャンも間もなく参加するものと考えられている。関税同盟加盟国への恩恵には、ロシア天然ガスのより安い価格や、より低金利なロシアからの借款等がある。モルドバとグルジアがそうした様に、もし近隣諸国がEU加盟を選ぶのなら、差し出した経済的利益を、保留するのはロシアの正当な特権だと、ロシアは見なすだろう。

9月、製品が品質基準に満たないという理由で、ロシアはモルドヴァ・ワイン輸入を停止した。この動きは、欧米では、モルドバのEU受け入れの機先を制する報復措置として描き出されている。そこでまたもやロシアは、他の全ての製品と同様、輸入ワインを何処から購入するか決定する権利があると主張している。

ロイターは、ケリー国務長官のモルドバ訪問をこう報じている。“アメリカは、EUと協力して、モルドヴァのワイン業界が新市場を見いだすのを援助しており、これを強調すべく、ケリー国務長官は、首都キシナウ郊外の歴史上有名なクリコヴァ・ワイナリーで、ワイン試飲を計画していたとアメリカ当局者は語った。”

“アメリカは、EUと協力して、モルドヴァのワイン業界が新市場を見いだすのを援助している”という事実は、より大きな地政学的な狙いをほのめかしている。アメリカが、そういうふりをしようとしている通り、もし単なる中立的な観察者なのであれば、一体なぜ、EUの政治やモルドヴァのワイン生産に介入する必要があるだろう?

ロシアの近隣諸国に対する内政干渉とされるものは、EUとアメリカによる実際の介入という実質的証拠によって、矛盾してしまう。EUの東部に対する新メンバーのしきりな勧誘で、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、リトアニアやラトビア、スロバキアとスロベニアを含む、幾つかの旧ソ連時代の国家や準国家を取り込んだ。正式なEU加盟国資格となる機会を得た最新の東欧国家は、7月に加盟したクロアチアだ。

しかしEU固有となった財政・社会危機は、“繁栄と統治の向上”とに基づく仮借ない拡張は、詐欺的で、無謀とはいわないまでも、明らかに、うつろであることを示している。EUは、より正確には、何千万人もの労働者とその家族を犠牲にして、大企業や銀行にかなりの恩恵をもたらす“緊縮ブロック”と表現されるべきものだ。現在加盟している28ヶ国全体での失業は、2008年に世界的景気後退が始まって以来、過去5年間で二倍以上の約2000万人となった。これは控えめに表示されていることで悪名が高い公式数値に過ぎない。実際の失業率は公式に引用される12パーセントの二倍にのぼる可能性がある。

この社会的苦難や貧困は、決して“現代の”標準に適応することができないせいだと言われかねない周辺的な加盟諸国に限定されてはいない。大量失業と困窮は、ドイツ、フランス、イギリス、イタリアやスペインといった中核的な国々においてすら、その社会構造そのものをバラバラにしつつある。

それゆえ、現実はその逆であるのに、非現実的な繁栄と安定の約束をして、このブロックに新たな加盟国を勧誘し続けるのは、EUを支配する官僚制の無責任の極みだ。もちろん、繁栄の約束は、資本の自由な動きによって、新たな資源を搾取できるという、極めて狭い、ゆがんだ意味でしか真実とは言えない。EUの総勢5000万人の圧倒的多数にとって、拡大とは、更に数百万人が労働市場に連れ込まれ、既に惨めな賃金を押し下げるのに貢献し、失業を増加させるという意味しかない。EUの拡張とは、大多数にとっての貧困の拡大であり、大企業と金融業エリートにとっての富みの拡大だ。

その点で、ウクライナに持ちかけられているEU加盟を、“心中の約束”と表現したロシアのウラジーミル・プーチン大統領は正しかった。現在のウクライナの構造的な脆弱さを考えれば、略奪を目的とするヨーロッパ資本に国を開放すれば、実に悲惨なこととなろう。不幸なことに、キエフの抗議行動参加者達の多くは、EU加盟の恩恵とされるものに騙されているように思われ、ブロックに加盟した他の東欧諸国で既に起きたように、彼等を待ち受けている社会的災厄のことを、痛ましいほど忘れているかのように見える。

アメリカによって煽動され支援され、EUがロシア近隣諸国に対して演じている、不安定化させ略奪する役割や、ロシア国境を巡るNATO軍事同盟による、揺るぎない包囲を考えれば、ウクライナにおける最近の混乱は、より大局的な地政学的構図の一環として理解しなければなるまい。これは欧米が支配する資本主義が、新市場を拡大し、支配下におこう、特に広大なロシア勢力圏を自らの勢力範囲に引き込もうとする長い歴史的過程の一環だ。

この欧米資本主義プロジェクトは、はるか1917年のロシア革命への反動や欧米が資金援助したナチス・ドイツによるソ連攻撃を含むその余波にまで、さかのぼることができる。

しかし、当面は、現在ウクライナで起きていることは、その外観とは違うことを指摘しておけば十分だろう。単なる街頭抗議行動や“民主主義”や“自由市場”への呼びかけとされるものより、ずっと大規模な歴史的先例がある。これは新たな東方の領土に対する資本主義者の攻撃に他ならない。

Foto: kyivpost.com

記事原文のurl:www.strategic-culture.org/news/2013/12/06/ukraine-and-bigger-picture-us-and-european-assault-russia-sphere-influence.html

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多数の政治犯を銃殺刑に処したソ連秘密警察のトップ、ラヴレンチー・パヴロヴィッチ・ベリヤは第一副首相にまでなったが、1953年12月23日、銃殺刑に処されたという。

裁判で自らの犯罪を告白し、処刑された例は山のようにある。
ロシアの体制転覆を寓話化したジョージ・オーウェルの『動物農場』には、まさにそうした光景もかきこまれている。

  • 売国とアメリカ語で書く三代目
  • 銃殺とハングルで書く三代目

いずれの三代目も、宗主国にとって、極めて大切な傀儡。
一方は、地域の不安定化要因として、大切。
もう一方は、それをネタにゆすって、軍資金をださせたり、基地を配置させたり、盗聴体制を確立したり、欠陥航空機を買わせたり、インチキ防空ミサイルを買わせたり、プルトニウムを作らせたり、侵略戦争の鉄砲玉に使ったり、とにかく重宝で、大切だ。どちらも、決して手放せない属国。

秘密法の要点は第九条。

第九条 特定秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために必要があると認めたときは、外国の政府又は国際機関であって、この法律の規定により行政機関が当該特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置を講じているものに当該特定秘密を提供することができる。

この外国政府、宗主国を意味することはいうまでもない。
国民には永久に隠すが、宗主国には全て差し上げるのがファシスト属国のお役目。

大本営広報部は決して解説してくださらない。

実は、上記情報、IWJ番組や記事からを教えていただいたもの。教えられなければ、わけがわからない条文、全文読んで問題点を自分で探し出すことなど不可能。

岩上安身氏のIWJ現状報告とご支援のお願い、以下のページで読める。
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/107798

岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

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7年前にこの動きはもう始まってました。
2006年12月の防衛事務次官通達『部外者からの不自然な働き掛けへの対応要領』では、接触に当たって上部への報告を要する“部外者”とは他国武官はもとより他省庁の職員や国会議員をも指しています。
その一方で「アメリカ合衆国政府機関職員及びこれに準ずる者」は部外者ではないと明記されていたのです。

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