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2013年9月 1日 (日)

オバマ、専制を暴露

Paul Craig Roberts

2013年8月31日

アメリカ政府は“世界で最も偉大な民主主義”を気取っている。アメリカ政府は、露骨な侵略行為、他の国々に対する、明確な紛れもない戦争犯罪の正当化として、アメリカは民主主義を広めているのだという主張を利用してきた。アメリカの戦争は民主的決定の結果ではないという明白な事実にもかかわらず、その違法性を、アメリカ政府は民主的な言辞で覆い隠している。

超憲法的で、超法規的な戦争への支持を得る為に、アメリカ政府は欺瞞と嘘超を利用してきたが、アメリカ政府の戦争は、アメリカ合州国の憲法上/民主的な枠組みの埒外で行われてきた。

オバマの対リビア戦争は、議会の関与無しに行われた。そして今オバマは、議会による投票無しで、シリア攻撃を計画して、またもや、アメリカでは、余りにも民主主義からほど遠いことを暴露した。憲法が議会に対して与えている決定を、皇帝がしてしまう場合、民主主義は一体どこに存在するだろう?

世論調査では、アメリカ国民の80パーセントが、アメリカ軍のシリア攻撃には、下院と上院による承認が必要だと考えていることが判明している。ところが、オバマ政権は、意図的に、そのような投票を避けている。オバマ政権は、証拠を見て、それについて論議し、アメリカ軍のいかなる軍事攻撃の前に投票することを要求する162人の下院議員による書状も無視した。

議会の承認無しに、何らかの戦争命令を遂行することは、アメリカ軍にとって、反逆行為だ。アメリカ合州国憲法を守る誓約に違反する軍司令官は、アメリカ合州国に対する大逆を犯すことになる。もしアメリカが本当に合法的な民主主義であれば、そのような司令官は、逮捕され、裁判にかけられることになろう。

行政府と軍が憲法と民主的プロセスをかいくぐって活動しているという事実は、アメリカが民主主義ではない証明だ。

昨日のコラムで、オバマや、その売女マスコミや、オバマ信者連中は、非常に重要なことを見過ごしていると私は書いた。一つは軍事侵略は戦争犯罪であることだ。過去、ブッシュとオバマには、“有志連合”や、NATOや、何らかの限定的な“議会の協議”や曖昧な決議、あるいは政権の行為を対象にするよう無理やり拡大解釈された国連決議等の、連中の戦争犯罪に対する言い訳があった。

こうした事のどれ一つとして、決して十分な法的支援にはならない。こうしたものの価値は、アメリカ行政府に加え、他の国々や機関も戦争犯罪に加わったという事実にある。数が多ければ、安全になるのだ。欧米世界を丸ごと戦争犯罪で告発すれば、欧米世界丸ごと、自分達の言い訳の有効性を主張することにしかならない。

しかし今回、政権への掩護は皆無だ。“有志連合”は無く、国連決議も無く、NATOの支持も無く、オバマは議会もアメリカ国民も無視している。オバマがシリア攻撃を進めれば、それは責任を負わない独裁者の行為となろう。彼の戦争犯罪を掩護するものは皆無だ。

シリアとの戦争を急ぐオバマの努力は、嘘を言わない正直な政府としてのアメリカ政府の信頼性を破壊してしまった。世界中、ワシントンの最も卑屈な傀儡国家ですら、アメリカ政府には、その主張を裏付けする証拠がないことを認めている。誰もオバマやケリーを信じていない。二人とも世界中に自分達が図々しい嘘つきであることをさらけ出した。

これがアメリカ政府に対するあらゆる信頼を損なってしまった。そして今、オバマは、アメリカには、民主主義ではなく、独裁者がいるということを証明しようと決意しているように見える。

アメリカにとって、オバマが与えたものより深刻な打撃を想像することは困難だ。ワシントンのプロパガンダ用の“世界で最も偉大な民主主義”等の、あらゆる重要な小道具は、今や犯罪活動であることが暴露されたものの足元から追い出されてしまった。

ロシアのプーチン大統領は、オバマとケリーの口から止まらずにほとばしり出る嘘に対する軽蔑をあからさまにした。プーチンは、オバマの主張を“全くばかげたこと”だと言った。プーチンは、もしアメリカに何か証拠があるというなら“国連調査団と安全保障理事会に、それを提示させようではないか”と言った。

実際、存在している証拠は、化学兵器攻撃は、反政府勢力側によるもので、正しい取り扱い方の説明無しに、サウジからもらった化学兵器を輸送していた“反政府勢力”によって引き起こされた事故である可能性があることを示している。兵器で自分達も被害を受けた反政府勢力と話をした記者のデール・ガヴラクは、シカゴ大学卒の中東専門家で、彼がAP通信、ナショナル・パブリック・ラジオと、BBCに報じたのだ。http://original.antiwar.com/Dale-Gavlak/2013/08/30/syrians-in-ghouta-claim-saudi-supplied-rebels-behind-chemical-attack/

アメリカ・マスコミは報じないもう一つの視点として、サウジ諜報機関のトップ、サウジのバンダル王子が、シリアをアメリカに引き渡すよう、プーチンを買収し、威嚇しようとしたという、イギリスのテレグラフ紙のアンブローズ・エヴァンス-プリッチャードの記事をお読み願いたい。報道では、バンダル王子は、プーチンに、サウジ-ロシア石油カルテルを申し出て、プーチンに、ロシアの冬季オリンピックに対する、チェチェン人テロ攻撃に対する保護を提案したという。http://www.telegraph.co.uk/finance/newsbysector/energy/oilandgas/10266957/Saudis-offer-Russia-secret-oil-deal-if-it-drops-Syria.html

こうしたこと全て、アメリカ人にとっては、とうていありそうも無いことに聞こえるかも知れないが、アメリカ政府が言っている話の何より遥かにもっともらしい

シリア“反政府勢力”は化学兵器を入手できないというアメリカ政府の主張は、明らかに嘘だ。5月30日、あるイスタンブールの新聞は、トルコ警察が、アル-ヌスラがアダナ攻撃で使用することを計画していたサリン・ガスを所有しているアル-ヌスラ“反政府勢力”を逮捕したと報じている。http://www.todayszaman.com/news-316966-report-police-foil-al-nusra-bomb-attack-planned-for-adana.html

化学兵器を使用すれば、アメリカは反撃すると繰り返し主張してきて、化学兵器を使用したのは、アサドではなく、“反政府勢力”であることが明らかになった今、オバマとケリーは一体どうする気だろう? オバマとケリーは“反政府勢力”を攻撃するだろうか? オバマとケリーは、化学兵器を“反政府勢力”に与えたかどで、サウジアラビアを攻撃するだろうか? 期待されないように。

私の博士号論文の指導教官、G・ウォレン・ナッターは、メルヴィン・レアードによって、国際安全保障問題担当の国防次官補として、ペンタゴンに取り立てられ、ベトナム戦争段階的に縮小させるという課題を与えられた。ナッターは、秘密と欺瞞に基づくアメリカ外交政策に反対した。アメリカ外交政策は、透明で、国家の原則と一貫していて、国民を支持を得たものであるべきだと彼は確信していた。秘密と欺瞞に基づく政策は、民主主義や、アメリカ政府に対する国民や、外国人の信頼を損ねることになろうと。

今日、ワシントンには、ウォレン・ナッターのような人物は皆無であり、彼の様な人は、長年、政府にいなかった。ナッターが予見した通り、結果は、政府に対する国民の信頼の喪失と、世界情勢におけるアメリカの孤立だ。

オバマは、ドイツがポーランドを攻撃した時のアドルフ・ヒトラー同様に、孤立した軍事侵略を今にも始めようとしている。

更新: アメリカ東部標準時、午後4:00

ホワイト・ハウスのばか者は、愚かな顧問連中からではなく、大手マスコミならぬ代替メディアのおかげで、自分が世界で孤立していることに気がついて、シリアに対する戦争犯罪を掩護してくれる国が皆無、議会の承認がえられるまで待つつもりだと宣言した。

ホワイト・ハウスのばか者が、議会の承認無しに、戦闘を行うことは憲法違反だという161人の下院議員からの書状によって動かされたことも疑いない。書状には弾劾の恐れも書き記されていた。

“シリアにおいて、アメリカ軍の使用を命ずる前に、議会と協議し、承認を得られるよう、我々は強く大統領に要求する。大統領がそうする責任は、憲法と1973年戦争権限法に定められている。

“建国の祖達は、賢明にも、大統領府に、緊急時に行動する権限を与えたが、彼等はアメリカ軍を投入する前に、公開討論と、議会の積極的な関与を確保する必要性をも予見していた。アメリカ合州国に対する直接の脅威が存在しないのに、議会による事前承認も無しで、シリアに軍事行動を行うことは、憲法で明確に規定されている権力の分立への違反となろう。” http://antiwar.com/blog/2013/08/31/impeachment-congress-fires-opening-shot-across-obamas-bow/

行政府に憲法を順守させる責任を自覚した、少なくとも161人の議員に、我々は感謝すべきだろう。おそらく行政府の嘘が余りに恥知らずなものとなった為、その効果を失ったのだ。喧伝された“テロリストの脅威”を恐れる代りに、国民は今やホワイト・ハウスの独裁者の脅威を目にしている。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2013/08/31/obama-reveals-his-dictatorship-paul-craig-roberts/
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世界中、ワシントンの最も卑屈な傀儡国家ですら、アメリカ政府には、その主張を裏付けする証拠がないことを認めている。

と筆者はおっしゃるが、TPPという企業による恐怖の国家支配政策を一緒に推進する「日本」、シリア侵略でも、宗主国につき従う重要な主要属国を演じている。

新聞、「TPPのプロパガンダ報道の為、現地にかけつけた売女マスコミの数、日本が圧倒的」と報じている。
マスコミの数と、報道の内容は、完璧に反比例している。
そもそも、その報道、日本人ステークホルダー参加者?と思われる方をかこむ売女マスコミ諸氏が写った写真が載っているだけ。紙とインクの無駄でしかない。

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コメント

たぶん今回もCFRが画策した事件であろう(エージェントによる自作自演)。国連もイギリスもアメリカ議会も全て出来レース。中央銀行設立を目的とした極悪人共(イスラエル・ユダヤ・国際金融資本両替商たち)による茶番劇である。

朝日新聞解約した。広告と御用情報をわざわざカネ払って買うのは愚かで環境破壊。

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