オバマのAPEC参加キャンセルで、TPP妥協交渉は粉砕された
2013年10月4日
Press Release - ジェーン・ケルシー教授
アメリカ財政の行き詰まりが、環太平洋戦略的経済連携協定を混乱に陥れ、年末迄に協定をまとめられるという、あらゆる主張を確実に潰してしまいました、とオークランド大学のジェーン・ケルシー法学部教授は語っている。
オバマ大統領のAPEC参加キャンセルで、TPP妥協交渉は粉砕された
‘アメリカ財政の行き詰まりが、環太平洋戦略的経済連携協定を混乱に陥れ、年末迄に協定をまとめられるという、あらゆる主張を確実に潰してしまいました’、とオークランド大学のジェーン・ケルシー法学部教授は語っている。
ホワイト・ハウスは午後4時頃(ニュージーランド時間)オバマ大統領が、APEC参加の為のバリ訪問をキャンセルしたと発表した。そこで、TPPに対する政治的取引が進むだろうと期待されていたのだ。
オバマ大統領が既に、アジア訪問でマレーシアとフィリピンをキャンセルしており、この地域におけるアメリカの存在感を力説し、アメリカはアジアを重要だと考えているという印象をアジア政治指導者達に与えようというアメリカの戦略にとっての打撃と見なされていた。
どうやら、APECでは、ジョン・ケリー国務長官がオバマ大統領の代理を務めることになるだろう。おそらく、これはケリー国務長官が、バリで並行して行われるTPP参加国指導者会合の議長をつとめるだろうことを意味する。
‘TPPを年末迄に完了する予定だという彼等の主張は既に非現実的と思えます’、とケルシー教授は語っている。
先週の首席交渉官会議では、意見不一致の主要分野について大きな進展はなかった。
交渉は‘大詰め’段階だと主張しているが、4つの章 - 知的所有権、医療テクノロジーにおける透明性、国有企業と環境- は全くの混迷状態だ。
アメリカは、依然として農産物の市場参入問題に時間を費やしている。
しかも、アメリカ大統領は、ファースト・トラック権限を自分に与えてくれるよう、議会に正式に働きかけていない。この権限がなければ、12ヶ国が合意したどのような‘最終’協定でも、議会がずたずたにできに。
既に、水曜日、外交問題評議会のブログは、オバマ大統領の東南アジア訪問は無駄だと言い、たとえ彼等がTPPを実際まとめたとしても、オバマ大統領が、再度、ファースト・トラック権限を議会から得られる可能性はあるまいと予言していた。‘ファースト・トラックが無く、TPPの広大な範囲を巡る、議会の実に多くの懸念があるので、米国連邦議会にたどり着くやいなや、廃案になる可能性が高いだろう’。
‘TPPは益々おぼつかないものになったように見えます’、とケルシー教授は語っている。
‘今こそ、中央政府は一歩さがって、21世紀にニュージーランドの利益を向上させる、より進歩的な方法について、民主的議論をするべき時なのです ’。
内容の元記事はscoop.co.nz
元のurl
記事原文のurl:www.itsourfuture.org.nz/obama-cancels-apec-trip-tppa-trade-off-talks-torpedoed/
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ジェーン・ケルシー教授編著『異常な契約TPPの仮面を剝ぐ』が翻訳・刊行されている。
本当にあやうくなれば嬉しいことだが、完全に潰すまで気は許せない。案の定、おかしな動きの記事が出た。統一したルールの包括的な協定を目指していたはずが、支離滅裂。経済規模の大きい日本さえ籠絡できれば、その他はどうでもよいということか?
TPP、新興国に別基準 2013年10月5日(土)17時29分配信 共同通信
【ヌサドゥア(インドネシア)共同】環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加国がマレーシア、ペルー、ベトナム、ブルネイの新興4カ国に配慮し、目標到達期間などで先進国とは別の基準を設ける方向で検討していることが5日分かった。難航している知的財産や国有企業改革の分野で日本や米国などが新興国に譲歩する形。実現すれば協議の打開につながりそうだが、貿易や投資の共通ルールを目指すTPPの理念が揺らぐ恐れもある。
米政府機関の一部閉鎖、TPPのヨーロッパ版にも影響。
米、対EU自由貿易交渉を中止 政府機関一部閉鎖で 朝日新聞デジタル 10月5日(土)10時48分配信
【ブリュッセル=野島淳】欧州連合(EU)欧州委員会のデフフト委員(通商担当)は4日、ブリュッセルで7日から開く予定だった米国との自由貿易協定の2回目の交渉が中止になったことを明らかにした。米政府機関の一部閉鎖で、米側が交渉団を送り込めなくなったため。交渉をいつ再開できるかは未定だ。
米通商代表部(USTR)のフロマン代表から4日、デフフト委員に電話で中止の申し入れがあったという。米・EUの自由貿易協定に当たる環大西洋貿易投資協定(TTIP)は、実現すれば、世界の国内総生産(GDP)の半分を占める世界最大の地域貿易圏となる。来年中の交渉妥結を目標に、7月にワシントンで初回交渉を終えた。
デフフト委員は声明で「野心的な貿易投資協定を成就するという目標が動揺することはない」と述べた。
個人的に驚いたニュース はだしのゲン:英訳者の講演中止 東京の中学 毎日新聞 2013年10月05日 07時37分(最終更新 10月05日 13時00分)一部引用させていただこう。
広島での被爆体験を描いた故・中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」の英訳出版に尽力した米国人翻訳家、アラン・グリースンさん(62)=東京都杉並区=による生徒への講演を4日に予定していた同区立井荻中学校(赤荻千恵子校長)が、前日に急きょ中止したことが分かった。講演は別の講師に差し替えて行われた。グリースンさんは「『近ごろの事情』などと曖昧な説明を受けたが、圧力や自己検閲があったのか」と話している。
講演は「いのちの教育」と題し、「いのちについての考えを深め、自他のいのちを尊重する心を養う」のが目的だった。
グリースンさんは1977年から、複数の中沢さんの漫画作品の翻訳と米英での出版に尽力。2009年には、金沢市の主婦らによるグループが米国でゲン10巻を完訳出版した際も監修した。原爆関連では、広島県立広島第一高等女学校の生存者による文集「平和への祈り」英語版の翻訳・編集も担当した。
英語学習の押しつけには大反対。しかし、宗主国の戦争犯罪批判さえできるだけの英語力がつくであろう「はだしのゲン」英語訳。その駆動力となった方の講演なら、是非とも伺いたい。若い人々にも聞いて頂きたいものだ。
こうしたまともな発言・行動はどんどん隠蔽され、異常な施策を推進する正気と思えない諸氏の尊顔・発言ばかり押しつけられる断末魔日本の典型的事件。
現首相の祖父が安保条約改定を強行した際には全国的反対運動が起きた。
当時子供だったので、大本営広報部がどのような報道をしていたか記憶はない。
教室か廊下でスクラムを組み「安保反対」と叫んで遊び、教師に叱られたのを覚えている。何故怒られたのか今でもわからない。新聞で読んで、「安保反対」スクラム遊びができたとは思えない。テレビで放送していたのではないだろうか?
TPP強行、集団自衛権・憲法破壊、秘密保護法、共謀罪、原発再稼働・輸出、東電福島原発のいい加減な対応と、現首相の異常施策てんこもりに、祖父に対する反対運動の何十倍、何百倍の規模で反対運動が起きてしかるべきだろうに。
もっとも、当時の主流派全学連には、宗主国やら属国財界から資金援助されていたという当事者の証言もある。資金、今は売国軍国主義?運動等に流れているのだろうか?
日米安保には、一方が破棄を通告すれば終了できることが明記されている。
大企業による国家丸ごとのっとり条約TPPには、「一国が破棄を通告すれば終了できる」ことが明記されているか否かも全くわからないまま、交渉を進め、妥結させようと、宗主国と、世界最大の傀儡国家の首脳が躍起になっている。自分の首を絞めずとも、99%の国民の首を進んで絞める売国行動。
とんでもない政策に対する反対運動がなかなか拡大せず、反対運動が行われても、全く報道されない大きな理由、大本営広報部の洗脳・隠蔽活動だろう。
思い出すのは「七社共同宣言」。もちろん当時読んだわけではないが、史実として、強力な反対運動も6月17日の「七社共同宣言」ですっかり流れが変わった。
以来まともな反政府デモ、そして反政府運動のテーマとなりそうな話題は、大本営広報部は意図的に徹底的に排除している。そうした環境なしに、異常な政党が与党になったり、異常な政策が強力に推進されたりするはずがないだろう。
鎌田慧 公式ブログ
反撃 七社共同声明以降のマスコミの変質 2013年04月13日(土)にも同じ趣旨の記事が書かれている。2013年3月発行の『反撃 民意は社会を変える』第4章からの引用という。
「七社共同宣言」以降のマスコミの異常さは、孫崎享氏もTwitterで触れておられる。
TPPについて情報を得るのに、大本営広報部は、百害あって一利ない。
【特集】IWJが追ったTPP問題を読まれることを強くお勧めする。
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