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2013年10月18日 (金)

帝国の愚行

Chris Hedges

2013年10月14日
"Truthdig"

帝国の末期には、無責任で常軌を逸した間抜け連中に十分な雇用と権力が与えられる。沈み行く船の代表として雇われる、こうした政治家達や官邸伝道者連中は、船が沈み行く中、乗客達を計画的に強盗するという、乗組員達の本当の仕事を隠すのだ。操舵室に立っている有力な高官連中は、とんでもない命令を大声で発し、どれだけエンジンに急に給油を増して加速できるか見ているのだ。船が全速で広大な氷原へと進む中、彼等は、船の舵を巡って子供達のように喧嘩している。連中は大げさな演説をしながら甲板を歩き回っている。汽船アメリカ丸は、これまで建造されたものの中で最も偉大だと連中は叫んでいる。アメリカ丸は最も進んだ技術のもので、最高の徳の具現だと連中は主張する。そして突然の予想もしない激しさで、凍えるような水の中に我々は沈んで行く。

帝国の末期は、愚行の馬鹿騒ぎだ。我々は自らの愚行馬鹿騒ぎのさなかにあり、指導者達が経済と環境を故意に自己破壊をする中、我々は前のめりになっている。シュメールもローマも、このようにして没落した。オスマン帝国も、オーストリー・ハンガリー帝国もそうだった。第一次世界大戦前夜、驚くほど凡庸で、堕落した男性達や女性達が、ヨーロッパやロシアの君主政治を率いていた。そしてアメリカは、衰退する中、弱虫や、うすのろや、能なし連中に、破滅へと導くのをまかせている。依然として現実に根ざしている国民であったら、テッド・クルス上院議員や、ジョン・ベイナー下院議長や、ニュート・ギングリッチ元下院議長のような大ぼら吹きどもが、テレビ・ラジオ放送を汚染するのを決して讃美したりするまい。もし我々が、一体我々に何が起きているのか分かっていれば、ウオール街、化石燃料業界、軍産複合体や治安監視国家の要求への完全降伏が、その特徴的な取り柄であるバラク・オバマに激怒して、背を向けていたはずだ。ギャンブルと、果てしない紙幣印刷に基づく金融制度を糾弾し、生態系の意図的破壊を非難するラルフ・ネーダー等のようなごく少数の人々の下に、我々は結束していたはずだ。我々は反乱していたはずだ。我々は船をひき返させていたはずだ。

瀕死の帝国の国民は、安逸を貪る人々なので、従順だ。大変な勢いで忘却されようとしている人々は、麻薬のような夢想をしている。彼等は、つかの間は愉快だが、自滅が確実な、性的なけばけばしい空虚な避難所に引きこもる。彼等はそれで何とかなると無邪気にも信じ込んでいる。マーガレット・アトウッドは、ディストピア小説“オリックスとクイナ”で書いている。種として“我々は、希望によって破滅する運命にある”。ばかげた希望と栄光の約束が、エンタテインメント産業や、政治・経済エリート、ジャーナリストを装うご機嫌取り連中、オプラ・ウィンフリーの様な自助の教祖や、教徒達に神は常に皆を守りたもうと保証する宗教体系によって、無限に提供される。それは集団的自己欺瞞、呪術思考への引きこもりだ。

“アメリカ国民は、幻影の方が、現物よりも権威がある、空想の方が現実より一層現実的な世界に暮している”とダニエル・J・ブーアスティンは著書“幻影の時代: マスコミが製造する事実”で書いている。“我々のあいまいな経験は愉快なほど玉虫色で、わざとらしい現実を信じる癒やしは、実に現実的なので、我々はほとんど、困惑に直面しようとはしない。我々は時代の壮大な作り話の熱心な付属品になっている。こうしたものは我々自身が演じる作り話だ。”

文化と読み書き能力は、衰微の最終段階では、騒々しい気晴らしや空虚な決まり文句で置き換えられる。ローマの政治家キケロは、そうしたものに相当する古代のもの、公共広場の演壇を激しく攻撃した。キケロは、その誠実さゆえに追い詰められ、殺害され、両手と頭を切り落とされた。切断された頭部と、激しい攻撃演説を書いた右手は、ローマの中心に設けられた公共広場の演壇上に据え置かれた。わめきたてる群衆は、ローマのエリート連中がその首に唾棄する中、もはや彼は二度と話したり、書いたりすることはないという嬉しい話を聞かされた。現代ではこの有害な、愚かな不協和音、パンとサーカスの見世物、剣闘士の戦いのアメリカ版が、テレビ・ラジオ放送に24時間サイクルで注ぎ込まれている。政治生活は、有名人崇拝と融合してしまった。教育は、なにより職業向けだ。知識人達は追放され、軽蔑される。芸術家は生計をたてられない。読書する人々はごく僅かだ。特に、臆病な衒学者や立身出世主義者連中が学問的たわごとを量産する総合大学や単科大学では、思想は追放される。“専制政治は、同意を必要としないので、外国の国民を首尾よく支配する可能性があるが”ハナ・アーレントは『全体主義の起原』で書いている。“まずなにより、自国民の全ての国家機関を破壊した場合にのみ、権力を維持できる”。そして、我々自身のそうした機関も破壊されてしまったのだ。

官能的喜びと永遠の若さは、我々の最優先の執念だ。ローマ皇帝ティベリウスは、最後には、カプリ島に逃れ、海辺の宮殿を放逸な肉欲と暴力の邸宅に変えた。“彼が帝国全土から集めた、スピントリアとして知られている奇妙な行為に熟達した若い女性と男性の一団が、彼の衰えゆく情欲を奮い立たせる為、彼の面前で三人で性交した”スエトニウスは“ローマ皇帝伝”を書いた。ティベリウスは、彼が小人物と呼ぶ幼い男の子達を、彼と水中で遊び戯れ、オーラルセックスをするよう養成していた。延々拷問する様子を見た後、囚人達を宮殿近くの崖から海へ投げ落とさせたものだった。ティベリウスに、カリグラとネロが続くこととなる。

“時として、ページがめくられる際に”ルイ=フェルディナン・セリーヌは“城から城”の中で書いている。“歴史が、変人連中全員を寄せ集めると、壮大なダンスホールが始まる! 帽子も首も、ぐるぐる回せ! パンティーは船外に投げ出せ!”

人類学者のジョセフ・テインターは、著書“複雑な社会の崩壊”の中で、ローマからマヤに至る文明の崩壊を検討している。彼は、各文明は、最後には、自らが作り出した官僚的な複雑さを維持できなくなったがゆえに崩壊したのだと結論している。官僚階級が、環境のみならず、労働階級に対しても、更なる搾取を要求する。周囲の変わり行く現実に対処することができない体制によって、彼等は硬化してしまう。彼等は、アメリカのエリート大学やビジネス・スクール同様に、考えることをせず、やみくもに体制に仕えるよう教え込まれた連中、システム管理者を大量生産する。これらのシステム管理者連中は、その体制に仕えることは、自国からも、地球からも、腹わたを抜きだすことを意味するにもかかわらず、ひたすら、いかにして自らと、彼等が仕える体制を持続させることしか知らないのだ。アメリカのエリートと官僚連中は、過去に機能していた体制がもはや機能しないことを見落として、それを維持する為に、地球を枯渇させているのだ。エリート連中は、自らの特権や権力を危うくするような改革について熟考することはせず、帝国のたそがれの中、紫禁城やヴェルサイユ宮殿の様な壁に囲まれた屋敷の中に引きこもる。彼等は自らの現実を発明した。ウオール街や大企業役員室の連中は、こうした行動を再現しているのだ。彼等は、化石燃料と投機にずっと依存することで、帝国を維持できると主張する。国家資源は、テインターが書いている通り、最後は、益々ぜいたくな、愚にもつかないプロジェクトや、帝国主義的冒険に濫費される。そして、そうしたもの全てが崩壊するのだ。

我々の崩壊は地球丸ごと道連れにするだろう。

電子的な幻影のとりこになっている方が、より快適であることは、私も認める。理知的に確認をするより容易だろう。快楽主義や自己と金の崇拝という病を受け入れる方がずっと愉快だ。有名人のうわさ話をおしゃべりしたり、現実を無視したり、取り合わなかったりする方が、ずっと気持ちが安らぐのだ。

トーマス・マンは“魔の山”で、ヨーゼフ・ロートは“サヴォイ・ホテル”で、心のこの独特な状態を見事に記録に留めた。ロートのホテルでは、最初の三つの階には、高慢な、裕福で、道徳観念のない政治家、銀行家や事業主達が、ぜいたくに暮らしている。それ以上の階は、生活するために苦闘し、貧窮し、追い出されるまで、その所有物を奪われ続ける人々で、すし詰めだ。腐敗した支配層エリートには、振り付けられた議論やら、精巧な政治茶番にもかかわらず、政治イデオロギーは皆無だ。最後はいつもそうであるように、権力者が莫大な富を独占する一つの巨大な腐敗した盗賊政治なのだ。

第二次世界大戦直前に、ナチス・ドイツを逃れてパリにいたユダヤ人知識人のロートに友人が尋ねた。“一体どうして、そんなに飲むのかね?”ロートは答えた。“君は逃げられるとでも思っているのか? 君だって抹殺されるぞ。”

Chris Hedgesのコラム記事は、Truthdigに毎月曜日に掲載されるが、彼は20年間、中米、中東、アフリカとバルカン半島で海外特派員を経験してきた。彼は50ヶ国以上から報道し、クリスチャン・サイエンス・モニター、ナショナル・パブリック・ラジオ、ダラス・モーニング・ニューズ、ニューヨーク・タイムズで働いたが、ニューヨーク・タイムズでは15年間、海外特派員をつとめた。

記事原文のurl:www.truthdig.com/report/item/the_folly_of_empire_20131014
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首相の空虚な演説なるものの全文が大本営広報紙に載っていた。読む元気が全く起きない。まことに、

帝国の末期には、無責任で常軌を逸した間抜け連中に十分な雇用と権力が与えられる。

ブログ神州の泉の、また出て来たか、竹中平蔵!!TPPの前哨基地『国家戦略特区』を立ち上げたのは竹中平蔵だ!!も、無責任で常軌を逸した間抜け連中に十分な雇用と権力が与えられる様子を克明に書いておられる。

属国は宗主国を模倣する。政治家の固有名詞を日本のそれに置き換えるだけで、そのまま通用する記事。

耕助のブログ No.689 持続可能な社会への希望に、まさにこのジョセフ・テインターの著書“複雑な社会の崩壊”のことが書かれている。

大本営広報部、今年の標語を添削させていただくとこうなる。完璧?

『いつの日も 真実に 向き合う記事がない』

秘密保護法案で政府公明大筋合意。どこまでも、ついて行きます下駄の雪。平和を目指すどころの政党ではないこと連立の始めから分かっている。

幻影の時代: マスコミが製造する事実”、18, 19歳の頃に読んだ記憶がある。最近再読したが、いまでも決して古びていない。

「ジャーナリストを装うご機嫌取り」ではない稀有なIWJの報道、大本営広報部と対照的な貴重情報源。大本営広報部が絶対に報道しない話題を知ることができる。例えば、

99%の為のこの貴重な活動、資金的に苦しいという。大本営広報部の紙媒体や電波媒体ならば、たとえいくつか消滅しても痛痒を感じないが、このような独立報道が弱体化するのは非常に困るので、貧者の一灯をと考えている。

「ロバート・マクチェズニー『資本主義がインターネットを民主主義の敵にする』について語る」で、マクチェズニー教授はアメリカのジャーナリズムについて下記の様に言っておられる。全く正論。

この国には途方もない人数の有能な人があふれています。この国は有能な人に満ちています。ここで不足しているのは、彼らを支える資金です。素晴らしいメディアの仕事をしている沢山の人々がいる事実は嬉しいことですが、彼らがきちんと食べられるようになって欲しいと思います。家族を持てるようになって欲しいものです。彼らの頭上には屋根があって欲しいですし、昼間の別の仕事や家事の残り時間で、ジャナーリズム活動をするというようなことを無くしたいです。子供達を寝かせ着けた後、家を掃除し、会社での仕事に行くべく目覚めるよう床につく前、夜11:00に作業する人々が、報道や文化を担っていては、自由な社会は築けません。資金の保障がなければいけません。我々に必要な良いもの、文化、ジャーナリズムを生み出すことが出来る人々が、まともな報酬を得られるようにすべきです。

カンパのお願い

岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

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