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2013年9月15日 (日)

新世界秩序のバベルの塔

ニコライ・マリシェフスキー

Strategic Culture Foundation

2013年9月4日 00:00

イラク、リビアとシリアでの最近の出来事には、注意深く覆い隠されている一つの共通要素がある。アメリカの‘解放者達’による博物館の略奪と、あらゆる地層の豊かな古代文化遺産の破壊だ。例えば、アメリカ人がバグダッドの博物館を略奪した後、略奪品の大半は西洋の闇骨董市で投げ売りされたに。これも、ヤンキーによる対ダマスカス軍事作戦の動機の一つだ。違法な骨董品取引は、麻薬取引に劣らず儲かると見なされている。

ところが、財宝の単なる略奪で全て終わりというわけではない。遥かに大きなものが危険にさらされているのだ。貴重な過去の人工物を選択的に破壊することによって、将来を支配するのだ ...シリアの首都は、世界で最も古い都市の一つ(6,000-8,000年の歴史があると考えている考古学者もいる)というだけでないことを忘れるべきではない。ダマスカスはイスラム教、ユダヤ教とプロテスタントの終末論上、極めて重要な都市だ。

過去を支配するものは、将来を支配する。現在を支配するものは、過去も支配する。イギリス人作家・評論家で、心理戦争の専門家、ジョージ・オーウェルのこの言葉は、世界中で知られている。歴史的なルーツを切断し、ある国の過去を変え、未来を支配することで、最も強固な国々さえ破壊しうる。

記憶喪失した人を想像願いたい。その人物は、他の人の所に行って、昔の自分は誰だったのか尋ねるのだ。尋ねられた人物は、質問した人物は、記憶を失う前は、自分の主人で、あらゆることでお世話になっていると答えることも可能だ。あるいは、質問した人物は、記憶を失う前は、自分の奴隷で、あらゆる世話をしてやっていたと答えることを可能だ。そして、もし記憶を無くした人物が、自分が一体誰だったのかを思い出せなければ、その人物は結局、残りの人生を、与えられた生活で過ごさざるをえなくなる。一つの国民全体に対して、そういうことをすることが可能だ。例えば、古代の知識の全保管所(博物館、図書館)破壊したり、内容を自分の都合の良い様に変えたりして、その国民の記憶を切り離すのだ。

現在、これに似た様なことが、地球規模で行われている。全人類の歴史を書き換える準備が進行中だ。アメリカによるイラク侵略後に、このプロセスは始まった。専門家達は、イラクの博物館(バグダッド、モスル等)の略奪を、今世紀最大の文化的大惨事と見なしている。これらの博物館は、先史、シュメール、アッシリア、バビロニア、イスラム時代の収蔵品を保管していた。アメリカ侵略後、約200,000点の芸術作品や文化遺物が、イラクの博物館や図書館から盗まれた。ウル、シュメール、バビロン、アッシリアの古代文明や、人類文明の揺り籠の一つメソポタミア他州の傑作を含め、こうしたものの大半は世界的に貴重なものだ。

世界新秩序のバベルの塔のイデオロギー基盤生成には、二つの側面がある。遺跡に関する面と、博物館に関する面だ。

遺跡に関する面は、爆弾と装甲車両の両方を用いた、発掘現場の意図的な破壊と関連している。イラクを何回か訪れたことがある国立エルミタージュの研究者ナターリヤ・コズロワは言う。“何千もの判読されていないタブレットが地下にあります。というより、タブレットはもはや、そこにはないのです。その場所で、爆弾が爆発した後、残ったタブレットはありません...フセインがイラクの遺跡を大切にしたことは認めざるを得ません。古代の王達の栄光を、彼自身の支配と直接結びつけて..。サダムは、遺跡を誇りとするだけでなく、彼は文化遺産の発掘、研究と保存に、莫大な資金を割り当て、略奪者達を厳しく罰しました。1991年の戦争後、彼がこの部分の領土の支配権を失って、状況は酷く悪化しました”。

発掘現場に赴き、バグダッドから88キロの古代バビロン遺跡のあらゆる損傷を記録したロンドン大英博物館の専門家ジョン・カーチスの報告によれば、損傷は修復不能だ。犯人はアメリカとポーランドの軍関係者だ。カーチスは、大半の場合、損傷が意図的に加えられたことが判断できた。例えば、アメリカ人は何ら明らかな理由無しに、古代の街路の舗装道路に戦車を走らせた。“考古学的な都市バビロンは、損傷に耐えると期待しましたが、そうした損傷の規模は正確にわかりません...これは実に恐るべきです”というのが議会考古学委員会委員長ロード・リーズデイルによる悲劇の規模の評価だ。

在イラク第1海兵遠征軍のジョン・コールマン大佐、元大統領首席補佐官は、アメリカは、アメリカ軍兵士によってなされたバビロン破壊について、イラク人に詫びる用意があると公式に述べた。アメリカ侵略後、フォート・バビロン軍事基地は、バビロン遺跡上、古代寺院の遺跡上に直接作られた。ヘリコプター発着場や燃料補給所も、そこに建設された。兵士達は遺跡発掘現場に塹壕を堀、戦車が古代の2,600年の歴史を持つ舗装道路を、無限軌道で踏みつぶしたのだ。

同様な状況が、サハラでも、考古学的見地から豊かな部分を占めている国、リビアで起きている。フランス人考古学者アンリ・ロートによると“新石器時代、中央サハラは有史以前の人間社会で、最も人口稠密な中心地の一つだった”。

新世界秩序のバベルの塔建立という、博物館の側面は、文字も読めない“反政府勢力”によって略奪されたものと思われる、リビアのガラマにある、ガラマント人の古代建造物の野外博物館同様、地球上最古の文明の工芸品収納場所の略奪につながっている。遺物は、数十年前にZ・ブレジンスキーが、彼の著書『テクネトロニック・エージ』の中であからさまに説明した主張の“物的”証拠として、グローバリズムの司祭の必要に合うよう、しばらく後に、新たな形にまとめあげて提示する為に盗まれたのだ。ブレジンスキーが、膨大な“無目的な人々の集団”の事と、常時更新される人物調査ファイルを使って、そういう人々に対する支配を確立する必要性について書いた頃には、まだスノーデンもマニングも、生まれてさえいなかった。

“我々は、テクネトロニック・エージの方向へと進みつつあるが、それは容易に独裁制になりかねない....当局は、これらのファイルを瞬時に検索できる。権力は情報を支配する人々の手中に引き寄せられるだろう。既存の機関は、ありそうな社会危機を事前に明らかにし、それに対処するプログラムを開発することを任務とする、危機の未然管理機関に取って代わられるだろう...これは、今後数十年間、テクネトロニック・エージ、独裁制への傾向が進み、現在我々が知っている政治手順の余地を減らすだろう。最終的に、世紀の終わりの先を見通すと、生物科学的マインド・コントロールや、人の遺伝子を操作することによって、人間の様に機能し、人間のように理性のある存在物の出現の可能性が、幾つかの困難な問題を引き起こす可能性がある”。

“テクネトロニック・エージ”の栄冠は、“賢明な人々”のカーストを頂上に、それ以外の“民衆”がいて、権力中枢部が、一つの“至高の存在”を崇拝する、世界的帝国という形の世界新秩序の勝利だ。

これこそが、現在彼等が世界中の国々から聖遺物を集めている理由だ。収集は、第三帝国になぞらえて、新世界秩序のアーネンエルベと呼ぶことができる、ある種の研究所によって行われている。イラク国内で、その研究所のメンバー達は“アメリカ文化政策同盟”の資格証明書を使用し、関心のある展示物の金庫の情報を事前に入手し、その鍵も入手していた。イラク考古総局局長ドニー・ジョージ博士の情報によれば、バグダッドのイラク国立博物館で、過去100年間以上にわたって行われてきた研究活動は、完全に破壊された。博物館を調査した際、職員は盗賊達が残した、専門家用のガラス切りを発見した。“博物館にあった石膏の複製品は一つとして触れられていなかった。連中は歴史的な価値のある本物だけを奪っていった...その結果、我々は全人類の遺産を失った。5,000年前にさかのぼる貴重な芸術作品を”とドニー・ジョージ博士は証言した。

そして、2011年3月、マスコミに、下記の記事が現れた。アッシリア人の家柄の傑出した学者、ドニー・ジョージ博士が、カナダのトロント空港で、突然の心臓発作で亡くなった。イラクの博物館から盗まれた財宝の捜索に関して、カナダ人の聴衆に講義をしようとして、彼は急遽やって来たのだった。2003年から始まった、ドニー・ジョージ博士の主な関心事は、イラクの博物館から盗まれたり、考古学的発掘現場から、アメリカに持ち帰られたりした、アメリカ人によって盗まれた財宝を取り戻す為の耐えざる戦いだった。ドニー・ジョージ博士はアメリカ政府がイラクの芸術的財宝の計画的窃盗に関与していた事実を決して隠そうとしなかった。

ある種の不思議な出来事が、2011年の“革命”の際、エジプトで起きたのを思い出す方があるかも知れない。マスコミ報道によれば、社会不安の際に焼け落ちたムバラクの住宅と、騒然とするタハリール広場の間に位置するカイロの国立博物館が損害を被り、略奪されたと考えられている。実際、事は些か違う形で起きた。社会不安が始まると同時に、見知らぬ連中が博物館に現れ、仕事を熟知している彼等が、博物館の所蔵品を“徹底的に探した”のだ。連中はごく僅かしか奪わなかったが、物質的にでなく、文化的に、最も貴重な物を、一つのケースも破壊せずに奪っていった。

同様に、イラク侵略時、欧米連合軍の軍事作戦が開始される以前に、イラクに最初に入国したのは、アーネンエルベの人々だった。似たようなことが、リビアやエジプトでも起きたが、今、同様の作戦がシリアで計画されている。こうした連中は特別の任務を持っている。あらかじめ指定された遺物や財宝を探し出し、回収することだ。目標を実現すべく彼等を用意した連中の執拗さは、自分達の“神秘的な記号”、鉤十字印の旗を、エルブルス山等々に立てようと企んでいたヒトラーのSS指導部にひけをとらない。最初の略奪者として、豊富な知識を持って、博物館や他の国家施設や個人的コレクションを持つ裕福なイラク人やリビア人住宅や宮殿に押し入ったのは、こうした連中だ。今、彼等はこれをシリアで繰り返そうとたくらんでいる。

金持ちになろうという単なる狙いに加えて、こうした連中の行動にはオカルト的、神秘主義的意味が隠されている。彼等は現代イラクやシリアではなく、“天と地の基礎の神殿”エテメナンキが建設されていた、古代メソポタミアの首都バビロンの領土に入り込むのだ。この神秘的建造物は、とりわけ星の観測をする為に設計されており、聖書でバベルの塔と呼ばれていた。その四つ角は、世界の新たな主人役を狙う連中による、軍事・テロ攻撃が行われようとしている、世界の四つ角の方向に対応している。イラク、シリアやエジプトを占拠したオカルト主義者の計画では、神に逆らい、それゆえ世界中に散らされたバベルの塔を建設した人々の後裔が、彼等が不滅と信じる世界新秩序の塔を建立すべく、とうとう、その揺籃の地に帰還するのだ。

記事原文のurl:www.strategic-culture.org/news/2013/09/04/the-new-world-orders-tower-of-babel.html
----------

ロシア・サイトのStrategic Culture Foundationには同記事のロシア語版もある。

ACTA: 大企業によるインターネット簒奪という記事も、ブレジンスキーのこの著書、『テクネトロニックス・エージ』に触れている。古い本で入手は困難。あの恐怖のネット書店では、高い価格がついている。

ACTA: 大企業によるインターネット簒奪を読んだ際、気になって図書館で借りて読んだ。手元にないので、上記の引用部分は、勝手な翻訳。

ドニー・ジョージ博士の記事を検索したところ、下記記事があった。

開戦直後の文化遺産略奪 米軍は阻止へと動かなかった イラク国立博物館長が来日講演

民族の記憶の意図的破壊という主題のイラクに関する記事を以前訳した。非常に気が重くなる記事だ。

真っ赤な嘘をついて、放射能オセンピックを招致する人物が、TPPに関する選挙前の発言を守るはずはありえまい。

彼のボスターを正確に表現すると「日本市場多国籍企業にとりもどす」

1%の連中による99%からの搾取作戦、進行中。 銃弾や毒ガスや原爆こそ使用されていないが、1%の連中による対99%ショック・ドクトリン作戦(戦争)は、ずっとしかけられたまま。大本営広報部、別名、マスコミは、そうした攻勢を覆い隠すのが業務だろう。

そうでなければ、彼等の目に余る、TPP報道管制、理解できない。(それを言えば、憲法破壊、基地推進や、東電福島原発事故原因・責任者追求の甘さ等も、全て、宗主国・属国1%の為の業務。)

TPP加盟を前に、小学生や、大学生の英語学習強化が進んでいる。社内では、英語で仕事をする企業もあるという。
こうした動きのゆきつくところ、上記の記事と同じ。民族の記憶たる古典や近代日本文学を、原語の日本語で読めない民が暮らす自治領になるだろう。

英語化推進、愛国者の良質な保守的行動ではなく、売国奴の破壊的自傷行為。

祖父が満州を経営した孫は、日本をアメリカにとっての満州として差し出すこと任務に邁進している。国土も国民もまるごと。

売国とローマ字で書く三代目

そう言って、寝ていて済むわけではない。

東京で近く開催される反TPPの催し、いくつか。

【9/21】シンポジウム「国民生活とTPP
―交渉の内幕・憲法から見たTPP」 


●日時:9月21日(土)13:30~16:30
●場所:文京区民センター 3F 3A 定員250名
地下鉄春日駅、後楽園駅下車
地図 http://www.cadu-jp.org/notice/bunkyo_city-hall.htm
●会費:1,000円
●パネリスト
宇都宮健児さん
(前日弁連会長。TPPに反対する弁護士ネットワーク)
内田聖子さん
(アジア太平洋資料センター(PARC)事務局長)
●司会三宅雪子さん(前衆議院議員)
●主催:TPPを考える市民の会


暮らしの中からのTPP反対を 「ひとりひとりができる行動」の実現に向けて

【日時】9月28日(土)13:30〜16:00(開場 13:15)
【場所】全電通会館
・東京メトロ御茶ノ水駅B3出口
・JR御茶ノ水駅 聖橋口出口

【基調講演】
「TPPが引き起こす弱者へのしわ寄せ」
講師:辛淑玉(シン・スゴ)さん

【パネルディスカッション】
・超完衡(チョウ・ワンゴン/ハンサリム連合事務理事)
・孔賢貞(コン・ヒョンジョン/韓国女性農民会)
・菅野芳秀(かんの・よしひで/TPPに反対する人々の運動共同代表)
・野々山理恵子(ののやま・りえこ/パルシステム東京理事長)

主催:パルシステム連合会
共催:TPPに反対する人々の運動
協力:STOP TPP!! 市民アクション

【9/29】★シンポジウム
「知らなかったではすまされない!―TPPと国家戦略特区


●日時:2013年9月29日(日)13:30~16:30
●会場:明治大学 リバティータワー 12階 1126 (定員140人)
JR/地下鉄御茶ノ水駅下車
地図 http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html
●内容:
1.改めて学ぶTPPの基礎知識
:安部芳裕
2.TPP交渉の現在
: 内田聖子(PARC事務局長)
3.アベノミクスの目玉「国家戦略特区」とは?
:奈須りえ(前大田区議)
4.TPPと国家戦略特区の関連を読み解く
:郭洋春(立教大学)
5.上記4人でのパネルディスカッション+質疑
●参加費:500円 ※お釣りのないようにご用意ください。

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コメント

あの国は広島長崎原爆投下や東京をはじめとして日本各地を大空襲して非戦闘員一般市民を大虐殺したのに当の日本国民の私たちは一体何なんでしょうか。あの国にシッポを振って今に至るまで盲従。愚者以上でしょう。あの国と一緒になって世界に災いをもたらす罪な隷属国にして思考停止のおめでたい国民。

 やなぎさん、どうも。

 正しいか正しくないかはさておき、中国・ロシアの問題の場合は国内問題の範疇でくくれますが、欧米の場合は多くの場合露骨な植民地主義を隠し、人権や正義をかたって他国を侵略します。まあ中東ではイスラエルが欧米植民地主義の最前線として機能しています。中国やロシアの場合はそのような都合の良い存在はないので、人権派もどきには敵視されます。化学兵器問題でもベトナムには300万以上の枯れ葉剤被害者がいますが、その戦争犯罪者の系列が人権をたてにシリアの化学兵器について語るのを黙って聞けるほどに私たちは愚者にもうなれ果てているのです。

 

>米国の息がかかったNGOにイスラム教徒は扇動されて「過激化」しているとのことですが、これではまるで「過激化」する人々には思考力や自主性がないと言っているようにも聞こえます。

米国が中東の民主主義をつぶすために、宗教原理主義を煽ったのは常識ですし、アフガンで宗教原理主義を煽りソ連に介入させたのも米国です。サウジアラビアとイスラエルがシリア侵略の急先鋒であるのは、この文脈で容易に理解できるでしょう。

▼日本語で読む中東メディア

特集「タクフィールとは何か」(2):アボルガーセム博士に訊く2013年08月31日付 Jam-e Jam紙
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/news_j.html

・・・

残念なことに、今日ワッハーブ派という迷いに満ちた宗派の指導者たちは、こうした思想を有している。彼らは理由もなく、人々をカーフィルだと告発している。言うまでもなく、彼らはこうした行為によって、望むと望まざるとにかかわらず、知ってか知らずか、物質的な富も手に入れている。恐らく彼ら自身も、西洋が彼らを支援しているのは、こうした過激な思想が理由だということを知らないのであろう。

 こうした行為によって、西洋はイスラーム諸国を不安定化させ、安定確立のために、西洋への依存を彼らの間に自然と作り出そうとしているのである。パレスチナ問題や世界のその他の地域で起きている不正義・圧制に対するムスリムたちの抗議運動に対して、西洋は暴力の潮流を作り出すことで、心を安らかにしているのだ。

・・・

いつも記事を読ませていただいております。ありがとうございます。『世界の指導的役割を担うプーチン』を読んでコメントを投稿しようと思いつつ躊躇していたのですが、この記事を読んで投稿する気になりました。貴ブログの趣旨に合わない内容かもしれませんし、長文ですし、ご不快であれば破棄してください。

『「シベリアに独立を!」諸民族の祖国(パトリ)をとりもどす』(田中克彦 著)という本があります。ブログ主さんは以前、『漢字が日本語を滅ぼす』を紹介されていましたが、そのとき初めて私はこの著者の本を手に取りました。図書館で借りて読んで手元にない本なので、うまく要約できないのですが、要は、中国におけるチベットやウイグルと同じようなことがロシアでも進行中であり、言語・歴史の抹消をも伴っているということです。プーチンは2002年、法改正で「ロシア連邦共和国の諸民族の言語はキリル(ロシア)文字で書かねばならない」と決めました。田中氏は、「悪名高いソビエト同盟(ソ連邦)ですら、文字にまでは手をつけなかった。」と言います。
その「悪名高い」ソ連邦が何をしたかというと、ソ連邦の共和国のひとつであるブリヤートモンゴル自治ソビエト社会主義共和国の汎モンゴル主義運動(ソ連邦のブリヤートモンゴルと中国の内モンゴルは、もともとモンゴル(人民共和国)の一部)を根絶やしにするため、ソ連の学者を総動員して、「ブリヤートモンゴルは、モンゴル民族とは異なる「ブリヤート語」を話す「ブリヤート民族」である」との物語を捏造し、彼らの民族名、言語名まで変更しました。さらにこの共和国を五つに分断し、その重要な部分をロシア連邦直轄領に組み込みました。ソ連邦が激烈な弾圧を行ったのは、当時、満州国が、満州に住むバルガ族に高い自治権を与えており、これを受けて汎モンゴル主義運動が強まることを恐れたからでした。2006年、プーチンは、二つのブリヤートモンゴル自治民族管区を、ロシアの州に吸収させ地上から消滅させました。


『植民地としてのモンゴル-中国の官制ナショナリズムと革命思想』(楊海英 著)も借りました。これによれば、日本の敗戦後、中国は、現在のチベットやウイグルに対する弾圧とは比べものにならないほどの大量虐殺・拷問を伴う同化政策を、「社会主義国家建設」の美名のもと、内モンゴルに対しておこないました。著者は極めて辛辣に中国を批判しているため、彼の言葉をそのまま受け止めていいのか疑問を感じる部分もあります。ただ、日本帝国が内モンゴルの一部をもぎとって満州国を建国し、その後、モンゴル人の意志に反して、中国が内モンゴルを自らに組み込んだという歴史があります。この本から感じるのは、満州国建国と中国による内モンゴル吸収とは無関係ではないにもかかわらず、そうした歴史からは目をそらし、中国による同化政策に対して沈黙を続ける日本に対する楊氏の「強い怒り」です。

ロバート氏の前回の記事を読んだ時、わたしが真っ先に思い出したのは、この楊氏の「強い怒り」でした。内政・人道問題を口実に武力行使を正当化する動きには最大限の警戒をしなければなりませんが、外交的に国際法を尊重するからといって、プーチンを「人間味ある」人物として評価してよいものでしょうか。この記事を書いたマリシェフスキー氏は、「米国による全人類の歴史の書き換え」はだめだが、「ロシアによるブリヤートモンゴルの歴史の書き換え」は内政干渉だから口出しするなとでも言うのでしょうか。


そもそも、プーチンはロシアの経済発展のために外国からの投資・技術を欲しており、国際法に基づくものであろうがなかろうが関係なく、秩序のある世界を必要としています。また彼には、他国(他者)によるロシア侵略を阻止することに対して断固たる決意があり(国を売ることを固く決意している某国政治家たちに爪の垢でも・・・)、それ自体は悪いことではありませんが、それを成し遂げるためなら、何を犠牲にしても構わないと考えているようです。ですから、シリア政府によるシリア国民の虐殺には沈黙していますし、昨年だったか、「米国がアフガニスタンを占領し続けてくれる方がロシアの国益にかなう」と公言しました。チェチェンに化学兵器を使ったと言われています。チェチェン弾圧の正当化の論理は、米国の「対テロ戦争」と同じで、昨年10月にロシア国営ノーボスチ通信社は「「(ロシア警察・軍はこの数か月間で北カフカスで)313名のテロリストを殺した」とプーチンは言った」いうニュースを発信しました。これが「人間味のある」人間がすることでしょうか。

また、ロバート氏のオバマはだめだがプーチンは良いという理屈は、「前回は自民党はだめだから民主党に、今回は民主党はだめだから自民党に投票する」単純思考回路に似ています。二者択一式に世界を見ている限り、私たちは支配層に都合の良い意思決定しかできないと思います。

もう一点。ロバート氏は「アメリカ政府は、イスラム教徒を過激化させ、対立をロシアと中国のイスラム教国民の間に広め・・・」といった説明をしばしばしますが、確かにそういう一面はありますが、それだけでしょうか。ロシア・中国で少数民族が弾圧されている事実は無視ですか。また、米国の息がかかったNGOにイスラム教徒は扇動されて「過激化」しているとのことですが、これではまるで「過激化」する人々には思考力や自主性がないと言っているようにも聞こえます。沖縄の人々が自決権を求めるのは、誰かに扇動されているからでしょうか。私たちは誰かに洗脳されたり経済支援を受けて、米国からの独立を叫んでいるのでしょうか。欧米の人々が自分たちの生活・尊厳を守るためにグローバル資本主義に対する抵抗を強めているように、一度は世俗化したムスリムのなかにも西洋から押し付けられた価値観・制度では幸せにはなれないと感じてイスラムに回帰している人がいます。そうした人を「過激派」「テロリスト」と呼んで、エジプトの軍事独裁政権が民衆を弾圧しています。人間や世界を単純化しすぎると、大切なことに気づくことができなくなりそうです。

それをやった関係者の心はなぜ傷まないのか…。
自然や古の文化や、遺跡などに対して
奴等は「畏れ多い」という感覚がないのでしょう。
ジオエンジニアリングなどと気象まで変えて神にでもなった気でしょうか…

http://karapaia.livedoor.biz/archives/52134774.html

明治維新前に確かに存在した日本古来の文化や思想、哲学、生活様式、価値観は「文明開化」の名の下に無くなり、恐ろしいことにいまではわかりません。

いやいや、文献などでわかるよと言われそうですが、事実、国民の大多数はわかりません。

私はイラク、シリアを見ていて真っ先に頭に浮かんだのが明治維新でした。

他国を蹂躙し、それは正義で侵略ではなく、解放であるとの自惚れ。

自分勝手、嘘つき。

私には彼等が同じ人間とは思えない。

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さすがに面白いね、世界は。 アメリカの「オバマは既に死んでいる」と、北斗の拳よろしく書いたのはつい最近なんだけれども、そこの番頭のケリーがイスラエルに行ってぶんなぐられたという面白いニュースが世界を駆けまわっている。 http://philosophers-stone.co.uk/wordpr... [続きを読む]

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