喜望峰:ロシア、シリアと、アメリカ覇権の衰え
2013年11月2日
イズラエル・シャミールによるゲスト・コラム
アメリカ覇権よ、さらば
私が長く尊敬しているイスラエル人ライター、イズラエル・シャミールが、コラムを書いてくれたおかげ、私があえて書くまでもなくなった。読者の皆様方にも、我々二人の考え方の類似をご理解頂けよう。
シリアを巡るアメリカ対ロシアの対立を、モスクワから報じているシャミールは良い情報を得られる立場にある。外交筋からの漏洩情報によると、どうもアメリカによるものらしいが、あるいはイスラエルによる可能性もある、シリアに対して発射されたミサイルが、アジア・タイムズや、複数の中東の新聞によれば、ロシアの艦載艦対空防衛システムによって撃墜されたか、強力なロシアのGPS妨害装置によって無力化させられたと、シャミールは報じている。主要核保有国による、この決定的対応は、イギリス議会の強烈なノーの声、更に国連や、アメリカ国民や、アメリカ議会からもノーをつきつけられ、NATOの熱意欠如もあいまって、オバマ政権に再考させ、より良い考え方をさせる結果となった。
アメリカ国民は、誰もアメリカ立ち向かうことはできない、と考えるのに長い間慣れている。この狂った考え方がワシントン政府の判断をゆがめたのだ。もしワシントンの阿呆共が、その傲慢と尊大さから覚醒する方法を見いださなければ、阿呆共は、我々を世の終わりに引きずり込むだろう。
CounterPunch
http://www.counterpunch.org/2013/10/08/russia-syria-and-the-decline-of-american-hegemony/print
喜望峰:ロシア、シリアと、アメリカ覇権の衰退
イズラエル・シャミール
2013年10月8日
まずは良いニュースだ。アメリカ覇権は終わりだ。いじめっ子は、おとなしくさせられた。象徴的に言えば、2013年9月に、我々は難所の喜望峰を抜けたのだ。シリア危機と一緒に、世界は現代史の重要分岐点を乗り越えたのだ。1962年のキューバ・ミサイル危機と同じぐらい、非常に際どいものだった。アメリカとユーラシアの鉄のような意志が東地中海で交差した際の、全面戦争の可能性は極めて高かった。我々が体験したことを実感するまでには、しばらく時間がかかるだろう。それほどの規模の出来事では当然のことだ。ワシントンDCでの狂気のカーチェイスから、連邦政府機関の閉鎖に至るまでのアメリカにおける混乱や、債務不履行の可能性は、この出来事の直接の結果なのだ。
ベルリンの壁を覚えておられるだろうか? 壁が崩壊した時、私はモスクワにいて、ハアレツに記事を書いていた。プレジデント・ホテルでの共産党政治局員記者会見に行き、ソ連と世界社会主義体制の終焉が近いことに同意するかと質問した。私は笑われてしまった。ばつの悪い場面だった。いや、とんでもないと彼等は答えた。壁崩壊の結果、社会主義は花開くだろうと。ソ連は二年後に崩壊した。現在、私達の記憶の中では、あの時代は、ごく短い出来事の連続に圧縮されている。しかし、現実には時間がかかっているのだ。
2013年9月の最も劇的な出来事は、レバント海岸付近、5隻のアメリカ駆逐艦が、トマホーク・ミサイルをダマスカスに向け、彼等は空母撃滅ミサイル搭載巡洋艦モスクワが率いる11隻のロシア艦隊と支援の中国戦艦と対峙した真昼の決闘だ。どうやら、二発のミサイルが、シリア海岸に向けて発射され、二発とも標的に到達し損ねたらしい。
ミサイルは、スペインにあるNATO空軍基地から発射され、ロシアの艦載艦対空防衛システムによって撃墜されたと、外交筋を引用して、レバノンの新聞が主張した。アジア・タイムズによる、もう一つの説明では、ロシアは安くて強力なGPSジャマー使って、方向感覚を失わせ、うまく動かなくさせて高価なトマホーク・ミサイルを無力化したのだ。しかし、また別の説では、発射したのは、決闘で先手を打とうとしたか、彼等が主張していた通り、単に雲を観察していただけかの、イスラエルだということになっている。
理由は何であれ、この奇妙な出来事の後、オバマ大統領がおりて、銃をホルスターに納めたので、切迫していた撃ち合いは始まらなかった。その前に、思いも寄らないイギリス議会での投票結果があった。この立派な機関が、アメリカが提案した攻撃に参加する名誉を拒否したのだ。イギリス議会が戦争を始めるという実際的な提案を投票で否決したのは、二百年間で初めてのことだ。普通、イギリス人は誘惑をはねのけることはできない。
その後、オバマ大統領は、厄介な火中の栗を、議会に渡すことにした。彼は自らハルマゲドンを始めるのがいやだったのだ。かくして行動の名目は失われた。議会は結果が予想できない戦争を始めたくなかったのだ。オバマは、サンクト・ペテルブルクでの20G会合でプーチンを、威嚇しようとして、失敗した。シリアの化学兵器を廃棄するというロシアの提案で、オバマ大統領は面目を保つことが可能になった。この失敗が、アメリカ覇権、至上性と例外主義を駄目にした。(西への領土拡張を正当化する標語である)明白な運命は終わったのだ。我々は皆ハリウッド映画で学んでいる。英雄は決しておりない。英雄は銃を抜いて、射撃する! 銃をホルスターに戻せば、英雄ではない。おじけづいてやめたのだ。
その後、事態は急速に展開し始めた。アメリカ大統領は、テルアビブにとって無念なことに、イラン新大統領と会話した。自由シリア軍反政府派は、彼と二年戦争して後で、アサドと対話することに決め、イスラム教過激派を見捨て、彼等の代表団がダマスカスに到着した。彼等を支持するカタールは、手を拡げすぎて崩壊しつつある。政府機関の閉鎖や、あり得る債務不履行こそが、アメリカが本当に心配すべきものとなっている。アメリカ覇権の終焉とともに、世界の準備通貨としてのドルの余命はいくばくもない。
悪徳な強欲銀行幹部達が願っていた通り、第三次世界大戦がすんでのところでおきるところだった。強欲銀行幹部連中は、持続不可能なアメリカの対外債務を含め、余りに莫大な負債を抱えている。もし、このトマホーク・ミサイルが無事飛行していれば、強欲銀行幹部連中は不可抗力を主張して、債務を無視できたろう。何百万人もの人々が死んだろうが、何十億ドルものお金が、JPモルガンやゴールドマン・サックスの金庫中で安全に保たれたろう。オバマ大統領が、強欲銀行幹部連中の為に責めを負わされるのを拒否して、9月に世界はこの分岐点を無事に乗り越えた。多分、結局、彼はノーベル平和賞に値したのだ。
近未来は実に多難だが、破滅的な問題があるわけではない。アメリカは、収入源としての通貨発行権を失うだろう。米ドルは、北米の通貨としては存続し続けよう、世界の準備通貨としての役割は終えるだろう。世界の他の国々は、ユーロや、元、ルーブル、ボリバールや、ディナールを使用するだろう。アメリカの軍事費は、正常レベルにまで削減することを強いられようし、この海外軍事基地と兵器類の廃絶は、アメリカ国民がむしろ苦痛無しで移行するのを可能にしてくれるだろう。アメリカの後に続きたがる国は皆無だ。世界は、アメリカが、銃を持って至る所を警護するのに飽き飽きしているのだ。アメリカは、非常に多くの銀行員や、看守や、兵士、更には政治家の為に、新たな雇用を見つけなければいけなくなるだろう。
危機の間、モスクワに滞在し、ロシア人が見つめているこうした展開を、私は見守っていた。プーチンとロシアは、かなり長い間、容赦なく追い詰められていた。
* アメリカは、ロシアの、反政府派のリベラル派と民族主義派を資金援助して支援した。ロシア国政選挙は、一つの巨大な詐欺として描き出された。ロシア政府はある程度、合法性をそこなわれた。
* アメリカ議会のマグニツキー法は、よからぬことをたくらんでいると当局が見なしたロシア人を誰でも逮捕し、裁判所に対する償還請求権無しで、資産を差し押さえる権限をアメリカ当局に与えた。
* 銀行が困難な状態にあるキプロスでロシア国家資産の一部が差し押さえられた。
* 欧米マスコミと、新興財閥が所有するロシアのマスコミで、プーチンは独裁者で、自由の敵で、ゲイ嫌いというイメージを広めるべく、アメリカは、モスクワのプッシー・ライオットやゲイ・パレード等々を奨励した。
* ロシア国民のシリア支持は批判され、馬鹿にされ、人間性に欠けている残虐な行動として描かれた。同時に、欧米マスコミの評論家連中は、ロシアがシリアをあきらめるのは確実だと主張した。
私が以前書いた通り、ロシアは、シリアを見捨てる意図は皆無だ、様々な当然の理由から。シリアは同盟国だ。シリア正教会キリスト教徒は、ロシアを信用している。地政学的には、戦争はロシア国境に近すぎる。だが主な理由は、アメリカの横暴さに対する、ロシアのいらだちだ。ロシア人は、その様に重要な決定は、国際社会、つまり国連安全保障理事会によって行われるべきだと感じている。彼等はアメリカが世界の調停人の役割を担うことを快く思ってはいなかった。
1990年代、ロシアは極めて弱く、効果的に反対することはできなかったが、ユーゴスラビアが爆撃され、ゴルバチョフに対するアメリカの約束を破って、NATO軍兵士が東進するのを苦々しく思っていた。リビアの悲劇は、もう一つの決定的瞬間だった。あの不幸な国はNATOによって爆撃され、最終的には解体された。リビアは、アフリカで最も裕福な国から、最も惨めな国と化した。リビアにおけるロシアの存在感は限定されてはいたが、それでも、ロシアはシリアへの投資を失ってしまった。それが、欧米と協力しているのだと信じていた、当時のロシア大統領ドミトリー・メドベージェフの立場だったので、ロシアは、リビアについての投票を棄権した。プーチンは、シリアを同じ運命に見捨てる意図は皆無だ。
アメリカ覇権に対するロシアの反乱は、エドワード・スノーデンを載せた北京からのアエロフロート便がモスクワに着陸した6月に始まった。アメリカは、彼を取り戻す為に考えうる、ありとあらゆる手を使った。アメリカ側は、ロシア国内にいるあらゆる工作員を動員した。小生自身のものを含め、ごく少数の人々のみが、スノーデンに安住の地を与えよと、ロシアに要求したが、我々の声が勝利を得たのだ。アメリカの圧力にもかかわらず、スノーデンは亡命を認められた。
次のステップが、シリアのエスカレーションだ。ここでは化学兵器攻撃とされるものの詳細には、立ち入らない。ロシアの見方は、アメリカが、シリアや他の国で一方的に行動する理由はなく、また、理由はありえないというものだ。ある意味で、ロシアは、国際法を、かつて尊敬されていた位置へと復帰させた。世界は、より良く、安全になったのだ。
こうしたことのどれ一つとして、中国の支持なしには実現できなかっただろう。アジアの巨人は、ロシアを自分の“姉”の様に見なしていて、丸い目をした欧米人にする能力を頼りにしている。中国は、静かな、控えめなやり方で、プーチンに協力したのだ。中国は、スノーデンをモスクワに引き渡した。中国は国連安全保障理事会で、対シリア草案に拒否権を行使し、中国の戦艦を地中海に配備した。これが、なぜプーチンが、ロシアのみならず、ユーラシア全体に、しっかり足を据えていたのかという理由だ。
教会はプーチンの取り組みを支持していた。ロシアの教会のみならず、カトリックも正教も、アメリカが支援する反乱派によるキリスト教徒虐殺ゆえに、差し迫ったアメリカの作戦に反対することで団結していた。教皇は、プーチンに、教会の擁護者となるよう訴えた。エルサレムとアンティオキアの教会もそうした。教皇は、オランドを破門すると脅したと言ってもよいほどで、この遠回しの脅しが、フランス大統領に強い影響を与えた。そこで、プーチンは、正教の総主教達と教皇の支持祝福とを享受した。このような二重の祝福は極めて稀なことだ。
シリア軍談には、様々な、わくわくする、血沸き肉躍る瞬間があり、何冊もの本がかけるほどだ。アイルランドでのG8会合で、プーチンを制圧しようとした初期の試みもそうしたもの一つだ。プーチンは、欧米連合戦線と激突するところだったが、彼は、そうした国々の一部を彼の味方につけることに成功し、人肉を食らう、シリア反政府派首領達を思い起こさせ、各国の心に疑いの種をまいた。
シリア化学兵器廃絶の提案は巧みに提起された。国連安全保障理事会は、国連憲章第7章に乗じて、シリア攻撃の可能性決議 。驚くべきことに、ロシアは、この大変な主導権争いに勝利した。破れていれば悲惨なことになっていた。シリアはリビア同様、破壊されていただろう。それに続くイスラエル-アメリカのイラン攻撃は不可避だった。東方キリスト教はその発祥の地を失っていただろう。ヨーロッパには何百万人もの避難民が溢れただろう。ロシアは、どうでもよい、口ばかりで行動しない国で、大統領機が着陸させられて、好きなように捜索されたボリビア程度の重みしかない国だと証明されてしまっていただろう。同盟国を守ることができず、自分の立場を堅持できず、ロシアは、敗北の婉曲表現‘精神的勝利’で終わっていただろう。プーチンが実権を握って13年間働いた成果の全てが失われていたろう。ロシアは、クリントンがベオグラードを爆撃した際の1999年の立場に戻ってしまっていただろう。
オバマ-プーチンの例外主義に関するやりとりで、この対決が頂点に達した。そもそも二人は仲間だったわけではない。プーチンは、オバマの不誠実さと偽善と感じられるものに苛立っていた。底辺から頂点に上り詰めた人間として、プーチンは、さまざまな立場の人々と率直に語れる能力を大切にしている。彼の率直な語り口は、時にぎょっとするほど激しい。フランス人ジャーナリストから、チェチェン分離主義者の扱いに関して質問攻めにされた際、彼は答えた。
“イスラム過激派(タクフィリ)は、キリスト教徒、無神論者の敵で、彼等は、伝統的なイスラム教は、彼等が自分達に課している目標に敵対的だと信じているので、イスラム教徒の敵でさえある。もしイスラム教過激派になりたくて、割礼を行う用意があるなら、モスクワにお招きしよう。ロシアは多宗教の国で、そういうことができる専門家達がいる。そこには二度と何も生えないような風に手術をするよう彼等に助言したいものだ。”
もう一つの彼の驚くほどざっくばらんな話し方の例に、バルダイで、BBCのブリジェット・ケンドールに、彼が答えた時のものがある。彼女はこう尋ねたアメリカ軍による攻撃の脅威は実際、兵器を管理下に置くというシリアの同意に対し、意味ある役割を果たしましたか?
プーチンは答えた。シリアは、イスラエル核兵器備蓄の代替品として、化学兵器を入手したのです。彼はイスラエルの軍備縮小を呼びかけ、核兵器に反対するイスラエル科学者の例として、モルデカイ・ヴァヌヌの名前を引き合いに出した。(ヴァヌヌとの私のインタビューが最近ロシア最大の日刊紙に掲載され、一定の注目を得た。)
プーチンは、オバマと腹蔵なく話そうとした。プーチン-ネタニヤフ秘密会話の漏洩記録から、二人のやりとりを我々は知っている。プーチンは、アメリカに電話をかけて尋ねた。シリアについて、あなたは一体何を考えているのか? オバマは答えた。アサド政権が人権を守らないことが心配だ。プーチンは、この答えの完璧な偽善ゆえに、ほとんど吐くところだった。彼はそれを、オバマが“同じ視線で”話し合うことを拒絶していると理解したのだ。
シリアでのにらみ合い直後に、オバマは、世界中の人々に、アメリカ例外主義の名において呼びかけた。アメリカ合州国の政策が“アメリカを他の国々と違うものにしているのだ。そのおかげでアメリカが例外になっているのだ”と彼は述べた。プーチンはこう対応した。“人々に自分は例外だと見なすよう奨励するのは非常に危険だ。我々は皆違っているのだが、主の恵みを願う際には、神は我々を平等なものとして作られたことを忘れてはならない。”これはイデオロギー的対照であるのみならず、神学的対照でもあった。
他の場所で、私が詳細に説明した様に、アメリカは例外主義と選民の神学を基に建国されたのだ。アメリカは旧約聖書の国だ。これが、アメリカとイスラエルの特別な関係の、より深い理由だ。ヨーロッパは、棄教とキリスト拒絶の段階を経験しつつある一方で、ロシアは敬虔なキリスト教徒であり続けている。ロシアの教会は満員で、中立的な“四季”の代わりに、彼等はお互いに、クリスマスと復活祭の祝福の言葉を交わすのだ。ロシアは新約聖書の国だ。そして例外主義や、神によって選ばれたことの拒否が、キリスト教の底流をなす教義だ。
この理由から、組織化されたアメリカのユダヤ人は戦争を支持し、アサドを非難し、アメリカの介入を呼びかけているが、ロシアのユダヤ人社会は、極めて数が多く、裕福で影響力があるのだが、シリア反政府派を支持せず、むしろシリアで平和を維持しようとするプーチンの努力に味方した。同様にイランでも、裕福なユダヤ人社会がシリアの正統な政府を支持した。しっかり確立した教会に導かれている国々は、ロビーによる破壊的な影響力を受け付けない様に見える。一方、そのような教会がない国々、アメリカ及び/あるいはフランスは、そのような影響力に屈し、違法な介入主義を、規範として採用している。
アメリカの覇権が衰退するにつれ、不確かな将来に直面することになる。アメリカ軍のビヒモスの様に巨大な力は、依然として猛威を振るう可能性がある。傷ついた獣は最も危険な生き物だ。アメリカ人は、海外軍事基地の放棄と、軍事支出の削減を呼びかけた、ロン・ポール上院議員に耳を傾けるかも知れない。国際法の規範と、あらゆる国々の主権は守られるべきなのだ。アメリカが監視と、弱い者いじめを止めれば、世界中の人々は再びアメリカを好きになるだろう。それは容易ではないが、我々は既に岬を乗り越え、希望を得たのだ。
モスクワ発のイズラエル・シャミール記事。彼にはadam@israelshamir.netで連絡できる。
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Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでい
る。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the Westが購入可能。
記事原文のurl:paulcraigroberts.org/2013/11/02/russia-syria-decline-american-hegemony-israel-shamir/
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喜望峰、スペイン語やドイツ語、そもそもの大元のポルトガル語では、「希望」峰らしき表示。中国語は好望角。Wikipediaには誤植によるものとある。「希望」でないと、この記事のニュアンスは、うまく伝わらないかも?
別のサイトで、この記事を見て、翻訳をしていたところ、彼氏のブログにも登場した。確かに、二人の考え方の類似を想起した。
政治利用・「直訴」批判をする連中、主権喪失記念の日の登壇・万歳三唱は政治利用でないと強弁する馬鹿らしさ。それをしっかり誇張報道・拡声する大本営広報部。意外な党からも山本批判が出たりする不思議。
田中正造の直訴と比較する論評が多いが、田中正造の偉大さは別格。世界に誇れる偉人だ。個人的に、世界情勢の現実認識、ポール・クレイグ・ロバーツ氏のものに親近感を持つが、こと日本の支配層の状況については、今から110年以上前の田中正造の認識とそっくりに感じることが多い。実ハ最早亡びたるのちの国なり。
例えば下記。絵もかいてある。彼は日展並?に絵がうまい。
田中正造文集 (一) 鉱毒と政治 岩波文庫 青N107-1 219ページ
川俣久平宛書簡 明治33年2月12日
拝啓仕候。先刻我国亡滅ニ近シ、死ニ水取りニ来らるべしと申上候ハ誤りニ候。実ハ最早亡びたるのちの国なり。今ハガイ骨の草むらの中ニゴロゴロ然たる如シ。たまたま死に残りたるものハ非常の病人なり。肉落ち色青し。また死人となりて身体に肉あるものハ狼や狸きの餌となり居りツツアリマス。この荒れたるさまの国会を見ニ来賜へ。
これを以て推量すべきハ行政、司法の両部なり。行政の事ハ人よくしれり。国会の事人よくこれをしれり。司法ニ至りてハ腐敗の見えぬもの故ニ、その弊害の深毒ニ至りしハ国会の比ニあらず。依てこの三者一モ取るものなし。中略
行政、司法、立法の内部の精神死して、或いハ犬に食れ、或いハ早くもガイ骨トナリテ踊ルアリ、死ニ残りの痩せ男トナレルアリ。
亡国ノ跡。
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